単相交流21【電験3種 理論】RC直列回路の電流から抵抗Rを求める!令和2年度 A問題8 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 令和2年度 A問題8 RC直列回路に流れる電流!抵抗Rは何Ωか?

今回は令和2年度 理論科目 A問題8を解説します。2μFのコンデンサと抵抗Rの直列回路に10V・1000Hzを加えたら0.1Aが流れたときの、抵抗R〔Ω〕を求める問題です。

まず容量性リアクタンスXC=1/(2πfC)を計算します。次に、全体のインピーダンスの大きさ|Z|=V/I=100Ωを求めます。V/IはRではなくRC直列全体の|Z|なので、|Z|=√(R²+XC²)からRを逆算します。

目次

令和2年度 理論科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、令和2年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 単相交流 令和2年度 A問題8 問題文
令和2年度 理論科目 A問題8 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和2年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題8

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 令和2年度 A問題8

 図のように、静電容量2μFのコンデンサ、R〔Ω〕の抵抗を直列に接続した。この回路に、正弦波交流電圧10V、周波数1000Hzを加えたところ、電流0.1Aが流れた。抵抗Rの値〔Ω〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)4.50 (2)20.4 (3)30.3 (4)60.5 (5)79.6〔Ω〕

図 2μFのコンデンサとRの直列RC回路(10V・1000Hz)(問題図)
図 2μFのコンデンサとRの直列RC回路(10V・1000Hz)(問題図)

出題のポイント:\(V/I\) は \(R\) ではなく \(|\dot Z|\)

電圧を電流で割って得られるのは、回路全体のインピーダンスです。抵抗そのものではありません\(|\dot Z|=100\;\Omega\) から \(X_C\) を三平方で引いて \(R\) を出します

\(X_C\) は約80 Ω と大きいので、\(R\) は100 Ω よりかなり小さくなります単純に \(100-79.6=20.4\) としてしまうと選択肢(2)に着地——ベクトルは三平方で引くのが鉄則です。

RC直列回路
$$X_C=\frac{1}{2\pi fC}\qquad|\dot Z|=\frac{V}{I}=\sqrt{R^2+X_C^2}\qquad R=\sqrt{|\dot Z|^2-X_C^2}$$

\(R\) と \(X_C\) は直角に合成されます。足すのも引くのも三平方——直線的な足し引きはできません。

RC直列回路で電流から抵抗Rを求める出題ポイント。10V、1000Hz、C=2μF、I=0.1Aの直列回路で、まずXc=1/(2πfC)、次に|Z|=V/I=100Ω、最後に|Z|²=R²+Xc²からRを逆算する流れを示す図。
出題のポイント。V/Iは抵抗Rではなく、コンデンサを含むRC直列回路全体のインピーダンス|Z|です。

解説:3ステップで求まる

$$X_C=\frac{1}{2\pi\times1\,000\times2\times10^{-6}}=\frac{1}{1.257\times10^{-2}}=79.6\;\Omega$$
❶ 容量性リアクタンス
\(2\pi fC\) を先に計算
$$|\dot Z|=\frac{V}{I}=\frac{10}{0.1}=100\;\Omega$$
❷ インピーダンス
\(R\) ではない
$$R=\sqrt{100^2-79.6^2}=\sqrt{10\,000-6\,333}=\sqrt{3\,667}=60.6\;\Omega$$
❸ 抵抗

\(2\pi fC=2\pi\times1000\times2\times10^{-6}=1.257\times10^{-2}\)——その逆数が79.6です。\(2\pi\approx6.28\) を使うと \(6.28\times10^{-3}\times2=1.26\times10^{-2}\) と暗算できます。

検算:\(\sqrt{60.6^2+79.6^2}=\sqrt{3672+6336}=\sqrt{10008}\approx100\) ✓ 力率は \(60.6/100=0.61\)、位相差は約53° です。

