単相交流26【電験3種 理論】並列共振で電源電流が最小となる周波数・電流・位相を求める!平成30年度 A問題9 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成30年度 A問題9 並列共振で電源電流が最小に!その周波数は何Hz?

今回は平成30年度 理論科目 A問題9を解説します。10Vの交流電源に直列1Ωと、1Ω・2H・1.5Fの並列回路をつないだ回路で、電源電流が最小となる周波数(ア)・そのときの電流の大きさ(イ)・位相(ウ)を求める空所補充問題です。

並列部の2H(L)と1.5F(C)が並列共振するとインピーダンスが最大(理想では開放)となり、電源電流が最小になります。共振周波数f=1/(2π√(LC))を求め、残る抵抗から電流と位相を導きます。

目次

平成30年度 理論科目 A問題9:問題文と選択肢

まずは、平成30年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 単相交流 平成30年度 A問題9 問題文
平成30年度 理論科目 A問題9 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題9

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成30年度 A問題9

 次の文章は、図の回路に関する記述である。交流電圧源の出力電圧を10Vに保ちながら周波数f〔Hz〕を変化させるとき、交流電圧源の電流の大きさが最小となる周波数は(ア)Hzである。このとき、この電流の大きさは(イ)Aであり、その位相は電源電圧を基準として(ウ)。ただし、電流の向きは図に示す矢印のとおりとする。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)〔Hz〕(イ)〔A〕(ウ)
(1)1/(√3π)5同相である
(2)1/(√3π)10π/2 rad進む
(3)1/(2√3π)5同相である
(4)1/(2√3π)10π/2 rad遅れる
(5)1/(2√3π)5π/2 rad進む
図 10V電源・直列1Ωと1Ω∥2H∥1.5Fの並列回路(問題図)
図 10V電源・直列1Ωと1Ω∥2H∥1.5Fの並列回路(問題図)

出題のポイント:並列部のLCが共振すると「開放」になる

電源電流が最小になるのは、回路のインピーダンスが最大のときです。並列部の \(L\) と \(C\) が並列共振すると、その部分のインピーダンスが無限大(開放)になります。

開放になると、並列部を流れる電流は抵抗1 Ω だけを通ります回路は「直列1 Ω + 並列部の1 Ω」=2 Ω の純抵抗——電流は5 A、位相は同相です。

並列共振の周波数
$$f_r=\frac{1}{2\pi\sqrt{LC}}=\frac{1}{2\pi\sqrt{2\times1.5}}=\frac{1}{2\pi\sqrt3}=\frac{1}{2\sqrt3\,\pi}$$

\(LC=3\) なので \(\sqrt{LC}=\sqrt3\)\(2\pi\sqrt3=2\sqrt3\pi\) と書き換えられます。

平成30年度理論A問題9の出題ポイント。10V交流電源、直列抵抗1Ω、その先に抵抗1Ω・コイル2H・コンデンサ1.5Fを並列接続した回路で、並列共振時の電源電流が最小、合成抵抗2Ω、電流5A、電圧と同相になることを示す図。
出題のポイント。並列共振ではLとCの無効電流が相殺され、電源から見た回路は二つの1Ω抵抗の直列になります。

解説:3つの空欄を順に埋める

$$f_r=\frac{1}{2\pi\sqrt{LC}}=\frac{1}{2\pi\sqrt{2\times1.5}}=\frac{1}{2\sqrt3\,\pi}\;\mathrm{Hz}$$
❶(ア)周波数
\(LC=3\)
$$Z=1+1=2\;\Omega\;\Longrightarrow\;I=\frac{10}{2}=5\;\mathrm{A}$$
❷(イ)電流
LC並列部は開放
$$\text{純抵抗}\;\Longrightarrow\;\text{電圧と電流は同相}$$
❸(ウ)位相

共振時に残るのは2つの抵抗だけです。直列の1 Ω と、並列部にある1 Ω——LC が開放になるので、電流はこの1 Ω を通るしかありません

純抵抗なので力率は1、位相差はゼロです。「共振=同相」——直列共振でも並列共振でも同じです。

検算:周波数を共振点から少しずらすと、並列部のインピーダンスが下がって全体のインピーダンスも下がり、電流は増えます共振点でちょうど最小——谷型の特性です。

並列共振のポイント解説。アドミタンスY=1/R+j(ωC−1/(ωL))の虚部を0とし、ω0=1/√(LC)、f0=1/(2π√(LC))を導き、L=2H、C=1.5Fからf0=1/(2√3π)Hzと求める図。R、L、Cは独立した並列枝で、ILとICは逆向き。
ポイント解説。並列回路のアドミタンスの虚部が0になる条件から、共振周波数を求めます。
答え(ア)\(\dfrac{1}{2\sqrt3\,\pi}\;\mathrm{Hz}\) (イ)5 A (ウ)同相 → 選択肢(3)
問題の解説1枚目。ωC−1/(ωL)=0からω0=1/√(LC)、f0=1/(2π√(LC))を導き、L=2H、C=1.5Fを代入してア=1/(2√3π)Hzと求める図。
問題の解説1/2。並列共振条件を角周波数で立て、Hzへ変換して共振周波数を求めます。
問題の解説2枚目。正確なRLC並列回路と共振時の等価回路を示し、合成抵抗2Ω、電源電流5A、純抵抗なので位相差0度で同相、正答3と判断する図。
問題の解説2/2。共振時は電源から見て1Ωと1Ωの直列となり、電流5A、電圧と電流は同相、正答は(3)です。

