単相交流57【電験3種 理論】スイッチの開閉で消費電力が半分になる条件からLを求める!平成20年度 A問題9 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成20年度 A問題9 スイッチ操作で電力が半減!コイルのLは?

今回は平成20年度 理論科目 A問題9を解説します。抵抗RとコイルL、スイッチSからなる回路で、スイッチを開いたときの消費電力が閉じたときの1/2になるときの、インダクタンスLを求める問題です。

スイッチを閉じるとコイルが短絡されてRだけ、開くとR+Lの直列になります。消費電力は電流の2乗に比例。開のとき電力が半分=電流が1/√2になる条件からLを求めます。

目次

平成20年度 理論科目 A問題9:問題文と選択肢

平成20年度の公式問題を収録した下の問題画像で、スイッチ接続・条件・選択肢を確認しながら進めます。画像は元のまま保持しています。電気技術者試験センターの現在の第三種過去問題一覧と照合方針も確認しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成20年度 A問題9 問題文
平成20年度 理論科目 A問題9 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成20年度 A問題9

 周波数f〔Hz〕の交流電圧E〔V〕の電源に、抵抗R〔Ω〕、インダクタンスL〔H〕のコイル、及びスイッチSを接続した回路がある。スイッチSを開いたときの回路の消費電力が、スイッチSを閉じたときの消費電力の1/2になった。このときのインダクタンスL〔H〕の値を表す式として、正しいのは次のうちどれか。

(1)2πfR (2)R/(2πf) (3)2πf/R (4)(2πf)2/R (5)(2πf)2R

図 E・f電源、R、L、スイッチSの回路(問題図・自作)
図 E・f電源、R、L、スイッチSの回路(問題図・自作)

出題のポイント:電力が半分=インピーダンスが \(\sqrt2\) 倍

スイッチを閉じるとコイルが短絡され、抵抗だけの回路になります。開くと \(R\) と \(L\) の直列——インピーダンスが増えるぶん電流が減り、電力も減ります

電力は電流の2乗に比例するので、電力が半分になるのは電流が \(1/\sqrt2\) 倍のときです。そのためにはインピーダンスが \(\sqrt2\) 倍——\(\sqrt{R^2+X^2}=\sqrt2R\) から \(X=R\) が出ます。

2つの状態の消費電力
$$\text{閉:}\;P_1=\frac{E^2}{R}\qquad\text{開:}\;P_2=\frac{E^2R}{R^2+X^2}$$

開いたときは、抵抗が消費する電力だけです。\(P=I^2R\) に \(I=E/\sqrt{R^2+X^2}\) を代入した形になっています。

平成20年度理論問9の出題ポイント。コイルLと並列のスイッチを閉じたRだけの回路と、開いたRL直列回路を比較し、電力半分から電流比1/√2を導く図
電力は電流の2乗に比例するため、電力比1/2は電流比1/√2に対応します。

解説:条件式を立てて解く

$$\frac{E^2R}{R^2+X^2}=\frac12\cdot\frac{E^2}{R}$$
❶ \(P_2=P_1/2\) とおく
\(E^2\) が約分される
$$2R^2=R^2+X^2\;\Longrightarrow\;X^2=R^2\;\Longrightarrow\;X=R$$
❷ 整理
リアクタンスが抵抗と等しい
$$2\pi fL=R\;\Longrightarrow\;L=\frac{R}{2\pi f}$$
❸ \(L\) について解く

\(X=R\) のとき、力率は \(\cos\phi=R/(\sqrt2R)=1/\sqrt2\approx0.707\)——位相差45°です。「電力が半分」と「位相差45°」が対応していると知っておくと、条件を見た瞬間に \(X=R\) が浮かびます。

別の見方電流が \(1/\sqrt2\) 倍になれば \(P=I^2R\) は \(1/2\) 倍電流を \(1/\sqrt2\) にするには \(|\dot Z|\) を \(\sqrt2\) 倍——\(\sqrt{R^2+X^2}=\sqrt2R\) から同じ結論に至ります。

