単相交流17【電験3種 理論】コイルの短絡前後で消費電力が半分になる条件からLを求める!令和4年度上期 A問題8 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 令和4年度上期 A問題8 コイルを短絡したら電力が半分に!Lは何H?

今回は令和4年度上期 理論科目 A問題8を解説します。RとLの回路で、S(Lに並列)を開いたときの消費電力が閉じたときの1/2になるときの、Lを表す式を求める問題です。

S閉でLは短絡されZ=R(消費電力E²/R)となります。S開ではRとLの直列回路になり、Z=√(R²+(ωL)²)です。消費電力は抵抗だけで生じるのでP=E²R/|Z|²とし、これが半分になる条件からLを求めます。

目次

令和4年度上期 理論科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、令和4年度上期に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 単相交流 令和4年度上期 A問題8 問題文
令和4年度上期 理論科目 A問題8 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題8

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 令和4年度上期 A問題8

 図のように、周波数f〔Hz〕の正弦波交流電圧E〔V〕の電源に、R〔Ω〕の抵抗、インダクタンスL〔H〕のコイルとスイッチSを接続した回路がある。スイッチSが開いているときに回路が消費する電力〔W〕は、スイッチSが閉じているときに回路が消費する電力〔W〕の1/2になった。このとき、L〔H〕の値を表す式として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)2πfR (2)R/(2πf) (3)2πf/R (4)(2πf)2/R (5)R/(πf)

図 E電源・R・LとLに並列なスイッチSの回路(問題図)
図 E電源・R・LとLに並列なスイッチSの回路(問題図)

出題のポイント:電力が半分=リアクタンスが抵抗と等しい

スイッチを閉じるとコイルが短絡され、抵抗だけの回路になります。開くと \(R\) と \(L\) の直列——インピーダンスが増えて電流が減り、電力も減ります

電力は電流の2乗に比例するので、電力が半分なら電流は \(1/\sqrt2\) 倍そのためにはインピーダンスが \(\sqrt2\) 倍——\(\sqrt{R^2+X^2}=\sqrt2R\) から \(X=R\) が出ます。

2つの状態の消費電力
$$\text{S閉:}\;P_1=\frac{E^2}{R}\qquad\text{S開:}\;P_2=\frac{E^2R}{R^2+X^2}$$

コイルは電力を消費しません消費するのは抵抗だけなので、\(P=I^2R\) の形になります。

コイルLに並列なスイッチSをもつRL交流回路の出題ポイント。S閉でL短絡、Z=R、S開でRとLの直列、|Z|=√(R²+(ωL)²)、P開=1/2P閉からLを求める流れを示す図。
出題のポイント。S閉ではコイルが短絡されRだけが残り、S開ではRとLの直列回路として電力比を立てます。

解説:条件式を立てて解く

$$\frac{E^2R}{R^2+X^2}=\frac12\cdot\frac{E^2}{R}$$
❶ \(P_2=P_1/2\)
\(E^2\) が約分される
$$2R^2=R^2+X^2\;\Longrightarrow\;X=R$$
❷ 整理
リアクタンスが抵抗と等しい
$$2\pi fL=R\;\Longrightarrow\;L=\frac{R}{2\pi f}$$
❸ \(L\) について解く

\(X=R\) のとき力率は \(1/\sqrt2\approx0.707\)、位相差は45°です。「電力が半分」と「位相差45°」が対応していると知っておくと、条件を見た瞬間に \(X=R\) が浮かびます。

次元でも確認できます\(L\) の単位は \(\mathrm{H}=\Omega\cdot\mathrm{s}\)\(2\pi f\) は \(1/\mathrm{s}\)——\(R\) を \(2\pi f\) で「割る」形しかありません選択肢のうち(2)だけが \(\Omega\cdot\mathrm{s}\) になります

