単相交流41【電験3種 理論】RLC並列回路の電圧・電流のベクトル図と波形を選ぶ!平成25年度 A問題9 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成25年度 A問題9 RLC並列回路の電流の向き!正しいベクトル図は?

今回は平成25年度 理論科目 A問題9を解説します。R・L・Cの並列回路に交流電圧vを加えたとき、電圧v̇と電流İのベクトル図(図2)と時間波形(図3)の正しい組合せを選ぶ問題です。ただしR≫ωL、ωL=2/(ωC)とします。

並列回路の電流はİ=V̇·Y、Y=1/R+j(ωC−1/(ωL))。条件からサセプタンス(虚部)の符号が容量性か誘導性かを調べ、R≫ωLで抵抗分の電流が無視できることを使って、ベクトルと波形を決めます。

目次

平成25年度 理論科目 A問題9:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問9)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・回路図・選択図は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成25年度 A問題9 問題文
平成25年度 理論科目 A問題9 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成25年度 A問題9

 図1のように、R〔Ω〕の抵抗、インダクタンスL〔H〕のコイル、静電容量C〔F〕のコンデンサからなる並列回路がある。この回路に角周波数ω〔rad/s〕の交流電圧v〔V〕を加えたところ、この回路に流れる電流はi〔A〕であった。電圧v及び電流iのベクトルをそれぞれ電圧V̇、電流İとした場合、両ベクトルの関係を示す図2(ア、イ、ウ)及びv〔V〕とi〔A〕の時間変化を示す図3(エ、オ、カ)の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、R≫ωL 及び ωL=2/(ωC) とし、一切の過渡現象は無視するものとする。

図2図3
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
図1 R・L・Cの並列回路(問題図)
図1 R・L・Cの並列回路(問題図)
図2 ベクトル図(ア〜ウ)と図3 波形(エ〜カ)(問題図)
図2 ベクトル図(ア〜ウ)と図3 波形(エ〜カ)(問題図)

出題のポイント:サセプタンスの符号で進み・遅れが決まる

並列回路のアドミタンスは \(\dot Y=1/R+j(\omega C-1/\omega L)\)虚部(サセプタンス)の符号が正なら容量性=電流が進む負なら誘導性=電流が遅れる—この判定が第一歩です。

与えられた条件 \(\omega L=2/(\omega C)\) を書き換えると \(\omega C=2/(\omega L)\) になります。これを代入すればサセプタンスの符号がすぐ分かります

並列回路のアドミタンス
$$\dot Y=\frac{1}{R}+j\left(\omega C-\frac{1}{\omega L}\right)\qquad\dot I=\dot Y\dot V$$

並列回路はアドミタンスで扱うと足し算になるので計算が楽です。実部がコンダクタンス、虚部がサセプタンスです。

平成25年度理論問9の出題ポイント。条件からサセプタンスBが正であることを導き、容量性で電流が電圧より約90度進むためベクトル図ウ、波形カ、正答5と示す図
B>0で容量性となり、R≫ωLなので電流は電圧よりほぼ90°進みます。

条件からサセプタンスの符号を出す

$$\omega L=\frac{2}{\omega C}\;\Longrightarrow\;\omega C=\frac{2}{\omega L}$$
❶ 条件を書き換える
$$B=\omega C-\frac{1}{\omega L}=\frac{2}{\omega L}-\frac{1}{\omega L}=\frac{1}{\omega L}>0$$
❷ サセプタンス
正=容量性

サセプタンスが正なので、この回路は容量性です。電流は電圧より進みます——これでベクトル図と波形の向きが決まりました

数値で確かめると分かりやすいでしょう。\(\omega L=1\) とすると \(\omega C=2\)、\(1/(\omega L)=1\)——\(B=2-1=1>0\) です。コンデンサのほうが電流を多く流しているということになります。

\(R\gg\omega L\) の条件が意味すること

もう一つの条件 \(R\gg\omega L\) は、コンダクタンス \(1/R\) が小さいことを意味します\(1/R\ll1/(\omega L)=B\) なので、アドミタンスはほぼ純虚数になります。