誤答の正体:3つの空欄それぞれに罠がある

空欄誤り方誤った値選択肢との対応
(ア)\(2\pi\) を \(\pi\) と誤る\(1/(\sqrt3\pi)\)(1)(2)
(イ)直列の1 Ω を忘れる10 A(2)(4)
(ウ)進み・遅れとする(2)(4)(5)
正しい\(1/(2\sqrt3\pi)\)、5 A、同相(3) ◎

(イ)の「10 A」は、直列の1 Ω を忘れた値です。並列部の1 Ω だけで \(10/1=10\;\mathrm{A}\)——回路図をよく見て、直列に入っている抵抗を数え落とさないようにしてください。

(ウ)は「共振=同相」を知っていれば即決です。共振していれば力率1、位相差ゼロ——進みや遅れになることはありません

⚠️ よくある間違い
並列共振を「短絡」と誤解すると、答えが逆になります。並列共振は開放(インピーダンス最大)、直列共振は短絡(インピーダンス最小)——回路図で \(L\) と \(C\) が並列か直列かを確認してください。

深掘り①:抵抗が並列部にあっても共振周波数は変わらない

並列部には1 Ω の抵抗も入っていますが、共振周波数には影響しません共振条件は \(L\) と \(C\) のサセプタンスが打ち消し合うことで、抵抗のコンダクタンスは実部なので無関係だからです。

$$\dot Y_p=\frac{1}{R_p}+j\omega C+\frac{1}{j\omega L}=\frac{1}{R_p}+j\left(\omega C-\frac{1}{\omega L}\right)$$
並列部のアドミタンス
虚部に \(R_p\) は現れない
$$\omega C=\frac{1}{\omega L}\;\Longrightarrow\;\omega=\frac{1}{\sqrt{LC}}$$
虚部ゼロの条件
\(R_p\) に無関係

共振時、並列部のアドミタンスは \(1/R_p\) だけになります。つまり並列部は \(R_p=1\;\Omega\) の抵抗と同じ——「LC が開放になって \(R_p\) だけが残る」という表現になります。

もしコイルに内部抵抗があれば話が変わります\(L\) と直列に抵抗が入ると、共振周波数がわずかにずれる——本問は理想的な素子を仮定しています。

深掘り②:\(LC=3\) という設計

\(L=2\;\mathrm{H}\)、\(C=1.5\;\mathrm{F}\) という値は現実的ではありません\(LC=3\) にして \(\sqrt{LC}=\sqrt3\) ときれいにするために選ばれた値です。

備考
\(LC\)3\(2\times1.5\)
\(\sqrt{LC}\)\(\sqrt3\)約1.732
\(f_r\)\(\dfrac{1}{2\sqrt3\pi}\)約0.0919 Hz
\(\omega_r\)\(\dfrac{1}{\sqrt3}\)約0.577 rad/s

実際の共振周波数は約0.09 Hz——極端に低い値です。実務ではあり得ない数値ですが、計算問題としては \(\sqrt3\) が出るように作られているのです。

選択肢が \(1/(\sqrt3\pi)\) と \(1/(2\sqrt3\pi)\) の2種類しかないのも、「\(2\pi\) か \(\pi\) か」だけを問うている証拠です。\(f=\omega/(2\pi)\) を確実に押さえてください。

💡 覚え方
「共振周波数には \(2\pi\) が付く」——角周波数 \(\omega_r=1/\sqrt{LC}\) を \(2\pi\) で割ったものが \(f_r\) です。\(\omega\) を聞かれているのか \(f\) を聞かれているのかを必ず確認してください。

⏱️ 本番での進め方
❶ 「電流最小」=並列共振。並列部が開放になる。
❷ 残る抵抗をすべて数える。直列の1 Ω を忘れない。
❸ 共振=同相。力率1、位相差ゼロ。
❹ \(f\) か \(\omega\) かを確認。\(2\pi\) の有無で選択肢が分かれる。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

共振条件ω=1/√(LC)=1/√3
周波数(ア)1/(2√3π) Hz
電流(イ)10/(1+1)=5A
位相(ウ)純抵抗→同相 …(3)

問題文・回路図・選択肢は試験センター公式問題PDF(理論 問9)、正答(3)は公式解答PDFで確認しています。

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