単相交流33【電験3種 理論】電気回路の基本法則の記述の正誤を判定する!平成27年度 A問題7 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成27年度 A問題7 オームからキルヒホッフまで!基本法則の正誤を判定

今回は平成27年度 理論科目 A問題7を解説します。直流回路・コンデンサ・コイル・電線抵抗・並列合成に関する5つの記述のうち、誤っているものを選ぶ問題です。

基本法則の理解を問う論述問題です。特に並列抵抗の合成は「各抵抗の逆数の和の逆数」であり、「逆数の和」(これは合成コンダクタンス)ではない点がポイントです。

目次

平成27年度 理論科目 A問題7:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問7)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像と5つの記述は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成27年度 A問題7 問題文
平成27年度 理論科目 A問題7 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成27年度 A問題7

 以下の記述で、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)直流電圧源と抵抗器、コンデンサが直列に接続された回路のコンデンサには、定常状態では電流が流れない。

(2)直流電圧源と抵抗器、コイルが直列に接続された回路のコイルの両端の電位差は、定常状態では零である。

(3)電線の抵抗値は、長さに比例し、断面積に反比例する。

(4)並列に接続した二つの抵抗器R1、R2を一つの抵抗器に置き換えて考えると、合成抵抗の値はR1、R2の抵抗値の逆数の和である。

(5)並列に接続した二つのコンデンサC1、C2を一つのコンデンサに置き換えて考えると、合成静電容量はC1、C2の静電容量の和である。

出題のポイント:「逆数の和」は合成抵抗ではない

並列合成抵抗は「逆数の和の逆数」です。「逆数の和」で止めてしまうと、それは合成コンダクタンス——単位もΩではなくS(ジーメンス)になります。

数値で確かめると一目瞭然です。10 Ω を2つ並列にすると5 Ω ですが、「逆数の和」は \(0.1+0.1=0.2\)——まったく違う値になります。

並列合成抵抗
$$\frac{1}{R}=\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}\;\Longrightarrow\;R=\frac{R_1R_2}{R_1+R_2}$$

「逆数の和の逆数」=「和分の積」です。2つのときだけ和分の積が使えます——3つ以上では逆数の和から計算します。

平成27年度理論問7の出題ポイント。直流定常のコンデンサとコイル、電線抵抗、並列抵抗、並列コンデンサの5記述を判定し、並列抵抗を逆数の和とする4が誤りで正答と示す図
直流定常・電線抵抗・並列合成の基本法則を確認すると、誤っている記述は(4)です。

各記述の判定

記述の内容判定根拠
(1)直流でコンデンサに定常電流は流れない◎ 正しい充電完了後は電流0
(2)直流でコイルの両端の電位差は零◎ 正しい\(di/dt=0\) なので \(v=0\)
(3)電線の抵抗は長さに比例、断面積に反比例◎ 正しい\(R=\rho l/A\)
(4)並列合成抵抗は逆数の和× 誤り逆数の和の「逆数」
(5)並列合成静電容量は和◎ 正しいコンデンサは並列で足す

(1)と(2)は「定常状態」がキーワードです。直流では、十分時間が経つとコンデンサは開放、コイルは短絡として振る舞います——過渡現象が収まった後の姿です。

(5)は正しい記述です。コンデンサは並列で足し算——極板面積が広がるのと同じと考えれば納得できます。抵抗と逆である点に注意してください。

並列抵抗の合成式、直流定常でのコンデンサ開放とコイル短絡、電線抵抗、並列コンデンサの合成を整理したポイント解説図
並列抵抗は逆数の和の逆数です。逆数の和は合成コンダクタンスを表します。
答え誤っているのは 選択肢(4) (並列合成抵抗は逆数の和の逆数
平成27年度理論問7の問題解説。5つの記述を表で正誤判定し、並列抵抗の合成を逆数の和とする4だけを誤りとして正答4を示す図
(1)(2)(3)(5)は正しく、並列抵抗の式を誤った(4)が正答です。

数値で確かめる

$$\frac{1}{10}+\frac{1}{10}=0.2\;\mathrm{S}$$
❶ 逆数の和
これはコンダクタンス。単位はS
$$R=\frac{1}{0.2}=5\;\Omega$$
❷ その逆数
これが合成抵抗
$$R=\frac{10\times10}{10+10}=5\;\Omega$$
❸ 和分の積でも同じ
◎一致

「逆数の和」の0.2 は単位がSです。抵抗値として答えるなら、必ず逆数を取る必要があります。単位を意識すれば、この誤りは防げます

常識的な確認も有効です。並列にすると合成抵抗は必ず小さくなり、最小の抵抗より小さくなります10 Ω を2つ並列にして0.2 Ω になるのは行き過ぎ——5 Ω が妥当だと分かります。

