今回は平成27年度 理論科目 A問題9を解説します。C1=10μF・C2=900μF・C3=100μF・C4=900μFのコンデンサ直並列回路にVinを加えたとき、C4両端の電圧VoutとVinの比Vout/Vinを求める問題です。
コンデンサの直列分圧は「電圧が静電容量に反比例」。まず中間節点の電圧をC1と(C2+C3C4直列)の分圧で求め、次にC3・C4直列でVoutを求めます。周波数は結果に影響しません。
平成27年度 理論科目 A問題9:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問9)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・回路図・選択肢は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成27年度 A問題9
図のように、静電容量C1=10μF、C2=900μF、C3=100μF、C4=900μFのコンデンサからなる直並列回路がある。この回路に周波数f=50Hzの交流電圧Vin〔V〕を加えたところ、C4の両端の交流電圧はVout〔V〕であった。このとき、Vout/Vinの値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)1/1000 (2)9/1000 (3)1/100 (4)99/1000 (5)891/1000

出題のポイント:コンデンサの直列分圧は「容量に反比例」
コンデンサを直列にすると、電荷が共通になります。\(V=Q/C\) なので、容量が小さいコンデンサほど大きな電圧がかかります——抵抗とは逆です。
本問は2段階の分圧です。まず \(C_1\) と残り全体で分圧し、次に \(C_3\)・\(C_4\) の直列で分圧——2回掛け算すれば答えが出ます。

解説:内側から順にまとめる
和分の積
足し算
【誤り】分子は相手の容量
ここで注意——\(V_{\text{mid}}\) は「\(C_{234}\) にかかる電圧」です。コンデンサの分圧では、ある素子にかかる電圧は「相手の容量/合計」に比例します。\(C_{234}\) にかかる電圧は \(C_1/(C_1+C_{234})=10/1000=1/100\)——これで正しいです。
容量の大きい \(C_{234}\) には小さな電圧しかかかりません。逆に容量の小さい \(C_1\) には \(990/1000=99/100\) の電圧がかかります。合計すると1 ✓
\(C_4\) にかかる電圧
周波数 \(f=50\;\mathrm{Hz}\) は答えに影響しません。すべての素子がコンデンサなので、\(\omega\) が分子分母で約分されるからです。与えられていても使わない数値です。


誤答の正体:中間節点で止まる
| 誤り方 | 値 | 選択肢との対応 |
| 中間節点の電圧比で止める | 1/100 | (3) と一致 |
| 分圧比を逆に取る(\(C_1\) の電圧) | 99/100 | (4)99/1000 とは違うが近い形 |
| 正しい計算 | 1/1000 | (1) ◎ |
選択肢(3)の1/100 は「中間節点で止めた」答えです。2段階の分圧を最後まで進めないと、ここに着地します。「\(C_4\) の両端の電圧」と問題文にある——中間節点ではありません。
選択肢が \(1/1000\)、\(9/1000\)、\(1/100\)、\(99/1000\)、\(891/1000\) と並んでいるのは、分圧の取り方を間違えたときの値を網羅しているからです。\(891/1000=0.99\times0.9\)——両方の分圧を逆に取った値です。
⚠️ よくある間違い
コンデンサの分圧を抵抗と同じに考えると、分子と分母を取り違えます。抵抗なら「自分の抵抗/合計」、コンデンサなら「相手の容量/合計」——必ず確認してください。
深掘り①:なぜ容量に反比例するのか
直列に接続されたコンデンサには、同じ電荷が蓄えられます。電荷が同じなら、\(V=Q/C\) より電圧は容量に反比例します。
途中の極板は電気的に孤立
容量の逆比
抵抗の直列では電流が共通で、\(V=RI\) だから電圧は抵抗に比例します。コンデンサでは \(C\) が分母にある——この違いが逆転の理由です。
| 抵抗の直列 | コンデンサの直列 | |
| 共通する量 | 電流 \(I\) | 電荷 \(Q\) |
| 電圧の式 | \(V=RI\)(\(R\) は分子) | \(V=Q/C\)(\(C\) は分母) |
| 分圧 | 抵抗に比例 | 容量に反比例 |
| 大きい素子に | 大きな電圧 | 小さな電圧 |
深掘り②:この回路は「分圧器」
入力の1/1000 の電圧を取り出す——本問の回路は高電圧を測るための分圧器と同じ構造です。
高電圧を直接測ることはできないので、コンデンサ分圧器で小さな電圧に落としてから測定します。抵抗分圧器と違って電力を消費しないのが利点です。
| 抵抗分圧器 | コンデンサ分圧器 | |
| 電力消費 | あり(発熱する) | ほぼなし |
| 直流 | 使える | 使えない |
| 高電圧 | 大きな抵抗が必要 | 適している |
| 周波数特性 | 周波数によらない | 比が周波数によらない(本問) |
コンデンサ分圧器は交流専用です。直流では電流が流れないので分圧できません。本問で「交流電圧 \(V_{\text{in}}\)」と指定されているのは、この理由です。
分圧比が周波数によらないのも利点です。すべてコンデンサなら \(\omega\) が約分されるので、どの周波数でも同じ比になります。これが「\(f=50\;\mathrm{Hz}\) を使わない」理由でもあります。
💡 覚え方
「コンデンサの分圧は相手の容量/合計」——抵抗と逆だと必ず確認してください。容量が小さいほうに大きな電圧——これが直感に反するポイントです。
⏱️ 本番での進め方
❶ 内側からまとめる。直列は和分の積、並列は足し算。
❷ 分圧は「相手の容量/合計」。抵抗と逆。
❸ 2段階を最後まで進める。中間節点で止まると(3)に着地。
❹ 周波数は使わない。すべてコンデンサなら約分される。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
まとめ
| C3・C4直列 | 90μF |
| C2と並列 | 900+90=990μF |
| VA | Vin×10/1000=Vin/100 |
| 答え | Vout=VA/10=Vin/1000 …(1) |
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