\(R/(\omega L)\)\(1/R\)(実部)\(B\)(虚部)位相差
100.1184°
1000.01189°
10000.001189.9°

\(R\) が大きいほど位相差は90°に近づきます抵抗にはほとんど電流が流れず、ほぼコンデンサとコイルだけの回路とみなせるからです。

したがってベクトル図は「電流が電圧よりほぼ90°進んでいる」形になります。波形では、電流のピークが電圧のピークより約1/4周期だけ早く来ます

容量性並列回路で電流が電圧より90度進むベクトル図と、時刻ごとの電圧・電流を示す位相表を整理したポイント解説図
電流Iは電圧Vより90°、時間ではT/4進みます。対応する図はウとカです。
答えベクトル図: 波形: → 選択肢(5)
平成25年度理論問9の問題解説。アドミタンスの虚部を計算し、容量性と位相進みを判定してウとカの組合せ、答え5を示す図
B=1/(ωL)>0から容量性・電流進みと判定し、ウ+カの(5)を選びます。

ベクトル図と波形の対応を確認する

ベクトル図と波形は、同じ内容を別の形で表したものです。片方が決まれば、もう片方も自動的に決まります——整合していない組合せは除外できます。

ベクトル図での様子波形での様子
\(\dot I\) が \(\dot V\) より反時計回りに先(上)\(i\) のピークが \(v\) より時間的に早い(左)
90°進み1/4周期ぶん早い
同相ピークの位置が一致

「反時計回りに先=時間的に早い」——ベクトルは反時計回りに回転していると考えると納得できます。先に進んでいるベクトルは、先に基準位置を通過するからです。

波形問題では「どちらのピークが左にあるか」を見るのが確実です。電流のピークが左なら電流が進み——本問はこの形になります。

⚠️ よくある間違い
「進み」を「波形が上にある」と勘違いしないでください。進み・遅れは横軸(時間)方向のずれです。縦方向の大きさは振幅であって、位相とは無関係です。

深掘り①:条件文を式に翻訳する練習

本問のように、条件が言葉と式で与えられる問題では「翻訳」が鍵になります。与えられた条件を、使いやすい形に変形しておくのが定石です。

与えられた条件翻訳した意味使い方
\(\omega L=2/(\omega C)\)\(X_L=2X_C\)\(\omega C=2/(\omega L)\) としてサセプタンスに代入
\(R\gg\omega L\)抵抗の電流が無視できる位相差が90°に近い
過渡現象は無視定常状態のみ考えるフェーザで扱える

\(\omega L=2/(\omega C)\) は「誘導性リアクタンスが容量性リアクタンスの2倍」という意味です。直列回路なら誘導性ですが、並列回路では逆——リアクタンスが小さいほうが電流を多く流すからです。

ここが並列回路の落とし穴です。\(X_L>X_C\) なのに容量性——直列の感覚をそのまま持ち込むと逆になります

深掘り②:直列と並列で「性質」の判定が逆になる

直列回路並列回路
比べるものリアクタンスの大きさ電流の大きさ(=リアクタンスの逆数)
誘導性になる条件\(X_L>X_C\)\(X_L<X_C\)
容量性になる条件\(X_L<X_C\)\(X_L>X_C\)
本問(\(X_L=2X_C\))誘導性になるはず容量性 ◎

直列では「大きいリアクタンスが電圧を多く分担する」ので、大きいほうの性質が出ます並列では「小さいリアクタンスが電流を多く流す」ので、小さいほうの性質が出ます——まったく逆です。

本問では \(X_L=2X_C\)、つまり \(X_C\) のほうが小さい——だからコンデンサに多くの電流が流れ、容量性になります。直列だと思い込むと誘導性と判断してしまい、答えが逆になります

💡 覚え方
「直列は大きいほうが勝つ、並列は小さいほうが勝つ」——電圧を分担するか、電流を流すかの違いです。抵抗の分圧・分流と同じ理屈だと考えると腑に落ちます。

⏱️ 本番での進め方
❶ サセプタンスの符号を出す。正なら容量性=進み、負なら誘導性=遅れ。
❷ 条件を使いやすい形に変形する。\(\omega L=2/(\omega C)\;\to\;\omega C=2/(\omega L)\)。
❸ 並列では小さいリアクタンスが勝つ。直列の感覚を持ち込まない。
❹ ベクトル図と波形は整合する。片方が決まればもう片方も決まる。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

Y1/R+j(ωC−1/(ωL))
サセプタンスωC−1/(ωL)=1/(ωL)>0
位相R≫ωLで電流π/2進み
答えウ・カ …(5)

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