単相交流59【電験3種 理論】RLC並列回路のベクトル図からLとCの関係を求める!平成19年度 A問題9 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成19年度 A問題9 ベクトル図が語る答え!LとCの関係を読み解く

今回は平成19年度 理論科目 A問題9を解説します。RLC並列回路に交流電圧を加えたとき、電流のベクトル図(IC>IL)が示されており、このときのLとCの関係を表す式を選ぶ問題です。

並列回路では全素子に同じ電圧Eがかかり、IC=ωCE、IL=E/(ωL)。ベクトル図のIC>ILという条件を式に直します。

目次

平成19年度 理論科目 A問題9:問題文と選択肢

平成19年度の公式問題を収録した下の問題画像で、並列回路・ベクトル方向・5つの選択肢を確認しながら進めます。公式問題画像と既存の問題図は原資料として保持します。電気技術者試験センターの現在の第三種過去問題一覧と照合方針も確認しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成19年度 A問題9 問題文
平成19年度 理論科目 A問題9 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成19年度 A問題9

 図1のように、R〔Ω〕の抵抗、インダクタンスL〔H〕のコイル、静電容量C〔F〕のコンデンサからなる並列回路に、交流電圧を加えた。このとき、各素子に流れる電流のベクトル図が図2のように示された(IC>IL)。このときのLとCの関係を表す式として、正しいのは次のうちどれか。

(1)ωL<1/(ωC) (2)ωL>1/(ωC) (3)ω²=1/√(LC) (4)ωL=1/(ωC) (5)R=√(L/C)

図1 R・L・Cの並列回路(問題図・自作)
図1 R・L・Cの並列回路(問題図・自作)
図2 電圧・電流のベクトル図(İ_C>İ_L)(問題図・自作)
図2 電圧・電流のベクトル図(İ_C>İ_L)(問題図・自作)

出題のポイント:並列では「電流が大きい=リアクタンスが小さい」

並列回路では、すべての素子に同じ電圧がかかりますしたがって電流はリアクタンスに反比例——電流が大きい素子ほど、リアクタンスは小さいことになります。

ベクトル図が \(I_C>I_L\) を示しているので、\(X_C<X_L\)——つまり \(\omega L>1/(\omega C)\) です。直感と逆に感じるかもしれませんが、電流と抵抗が反比例することを思い出せば納得できます

並列回路の各素子の電流
$$I_C=\omega CE=\frac{E}{X_C}\qquad I_L=\frac{E}{\omega L}=\frac{E}{X_L}$$

どちらも「電圧 ÷ リアクタンス」です。分母が小さいほど電流が大きい——オームの法則と同じ関係になります。

平成19年度理論科目A問題9の出題ポイント。R・L・C並列回路と、電圧Eを基準に抵抗電流は右、コンデンサ電流は上、コイル電流は下へ向き、IcがIlより大きいベクトル図
並列回路では各枝の電圧が共通です。問題図のベクトル長からIc>Ilを読み取り、枝リアクタンスの大小へ変換します。

解説:不等式を式変形する

$$I_C>I_L\;\Longrightarrow\;\omega CE>\frac{E}{\omega L}$$
❶ 条件を式に
\(E\) は共通なので約分
$$\omega C>\frac{1}{\omega L}$$
❷ 整理
$$\omega^2LC>1\;\Longleftrightarrow\;\omega L>\frac{1}{\omega C}$$
❸ 書き換え
両辺に \(\omega L\) を掛ける

\(\omega C>1/(\omega L)\) と \(\omega L>1/(\omega C)\) は同じことです。どちらも \(\omega^2LC>1\) を意味します——選択肢の形に合わせて書き換えるだけです。

数値で確かめてみましょう\(\omega L=2\)、\(1/(\omega C)=1\) とすると \(\omega L>1/(\omega C)\) ✓。このとき \(I_L=E/2\)、\(I_C=E/1=E\)——確かに \(I_C>I_L\) です。

