磁気・電磁力53【電験3種 理論】直線導体と円形コイルの磁界が等しいときの電流比は?平成19年 A問題1 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(磁気・電磁力) 平成19年度 A問題1 直線導体と円形コイル!磁界が同じになる電流比は?

今回は平成19年度 理論科目 A問題1を解説します。無限長直線導体Aから距離aの点Pの磁界H1と、半径aの円形コイルBの中心Oの磁界H2が等しいとき、電流I1とI2の関係を求める問題です。

直線導体の磁界はアンペアの周回積分の法則、円形コイル中心の磁界はビオ・サバールの法則から求めます。どちらも距離・半径はaですが、直線導体では分母が2πa、一巻き円形コイルでは2aになります。式の違いを法則から理解すると、πの位置を取り違えにくくなります。

目次

平成19年度 理論科目 A問題1:問題文と選択肢

問題文の「磁界の大きさ」に注目します。矢印で示されたaは、図1では導体から点Pまでの垂直距離、図2では円形コイルの半径です。なお、同じ内容は令和7年度上期の理論問4でも公式に再出題されていますが、選択肢の順序が異なります。本記事では平成19年度の選択肢番号を使用します。

電験3種 理論科目 磁気・電磁力 平成19年度 A問題1 問題文
平成19年度 理論科目 A問題1 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題1

電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 平成19年度 A問題1

 無限に長い直線状導体Aに直流電流I1〔A〕が流れているとき、この導体からa〔m〕離れた点Pでの磁界の大きさはH1〔A/m〕であった。一方、半径a〔m〕の一巻きの円形コイルBに直流電流I2〔A〕が流れているとき、この円の中心点Oでの磁界の大きさはH2〔A/m〕であった。H1=H2であるときのI1とI2の関係を表す式として、正しいのは次のうちどれか。

(1)I1=π2I2 (2)I1=πI2 (3)I1=I2
(4)I1=I22 (5)I1=(2/π)I2

出題のポイント:分母が \(2\pi a\) か \(2a\) か

無限長直線導体は \(H=I/(2\pi a)\)、円形コイルの中心は \(H=I/(2a)\)——違いは分母に \(\pi\) があるかどうかだけです。2つを等号で結べば1行で答えが出ます

分母が小さい円形コイルのほうが磁界は強いので、同じ磁界にするには直線導体側により多くの電流が必要です。この大小関係で検算すれば、逆比のミスを防げます

2つの磁界の公式
$$\text{無限長直線(距離 }a\text{):}\;H_1=\frac{I_1}{2\pi a}\qquad\text{半径 }a\text{ の円形コイル中心:}\;H_2=\frac{I_2}{2a}$$

直線はアンペアの周回積分の法則、円形はビオ・サバールの法則から導かれます。成り立ちが違うので、\(\pi\) の位置も違います

無限長直線導体の距離aでH1=I1/(2πa)、一巻き円形コイルの中心でH2=I2/(2a)となる配置と磁界方向を比較する出題ポイント図
H19の配置では、直線導体の点Pと円形コイルの中心Oの磁界はどちらも紙面の奥向きです。計算では磁界の大きさと分母のπの有無を比較します。

解説:等号で結んで \(a\) を約分する

$$\frac{I_1}{2\pi a}=\frac{I_2}{2a}$$
❶ \(H_1=H_2\) とおく
$$\frac{I_1}{\pi}=I_2$$
❷ 両辺に \(2a\) を掛ける
\(2a\) が約分されて消える
$$I_1=\pi I_2$$
❸ 解く
直線側のほうが \(\pi\) 倍多く必要

問題文が「距離 \(a\)」と「半径 \(a\)」をわざわざ同じ記号にしているのは、この約分を成立させて答えを純粋な数値関係にするためです。

大小関係で検算しましょう同じ電流なら、円形コイルの中心の磁界は直線導体の \(\pi\) 倍(\(1/2a\) 対 \(1/2\pi a\))。だから直線側で同じ磁界を出すには \(\pi\) 倍の電流が要る——筋が通っています。

