単相交流51【電験3種 理論】容量性リアクタンスを直列接続したときの力率変化からXcを求める!平成22年度 A問題8 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成22年度 A問題8 Cを直列に足して力率が変化!Xcはいくつ?

今回は平成22年度 理論科目 A問題8を解説します。R・XL直列回路の力率が1/2のとき、容量性リアクタンスXcを直列に加えると力率が√3/2(遅れ)になった。このXcを表す式を求める問題です。

力率cosφ=R/|Z|=R/√(R²+X²)。最初の条件からXLを求め、Xcを加えた後の条件から(XL−Xc)を求めます。両者からXcを導きます。

目次

平成22年度 理論科目 A問題8:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問8)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・選択肢は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成22年度 A問題8 問題文
平成22年度 理論科目 A問題8 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成22年度 A問題8

 抵抗R〔Ω〕と誘導性リアクタンスXL〔Ω〕を直列に接続した回路の力率(cosφ)は、1/2であった。いま、この回路に容量性リアクタンスXC〔Ω〕を直列に接続したところ、R〔Ω〕、XL〔Ω〕、XC〔Ω〕直列回路の力率は、√3/2(遅れ)になった。容量性リアクタンスXC〔Ω〕の値を表す式として、正しいのは次のうちどれか。

(1)R/√3 (2)2R/3 (3)√3R/2 (4)2R/√3 (5)√3R

出題のポイント:力率から直角三角形の辺の比が決まる

力率 \(\cos\phi=R/|\dot Z|\) なので、力率が分かればインピーダンス三角形の形が決まります力率 \(1/2\) なら \(R:|\dot Z|=1:2\)——残る辺は \(\sqrt3\) です。

この問題は「変化の前後で三角形がどう変わるか」を追う問題です。\(R\) は変わらないので、リアクタンスだけが変化します。2つの三角形を並べて比べるのが解法の骨格になります。

力率とインピーダンス三角形
$$\cos\phi=\frac{R}{\sqrt{R^2+X^2}}\qquad\Longrightarrow\qquad X=R\sqrt{\frac{1}{\cos^2\phi}-1}$$

力率 \(1/2\) なら \(X=\sqrt3R\)、力率 \(\sqrt3/2\) なら \(X=R/\sqrt3\)——どちらも \(1:\sqrt3:2\) の三角形です。

平成22年度理論問8の出題ポイント。抵抗とコイルの直列回路へコンデンサを直列追加し、合成リアクタンスをXLマイナスXCとして遅れ力率を改善する意図を示す図
コンデンサは誘導性リアクタンスの一部を打ち消し、遅れ力率を1/2から√3/2へ改善します。

解説:2つの状態を順に整理する

$$\frac{R}{\sqrt{R^2+X_L^2}}=\frac12\;\Longrightarrow\;R^2+X_L^2=4R^2$$
❶ 最初の力率から
両辺を2乗して整理
$$X_L=\sqrt3R$$
❷ 誘導性リアクタンス
\(1:\sqrt3:2\) の三角形
$$\frac{R}{\sqrt{R^2+(X_L-X_C)^2}}=\frac{\sqrt3}{2}\;\Longrightarrow\;(X_L-X_C)^2=\frac{R^2}{3}$$
❸ \(X_C\) を加えた後
\(\sqrt3:1:2\) の三角形に変わる
$$X_L-X_C=\frac{R}{\sqrt3}\;\Longrightarrow\;X_C=\sqrt3R-\frac{R}{\sqrt3}=\frac{2R}{\sqrt3}$$
❹ \(X_C\) を求める
通分すると \((3-1)/\sqrt3=2/\sqrt3\)

「遅れ」という指定が重要です。力率 \(\sqrt3/2\) だけでは \(X_L-X_C\) の符号が決まりませんが、「遅れ」なら誘導性が残っている=\(X_L-X_C>0\) と決まります。

もし「進み」だったら \(X_L-X_C=-R/\sqrt3\) となり、\(X_C=\sqrt3R+R/\sqrt3=4R/\sqrt3\) です。問題文の一語で答えが変わるので、見落とさないでください。

最後の通分も落ち着いて。\(\sqrt3R-R/\sqrt3=R(3-1)/\sqrt3=2R/\sqrt3\)——分母を \(\sqrt3\) にそろえると間違えません。