RC直列回路のポイント解説。10V、1000Hz、C=2μF、I=0.1Aの回路、インピーダンス三角形、|Z|²=R²+Xc²、R=√(|Z|²−Xc²)、Xc=1/(2πfC)、|Z|=V/I=100Ωを示す図。
ポイント解説。抵抗成分Rと容量性リアクタンスX_Cは直交するため、三平方の定理でRを求めます。
答え\(R\approx60.5\;\Omega\) → 選択肢(4)
RC直列回路の問題解説1枚目。C=2μF=2×10^-6F、Xc=1/(2π×1000×2×10^-6)≈79.6Ω、|Z|=10/0.1=100Ωを求める図。
問題の解説1/2。まず容量性リアクタンスX_Cと、回路全体のインピーダンス|Z|を求めます。
RC直列回路の問題解説2枚目。|Z|²=R²+Xc²、R=√(|Z|²−Xc²)=√(100²−79.6²)=√3664≈60.5Ω、答え4を導く図。
問題の解説2/2。79.6ΩはX_Cなので、三平方の定理で残りの抵抗成分Rを求めます。R≈60.5Ω、答えは(4)です。

誤答の正体:2つの途中の値が置かれている

誤り方計算値〔Ω〕選択肢との対応
\(X_C\) をそのまま答える\(1/(2\pi fC)\)79.6(5) と一致
\(|\dot Z|\) から \(X_C\) を単純に引く\(100-79.6\)20.4(2) と一致
正しい計算\(\sqrt{100^2-79.6^2}\)60.6(4) ◎

(5)と(2)はどちらも計算の途中で出てくる値です。\(X_C=79.6\) を求めたところで「これが答えかも」と思ってしまう——問われているのは \(R\) です。

単純な引き算をしてしまう誤りも根深いものです。抵抗とリアクタンスは90°ずれているので、直線上で足し引きできません必ず三平方です。

⚠️ よくある間違い
\(V/I\) を \(R\) だと思い込むのが最も基本的な誤りです。直流ならオームの法則で \(R=V/I\) ですが、交流では \(|\dot Z|=V/I\)——リアクタンスが含まれています

深掘り①:\(X_C\) の桁を素早く見積もる

\(X_C=1/(2\pi fC)\) の計算は、桁を先に押さえると速くなります。

\(f\)\(C\)\(2\pi fC\)\(X_C\)
1 kHz2 μF\(1.26\times10^{-2}\)79.6 Ω
1 kHz1 μF\(6.28\times10^{-3}\)159 Ω
50 Hz10 μF\(3.14\times10^{-3}\)318 Ω
50 Hz100 μF\(3.14\times10^{-2}\)31.8 Ω

\(1/(2\pi)=0.159\) という値を覚えておくと便利です。\(X_C=0.159/(fC)\) と書き換えられます。本問なら \(0.159/(1000\times2\times10^{-6})=0.159/0.002=79.5\)——暗算で出せます

選択肢の(5)79.6 がまさにこの値です。「きれいに出た値が答えとは限らない」——問題文が何を聞いているかを確認してください。

深掘り②:位相差から回路の姿を読む

この回路の力率は0.61、位相差は約53°です。リアクタンスのほうが抵抗より大きい——容量性が優勢な回路だと分かります。

意味
\(R\)60.6 Ω有効電力を消費する部分
\(X_C\)79.6 Ω無効電力を往復させる部分
\(|\dot Z|\)100 Ω全体の電流を決める
力率0.61\(R/|\dot Z|\)
消費電力0.606 W\(I^2R=0.01\times60.6\)

皮相電力は \(VI=10\times0.1=1\;\mathrm{VA}\)有効電力は \(1\times0.61=0.61\;\mathrm{W}\)——\(I^2R\) で計算した値と一致します。

周波数を変えると力率も変わります周波数を上げれば \(X_C\) が減って力率がよくなり、下げれば悪くなります——RC回路の基本的な性質です。

💡 覚え方
「\(V/I\) はインピーダンス」——交流ではこれが出発点です。そこから \(R\) や \(X\) を取り出すには、必ず三平方の定理を使います。

⏱️ 本番での進め方
❶ \(X_C=0.159/(fC)\) で暗算する。\(1/(2\pi)=0.159\)。
❷ \(V/I\) は \(|\dot Z|\)。\(R\) ではない。
❸ 三平方で引く。単純な引き算は不可。
❹ 途中の値が選択肢にある。\(X_C\) も \(|Z|-X_C\) も置いてある。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

Xc1/(2π·1000·2μ)≒79.6Ω
|Z|10/0.1=100Ω
R√(1002−79.62)
答え≒60.5Ω …(4)

問題文・回路図・選択肢は試験センター公式問題PDF(理論・問8、印刷ページ-8-)、正答(4)は公式解答PDFで確認しました。

▼あわせて解きたい関連問題
・RC回路・インピーダンスの関連問題:【理論】令和7年度下期A問題9

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