単相交流20【電験3種 理論】RLC直列・並列共振回路の特徴の正誤を判定する!令和3年度 A問題9 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 令和3年度 A問題9 直列共振と並列共振!記述の正誤を見分けられるか?

今回は令和3年度 理論科目 A問題9を解説します。RLC直列・並列共振回路に関する3つの記述(a)(b)(c)の正誤の組合せを求める問題です。

共振時、LとCは互いに打ち消し合いますが、個々の電圧・電流は0ではありません。直列共振ではZ=Rとなり電源電流はV/R、並列共振でも合成アドミタンスが1/Rとなるため電源電流はV/Rです。

目次

令和3年度 理論科目 A問題9:問題文と選択肢

まずは、令和3年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 単相交流 令和3年度 A問題9 問題文
令和3年度 理論科目 A問題9 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題9

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 令和3年度 A問題9

 実効値V〔V〕、角周波数ω〔rad/s〕の交流電圧源、R〔Ω〕の抵抗R、インダクタンスL〔H〕のコイルL、静電容量C〔F〕のコンデンサCからなる共振回路に関する記述として、正しいものと誤りのものの組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。(a) RLC直列回路の共振状態において、LとCの端子間電圧の大きさはともに0である。(b) RLC並列回路の共振状態において、LとCに電流は流れない。(c) RLC直列回路の共振状態において交流電圧源を流れる電流は、RLC並列回路の共振状態において交流電圧源を流れる電流と等しい。

(a)(b)(c)
(1)誤り誤り正しい
(2)誤り正しい誤り
(3)正しい誤り誤り
(4)誤り誤り誤り
(5)正しい正しい正しい

出題のポイント:「打ち消し合う」は「ゼロ」ではない

共振時、\(L\) と \(C\) は互いに打ち消し合いますしかし個々の電圧や電流がゼロになるわけではありません——大きさが等しく向きが逆なので、合計がゼロになるだけです。

(a)と(b)は、この誤解を突いた記述です。どちらも「ゼロである」としているので誤り——実際は尖鋭度 \(Q\) 倍という大きな値になっています。

共振時の \(L\) と \(C\)
$$\text{直列共振:}\;V_L=V_C=QV\;(\ne0)\qquad\text{並列共振:}\;I_L=I_C=QI\;(\ne0)$$

\(Q\) は尖鋭度で、1より大きいのが普通です。電源電圧や電源電流より大きな値が素子に現れます。

RLC直列共振とRLC並列共振の正誤判定の出題ポイント。直列共振ではZ=R、電源電流I=V/R、LとCの電圧は0ではない。並列共振では合成アドミタンス1/R、電源電流I=V/R、LとCには枝電流が流れる。(a)誤り、(b)誤り、(c)正しいを示す図。
出題のポイント。共振で打ち消し合うのは合成成分であり、L・C個別の電圧や電流が0になるわけではありません。

各記述の判定

(a) 直列共振で \(L\) と \(C\) の端子電圧はともに0 → 誤り

直列共振では \(V_L\) と \(V_C\) の大きさが等しく、位相が180°違いますベクトルとして足すとゼロですが、個々の大きさは \(QV\)——電源電圧の \(Q\) 倍です。

\(Q=20\) なら、電源が100 V でもコイルには2 000 V がかかります。「ゼロ」どころか、回路内で最も高い電圧になります。

(b) 並列共振で \(L\) と \(C\) に電流は流れない → 誤り

並列共振では \(I_L\) と \(I_C\) の大きさが等しく、位相が180°違います電源から見ると打ち消し合ってゼロですが、内部では \(QI\) の電流が循環しています。

コイルとコンデンサの間を電流が行き来している——外部には流れ出ないだけです。この循環電流のせいで、素子は発熱することもあります

(c) 直列共振と並列共振で電源電流は等しい → 正しい

$$\text{直列共振:}\;\dot Z=R\;\Longrightarrow\;I=\frac{V}{R}$$
❶ 直列
リアクタンスが打ち消し合う
$$\text{並列共振:}\;\dot Y=\frac1R\;\Longrightarrow\;I=V\cdot\frac1R=\frac{V}{R}$$
❷ 並列
サセプタンスが打ち消し合う

