単相交流37【電験3種 理論】LC直列共振回路を直列接続したときの共振周波数の大小は?平成26年度 A問題9 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成26年度 A問題9 2つの共振回路をつなぐ!新しい共振点はどこ?

今回は平成26年度 理論科目 A問題9を解説します。LC直列共振回路A(共振fA)とB(共振fB)を直列接続したときの合成共振周波数fABについて、fA・fB・fABの大小関係を求める問題です。

LC直列共振の周波数はf=1/(2π√(LC))。直列接続するとインダクタンスは和、静電容量は直列合成になります。LとCの積が大きいほど共振周波数は低くなる点がポイントです。

目次

平成26年度 理論科目 A問題9:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問9)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・回路図・選択肢は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成26年度 A問題9 問題文
平成26年度 理論科目 A問題9 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成26年度 A問題9

 図のように、二つのLC直列共振回路A、Bがあり、それぞれの共振周波数がfA〔Hz〕、fB〔Hz〕である。これらA、Bをさらに直列に接続した場合、全体としての共振周波数がfAB〔Hz〕になった。fA、fB、fABの大小関係として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)fA<fB<fAB (2)fA<fAB<fB (3)fAB<fA<fB (4)fAB<fB<fA (5)fB<fAB<fA

図 回路A(L・C)/回路B(2L・C)/AとBの直列接続(問題図)
図 回路A(L・C)/回路B(2L・C)/AとBの直列接続(問題図)

出題のポイント:\(L\) は足し算、\(C\) は和分の積

共振周波数は \(f=1/(2\pi\sqrt{LC})\)\(LC\) の積が大きいほど共振周波数は低い——だから \(LC\) の積だけを比べればよいことになります。

直列接続するとき、インダクタンスは足し算、静電容量は和分の積です。ここを取り違えると、答えの大小関係が完全に狂います

直列接続と共振周波数
$$L_{AB}=L_A+L_B\qquad C_{AB}=\frac{C_AC_B}{C_A+C_B}\qquad f=\frac{1}{2\pi\sqrt{LC}}$$

\(C\) だけが逆です。「コンデンサは直列で減る」——抵抗やコイルとは反対の振る舞いをします。

平成26年度理論問9の出題ポイント。回路A、回路B、直列接続ABのLC積と共振周波数を比較し、fBが0.71、fABが0.82、fAが1.00で正答5を示す図
LC積が大きいほど共振周波数は低くなり、fB<fAB<fAです。

解説:\(LC\) の積だけを比べる

回路Aは \(L\) と \(C\)、回路Bは \(2L\) と \(C\) です。それぞれの \(LC\) 積を出し、直列接続後も計算します

インダクタンス静電容量\(LC\) の積共振周波数
回路A\(L\)\(C\)\(LC\)\(f_A\)(最も高い)
回路B\(2L\)\(C\)\(2LC\)\(f_B\)(最も低い)
A+B 直列\(3L\)(足し算)\(C/2\)(和分の積)\(1.5LC\)\(f_{AB}\)(中間)
$$L_{AB}=L+2L=3L$$
❶ インダクタンスは足す
$$C_{AB}=\frac{C\times C}{C+C}=\frac{C}{2}$$
❷ 静電容量は和分の積
同じ値なら半分
$$L_{AB}C_{AB}=3L\times\frac{C}{2}=1.5LC$$
❸ 積を出す
\(LC\) と \(2LC\) の中間

\(LC\) 積が \(1.0\to1.5\to2.0\) と並びます。積が大きいほど周波数は低いので、周波数の順は逆——\(f_B<f_{AB}<f_A\) となります。

\(3L\) と \(C/2\) を掛けると \(1.5LC\)——\(L\) が3倍になっても \(C\) が半分になるので、積は1.5倍にとどまりますこの打ち消し合いが答えを中間に押し込めています

回路AとBの直列接続でLAB=3L、CAB=C/2、LC積1.5LCを求め、A、B、ABの共振周波数比を表で比較するポイント解説図
直列接続ではLは和、Cは直列合成です。対応表から0.71<0.82<1.00と比較します。
答え\(f_B<f_{AB}<f_A\) → 選択肢(5)
平成26年度理論問9の問題解説。fA、fB、fABを計算し、0.71、0.82、1.00の棒で比較して答え5を示す図
fB≒0.71fA、fAB≒0.82fAなので、正答はfB<fAB<fAの(5)です。

