単相交流14【電験3種 理論】抵抗とリアクタンスの比から力率cosφを求める!令和5年度上期 A問題9 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 令和5年度上期 A問題9 抵抗とリアクタンスの比!力率はいくつになる?

今回は令和5年度上期 理論科目 A問題9を解説します。抵抗Rと誘導性リアクタンスX_Lの直列回路で、R/X_L=1/√2のときの力率cosφを求める問題です。

RL直列回路では、抵抗成分Rが有効電力に対応し、誘導性リアクタンスXLは無効成分に対応します。力率は R/XL ではなく、インピーダンス三角形の隣辺と斜辺の比、つまり cosφ=R/|Z| です。

目次

令和5年度上期 理論科目 A問題9:問題文と選択肢

まずは、令和5年度上期に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 単相交流 令和5年度上期 A問題9 問題文
令和5年度上期 理論科目 A問題9 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題9

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 令和5年度上期 A問題9

 図のように、抵抗R〔Ω〕と誘導性リアクタンスX_L〔Ω〕が直列に接続された交流回路がある。R/X_L=1/√2の関係があるとき、この回路の力率cosφの値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.43 (2)0.50 (3)0.58 (4)0.71 (5)0.87

図 抵抗Rと誘導性リアクタンスX_Lの直列交流回路(問題図)
図 抵抗Rと誘導性リアクタンスX_Lの直列交流回路(問題図)

出題のポイント:力率は \(R/X_L\) ではなく \(R/|\dot Z|\)

問題文が \(R/X_L=1/\sqrt2\) と与えているので、そのまま \(0.71\) と答えたくなりますしかし力率の定義は \(R/|\dot Z|\)——分母はインピーダンス(斜辺)です。

\(R:X_L=1:\sqrt2\) なら、\(|\dot Z|=\sqrt{1+2}=\sqrt3\)力率は \(1/\sqrt3=0.577\)——約0.58になります。

力率の定義
$$\cos\phi=\frac{R}{|\dot Z|}=\frac{R}{\sqrt{R^2+X_L^2}}$$

分母は必ず斜辺 \(|\dot Z|\) です。\(R/X_L\) は \(\tan\phi\) の逆数であって、力率ではありません。

RL直列回路の力率の出題ポイント。Rと誘導性リアクタンスXLの直列回路、R/XL=1/√2、力率はR/XLではなくR/|Z|であることを示す図。
出題のポイント。与えられた比 R/XL を、インピーダンス三角形の R と |Z| の比へ変換して考えます。

解説:\(R=1\) と置いて三角形を作る

$$\frac{R}{X_L}=\frac{1}{\sqrt2}\;\Longrightarrow\;R=1,\;X_L=\sqrt2$$
❶ 比を具体化
\(R\) を1とする
$$|\dot Z|=\sqrt{1^2+(\sqrt2)^2}=\sqrt3$$
❷ インピーダンス
\(1+2=3\)
$$\cos\phi=\frac{1}{\sqrt3}=0.577$$
❸ 力率
≒0.58

比が与えられているときは、\(R=1\) と置いてしまうのがコツです。力率は絶対値でなく比だけで決まるので、好きな値を置いて構いません

位相差も分かります\(\tan\phi=X_L/R=\sqrt2\) なので \(\phi=54.7^\circ\)\(\cos54.7^\circ=0.577\) ✓——確かに一致します。

RL直列回路のポイント解説。力率cosφ=R/|Z|、|Z|=√(R²+XL²)、R/XL=1/√2からR=1、XL=√2、|Z|=√3、cosφ=0.577となる図。
ポイント解説。力率はR/XLではなくR/|Z|です。R=1、XL=√2と置くと、|Z|=√3、cosφ=1/√3=0.57735となります。
答え\(\cos\phi=\dfrac{1}{\sqrt3}\approx0.58\) → 選択肢(3)
RL直列回路の問題解説1枚目。R/XL=1/√2からR=1、XL=√2と置き、|Z|=√3、cosφ=1/√3=0.577で答え3を導く図。
問題の解説1/2。比を扱いやすい値に置き換え、インピーダンス三角形から力率を求めます。
RL直列回路の問題解説2枚目。電流を基準にVR=IR、VL=IXL、V=√(VR²+VL²)を示し、R/XLを力率にする誤りとR/|Z|で求める正しい方法を比較する図。
問題の解説2/2。力率は電源電圧に対する有効成分の割合なので、R/XLではなくR/|Z|で求めます。