どちらも \(V/R\) になります。直列では「抵抗だけが残る」、並列では「コンダクタンスだけが残る」——表現は違いますが、結果は同じです。

RLC共振のポイント解説。直列共振ではXL=XC、Z=R、電源電流Is=V/R。並列共振ではY=1/R+j(ωC−1/ωL)、共振時Y=1/R、電源電流Ip=V/R。したがってIs=Ip=V/Rであることを示す図。
ポイント解説。理想的な並列共振でも抵抗枝の電流V/Rは残るため、電源電流は0ではありません。
答え(a) 誤り (b) 誤り (c) 正しい → 選択肢(1)
RLC共振の問題解説1枚目。(a)直列共振でLとCの電圧は逆位相で打ち消すが個々の電圧は0ではないので誤り。(b)並列共振でL枝とC枝には電流が流れるので誤りと判定する図。
問題の解説1/2。(a)と(b)は、打ち消し合うことを個別量が0になることと取り違えた記述なので、どちらも誤りです。
RLC共振の問題解説2枚目。直列共振でIs=V/R、並列共振でY=1/RとなりIp=V/R、したがってIs=Ip=V/Rで(c)は正しい。(a)誤り、(b)誤り、(c)正しい、答え1を示す図。
問題の解説2/2。直列共振と並列共振の電源電流はいずれもV/Rとなるため、(c)は正しいです。答えは(1)です。

直列共振と並列共振の対応表

直列共振並列共振
打ち消し合うもの\(L\) と \(C\) の電圧\(L\) と \(C\) の電流
個々の値\(V_L=V_C=QV\ne0\)\(I_L=I_C=QI\ne0\)
電源から見ると\(\dot Z=R\)(最小)\(\dot Y=1/R\)(アドミタンス最小)
電源電流\(V/R\)(最大)\(V/R\)(最小)
別名電圧共振電流共振

電源電流はどちらも \(V/R\) ですが、意味が違います直列共振では「その周波数で最大」、並列共振では「その周波数で最小」——周波数を変えたときの振る舞いが正反対です。

(c)が正しいのは、あくまで「共振時の値どうしを比べれば同じ」という意味です。周波数特性としては真逆——この違いは押さえておいてください

⚠️ よくある間違い
「打ち消し合う=ゼロになる」と短絡するのが本問の狙われどころです。合計がゼロなだけで、個々は大きい——むしろ共振時こそ素子に大きな電圧・電流がかかります

深掘り①:共振回路が壊れる理由

共振時に素子へかかる過大な電圧・電流は、実務では事故につながります設計時に必ず考慮すべき点です。

事象何が起きるか
直列共振(電圧共振)コンデンサの絶縁破壊、コイルの層間短絡
並列共振(電流共振)循環電流による発熱、素子の焼損
高調波による共振意図しない周波数で共振し、機器が損傷

とくに問題になるのが、進相コンデンサと系統のインダクタンスによる共振です。高調波の周波数でたまたま共振すると、その成分が異常に増幅されます。

対策として直列リアクトルを入れるのが一般的です。共振周波数をずらして、高調波の周波数と一致しないようにする——電力科目で問われる内容です。

深掘り②:\(Q\) が大きいほど危険でもある

\(Q\) は共振の鋭さを表すと同時に、素子にかかる過大な電圧・電流の倍率でもあります。

\(Q\)共振の鋭さ素子の電圧(直列共振)用途
1なだらか電源電圧と同じ広帯域フィルタ
10やや鋭い10倍一般的なフィルタ
100非常に鋭い100倍ラジオの同調回路

\(Q=100\) なら、電源が10 V でもコイルには1 000 V がかかります。選択性を高めるほど、素子への負担も増える——設計上のトレードオフです。

\(Q\) を下げるには抵抗を入れます\(Q=\omega L/R\) なので、\(R\) を大きくすれば \(Q\) が下がり、素子の負担も減ります——ただし選択性は悪くなります

💡 覚え方
「共振=打ち消し合うが、個々はゼロでない」——これが本問の唯一のメッセージです。むしろ共振時こそ素子に最大の負荷がかかると覚えてください。

⏱️ 本番での進め方
❶ 「打ち消し合う=ゼロ」ではない。合計がゼロなだけ。
❷ 直列は電圧、並列は電流が打ち消し合う。対で覚える。
❸ 電源電流はどちらも \(V/R\)。共振時の値どうしなら同じ。
❹ 周波数特性は正反対。直列は最大、並列は最小。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

(a)直列共振L・C電圧は0ではない→誤り
(b)並列共振L・Cに電流は流れる→誤り
(c)電源電流直列V/R=並列V/R→正しい
答え(a)誤り・(b)誤り・(c)正しい …(1)

問題文・選択肢は試験センター公式問題PDF(理論・問9、印刷ページ-10-)、正答(1)は公式解答PDFで確認しました。

▼あわせて解きたい関連問題
・共振の性質の関連問題:【理論】令和5年度上期A問題8

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