静電界18【電験3種 理論】平行板コンデンサ内の帯電導体球の電荷の符号と電位!令和4年下期 A問題2 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 令和4年度下期 A問題2 コンデンサの中に浮かぶ導体球!電荷の符号は?

今回は令和4年度下期 理論科目 A問題2を解説します。上側極板がE、下側極板が-Eの平行板コンデンサの中心に、電荷Qの導体球を置いたときの電荷Qの符号と導体球の電位Uを、電気力線の図から判断する問題です。

電気力線が導体球から正味で出て行けば正電荷(Q>0)、入っていけば負電荷です。図では球から下側へ出る力線が多く、Q>0。中心の球の電位は0とEの間(0<U<E)になります。

目次

令和4年度下期 理論科目 A問題2:問題文と選択肢

計算はまったく不要で、図の電気力線を読むだけの問題です。ただし読み取るべき情報が2つあり、それぞれ別の性質を使います。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 令和4年度下期 A問題2 問題文
令和4年度下期 理論科目 A問題2 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題2

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 令和4年度下期 A問題2

 図のように、平行板コンデンサの上下極板に挟まれた空間の中心に、電荷Q〔C〕を帯びた導体球を保持し、上側極板の電位がE〔V〕、下側極板の電位が-E〔V〕となるように電圧源をつないだ。ただし、E>0とする。同図に、二つの極板と導体球の間の電気力線の様子を示している。このとき、電荷Q〔C〕の符号と導体球の電位U〔V〕について、正しい記述のものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) Q>0であり、0<U<E である。
(2) Q>0であり、U=E である。
(3) Q>0であり、0<E<U である。
(4) Q<0であり、U<-E である。
(5) Q<0であり、-E<U<0 である。

図 平行板コンデンサ中心の帯電導体球と電気力線(問題図)
図 平行板コンデンサ中心の帯電導体球と電気力線(問題図)

出題のポイント:電気力線の絵から2つの情報を読み取る

計算はまったく不要で、図に描かれた電気力線を読むだけの問題です。ただし読み取るべき情報が2つあり、それぞれ別の性質を使います。

読み取るもの使う性質図のどこを見るか
電荷Qの符号力線は正電荷から出て負電荷へ入る球から出る線と入る線の本数差
電位Uの範囲力線は高電位から低電位へ向かう上側極板と球の間の矢印の向き

この2つは独立した判断です。片方だけでは選択肢が絞りきれないので、両方を確実に読み取る必要があります。

電位EとマイナスEの平行板間にある導体球の電気力線の出入りと電位Uを示す図
力線の正味の出入りで電荷の符号を、力線の向きで電位の大小を判断します。

電気力線の2つの性質を確認する

使う性質は、どちらも電気力線の定義から出てくる基本です。

性質内容根拠
① 出入りと符号正電荷から湧き出し、負電荷へ吸い込まれるガウスの法則(正味の本数=\(Q/\varepsilon\))
② 向きと電位必ず高電位側から低電位側へ向かう\(E=-\mathrm{grad}\,V\)(電界は電位の下り坂を向く)

②が本問の決め手です。「上側極板から球へ向かって力線が描かれている」という一点だけで、上側極板のほうが球より電位が高い、つまり \(E>U\) が確定します。

力線の向きは電位の高低を教えてくれる矢印——そう見ると、図から情報を引き出しやすくなります。

問題の解説:符号と範囲を順に確定する

STEP1 電荷Qの符号を読む

球から下側極板へ向かって出ていく力線と、上側極板から球へ入ってくる力線があります。図では出ていく本数のほうが多い——つまり球からは正味で力線が湧き出しています。

$$(\text{出る本数})-(\text{入る本数})=\frac{Q}{\varepsilon_0}>0$$
❶ ガウスの法則
正味で出ている=右辺が正
$$Q>0$$
❷ よって正電荷
これで(4)(5)が消える

STEP2 電位Uの下限を決める

もし球が無帯電(Q=0)だったらどうなるかを考えると、基準がはっきりします。

$$Q=0\;\Rightarrow\;U=\frac{E+(-E)}{2}=0\;[\mathrm{V}]$$
❸ 対称性から中点
上下が対称なので真ん中
$$Q>0\;\Rightarrow\;U>0$$
❹ 正電荷なら電位は上がる
下限が0と決まる