アンペアの周回積分でH1=I1/(2πa)、ビオ・サバールの法則の全周積分でH2=I2/(2a)を導く解説図
直線導体では円周2πa、円形コイルでは全周の長さ2πaを使います。円形コイルの式ではビオ・サバールの係数4πと全周積分の2πが整理され、H2=I2/(2a)になります。
答え\(I_1=\pi I_2\) → 選択肢(2)
H1=I1/(2πa)とH2=I2/(2a)を等置し、共通の2aを消してI1=πI2、平成19年度の正答2へ進む3段階の解説図
I1/(2πa)=I2/(2a)から共通の2aを消すとI1/π=I2です。したがってI1=πI2で、平成19年度の正答は(2)です。

★重要:令和7年度上期に「選択肢を入れ替えて」再出題された

令和7年度上期A問題4は、本問とまったく同じ問題です。問題文も図も同一で、答えの式も \(I_1=\pi I_2\) で変わりません違うのは選択肢の並びだけです。

本問(平成19年度 A問題1)令和7年度上期 A問題4
問題文・図同一同一
答えの式\(I_1=\pi I_2\)\(I_1=\pi I_2\)(同じ)
選択肢(1)\(\pi^2I_2\)\(\pi^2I_2\)
選択肢(2)\(\pi I_2\) ←正答\((2/\pi)I_2\)
選択肢(3)\(I_2/\pi\)\(I_2/\pi^2\)
選択肢(4)\(I_2/\pi^2\)\(I_2/\pi\)
選択肢(5)\((2/\pi)I_2\)\(\pi I_2\) ←正答
正答番号(2)(5)

答えの式はまったく同じなのに、番号は(2)から(5)へ移りました18年の時を経て再出題され、しかも選択肢の順序が変えられている——これ以上ないほど明確な「番号暗記の危険性」の実例です。

⚠️ よくある間違い
「この問題の答えは(2)」と番号で覚えていた人は、令和7年度上期で確実に落とします覚えるべきは「\(I_1=\pi I_2\)」という中身です。さらに言えば、「円形コイルのほうが \(\pi\) 倍強い」という物理的な理解があれば、その場で導けます。

あわせて解いておきたい記事:【理論】令和7年度上期A問題4

誤答の正体:逆比に注意

選択肢判定理由
(1)\(I_1=\pi^2I_2\)×\(\pi\) を2回掛けている
(2)\(I_1=\pi I_2\)正解
(3)\(I_1=I_2/\pi\)×逆比。最も引っかかりやすい
(4)\(I_1=I_2/\pi^2\)×逆比かつ \(\pi\) が2回
(5)\(I_1=(2/\pi)I_2\)×\(2\pi\) と \(2\) の扱いを混同

(3)との区別が本問の急所です。式変形の途中で \(\pi\) をどちら側に移すかを間違えると、(3)に着地します。「円形が強い→直線側は多く流す→\(I_1>I_2\)」という判断で防げます。

💡 覚え方
「分母が小さいほうが強い」——\(2a\)(円形)< \(2\pi a\)(直線)なので円形が強い。公式を覚えていなくても、分母の大小さえ思い出せれば大小関係は判断できます

⏱️ 本番での進め方
❶ 2つの公式を並べて書く。分母の違いだけに注目する。
❷ \(a\) は必ず約分される。残るのは \(\pi\) だけ。
❸ 大小関係で検算。円形が強い → 直線側は多く流す → \(I_1>I_2\)。
❹ 番号で覚えない。同じ問題が選択肢を入れ替えて再出題されている。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

直線導体H1=I1/(2πa) [A/m]
一巻き円形コイルH2=I2/(2a) [A/m]
等置I1/(2πa)=I2/(2a)
整理I1/π=I2
答えI1=πI2 …(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・円形コイルと直線電流の磁界の関連問題:【理論】令和7年度上期A問題4

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次