誤答の正体:\(C\) の合成を間違える

誤り方\(C_{AB}\)\(L_{AB}C_{AB}\)結果
\(C\) も足し算と考える\(2C\)\(6LC\)\(f_{AB}\) が最小になり(3)(4)へ
\(L\) を和分の積と考える積が小さくなる\(f_{AB}\) が最大になる
正しい計算\(C/2\)\(1.5LC\)中間 → (5) ◎

\(C\) を足し算にしてしまうと \(LC\) 積が \(6LC\) となり、\(f_{AB}\) が3つの中で最も低くなります選択肢(3)や(4)に着地することになります。

「\(f_{AB}\) は \(f_A\) と \(f_B\) の中間だろう」と直感で選ぶと、たまたま正解しますしかしそれは根拠のない判断で、数値によっては中間にならない場合もあり得ます——必ず計算で確認してください。

⚠️ よくある間違い
直列・並列の合成は素子によって逆になります抵抗と \(L\) は「直列で足す、並列で和分の積」\(C\) だけが「直列で和分の積、並列で足す」——\(C\) だけが逆と覚えてください。

深掘り:なぜ \(C\) だけ逆になるのか

直列接続では、すべての素子に同じ電荷が流れますコンデンサの電圧は \(V=Q/C\) なので、電圧を足すと \(V=Q(1/C_1+1/C_2)\)——逆数の和になります

$$V=V_1+V_2=\frac{Q}{C_1}+\frac{Q}{C_2}=Q\left(\frac{1}{C_1}+\frac{1}{C_2}\right)$$
❶ 直列では電圧を足す
電荷は共通
$$\frac{1}{C_{AB}}=\frac{1}{C_1}+\frac{1}{C_2}$$
❷ 合成容量
逆数の和=和分の積

抵抗では \(V=RI\) で \(R\) が分子にあるので、直列で単純に足せますコンデンサでは \(C\) が分母にあるので、逆数が足される——この違いが逆転の理由です。

素子電圧の式直列合成並列合成
抵抗 \(R\)\(V=RI\)(分子)足し算和分の積
コイル \(L\)\(V=L\dfrac{di}{dt}\)(分子)足し算和分の積
コンデンサ \(C\)\(V=\dfrac{Q}{C}\)(分母)和分の積足し算

💡 覚え方
「分子にある素子は直列で足す、分母にある素子は直列で和分の積」——暗記ではなく式の形で判断できるようになります。コンデンサだけが分母にあるのが逆転の理由です。

⏱️ 本番での進め方
❶ \(LC\) の積だけを比べる。周波数を1つずつ計算しなくてよい。
❷ \(L\) は足し算、\(C\) は和分の積。ここが全体を決める。
❸ 積が大きいほど周波数は低い。大小関係が逆になる。
❹ 直感で「中間」と決めつけない。計算で確認する。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

★重要:令和6年度上期に「選択肢を入れ替えて」再出題された

令和6年度上期A問題8は、本問とまったく同じ問題です。回路も条件も答えの中身も同じ——違うのは選択肢(3)(4)(5)の並びだけです。

本問(平成26年度 A問題9)令和6年度上期 A問題8
回路A=\(L\)・\(C\)、B=\(2L\)・\(C\)完全に同一
答えの中身\(f_B<f_{AB}<f_A\)同じ
選択肢(3)\(f_{AB}<f_A<f_B\)\(f_B<f_{AB}<f_A\) ←正答
選択肢(5)\(f_B<f_{AB}<f_A\) ←正答\(f_{AB}<f_B<f_A\)
正答番号(5)(3)

答えの中身は \(f_B<f_{AB}<f_A\) でまったく同じなのに、正答番号は(5)から(3)へ移りました選択肢(3)(4)(5)の並びが入れ替えられているためです。

⚠️ よくある間違い
当サイトでは「同じ問題で番号だけ違う」例を理論科目だけで10組以上確認しています。覚えるべきは「\(L\) は足し算、\(C\) は和分の積、\(LC\) の積が大きいほど周波数は低い」という解き方です。

あわせて解いておきたい記事:【理論】令和6年度上期A問題8

まとめ

fA1/(2π√(LC))
fBfA/√2≒0.71fA
fABfA/√1.5≒0.82fA
答えfB<fAB<fA …(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・同型のLC共振問題:【理論】令和6年度上期A問題8

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