単相交流56【電験3種 理論】LC並列回路で電流が常に零となる角周波数を求める!平成20年度 A問題8 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成20年度 A問題8 電流が流れなくなる並列共振!角周波数は?

今回は平成20年度 理論科目 A問題8を解説します。交流電源eにコンデンサCとコイルLを並列接続した回路で、電流iが常に零となる角周波数ωを求める問題です。

LC並列回路のアドミタンスはY=j(ωC−1/(ωL))。電流i=eYが常に零になるのは虚部が0(並列共振)のとき。ここからωを求めます。

目次

平成20年度 理論科目 A問題8:問題文と選択肢

平成20年度の公式問題を収録した下の問題画像で、回路接続・条件・選択肢を確認しながら進めます。画像は元のまま保持しています。電気技術者試験センターの現在の第三種過去問題一覧と照合方針も確認しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成20年度 A問題8 問題文
平成20年度 理論科目 A問題8 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成20年度 A問題8

 正弦波交流電圧 e=Em sinωt〔V〕の電源、静電容量C〔F〕のコンデンサ及びインダクタンスL〔H〕のコイルからなる交流回路がある。この回路に流れる電流i〔A〕が常に零となるための角周波数ω〔rad/s〕の値を表す式として、正しいのは次のうちどれか。

(1)1/√(LC) (2)√(LC) (3)1/(LC) (4)√(L/C) (5)√(C/L)

図 交流電源eとC・Lの並列回路(問題図・自作)
図 交流電源eとC・Lの並列回路(問題図・自作)

出題のポイント:次元だけで正解が1つに決まる

この問題は計算しなくても解けます\(\omega\) の単位は \(\mathrm{rad/s}\)=\(1/\mathrm{s}\)——この次元を持つ式は選択肢に1つしかありません

\(LC\) の単位は \(\mathrm{H\cdot F}\)\(\mathrm{H}=\mathrm{V\cdot s/A}\)、\(\mathrm{F}=\mathrm{C/V}=\mathrm{A\cdot s/V}\) なので、掛けると \(\mathrm{s^2}\) になります。したがって \(1/\sqrt{LC}\) の単位が \(1/\mathrm{s}\)——これだけで(1)に決まります

LC並列回路のアドミタンス
$$\dot Y=j\omega C+\frac{1}{j\omega L}=j\left(\omega C-\frac{1}{\omega L}\right)$$

\(1/(j\omega L)=-j/(\omega L)\) なので、虚部が引き算になります。これがゼロになる条件が並列共振です。

平成20年度理論問8の出題ポイント。交流電源に並列接続したコンデンサCとコイルLの枝電流が共振時に逆向きで等しくなり、電源電流が0になることを示す図
電源電流が0でも、理想LCの枝電流は流れ、電気エネルギーと磁気エネルギーを交換します。

解説:アドミタンスをゼロにする

電流 \(i=e\dot Y\) が常に零になるのは、\(\dot Y=0\) のときです。電源電圧 \(e\) はゼロではないので、アドミタンス側がゼロでなければなりません

$$\omega C-\frac{1}{\omega L}=0$$
❶ 虚部をゼロに
実部はもともとゼロ(抵抗がない)
$$\omega C=\frac{1}{\omega L}\;\Longrightarrow\;\omega^2LC=1$$
❷ 整理
$$\omega=\frac{1}{\sqrt{LC}}$$
❸ 解く
共振角周波数

この式は直列共振でも同じです。\(\omega L=1/(\omega C)\) という条件は、直列でも並列でも変わりません違うのは、そのときインピーダンスが最小になるか最大になるかだけです。

本問は抵抗がまったくない理想的なLC回路なので、共振時のアドミタンスは厳密にゼロ=電流もゼロになります。実際の回路では抵抗があるので、完全にゼロにはなりません

LC並列回路でコンデンサとコイルのアドミタンスを加え、合成Y=j(ωC-1/ωL)と電源電流0の条件を説明する図
並列回路では、同じ端子電圧に対する枝電流を表すアドミタンスを足します。
答え\(\omega=\dfrac{1}{\sqrt{LC}}\) → 選択肢(1)
平成20年度理論問8の問題解説1枚目。LC並列回路の枝電流と合成電流をアドミタンスから導出し、常に0となる条件を説明する図
問題の解説1/3。コンデンサの+j成分とコイルの-j成分を足し、合成アドミタンスを求めます。
平成20年度理論問8の問題解説2枚目。共振条件ωC=1/ωLからω=1/√LCを式変形し、正の根と単位を説明する図
問題の解説2/3。共振条件を解くとω=1/√(LC)となり、単位もrad/sに一致します。

次元で選択肢を振るう

次元判定
(1)\(1/\sqrt{LC}\)\(1/\mathrm{s}\)◎ \(\omega\) と一致
(2)\(\sqrt{LC}\)\(\mathrm{s}\)× 時間の次元
(3)\(1/(LC)\)\(1/\mathrm{s^2}\)× 2乗している
(4)\(\sqrt{L/C}\)\(\Omega\)× インピーダンスの次元
(5)\(\sqrt{C/L}\)\(\mathrm{S}\)× アドミタンスの次元

次元を確認するだけで、(1)以外がすべて脱落します。公式を忘れていても、単位さえ追えれば正解できる——本番で公式が出てこないときの最後の手段として覚えておいてください。

(4)の \(\sqrt{L/C}\) には名前があります「特性インピーダンス(サージインピーダンス)」です。送電線を進行波が伝わるときのインピーダンスで、電力科目で登場します。共振周波数と混同しやすいので、次元で区別してください。

⚠️ よくある間違い
\(\sqrt{}\) の中が \(LC\) なのか \(L/C\) なのか——ここが最も紛らわしい点です。共振周波数は「掛ける」、特性インピーダンスは「割る」次元を確かめれば必ず区別できます

深掘り:LC並列回路が「電流を通さない」意味

共振時のLC並列回路は、電源から見ると「開放」と同じです。ところが内部ではコイルとコンデンサの間を電流が行き来しています

コンデンサに蓄えられた電荷が放電してコイルに電流を流し、その磁気エネルギーが再びコンデンサを充電する——エネルギーが2つの素子の間を往復しています。外部から見ると電流が流れていないのに、内部では大きな電流が循環しているのです。

共振時のLC並列共振時のLC直列
外から見たインピーダンス無限大(開放)ゼロ(短絡)
電源から流れる電流ゼロ無限大
内部の様子大きな循環電流L と C に大きな電圧
別名反共振・電流共振電圧共振

この性質は「特定の周波数だけを通さない」フィルタとして使われます逆に直列共振は「特定の周波数だけを通す」——ラジオの同調回路や、高調波を除去するフィルタの基本になっています。

💡 覚え方
「並列は通さない、直列は通す」——共振周波数においてという条件付きですが、この対比を覚えておくと応用問題で迷いません。

⏱️ 本番での進め方
❶ 次元で振るう。\(\omega\) は \(1/\mathrm{s}\)。これだけで(1)に決まる。
❷ 共振条件は直列も並列も同じ。\(\omega L=1/(\omega C)\)。
❸ \(\sqrt{L/C}\) は特性インピーダンス。共振周波数ではない。
❹ 並列共振は電流最小、直列共振は電流最大

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

Yj(ωC−1/(ωL))
電流零虚部=0→ωC=1/(ωL)
ω²1/(LC)
答えω=1/√(LC) …(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・並列共振の関連問題:【理論】平成30年度A問題9

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