抵抗、合成リアクタンス、インピーダンスの直角三角形から力率をリアクタンスへ変換し、遅れと進みで符号を決める考え方を示す図
力率はR/|Z|です。二乗してリアクタンスの大きさを求め、遅れなので正と判断します。
答え\(X_C=\dfrac{2R}{\sqrt3}\) → 選択肢(4)
平成22年度理論問8の問題解説1枚目。コンデンサ追加前のRとXLの直列回路、追加後のR、XL、XC直列回路を比較し、先にXL、次にXLマイナスXCを求める方針を示す図
問題の解説1/3。追加前後の回路を比べ、先にXL、次に残ったXL-XCを求め、差からXCを出します。
平成22年度理論問8の問題解説2枚目。追加前の力率2分の1を使う目的、条件代入、二乗による式変形、正の値の選択を説明し、XLイコール√3Rを導く図
問題の解説2/3。力率1/2から、もとの誘導性リアクタンスXL=√3Rを導きます。
平成22年度理論問8の問題解説3枚目。コンデンサ追加後の合成リアクタンスを置き、力率条件と遅れの意味から残ったリアクタンスを求め、XCイコール√3分の2Rと正解4を導く図
問題の解説3/3。追加後も遅れなのでXL-XCは正です。打ち消した差からXC=2R/√3、正答(4)となります。

誤答の正体:途中の値が選択肢に置かれている

誤り方選択肢何を答えてしまったか
\(X_L\) を答える\(\sqrt3R\)(5)最初のリアクタンス
\(X_L-X_C\) を答える\(R/\sqrt3\)(1)変化後の合成リアクタンス
正しい計算\(2R/\sqrt3\)(4) ◎

(5)と(1)は、どちらも計算の途中で必ず出てくる値です。「求められているのは \(X_C\)」と最初に丸で囲んでおくのが確実な対策になります。

数値で検算してみましょう。\(R=1\) とすると \(X_L=1.732\)、\(X_C=1.155\)\(X_L-X_C=0.577=1/\sqrt3\) ✓。\(\cos\phi=1/\sqrt{1+0.333}=0.866=\sqrt3/2\) ✓——確かに条件を満たします

⚠️ よくある間違い
「力率が上がった=リアクタンスが減った」と考えるのは正しいのですが、減ったのは合成リアクタンス \(X_L-X_C\) です。加えた \(X_C\) 自体は \(1.155R\) と、減少分 \(1.155R\) にちょうど等しい——偶然ではなく、\(\sqrt3-1/\sqrt3=2/\sqrt3\) という計算の結果です。

深掘り①:力率と三角形の対応を覚える

電験に出る力率はほとんど決まっています対応する三角形を覚えておくと、計算せずに辺の比が出ます

力率 \(\cos\phi\)位相差\(R:X:|\dot Z|\)備考
1.0\(1:0:1\)純抵抗・共振
0.866(\(\sqrt3/2\))30°\(\sqrt3:1:2\)本問の変化後
0.837°\(4:3:5\)実務で最も多い値
0.707(\(1/\sqrt2\))45°\(1:1:\sqrt2\)\(R=X\)
0.560°\(1:\sqrt3:2\)本問の変化前

本問は「力率0.5 から0.866 へ改善した」という設定です。三角形で言えば \(1:\sqrt3:2\) から \(\sqrt3:1:2\) へ——横と縦が入れ替わった形になります。

\(|\dot Z|\) も変わっている点に注意してください。変化前は \(2R\)、変化後は \(2R/\sqrt3=1.155R\)——インピーダンスが小さくなったので、電流は増えています

深掘り②:これは力率改善そのもの

誘導性負荷にコンデンサを直列に入れて力率を上げる——本問はまさに力率改善の計算です。ただし実務では「並列」に入れるのが普通です。

直列に入れる(本問)並列に入れる(実務)
負荷電圧変わってしまう変わらない
負荷電流変わってしまう変わらない
電源側の電流増える減る
用途計算問題・特殊用途力率改善の標準

直列に入れると、負荷にかかる電圧そのものが変わってしまいます電動機などの負荷は定格電圧で使いたいので、直列に入れるわけにはいきません

並列なら負荷の条件はそのままで、電源から見た力率だけを改善できます負荷が必要とする遅れ無効電流を、コンデンサの進み無効電流が肩代わりする——これが進相コンデンサの原理です。

💡 覚え方
「計算問題では直列、実務では並列」——直列のほうが計算が単純なので試験に出やすいだけです。実務の力率改善は必ず並列だと押さえておいてください。

⏱️ 本番での進め方
❶ 力率から三角形の比を出す。0.5 なら \(1:\sqrt3:2\)、0.866 なら \(\sqrt3:1:2\)。
❷ 「遅れ」の指定を見落とさない。符号が決まらないと答えが2通りになる。
❸ 求められている量に丸をつける。\(X_L\) や \(X_L-X_C\) は途中の値。
❹ \(R=1\) として数値で検算する。条件を満たすか確認できる。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

力率1/2XL=√3R
力率√3/2遅れXL−XC=R/√3
XC√3R−R/√3
答え2R/√3 …(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・力率・リアクタンスの関連問題:【理論】令和5年度上期A問題9

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