単相交流27【電験3種 理論】ダイオードのクリッパ回路で図の出力波形が得られる回路を選ぶ!平成30年度 A問題13 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成30年度 A問題13 波形の頭が切り取られた!このクリッパ回路はどれ?

今回は平成30年度 理論科目 A問題13を解説します。ダイオードD・抵抗R・直流電源Eからなるクリッパ回路に正弦波電圧vi=Vmsinωtを入力したとき、図1の出力波形voが得られる回路を、図2の(a)〜(e)から選ぶ問題です。

クリッパ回路はダイオードのオン・オフで波形の一部を「切り取る」回路です。図1はviがEより低い区間で出力がE一定、Eより高い区間でvo=viとなる「下側クリップ」。各回路でダイオードの導通条件を調べます。

目次

平成30年度 理論科目 A問題13:問題文と選択肢

まずは、平成30年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 単相交流 平成30年度 A問題13 問題文
平成30年度 理論科目 A問題13 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題13

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成30年度 A問題13

 図1は、ダイオードD、抵抗値R〔Ω〕の抵抗器、及び電圧E〔V〕の直流電源からなるクリッパ回路に、正弦波電圧vi=Vmsinωt〔V〕(ただし、Vm>E>0)を入力したときの出力電圧vo〔V〕の波形である。図2(a)〜(e)のうち図1の出力波形が得られる回路として、正しいものの組合せを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、ω〔rad/s〕は角周波数、t〔s〕は時間を表す。また、順電流が流れているときのダイオードの端子間電圧は0V、逆電圧が与えられているときのダイオードに流れる電流は0Aとする。

(1)(a),(e) (2)(b),(d) (3)(a),(d) (4)(b),(c) (5)(c),(e)

図1 入力v<sub class=
図2 クリッパ回路の候補(a)〜(e)(問題図)
図2 クリッパ回路の候補(a)〜(e)(問題図)

出題のポイント:2点だけ調べれば波形が決まる

クリッパ回路は、ダイオードのオン・オフで波形の一部を切り取る回路です。「入力が十分大きいとき」と「十分小さいとき」の2点だけ調べれば、波形が決まります

図1の波形は「下側クリップ」です。\(v_i>E\) の区間では \(v_o=v_i\)、\(v_i<E\) の区間では \(v_o=E\) で一定——\(E\) より下が切り落とされています

ダイオードの理想モデル
$$\text{順方向に導通:}\;v_D=0\;(\text{短絡})\qquad\text{逆方向:}\;i_D=0\;(\text{開放})$$

導通していれば短絡、していなければ開放——2つの状態しかないので、それぞれで回路を書き換えて考えます。

平成30年度理論A問題13の出題ポイント。入力正弦波viに対し、出力voはviがEより大きい区間でvi、Eより小さい区間でEとなる下側クリップ波形で、vo=max(vi,E)と表せることを示す図。
出題のポイント。図1はEより下を切り取る下側クリッパで、出力は常にE以上です。

判定の手順:どの回路でも使える4ステップ

ステップ調べること
\(v_i\) が十分大きいとき(\(v_i\gg E\))、ダイオードは導通するか
\(v_i\) が十分小さいとき(\(v_i\ll E\))、ダイオードは導通するか
導通しているとき、出力はどこにつながるか(\(E\) か 0 か)
導通していないとき、\(v_i\) がそのまま出るか

この4点を確認すれば、どの回路でも波形が決まりますダイオードが導通している区間では出力が固定され、導通していない区間では入力がそのまま出る——これがクリッパの基本動作です。

図1の波形から逆算すると「\(v_i<E\) のときにダイオードが導通して出力を \(E\) に固定する」回路を探せばよいことになります。

クリッパ回路のポイント解説。公式図(a)は入力がEより高いときダイオードオン、低いときオフ、公式図(d)は入力がEより低いときオン、高いときオフとなり、どちらも下側クリップ波形を得ることを示す正確な回路図。
ポイント解説。直列形(a)とシャント形(d)はオン・オフの役割が逆でも、同じ下側クリップ波形を作ります。
答え(a) と (d) → 選択肢(3)
問題の解説1枚目。最大値VmがEより大きくEが正である入力正弦波について、入力がEより高ければ出力は入力、低ければ出力はEと読み、必要なスイッチ動作を導く図。
問題の解説1/2。まず図1を場合分けし、回路に必要なオン・オフ動作を確定します。
問題の解説2枚目。公式問題図(a)と(d)のオン・オフ条件を表で確認し、いずれもviがE以上ならvo=vi、viがE未満ならvo=Eとなるため、該当回路は(a)と(d)、正答3と判断する図。
問題の解説2/2。公式図(a)と(d)はいずれも vo=max(vi,E) を満たすため、正答は(3)です。

