単相交流52【電験3種 理論】コイル(L・r直列)を等価な並列回路に変換する!平成22年度 A問題13 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成22年度 A問題13 直列と並列は行き来できる!等価変換の式は?

今回は平成22年度 理論科目 A問題13を解説します。内部抵抗rをもつコイル(L・r直列)を等価な並列回路(Rp・L並列)に変換したときの、等価抵抗Rpを表す式を求める問題です。

直列R-L(r+jωL)を並列に変換するには、アドミタンスY=1/(r+jωL)の実部(コンダクタンス)を取ります。r≪ωLのとき、Rp≒(ωL)²/rと近似できます。

目次

平成22年度 理論科目 A問題13:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問13)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・回路図・選択肢は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成22年度 A問題13 問題文
平成22年度 理論科目 A問題13 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成22年度 A問題13

 図1は、静電容量C〔F〕のコンデンサとコイルからなる共振回路の等価回路である。このようにコイルに内部抵抗r〔Ω〕が存在する場合は、インダクタンスL〔H〕と抵抗r〔Ω〕の直列回路として表すことができる。この直列回路は、コイルの抵抗r〔Ω〕が、誘導性リアクタンスωL〔Ω〕に比べて十分小さいものとすると、図2のように、等価抵抗Rp〔Ω〕とインダクタンスL〔H〕の並列回路に変換することができる。このときの等価抵抗Rp〔Ω〕の値を表す式として、正しいのは次のうちどれか。ただし、Ic〔A〕は電流源の電流を表す。

(1)ωL/r (2)r/(ωL)2 (3)r2/(ωL) (4)(ωL)2/r (5)r(ωL)2

図1 電流源・Cの並列とL・rの直列/図2 等価な並列回路(問題図)
図1 電流源・Cの並列とL・rの直列/図2 等価な並列回路(問題図)

出題のポイント:アドミタンスの実部を取れば等価並列抵抗が出る

直列回路を並列回路に変換するには、アドミタンス \(\dot Y=1/\dot Z\) を計算しますその実部(コンダクタンス)の逆数が等価並列抵抗です。

厳密には \(R_p=(r^2+(\omega L)^2)/r\) ですが、\(r\ll\omega L\) という条件があるので \(r^2\) を無視できます。結果は \((\omega L)^2/r\) です。

直列から並列への変換
$$\dot Y=\frac{1}{r+j\omega L}=\frac{r-j\omega L}{r^2+(\omega L)^2}$$$$G=\frac{r}{r^2+(\omega L)^2}\;\Longrightarrow\;R_p=\frac1G=\frac{r^2+(\omega L)^2}{r}\approx\frac{(\omega L)^2}{r}$$

分母を実数化するには、共役複素数 \(r-j\omega L\) を分子分母に掛けます

平成22年度理論問13の出題ポイント。内部抵抗rとコイルLの直列回路を、損失を表す抵抗RpとコイルLの並列回路へ等価変換する目的と求め方を示す図
直列コイルを、損失電流の抵抗枝Rpと無効電流のコイル枝へ分けて考えます。

解説:計算せずに次元と大小で絞る

この問題は選択肢の形を見るだけでほぼ決まりますまず次元(単位)で3つ消え、次に大小関係で1つに絞れます

次元判定
(1)\(\omega L/r\)無次元× Ω にならない
(2)\(r/(\omega L)^2\)\(1/\Omega\)×
(3)\(r^2/(\omega L)\)\(\Omega\)次元は合う
(4)\((\omega L)^2/r\)\(\Omega\)◎ 正解
(5)\(r(\omega L)^2\)\(\Omega^3\)×

\(r\) も \(\omega L\) も単位はΩです。\(R_p\) もΩでなければならないので、(1)(2)(5)は即座に除外できます。

残る(3)と(4)は「どちらが分子か」だけの違いです。\(r\ll\omega L\) なので、\((\omega L)^2/r\) は非常に大きく、\(r^2/(\omega L)\) は非常に小さい——\(r=1\;\Omega\)、\(\omega L=100\;\Omega\) なら10 000 Ω と 0.01 Ω です。

並列に変換した抵抗は大きくなるはずです。もともと直列抵抗 \(r\) が小さい=損失が小さいコイルなのですから、等価な並列抵抗は大きい値でなければ辻褄が合いません。

