単相交流25【電験3種 理論】電源電圧と負荷端子電圧の位相差を求める!平成30年度 A問題8 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成30年度 A問題8 送り出しと受け取りでずれる!位相差は何度?

今回は平成30年度 理論科目 A問題8を解説します。角周波数ωの交流電源と力率1/√2の誘導性負荷Żの間に、抵抗RとインダクタンスLのコイルが接続された回路で、R=ωLのときの電源電圧V̇1と負荷端子電圧V̇2の位相差〔°〕を求める問題です。

直列回路なので電流Iが共通です。線路インピーダンスR+jωLの偏角と、力率1/√2の負荷の偏角を比べます。両方が同じ角度なら、V̇1とV̇2は同位相となり位相差は0°です。

目次

平成30年度 理論科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、平成30年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 単相交流 平成30年度 A問題8 問題文
平成30年度 理論科目 A問題8 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題8

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成30年度 A問題8

 図のように、角周波数ω〔rad/s〕の交流電源と力率1/√2の誘導性負荷Ż〔Ω〕との間に、抵抗値R〔Ω〕の抵抗器とインダクタンスL〔H〕のコイルが接続されている。R=ωL とするとき、電源電圧V̇1〔V〕と負荷の端子電圧V̇2〔V〕との位相差の値〔°〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0 (2)30 (3)45 (4)60 (5)90〔°〕

図 交流電源V̇<sub class=

出題のポイント:偏角が同じなら位相差はゼロ

線路インピーダンスは \(R+j\omega L\) で、\(R=\omega L\) なので偏角は45°です。負荷は力率 \(1/\sqrt2\)=\(\cos45^\circ\) なので、こちらも偏角45°——2つが同じ方向を向いています

同じ偏角のインピーダンスを足しても、偏角は変わりません\(\dot V_1=\dot I(\dot Z_{\text{線路}}+\dot Z)\)\(\dot V_2=\dot I\dot Z\)同じ方向のベクトル——位相差はゼロです。

同じ偏角どうしの和
$$\dot Z_{\text{線路}}=\omega L(1+j)=\sqrt2\,\omega L\angle45^\circ$$$$\dot Z=|Z|\angle45^\circ\;\Longrightarrow\;\dot Z_{\text{線路}}+\dot Z=(\cdots)\angle45^\circ$$

極形式で同じ角度のベクトルどうしを足すと、大きさだけが増えて角度は変わりません

平成30年度理論A問題8の出題ポイント。直列回路は電流基準で偏角を見る。Zline=R+jωL、R=ωLより偏角45度、力率1/√2の誘導性負荷も偏角45度、V1とV2の位相差0度、答え1を示す図。
出題のポイント。線路と負荷の偏角がどちらも+45°なので、電源電圧V1と負荷端子電圧V2は同位相です。

解説:2つの偏角を確認するだけ

$$\angle\dot Z_{\text{線路}}=\tan^{-1}\frac{\omega L}{R}=\tan^{-1}1=45^\circ$$
❶ 線路の偏角
\(R=\omega L\) だから
$$\cos\phi=\frac{1}{\sqrt2}\;\Longrightarrow\;\phi=45^\circ$$
❷ 負荷の偏角
力率から
$$\text{位相差}=45^\circ-45^\circ=0^\circ$$
❸ 差

計算らしい計算はまったく不要です。「2つの偏角が同じ」と気づけば、それだけで答えが出ます

直列回路なので電流 \(\dot I\) が共通です。\(\dot V_2=\dot I\dot Z\) は \(\dot I\) より45°進み、\(\dot V_1=\dot I(\dot Z_{\text{線路}}+\dot Z)\) も45°進み——どちらも同じだけ進むので、両者の差はゼロです。

