単相交流32【電験3種 理論】RLC直並列回路の直列共振・並列共振の角周波数を求める!平成28年度 A問題9 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成28年度 A問題9 直列共振と並列共振が両方ある!角周波数を求めよ

今回は平成28年度 理論科目 A問題9を解説します。R=1Ω、L₁=0.4mH、L₂=0.2mH、C=8μFからなる直並列回路に交流電圧V=100Vを加えたとき、インピーダンスが極めて小さくなる直列共振角周波数ω₁と、極めて大きくなる並列共振角周波数ω₂の組合せを求める問題です。

並列部(L₂とC)が並列共振するとインピーダンスが最大になり、電源から見たインピーダンスも極大(ω₂)。一方、回路全体のリアクタンスが打ち消し合うと直列共振でインピーダンス極小(ω₁)。それぞれの条件式を立てます。

目次

平成28年度 理論科目 A問題9:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問9)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・選択肢・回路図は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成28年度 A問題9 問題文
平成28年度 理論科目 A問題9 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成28年度 A問題9

 図のように、R=1Ωの抵抗、インダクタンスL1=0.4mH、L2=0.2mHのコイル、及び静電容量C=8μFのコンデンサからなる直並列回路がある。この回路に交流電圧V=100Vを加えたとき、回路のインピーダンスが極めて小さくなる直列共振角周波数ω1〔rad/s〕の値、及び回路のインピーダンスが極めて大きくなる並列共振角周波数ω2〔rad/s〕の値の組合せとして、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

ω₁〔rad/s〕ω₂〔rad/s〕
(1)2.5×1043.5×103
(2)2.5×1043.1×104
(3)3.5×1032.5×104
(4)3.1×1043.5×103
(5)3.1×1042.5×104
図 R・L₁と、C∥L₂の並列部からなる直並列回路(問題図)
図 R・L₁と、C∥L₂の並列部からなる直並列回路(問題図)

出題のポイント:並列共振は「並列部だけ」、直列共振は「回路全体」

並列共振角周波数 \(\omega_2\) は、並列部の \(L_2\) と \(C\) だけで決まります\(L_1\) は無関係——\(\omega_2=1/\sqrt{L_2C}\) です。

直列共振角周波数 \(\omega_1\) は、回路全体のリアクタンスがゼロになる条件です。\(L_1\) も効いてくるので、計算がひと手間増えます

2つの共振
$$\omega_2=\frac{1}{\sqrt{L_2C}}\;(\text{並列部のみ})\qquad\omega_1^2=\frac{1+L_1/L_2}{L_1C}\;(\text{回路全体})$$

並列共振ではインピーダンスが極大、直列共振では極小になります。\(\omega_1>\omega_2\) が常に成り立ちます。

平成28年度理論問9の出題ポイント。1Ω抵抗と0.4mHコイルに0.2mHコイルと8μFコンデンサの並列部が直列接続された回路、直列共振3.1×10の4乗、並列共振2.5×10の4乗、正答5を示す図
並列共振ω₂はL₂とCだけで決まり、直列共振ω₁はL₁と並列部のリアクタンスが打ち消し合う条件で決まります。

並列共振 \(\omega_2\) を求める

$$\omega_2=\frac{1}{\sqrt{L_2C}}=\frac{1}{\sqrt{0.2\times10^{-3}\times8\times10^{-6}}}$$
❶ 並列部だけ
\(L_1\) は使わない
$$L_2C=1.6\times10^{-9}=16\times10^{-10}\;\Longrightarrow\;\sqrt{L_2C}=4\times10^{-5}$$
❷ 指数を偶数に
\(\sqrt{}\) が開ける形にする
$$\omega_2=\frac{1}{4\times10^{-5}}=2.5\times10^4\;\mathrm{rad/s}$$
❸ 逆数

\(1.6\times10^{-9}\) を \(16\times10^{-10}\) と書き換えるのがコツです。指数を偶数にすれば、平方根がきれいに開けます

直列共振 \(\omega_1\) を求める

並列部のインピーダンスを求めてから、\(L_1\) と合わせてリアクタンスをゼロにします並列部はアドミタンスで扱うのが確実です。

$$\dot Y_p=j\omega C+\frac{1}{j\omega L_2}=j\left(\omega C-\frac{1}{\omega L_2}\right)$$
❶ 並列部のアドミタンス
抵抗がないので純虚数
$$\dot Z_p=\frac{1}{\dot Y_p}=\frac{-j}{\omega C-\frac{1}{\omega L_2}}$$
❷ 逆数
$$\omega L_1-\frac{1}{\omega C-\frac{1}{\omega L_2}}=0$$
❸ 全体の虚部をゼロに
$$\omega^2L_1C-\frac{L_1}{L_2}=1\;\Longrightarrow\;\omega_1^2=\frac{1+L_1/L_2}{L_1C}$$
❹ 整理

