今回は平成19年度 理論科目 A問題9を解説します。RLC並列回路に交流電圧を加えたとき、電流のベクトル図(IC>IL)が示されており、このときのLとCの関係を表す式を選ぶ問題です。
並列回路では全素子に同じ電圧Eがかかり、IC=ωCE、IL=E/(ωL)。ベクトル図のIC>ILという条件を式に直します。
平成19年度 理論科目 A問題9:問題文と選択肢
平成19年度の公式問題を収録した下の問題画像で、並列回路・ベクトル方向・5つの選択肢を確認しながら進めます。公式問題画像と既存の問題図は原資料として保持します。電気技術者試験センターの現在の第三種過去問題一覧と照合方針も確認しています。

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成19年度 A問題9
図1のように、R〔Ω〕の抵抗、インダクタンスL〔H〕のコイル、静電容量C〔F〕のコンデンサからなる並列回路に、交流電圧を加えた。このとき、各素子に流れる電流のベクトル図が図2のように示された(IC>IL)。このときのLとCの関係を表す式として、正しいのは次のうちどれか。
(1)ωL<1/(ωC) (2)ωL>1/(ωC) (3)ω²=1/√(LC) (4)ωL=1/(ωC) (5)R=√(L/C)


出題のポイント:並列では「電流が大きい=リアクタンスが小さい」
並列回路では、すべての素子に同じ電圧がかかります。したがって電流はリアクタンスに反比例——電流が大きい素子ほど、リアクタンスは小さいことになります。
ベクトル図が \(I_C>I_L\) を示しているので、\(X_C<X_L\)——つまり \(\omega L>1/(\omega C)\) です。直感と逆に感じるかもしれませんが、電流と抵抗が反比例することを思い出せば納得できます。

解説:不等式を式変形する
\(E\) は共通なので約分
両辺に \(\omega L\) を掛ける
\(\omega C>1/(\omega L)\) と \(\omega L>1/(\omega C)\) は同じことです。どちらも \(\omega^2LC>1\) を意味します——選択肢の形に合わせて書き換えるだけです。
数値で確かめてみましょう。\(\omega L=2\)、\(1/(\omega C)=1\) とすると \(\omega L>1/(\omega C)\) ✓。このとき \(I_L=E/2\)、\(I_C=E/1=E\)——確かに \(I_C>I_L\) です。



誤答の正体:不等号の向きと、無関係な式
| 選択肢 | 判定 | 理由 | |
| (1) | \(\omega L<1/(\omega C)\) | × | 逆。これは \(I_L>I_C\) のとき |
| (2) | \(\omega L>1/(\omega C)\) | ◎ | 正解 |
| (3) | \(\omega^2=1/\sqrt{LC}\) | × | 次元が合わない(正しくは \(\omega^2=1/(LC)\)) |
| (4) | \(\omega L=1/(\omega C)\) | × | 共振条件。\(I_C=I_L\) になる |
| (5) | \(R=\sqrt{L/C}\) | × | 特性インピーダンス。本問と無関係 |
実質は(1)と(2)の二択です。(3)は次元が合わず、(4)は等号、(5)は抵抗の式——形を見ただけで除外できます。
(1)と(2)の区別は「電流が大きい=通りやすい=リアクタンスが小さい」で決まります。\(I_C\) が大きいなら \(X_C\) が小さい——\(X_C=1/(\omega C)\) が小さいということは、\(\omega L\) のほうが大きいわけです。
⚠️ よくある間違い
直列回路の感覚を持ち込むと逆になります。直列では「容量性=\(X_C\) が大きい」ですが、並列では「容量性=\(I_C\) が大きい=\(X_C\) が小さい」——不等号の向きが逆です。
深掘り①:直列と並列の対応表
直列と並列は、多くの点で「双対(そうつい)」の関係にあります。対応を整理しておくと、混同しなくなります。
| 直列回路 | 並列回路 | |
| 共通する量 | 電流 | 電圧 |
| 合成に使う量 | インピーダンス \(\dot Z\) | アドミタンス \(\dot Y\) |
| 合成の仕方 | 足し算 | 足し算(アドミタンスなら) |
| 誘導性の条件 | \(X_L>X_C\) | \(X_L<X_C\) |
| 共振時 | \(Z\) 最小・電流最大 | \(Z\) 最大・電流最小 |
「インピーダンスとアドミタンス」「電圧と電流」「直列と並列」——これらを入れ替えると、片方の性質からもう片方が導けます。これが双対性です。
並列回路をアドミタンスで扱えば、直列回路をインピーダンスで扱うのとまったく同じ形になります。\(\dot Y=G+jB\) は \(\dot Z=R+jX\) と同じ構造——計算方法もそのまま流用できます。
深掘り②:ベクトル図から全電流を求める
本問はLとCの関係だけを聞いていますが、全電流も同じ図から求まります。
並列なので電流を足す
\(I_C\) と \(I_L\) は逆向きなので引く
\(I_C\) と \(I_L\) は180°逆向きなので、まず引き算して差を求め、それと \(I_R\) を直角に合成します。\(I_C>I_L\) なら差は上向き=全電流は電圧より進むことになります。
力率は \(\cos\theta=I_R/|\dot I|\) です。\(I_C\) と \(I_L\) の差が小さいほど力率は1に近づきます——差がゼロなら共振で力率1です。
💡 覚え方
「並列は電流を三平方で合成、直列は電圧を三平方で合成」——基準が違うだけで、やることは同じです。逆向きのものは先に引き算してから、直角なものを三平方で合成します。
⏱️ 本番での進め方
❶ 並列は電流がリアクタンスに反比例。大きい電流=小さいリアクタンス。
❷ 不等式を式変形する。\(\omega C>1/(\omega L)\;\to\;\omega L>1/(\omega C)\)。
❸ 直列の感覚を持ち込まない。不等号の向きが逆になる。
❹ 形で除外する。次元が合わない式、等号の式、無関係な式を先に消す。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
まとめ
| IC | ωCE(進み) |
| IL | E/(ωL)(遅れ) |
| 条件 | ωC>1/(ωL)→ω²LC>1 |
| 答え | ωL>1/(ωC) …(2) |
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