なぜ2つの回路が同じ波形になるのか

ダイオードの向きと \(E\) の極性の組合せで4通りあります。そのうち2つずつが同じ波形になります。

ダイオードの向き\(E\) の極性動作波形
順方向が上向き\(v_i<E\) で導通下側クリップ
順方向が下向き\(v_i>E\) で導通上側クリップ
順方向が上向き\(v_i>-E\) で導通上側クリップ
順方向が下向き\(v_i<-E\) で導通下側クリップ

「ダイオードを裏返す」と「\(E\) の極性を反転する」は、どちらも動作を反転させます両方を同時に行うと元に戻る——だから2つずつペアになるのです。

回路図が5つ与えられているので、そのうち2つが正解という構成になっています。1つ見つけたら、「もう1つは反転の反転」という視点で探すと効率的です。

⚠️ よくある間違い
「切り取られる側」と「残る側」を取り違えないでください。ダイオードが導通している区間で出力が固定される=その区間が切り取られる——導通していない区間では入力がそのまま通ります

深掘り①:クリッパとクランパの違い

ダイオードを使った波形整形回路には、クリッパとクランパがあります。混同しやすいので整理しておきましょう。

クリッパ(リミッタ)クランパ(直流再生回路)
働き波形の一部を切り取る波形全体を上下に移動させる
使う素子ダイオード+抵抗+(直流電源)ダイオード+コンデンサ
波形の形変わる(頭が平ら)変わらない(位置だけ移動)
用途過電圧保護、波形整形直流成分の付加

クリッパは形が変わり、クランパは形が変わらない——これが最大の違いです。クランパは「レベルシフタ」とも呼ばれ、波形をそっくり平行移動させます

クリッパは保護回路としてよく使われます入力に過大な電圧が来たとき、ダイオードが導通して電圧を制限——後段の回路を守ります

深掘り②:理想ダイオードと実際のダイオード

本問は「順電流時の端子間電圧0 V、逆電圧時の電流0 A」という理想モデルを仮定しています。実際のダイオードとは違います

理想ダイオード実際のダイオード(シリコン)
順方向電圧0 V約0.6〜0.7 V
逆方向電流0 Aわずかに流れる(漏れ電流)
逆耐圧無限大有限(超えると降伏)
切り替わり瞬時時間がかかる(逆回復時間)

実際のクリッパでは、クリップされるレベルが \(E\) より0.6 V ほど高く(または低く)なります順方向電圧の分だけずれるからです。

試験では理想モデルで考えますが、実務ではこの0.6 V が効いてきます精度が必要な用途では、演算増幅器を使った「精密ダイオード」回路が使われます。

💡 覚え方
「導通している区間は出力が固定、していない区間は入力がそのまま」——これがクリッパのすべてです。2点だけ調べれば波形が決まります

⏱️ 本番での進め方
❶ 2点だけ調べる。\(v_i\) が十分大きいときと小さいとき。
❷ 導通なら短絡、非導通なら開放。回路を書き換えて考える。
❸ 波形から逆算する。「どの区間で固定されているか」を見る。
❹ 2つずつペアになる。ダイオード反転と \(E\) 反転で元に戻る。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

図1の波形vi<EでE一定・vi>Eでvo=vi(下側クリップ)
動作並列のD+E直列でviが低いとき導通
該当回路(a)と(d)
答え(3)

問題文・波形・候補回路は試験センター公式問題PDF(理論 問13)、正答(3)は公式解答PDFで確認しています。

▼あわせて解きたい関連問題
・同じ平成30年度の交流回路問題:【理論】平成30年度A問題9

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