\(L_1/L_2=0.4/0.2=2\)\(L_1C=0.4\times10^{-3}\times8\times10^{-6}=3.2\times10^{-9}\) なので、\(\omega_1^2=3/(3.2\times10^{-9})=9.375\times10^8\)——\(\omega_1=3.06\times10^4\;\mathrm{rad/s}\) です。

\(\omega_1>\omega_2\) になっています。直列共振のほうが必ず高い周波数——この大小関係を知っていれば、選択肢が半分に絞れます

並列部L2とCのインピーダンス、並列共振条件、回路全体の直列共振条件を順に導出し、ω1がω2より大きいことを示すポイント解説図
Zₚ=jωL₂/(1-ω²L₂C)。並列共振では分母が0、直列共振ではL₁と並列部のリアクタンス和が0です。
答え\(\omega_1\approx3.1\times10^4\)、\(\omega_2=2.5\times10^4\;\mathrm{rad/s}\) → 選択肢(5)
平成28年度理論問9の問題解説。並列共振ω2を2.5×10の4乗、直列共振条件からω1を3.1×10の4乗rad毎秒と求め、正答5を示す図
(ω₁,ω₂)=(3.1×10⁴,2.5×10⁴) rad/sとなるため正答は(5)です。

誤答の正体:\(\omega_1\) と \(\omega_2\) を逆にする

選択肢の組合せ判定
(2)\(\omega_1=2.5\times10^4\)、\(\omega_2=3.1\times10^4\)× 逆になっている
(5)\(\omega_1=3.1\times10^4\)、\(\omega_2=2.5\times10^4\)◎ 正解

(2)と(5)は値が同じで順序だけが逆です。「どちらが直列共振か」を確認しないと、五分五分の賭けになってしまいます

覚え方は「並列部だけで決まるのが並列共振」です。\(L_2\) と \(C\) だけなら \(2.5\times10^4\)——これが \(\omega_2\) です。\(L_1\) が加わると周波数が上がって \(\omega_1\) になります。

⚠️ よくある間違い
\(\omega_1\) の計算式を丸暗記しようとしないでください。「全体のリアクタンスをゼロにする」という条件から毎回導くほうが確実です。並列部のインピーダンスを求める一手を丁寧にやってください。

深掘り①:なぜ \(\omega_1>\omega_2\) なのか

並列部のインピーダンスの振る舞いを考えると分かります。\(\omega<\omega_2\) では誘導性、\(\omega>\omega_2\) では容量性になります。

周波数並列部の性質\(L_1\) と合わせると
\(\omega<\omega_2\)誘導性\(L_1\) も誘導性なので打ち消せない
\(\omega=\omega_2\)無限大(開放)インピーダンス極大
\(\omega>\omega_2\)容量性\(L_1\) と打ち消し合える → 直列共振

\(L_1\)(誘導性)を打ち消すには、並列部が容量性でなければなりません並列部が容量性になるのは \(\omega>\omega_2\) の領域——だから \(\omega_1>\omega_2\) になります。

この論法なら計算する前に大小関係が分かります選択肢を(2)と(5)の二択に絞ってから、どちらかを計算すれば十分です。

深掘り②:2つの共振を持つ回路の周波数特性

周波数回路のインピーダンス状態
低周波大きい\(C\) が電流を通さない
\(\omega_2\)(並列共振)極大(理論上は無限大)並列部が開放
\(\omega_1\)(直列共振)極小(\(=R\))全体のリアクタンスがゼロ
高周波大きい\(L_1\) が電流を通さない

山と谷が1つずつある特性になります。\(\omega_2\) で山(阻止)、\(\omega_1\) で谷(通過)——この2つの周波数の間で急激に変化します。

この特性はフィルタとして利用されます特定の周波数だけを阻止し、別の周波数だけを通す——高調波対策のフィルタや、通信機の帯域制限に使われる構成です。

💡 覚え方
「並列共振は並列部だけ、直列共振は全体」——どちらの共振を聞かれているかで、使う素子が変わります回路図で並列部がどこかを確認してください。

⏱️ 本番での進め方
❶ 並列共振は並列部だけ。\(L_2\) と \(C\) で \(1/\sqrt{L_2C}\)。
❷ 直列共振は全体のリアクタンスをゼロに。並列部のインピーダンスを経由する。
❸ \(\omega_1>\omega_2\)。これで選択肢が半分になる。
❹ 指数を偶数にしてから \(\sqrt{}\)。\(1.6\times10^{-9}=16\times10^{-10}\)。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

並列共振ω₂1/√(L₂C)=2.5×10⁴
直列共振条件ω₁²L₁C=1+L₁/L₂=3
ω₁√(3/(L₁C))≒3.1×10⁴
答え(3.1×10⁴,2.5×10⁴)…(5)

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