STEP3 電位Uの上限を決める

$$\text{上側極板}\to\text{球へ力線}\;\Rightarrow\;E>U$$
❺ 力線は高電位→低電位
上限がEと決まる
$$0<U<E$$
❻ 範囲が確定
導体球の電荷が正で電位が0より大きくEより小さいことを二段階で示す図
Q=0なら対称性からU=0であり、Q>0と上側極板からの力線方向を合わせて0<U<Eとなります。
答え\(Q>0\) かつ \(0<U<E\) → 選択肢(1)
導体球の電荷と電位を3段階で判定して正答1を示す解説図
Q>0かつ0<U<Eなので、正答は(1)です。

誤答の正体:どこで矛盾するかを1つずつ確かめる

選択肢主張図と矛盾する点判定
(1)\(Q>0\)、\(0<U<E\)矛盾なし
(2)\(Q>0\)、\(U=E\)電位が等しければ力線は引けない。図には上側極板と球を結ぶ力線がある×
(3)\(Q>0\)、\(0<E<U\)\(U>E\) なら力線は球→上側極板の向きになる。図と逆×
(4)\(Q<0\)、\(U<-E\)符号が逆。かつ下側極板(−E)より低い電位は極板間ではありえない×
(5)\(Q<0\)、\(-E<U<0\)符号が逆(力線が正味で出ているので \(Q>0\))×

(2)と(3)は「Uの上限」だけを間違えたものです。Qの符号は正しく読めていても、力線の向きから \(E>U\) を導けないとここで止まります。

特に(2)は巧妙です。「球は上側極板に近いから電位も同じくらい」と考えると選んでしまいます。しかし電位が等しい2点の間には電界が存在せず、力線も描けません。図に力線がある以上、電位差は必ずあります。

(4)の \(U<-E\) は、範囲そのものがありえません。極板間の電位は必ず \(-E\) と \(+E\) の間に収まります。「与えられた範囲の外に出る選択肢」は即座に消せるので、時間がないときの武器になります。

なぜ帯電した球を置くと電位が上がるのか

「Q>0なら電位が0より高くなる」という部分を、もう少し丁寧に見ておきます。

重ね合わせで考えるのが分かりやすい方法です。この状況は次の2つを足したものと見なせます。

成分内容球の位置での電位
① 極板だけによる電位上+E、下−Eの一様電界0 V(対称な中点だから)
② 球の電荷Qによる電位Q>0がつくる電位正の値
合計①+②0より大きい

正電荷は周囲の電位を持ち上げる——これが②の中身です。だから \(U>0\) になります。もし球が負に帯電していれば \(U<0\) となり、選択肢(5)の範囲に入ります。

一方でUが \(E\) を超えることはないのかというと、Qを十分大きくすれば原理的には超えます。しかしそのときは力線の向きが逆転し、球から上側極板へ向かうようになります。本問は図が向きを教えてくれているので、\(U<E\) と断定できるのです。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
力線の出入りの差で電荷の符号を読む(正味で出ていれば正)
力線の向きで電位の高低を読む(高電位→低電位)
③ 基準として「無帯電なら電位はいくつか」を先に考える(本問は対称性から0 V)
与えられた範囲の外に出る選択肢(\(U<-E\) など)は即座に消せる
「電位が等しければ力線は描けない」——\(U=E\) の選択肢を消す根拠

💡 覚え方
「力線は電位の下り坂を流れる」。矢印の向きを見れば、どちらが高電位かが分かります。上側極板から球へ向かっているなら上側極板のほうが高い=\(E>U\)。それだけで上限が決まります。

⚠️ よくある間違い
力線の本数を数えずに符号を決めつけるのが最頻出のミスです。出る本数と入る本数の差が電荷の符号を決めます。また\(U=E\) を選ぶ誤りも多いですが、電位が等しければその間に力線は存在できません。

まとめ

電気力線球から正味で出ている
電荷Qの符号Q>0
電位U0<U<E
答え(1)

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