ポイント解説。同じ偏角のインピーダンスを足すと和の偏角も同じ。Zline=√2R∠45度、Zload=|Z|∠45度、V2=IZload、V1=I(Zline+Zload)がともに+45度で位相差0度になることを示す図。
ポイント解説。大きさではなく角度に注目し、同じ+45°方向のベクトル和になることを確認します。
答え位相差  → 選択肢(1)
問題の解説1枚目。R=ωLよりZline=R+jR=√2R∠45度、力率1/√2の誘導性負荷よりZload=|Z|∠45度を求める図。
問題の解説1/2。線路インピーダンスも負荷インピーダンスも、電流Iを基準にした電圧の偏角は+45°です。
問題の解説2枚目。Vline、V2、V1がすべて電流基準で+45度の同一直線上にあり、位相差=45度−45度=0度、答え1と判断する図。
問題の解説2/2。V1とV2の大きさは違っても、位相角が同じなので位相差は0°、答えは(1)です。

もし偏角が違ったらどうなるか

負荷の性質負荷の偏角\(\dot V_1\) の偏角位相差
純抵抗約27°約27°
力率0.707(本問)45°45°
力率0.560°約55°約5°

負荷の偏角が線路と違えば、位相差が生じます本問はちょうど同じになるよう設定されている——「\(R=\omega L\)」と「力率 \(1/\sqrt2\)」の両方がそのための条件です。

この設定に気づかないと、複雑な計算に入り込んでしまいます問題文の条件が「なぜそう指定されているか」を考える——電験ではこの視点が有効です。

⚠️ よくある間違い
「線路があるから位相がずれるはず」と思い込むのが誤りのもとです。ずれるかどうかは偏角次第——偏角が同じなら、線路が何段あってもずれません

深掘り①:電圧降下と位相の関係

位相差はゼロでも、電圧の大きさは違います\(|\dot V_1|>|\dot V_2|\)——線路で電圧降下が生じているからです。

$$|\dot V_1|=|\dot I||\dot Z_{\text{線路}}+\dot Z|,\qquad|\dot V_2|=|\dot I||\dot Z|$$
大きさの比較
線路のぶんだけ \(V_1\) が大きい

電圧降下は「大きさの差」として現れます位相差がゼロでも電圧降下はある——この2つは別の現象です。

実際の配電線では、負荷の力率が線路の偏角と一致することはまれです。したがって普通は位相差も生じます本問は「たまたま一致する条件」を作った教科書的な設定だと理解してください。

深掘り②:極形式で考えると見通しがよい

複素数の掛け算・割り算は極形式が得意です。足し算・引き算は直交形式が得意——使い分けると計算が速くなります

演算得意な形式理由
足し算・引き算直交形式 \(a+jb\)実部どうし・虚部どうしを足すだけ
掛け算・割り算極形式 \(r\angle\theta\)大きさは掛け算、角度は足し算
偏角の比較(本問)極形式角度がそのまま見える

本問は「偏角が同じかどうか」を見るだけなので、極形式で考えるのが最短です。\(\sqrt2\omega L\angle45^\circ\) と \(|Z|\angle45^\circ\)——同じ角度だと一目で分かります

ただし足し算をするときは直交形式に戻す必要があります。同じ角度なら例外的に「大きさを足すだけ」で済む——これが本問の特殊性です。

💡 覚え方
「偏角が同じベクトルの和は、偏角がそのまま」——同じ向きに伸ばすだけだからです。角度が違うと、和の角度は中間のどこかになります

⏱️ 本番での進め方
❶ 2つの偏角を計算する。線路と負荷。それだけで答えが出る。
❷ \(R=\omega L\) は45°。力率 \(1/\sqrt2\) も45°。
❸ 偏角が同じなら位相差ゼロ。大きさは違っても位相は同じ。
❹ 条件の意図を考える。「なぜこの条件か」に答えが隠れている。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

線路ŻR+jωL=R+jR→偏角45°
負荷Ż力率1/√2→偏角45°
V1とV2ともに偏角45°で同位相
答え位相差0° …(1)

問題文・回路図・選択肢は試験センター公式問題PDF(理論 問8)、正答(1)は公式解答PDFで確認しています。

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・交流回路の位相・力率の関連問題:【理論】令和2年度A問題8

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