深掘り:直列・並列の合成をまとめて整理する

3つの素子で、直列と並列の合成の仕方が違いますコンデンサだけが逆という点を押さえれば、混同しません。

素子直列並列覚え方
抵抗 \(R\)\(R_1+R_2\)\(\dfrac{R_1R_2}{R_1+R_2}\)直列で増える
コイル \(L\)\(L_1+L_2\)\(\dfrac{L_1L_2}{L_1+L_2}\)抵抗と同じ
コンデンサ \(C\)\(\dfrac{C_1C_2}{C_1+C_2}\)\(C_1+C_2\)抵抗と逆

コンデンサが逆になる理由は、電圧の式で \(C\) が分母にあるからです。\(V=Q/C\)——直列では電圧が足されるので、\(1/C\) が足されることになります。

物理的なイメージでも理解できますコンデンサを並列にすると極板の面積が増えるので容量は増えます。直列にすると極板の間隔が広がるのと同じなので容量は減ります。

(1)(2)の「定常状態」を確認する

直流回路で十分時間が経過すると、コンデンサとコイルは極端な振る舞いをしますこの対比も繰り返し問われます

スイッチを入れた直後定常状態(十分時間が経過)
コンデンサ短絡と同じ(電流が流れる)開放と同じ(電流0)
コイル開放と同じ(電流0)短絡と同じ(電圧0)

コンデンサとコイルは、直後と定常でちょうど正反対です。コンデンサは「最初は通し、最後は通さない」、コイルは「最初は通さず、最後は通す」——この対比で覚えると混同しません

💡 覚え方
「コンデンサは電圧が急に変われない、コイルは電流が急に変われない」——この2つの性質から、直後と定常の振る舞いがすべて導けます過渡現象の問題でも同じ考え方が使えます

⏱️ 本番での進め方
❶ 単位で確認する。「逆数の和」はS、抵抗はΩ。
❷ 常識で確認する。並列合成抵抗は最小の抵抗より小さいが、極端には小さくならない。
❸ \(C\) だけが逆。直列で和分の積、並列で足し算。
❹ 「誤っているもの」を選ぶ問題。正しい記述に印をつけて消していく。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

3つ以上の並列合成はどう計算するか

「和分の積」が使えるのは2つのときだけです。3つ以上では、必ず逆数の和から計算します。

$$\frac{1}{R}=\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}+\frac{1}{R_3}$$
❶ 逆数の和
何個でも使える
$$R=\frac{1}{\;1/R_1+1/R_2+1/R_3\;}$$
❷ 最後に逆数を取る
ここを忘れやすい

同じ抵抗 \(R\) を \(n\) 個並列にすると \(R/n\) になります。10 Ω を3個なら 3.33 Ω——この特別な場合は暗算できます

構成合成抵抗確認
10 Ω を2個並列5 Ω\(10/2\)
10 Ω を3個並列3.33 Ω\(10/3\)
10 Ω と 20 Ω の並列6.67 Ω和分の積 \(200/30\)

並列合成抵抗は、必ず最小の抵抗より小さくなります10 Ω と 20 Ω なら、答えは10 Ω 未満——6.67 Ω なら妥当です。この確認だけで計算ミスの多くが防げます

コンダクタンスで考えると並列は足し算

抵抗の逆数をコンダクタンス \(G=1/R\)〔S〕といいます。これを使うと、並列合成は単純な足し算になります。

抵抗 \(R\)〔Ω〕で考えるコンダクタンス \(G\)〔S〕で考える
直列足し算和分の積
並列和分の積足し算

本問の誤肢(4)は、まさに「コンダクタンスの足し算」を答えているのです。計算そのものは間違っていませんが、それは合成抵抗ではなく合成コンダクタンス——単位が Ω でなく S になっています

交流回路では、この考え方がさらに有効になります。並列回路はアドミタンス \(\dot Y=1/\dot Z\) で扱うと足し算で済むからです。並列共振の計算でアドミタンスを使うのは、この理由です。

💡 覚え方
「並列は逆数の世界で足し算」——抵抗ならコンダクタンス、インピーダンスならアドミタンス逆数に直せば必ず足し算になると覚えておくと、計算方針で迷いません。

まとめ

(1)(2)定常でC開放・L短絡→正しい
(3)R=ρL/A→正しい
(4)並列R=逆数の和→誤り
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・交流回路の有効電力の関連問題:【理論】平成27年度A問題8

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