誤答の正体:与えられた比をそのまま答える

誤り方計算選択肢
\(R/X_L\) をそのまま力率とする\(1/\sqrt2\)0.71(4)
\(X_L/|\dot Z|\)(\(\sin\phi\))を答える\(\sqrt2/\sqrt3\)0.82(5)0.87 に近い
正しい計算\(R/|\dot Z|\)0.58(3) ◎

選択肢(4)の0.71 は \(1/\sqrt2\)——問題文に書いてある比そのものです。「与えられた数字がそのまま答えになる」ことはまずないと考えてください。

0.71 という値は「位相差45°の力率」でもあります。\(R=X_L\) のときの値——本問は \(R<X_L\) なので、力率はもっと小さいはずです。この判断だけで(4)(5)が消えます

⚠️ よくある間違い
「力率が与えられた比と一致する」ケースはありません力率は必ず斜辺で割るので、\(R/X_L\) より必ず小さい値になります。\(R/X_L=0.71\) なら力率は0.58——小さくなる方向です。

深掘り①:3つの比を混同しない

名前本問での値
\(R/|\dot Z|\)隣辺/斜辺力率 \(\cos\phi\)0.577
\(X_L/|\dot Z|\)対辺/斜辺無効率 \(\sin\phi\)0.816
\(X_L/R\)対辺/隣辺\(\tan\phi\)1.414
\(R/X_L\)隣辺/対辺\(1/\tan\phi\)0.707

4つの比がすべて違う値になります。問題文がどの比を与えているかを確認してから、求められている比に変換してください。

\(\cos^2\phi+\sin^2\phi=1\) で検算できます。\(0.577^2+0.816^2=0.333+0.667=1.000\) ✓——この確認をすれば、\(\cos\) と \(\sin\) の取り違えに気づけます

深掘り②:力率0.58 の回路はどういう状態か

力率0.58 は、実務ではかなり悪い値です。電力会社の基準では0.85以上が求められるのが一般的で、下回ると割増料金になります。

力率同じ有効電力を送るのに必要な電流線路損失の比
1.01.001.00
0.851.181.38
0.58(本問)1.722.97

力率0.58 だと、力率1のときの1.72倍の電流が必要です。線路損失は電流の2乗に比例するので、約3倍——非常に効率が悪い状態です。

この回路は \(X_L\) が \(R\) の1.41倍——コイル成分が優勢です。実際の設備なら、進相コンデンサを入れて力率を改善する対象になります。

💡 覚え方
「力率は必ず斜辺で割る」——問題文で与えられた比をそのまま答えないインピーダンス三角形を1つ描けば、間違えようがありません

⏱️ 本番での進め方
❶ 力率は \(R/|\dot Z|\)。分母は斜辺。
❷ \(R=1\) と置く。比だけで決まるので絶対値は不要。
❸ 与えられた数値がそのまま答えにはならない。0.71 は罠。
❹ \(\cos^2+\sin^2=1\) で検算。取り違えに気づける。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

R/X_L1/√2(R=1、X_L=√2)
|Z|√3
cosφR/|Z|=1/√3
答え≒0.58 …(3)

問題文・回路図・選択肢は試験センター公式問題PDF(理論・問9、印刷ページ-11-)、正答(3)は公式解答PDFで確認しました。

▼あわせて解きたい関連問題
・力率・インピーダンスの関連問題:【理論】令和7年度上期A問題9

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