並列L枝とC枝についてXL=ωL、XC=1/(ωC)、Il=E/(ωL)、Ic=ωCEを示し、Ic>IlからXC<XLを導く図
同じ電圧なら電流が大きい枝ほどリアクタンスは小さいため、Ic>Ilは1/(ωC)<ωLを意味します。
答え\(\omega L>\dfrac{1}{\omega C}\) → 選択肢(2)
平成19年度理論科目A問題9の解説1枚目。並列RLC回路の各枝電流式と、抵抗電流・コンデンサ電流・コイル電流の位相方向を整理する図
問題の解説1/3。並列回路で電圧が共通であることを確認し、各枝の電流式と90°の進み・遅れを整理します。
平成19年度理論科目A問題9の解説2枚目。Ic>Ilへ枝電流式を代入し、正の量による式変形でωL>1/(ωC)を導く図
問題の解説2/3。Ic>Ilに電流式を代入し、不等号の向きを保ちながらωL>1/(ωC)へ整理します。

誤答の正体:不等号の向きと、無関係な式

選択肢判定理由
(1)\(\omega L<1/(\omega C)\)×逆。これは \(I_L>I_C\) のとき
(2)\(\omega L>1/(\omega C)\)正解
(3)\(\omega^2=1/\sqrt{LC}\)×次元が合わない(正しくは \(\omega^2=1/(LC)\))
(4)\(\omega L=1/(\omega C)\)×共振条件。\(I_C=I_L\) になる
(5)\(R=\sqrt{L/C}\)×特性インピーダンス。本問と無関係

実質は(1)と(2)の二択です。(3)は次元が合わず、(4)は等号、(5)は抵抗の式——形を見ただけで除外できます。

(1)と(2)の区別は「電流が大きい=通りやすい=リアクタンスが小さい」で決まります。\(I_C\) が大きいなら \(X_C\) が小さい——\(X_C=1/(\omega C)\) が小さいということは、\(\omega L\) のほうが大きいわけです。

⚠️ よくある間違い
直列回路の感覚を持ち込むと逆になります直列では「容量性=\(X_C\) が大きい」ですが、並列では「容量性=\(I_C\) が大きい=\(X_C\) が小さい」——不等号の向きが逆です。

深掘り①:直列と並列の対応表

直列と並列は、多くの点で「双対(そうつい)」の関係にあります。対応を整理しておくと、混同しなくなります

直列回路並列回路
共通する量電流電圧
合成に使う量インピーダンス \(\dot Z\)アドミタンス \(\dot Y\)
合成の仕方足し算足し算(アドミタンスなら)
誘導性の条件\(X_L>X_C\)\(X_L<X_C\)
共振時\(Z\) 最小・電流最大\(Z\) 最大・電流最小

「インピーダンスとアドミタンス」「電圧と電流」「直列と並列」——これらを入れ替えると、片方の性質からもう片方が導けますこれが双対性です。

並列回路をアドミタンスで扱えば、直列回路をインピーダンスで扱うのとまったく同じ形になります。\(\dot Y=G+jB\)\(\dot Z=R+jX\) と同じ構造——計算方法もそのまま流用できます

深掘り②:ベクトル図から全電流を求める

本問はLとCの関係だけを聞いていますが、全電流も同じ図から求まります

$$\dot I=\dot I_R+\dot I_C+\dot I_L$$
❶ 各素子の電流を合成
並列なので電流を足す
$$|\dot I|=\sqrt{I_R^2+(I_C-I_L)^2}$$
❷ 大きさ
\(I_C\) と \(I_L\) は逆向きなので引く

\(I_C\) と \(I_L\) は180°逆向きなので、まず引き算して差を求め、それと \(I_R\) を直角に合成します。\(I_C>I_L\) なら差は上向き=全電流は電圧より進むことになります。

力率は \(\cos\theta=I_R/|\dot I|\) です。\(I_C\) と \(I_L\) の差が小さいほど力率は1に近づきます——差がゼロなら共振で力率1です。

💡 覚え方
「並列は電流を三平方で合成、直列は電圧を三平方で合成」——基準が違うだけで、やることは同じです。逆向きのものは先に引き算してから、直角なものを三平方で合成します。

⏱️ 本番での進め方
❶ 並列は電流がリアクタンスに反比例。大きい電流=小さいリアクタンス。
❷ 不等式を式変形する。\(\omega C>1/(\omega L)\;\to\;\omega L>1/(\omega C)\)。
❸ 直列の感覚を持ち込まない。不等号の向きが逆になる。
❹ 形で除外する。次元が合わない式、等号の式、無関係な式を先に消す。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

ICωCE(進み)
ILE/(ωL)(遅れ)
条件ωC>1/(ωL)→ω²LC>1
答えωL>1/(ωC) …(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・RLC並列のベクトル図の関連問題:【理論】平成25年度A問題9

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