今回は平成19年度 理論科目 A問題8を解説します。8Ωの抵抗とコンデンサの直列回路で、50Hzのとき力率80%。周波数を25Hzにしたときの力率を求める問題です。
力率cosθ=R/√(R²+Xc²)。50Hzの力率からXcを求め、周波数が半分になるとXc(∝1/f)が2倍になることを使って25Hzの力率を計算します。
平成19年度 理論科目 A問題8:問題文と選択肢
平成19年度の公式問題を収録した下の問題画像で、回路条件と選択肢を確認しながら進めます。画像は原資料として保持しています。電気技術者試験センターの現在の第三種過去問題一覧と照合方針も確認しています。

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成19年度 A問題8
8〔Ω〕の抵抗と静電容量C〔F〕のコンデンサを直列に接続した交流回路がある。この回路に周波数50〔Hz〕の交流電圧を加えたとき、回路の力率は80%であった。この回路に加える交流電圧の周波数を25〔Hz〕に変えたとき、回路の力率〔%〕の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1)40% (2)42% (3)56% (4)60% (5)83%
出題のポイント:力率は周波数に単純比例しない
周波数を半分にすると \(X_C\) は2倍になります。ところが力率は半分にはなりません——\(\cos\theta=R/\sqrt{R^2+X_C^2}\) という形なので、単純な比例関係にないからです。
まず50 Hz での \(X_C\) を逆算するのが手順です。力率80%なら \(R:|\dot Z|=8:10\)——3:4:5 の直角三角形で \(X_C=6\;\Omega\) と分かります。

解説:3ステップで求まる
3:4:5 の三角形
周波数が半分なら \(X_C\) は2倍
≒56%
\(\sqrt{64+144}=\sqrt{208}\) は整数比になりません。50 Hz のときは3:4:5 だったのに、25 Hz では崩れる——この場合は素直に計算します。\(\sqrt{208}=14.42\) です。
答えの見当もつけられます。周波数を下げる → \(X_C\) が増える → \(|\dot Z|\) が増える → 力率は下がる。80%より小さいはずなので、(5)83%は除外できます。



誤答の正体:力率も半分と考える
| 誤り方 | 考え方 | 値 | 選択肢 |
| 力率も半分になると考える | \(80\div2\) | 40% | (1) |
| \(X_C\) が半分になると誤る | \(X_C=3\;\Omega\) | 94% | 選択肢になし |
| 正しい計算 | \(X_C=12\;\Omega\) | 56% | (3) ◎ |
(1)の40% が最も引っかかりやすい誤りです。「周波数が半分だから力率も半分」——もっともらしく見えますが、力率は \(R\) と \(X_C\) の比から決まる量で、周波数に比例はしません。
実際にどう変わるかを確かめてみましょう。周波数を半分にすると \(X_C\) は2倍、\(|\dot Z|\) は10→14.42(1.44倍)、力率は0.8→0.555(0.69倍)——どれも単純な比例ではありません。
⚠️ よくある間違い
「\(X_C\) は周波数に反比例」を「比例」と取り違えると、\(X_C=3\;\Omega\) となって力率94%——選択肢にありません。選択肢に無い値が出たら、比例・反比例を疑ってください。
深掘り①:周波数と力率の関係をグラフで見る
RC直列回路では、周波数が高いほど力率がよくなります。\(X_C\) が小さくなって、回路が抵抗に近づくからです。
| 周波数 | \(X_C\)〔Ω〕 | \(|\dot Z|\)〔Ω〕 | 力率 |
| 12.5 Hz | 24 | 25.3 | 32% |
| 25 Hz(本問) | 12 | 14.4 | 56% |
| 50 Hz | 6 | 10 | 80% |
| 100 Hz | 3 | 8.5 | 94% |
| \(f\to\infty\) | 0 | 8 | 100% |
周波数を上げていくと、力率は1に近づきます。コンデンサが短絡と同じになり、抵抗だけの回路になるからです。逆に周波数を下げると力率は0に近づきます。
RL直列回路なら正反対です。周波数を上げると \(X_L\) が増えて力率が悪くなります。どちらの回路かで方向が逆になるので、問題文でRCかRLかを確認してください。
深掘り②:力率の変化を「比」で追う
この種の問題は、\(R\) を基準にした比で考えると見通しがよくなります。\(R=8\) を1とすると、\(X_C\) の比だけが変化します。
2倍になる
比だけで決まる
\(X_C/R=0.75\) なら \(\cos\theta=1/\sqrt{1.5625}=0.8\)、\(X_C/R=1.5\) なら \(1/\sqrt{3.25}=0.555\)——\(R\) や \(X_C\) の絶対値は関係ありません。
この見方をすると、「\(R\) が何オームでも同じ答え」だと分かります。本問で \(R=8\;\Omega\) と具体的な値が与えられているのは、\(X_C\) を求めやすくするためにすぎません。
💡 覚え方
「力率は \(X/R\) の比だけで決まる」——絶対値ではなく比です。比が2倍になったときの力率変化を追うのが、この種の問題の型になります。
⏱️ 本番での進め方
❶ \(|\dot Z|=R/\cos\theta\) から \(X_C\) を逆算する。\(C\) は求めなくてよい。
❷ \(X_C\propto1/f\)。周波数が半分なら \(X_C\) は2倍。
❸ 力率の増減の向きを予想する。周波数を下げる→力率も下がる。
❹ 3:4:5 に気づく。\(R=8\)、\(|\dot Z|=10\) なら \(X_C=6\)。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
まとめ
| Xc(50) | 8×0.75=6Ω |
| Xc(25) | 2×6=12Ω |
| cosθ’ | 8/√(64+144) |
| 答え | ≒56% …(3) |
▼あわせて解きたい関連問題
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