直列回路のインピーダンスを逆数にしてアドミタンスへ変換し、その実部Gが並列抵抗Rpの逆数になる理由を説明する図
並列回路では枝電流が加わるためYで比較し、実部G=1/Rpを取り出します。
答え\(R_p=\dfrac{(\omega L)^2}{r}\) → 選択肢(4)
平成22年度理論問13の問題解説1枚目。rとLの直列コイルとRpおよびLの並列回路を正しく描き、同じ端子電圧で同じ電流になる等価条件と求める量を説明する図
問題の解説1/3。同じ端子アドミタンスにすれば等価となり、Rpは直列回路アドミタンスの実部Gの逆数です。
平成22年度理論問13の問題解説2枚目。並列回路でアドミタンスを使う理由、複素共役による逆数計算、実部と虚部の意味を説明し、Rpの厳密式を導く図
問題の解説2/3。Ysを実部と虚部へ分けると、実部G=r/{r²+(ωL)²}=1/Rpです。
平成22年度理論問13の問題解説3枚目。rがωLより十分小さい近似の意味、支配的な項、コンダクタンスと等価抵抗、単位を順に説明し、正解4を導く図
問題の解説3/3。r≪ωLなのでRpは約(ωL)²/rとなり、単位もΩ、正答は(4)です。

近似がどれくらい正確か

\(r\)〔Ω〕\(\omega L\)〔Ω〕厳密 \((r^2+(\omega L)^2)/r\)近似 \((\omega L)^2/r\)誤差
0.1100100 000.1100 0000.0001%
110010 00110 0000.01%
101001 0101 0000.99%

\(r\) が \(\omega L\) の1/10 でも、誤差は1%未満です。実際のコイルでは \(r\) はもっと小さいので、近似は十分に正確だと言えます。

「十分小さいものとすると」という問題文の条件が、この近似を許可しています。条件がなければ厳密式で答えなければなりません——問題文の但し書きは必ず読んでください

⚠️ よくある間違い
「直列抵抗 \(r\) を並列に移すと \(r\) のまま」と考えるのは誤りです。直列と並列では、同じ損失を表すのに必要な抵抗値がまったく違います\(r=1\;\Omega\) の直列抵抗は、\(10\,000\;\Omega\) の並列抵抗に相当します。

深掘り①:なぜ並列に変換したいのか

コンデンサと組み合わせて並列共振回路を作るとき、すべてを並列で表したい——それがこの変換の目的です。

直列表現並列表現
コイルの損失\(r\)(直列抵抗)\(R_p\)(並列抵抗)
大小小さい大きい
使いやすい場面直列回路の計算並列共振の計算
損失が小さいほど\(r\) が小さい\(R_p\) が大きい

並列共振回路では、共振時のインピーダンスがちょうど \(R_p\) になります理想的なLC並列なら無限大ですが、損失があるので有限値——その値が \(R_p\) です。

\(R_p\) が大きいほど共振が鋭く、良質な回路になります。\(Q=R_p/(\omega L)=\omega L/r\)——直列抵抗 \(r\) が小さいコイルほど \(Q\) が高いという関係です。

深掘り②:直列⇄並列変換の一般式

この変換は、抵抗とリアクタンスの組み合わせ一般に使えます覚えておくと、力率改善や整合の問題でも役立ちます

$$R_p=\frac{R_s^2+X_s^2}{R_s},\qquad X_p=\frac{R_s^2+X_s^2}{X_s}$$
直列 → 並列
$$R_p=R_s(1+Q^2),\qquad Q=\frac{X_s}{R_s}$$
\(Q\) を使った形
\(Q\gg1\) なら \(R_p\approx R_sQ^2\)

\(Q=X_s/R_s=\omega L/r\) とすると、\(R_p=r(1+Q^2)\approx rQ^2=(\omega L)^2/r\)——本問の結果と一致します。

\(Q\) が大きいほど \(R_p\) と \(r\) の差が開きます\(Q=100\) なら \(R_p\) は \(r\) の1万倍——「同じ損失」を表す抵抗値が、直列か並列かでこれほど違うのです。

💡 覚え方
「直列の小さい抵抗=並列の大きい抵抗」——どちらも同じ損失を表していると理解してください。損失が小さいほど、直列では \(r\) が小さく、並列では \(R_p\) が大きくなります

⏱️ 本番での進め方
❶ 次元で3肢消す。\(R_p\) はΩ。\(r\) も \(\omega L\) もΩ。
❷ 大小で決める。\(r\ll\omega L\) なら \(R_p\) は大きい値。
❸ アドミタンスの実部を取るのが正攻法。共役複素数を掛ける。
❹ 問題文の但し書きを読む。「十分小さい」が近似を許可している。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

Y実部r/(r²+(ωL)²)
近似r≪ωL→分母(ωL)²
G≒r/(ωL)²
Rp(ωL)²/r …(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・同型の直列→並列変換の問題:【理論】令和6年度上期A問題13

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次