RL回路のポイント解説。S閉でZ=R、P閉=E²/R、S開でP開=E²R/(R²+(ωL)²)、P開=1/2P閉からωL=R、L=R/(2πf)を導く図。
ポイント解説。S閉ではLが短絡され、電流はコイルではなく短絡経路を通ります。S開ではRとLの直列回路になり、電力半分の条件からωL=Rを導きます。
答え\(L=\dfrac{R}{2\pi f}\) → 選択肢(2)
RL回路の問題解説1枚目。S閉はL短絡でZ=R、S開はRとLの直列、P開/P閉=1/2からR²/(R²+(ωL)²)=1/2、L=R/(2πf)、答え2を導く図。
問題の解説1/2。S閉とS開の状態を分け、電力比の式を整理してL=R/(2πf)を求めます。
RL回路の問題解説2枚目。S閉でP閉=E²/R、S開でP開=E²R/|Z|²、P開が半分なら|Z|²=2R²となり、ωL=R、L=R/(2πf)を確認する図。
問題の解説2/2。電力半分とは|Z|²が2R²になることです。コイルは平均電力を消費せず、消費電力は抵抗Rだけで発生します。

★平成20年度A問題9と実質同じ問題

平成20年度A問題9は、本問とほぼ同一の問題です。問題文の設定も、選択肢の並びもほとんど同じ——違うのは選択肢(5)だけです。

平成20年度 A問題9本問(令和4年度上期 A問題8)
設定S開のとき電力が閉のときの1/2同じ
選択肢(1)\(2\pi fR\)\(2\pi fR\)
選択肢(2)\(R/(2\pi f)\) ←正答\(R/(2\pi f)\) ←正答
選択肢(3)\(2\pi f/R\)\(2\pi f/R\)
選択肢(4)\((2\pi f)^2/R\)\((2\pi f)^2/R\)
選択肢(5)\((2\pi f)^2R\)\(R/(\pi f)\) ←差し替え
正答番号(2)(2)

14年の時を経て、ほぼそのまま再出題されました選択肢(5)だけが \((2\pi f)^2R\) から \(R/(\pi f)\) に差し替えられています——次元が合う紛らわしい肢に変えて、難度を少し上げた形です。

\(R/(\pi f)\) は次元が \(\Omega\cdot\mathrm{s}\) で正しいので、次元チェックでは消せません\(R/(2\pi f)\) のちょうど2倍——計算をきちんとやらないと区別できないようになっています。

あわせて解いておきたい記事:【理論】平成20年度A問題9

⚠️ よくある間違い
古い過去問だからと侮れません原理を問う問題は表現を変えようがないので、ほぼそのまま再出題されますただし選択肢は差し替えられることがあるので、番号で覚えず解き方で覚えてください

深掘り:コイルが電力を消費しないことの確認

$$I_2=\frac{E}{\sqrt{R^2+R^2}}=\frac{E}{\sqrt2R}$$
❶ S開の電流
\(X=R\) を代入
$$P_2=I_2^2R=\frac{E^2}{2R^2}\cdot R=\frac{E^2}{2R}=\frac{P_1}{2}$$
❷ 消費電力
◎ 確かに半分

コイルにも電流は流れていますが、電力は消費していません前半で磁気エネルギーを蓄え、後半で電源に返しているだけです。差し引きゼロになります。

S閉S開
インピーダンス\(R\)\(\sqrt2R\)
電流\(E/R\)\(E/(\sqrt2R)\)
力率1\(1/\sqrt2\approx0.707\)
消費電力\(E^2/R\)\(E^2/(2R)\)

電流は \(1/\sqrt2\) 倍、力率も \(1/\sqrt2\) 倍——2つが掛かって電力は \(1/2\) 倍になります。「電力が半分だから電流も半分」と考えると誤りです。

💡 覚え方
「電力半分=\(X=R\)=位相差45°=力率0.707」——4つをセットで覚えると、この種の問題は条件を見た瞬間に答えが出ます。

⏱️ 本番での進め方
❶ 「電力半分=\(X=R\)」を覚えておく。条件式を立てる手間が省ける。
❷ \(P\propto I^2\)。電力が半分なら電流は \(1/\sqrt2\) 倍。
❸ 次元で確認。\(L\) は \(\Omega\cdot\mathrm{s}\)。\(R\) を \(2\pi f\) で割る形。
❹ 番号で覚えない。過去問とほぼ同じでも選択肢が差し替わることがある。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

S閉Z=R、P=E2/R
S開Z=√(R2+(ωL)2)
半分(ωL)2=R2→ωL=R
答えL=R/(2πf) …(2)

問題文・回路図・選択肢は試験センター公式問題PDF(理論・問8、印刷ページ-8-)、正答(2)は公式解答PDFで確認しました。

▼あわせて解きたい関連問題
・RL回路・消費電力の関連問題:【理論】令和7年度上期A問題9

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