S閉の抵抗回路とS開のRL直列回路について実電力を求め、電力比R²/{R²+(ωL)²}=1/2を導出する図
理想コイルは平均電力を消費せず、実電力を消費するのは共通の抵抗Rです。
答え\(L=\dfrac{R}{2\pi f}\) → 選択肢(2)
平成20年度理論問9の問題解説1枚目。S閉ではLが短絡、S開ではRとLを直列に流れる正しい電流経路と各状態の式を示す図
問題の解説1/3。S閉・S開の等価回路、電流、消費電力を整理します。
平成20年度理論問9の問題解説2枚目。電力比1/2からωL=Rを導き、ω=2πfを使ってL=R/2πfを求め、単位と検算を示す図
問題の解説2/3。電力比を式変形するとωL=Rとなり、L=R/(2πf)が得られます。

次元で選択肢を振るう

この問題は計算しなくても、単位を確認するだけで正解が絞れます\(L\) の単位はヘンリー \(\mathrm{H}=\Omega\cdot\mathrm{s}\) です。

次元判定
(1)\(2\pi fR\)\(\Omega/\mathrm{s}\)×
(2)\(R/(2\pi f)\)\(\Omega\cdot\mathrm{s}\)◎ \(\mathrm{H}\) と一致
(3)\(2\pi f/R\)\(1/(\Omega\cdot\mathrm{s})\)×
(4)\((2\pi f)^2/R\)\(1/(\Omega\cdot\mathrm{s^2})\)×
(5)\((2\pi f)^2R\)\(\Omega/\mathrm{s^2}\)×

\(2\pi f\) の単位は \(1/\mathrm{s}\) なので、\(\Omega\cdot\mathrm{s}\) を作るには \(R\) を \(2\pi f\) で「割る」しかありません次元だけで(2)に確定します。

\(X=\omega L\) の関係からも同じことが言えます\(L=X/\omega=X/(2\pi f)\)——リアクタンスを角周波数で割ればインダクタンスです。この形を覚えておけば、次元を考えるまでもありません

深掘り:コイルが電力を消費しないことの確認

スイッチを開くと、回路には \(R\) と \(L\) の両方がありますそれでも消費電力は抵抗の分だけです。

$$I=\frac{E}{\sqrt{R^2+X^2}}=\frac{E}{\sqrt2R}$$
❶ 開いたときの電流
\(X=R\) を代入
$$P_2=I^2R=\frac{E^2}{2R^2}\cdot R=\frac{E^2}{2R}=\frac{P_1}{2}$$
❷ 消費電力
◎ 確かに半分

コイルにも電流は流れていますが、電力は消費していません1周期のうち前半で磁気エネルギーを蓄え、後半で電源に返しているだけです。

スイッチ閉スイッチ開
回路構成\(R\) のみ\(R\) と \(L\) の直列
インピーダンス\(R\)\(\sqrt2R\)
電流\(E/R\)\(E/(\sqrt2R)\)
力率1\(1/\sqrt2\approx0.707\)
消費電力\(E^2/R\)\(E^2/(2R)\)

力率が \(1/\sqrt2\) になり、電流も \(1/\sqrt2\) 倍——皮相電力は \(1/\sqrt2\) 倍ですが、有効電力は力率もかかるので \(1/2\) 倍です。2つの効果が掛かっていると理解しておいてください。

⚠️ よくある間違い
「電力が半分だから電流も半分」と考えると、\(|\dot Z|\) が2倍になる条件を立ててしまいます。\(P\propto I^2\) なので、電力が半分なら電流は \(1/\sqrt2\) 倍です。

⏱️ 本番での進め方
❶ 「電力半分=\(X=R\)=位相差45°」をセットで覚える。
❷ \(P\propto I^2\)。電力が半分なら電流は \(1/\sqrt2\) 倍。
❸ 次元で確認。\(L\) は \(\Omega\cdot\mathrm{s}\)。\(R\) を \(2\pi f\) で割る形しかない。
❹ \(L=X/(2\pi f)\) の形を覚えておけば即答できる。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

S閉Z=R
S開|Z|=√(R²+(ωL)²)
条件|Z|²=2R²→ωL=R
答えL=R/(2πf) …(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・同型のスイッチ・電力の問題:【理論】令和4年度上期A問題8

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