三相交流24【電験3種 理論】Y結線からリアクタンスを求めΔ結線の消費電力を計算する!平成18年度 B問題15 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(三相交流) 平成18年度 B問題15 Y結線で測りΔ結線で使う!消費電力は何kW?

今回は平成18年度 理論科目 B問題15を解説します。抵抗Rと誘導性リアクタンスXからなり力率80%(遅れ)の平衡三相負荷について、(a)Y結線・線間210V・線電流14/√3AのときのリアクタンスXと、(b)同じ負荷をΔ結線し電源相電圧200Vとしたときの全消費電力を求めるB問題です。

(a)はY結線なので相電圧=線間/√3、相電流=線電流。|Z|=相電圧/相電流を出し、力率0.8からX=|Z|×0.6。(b)はΔ結線なので各枝に線間電圧(=相電圧×√3)がかかる点に注意し、P=3×枝電流²×Rで求めます。

目次

平成18年度 理論科目 B問題15:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 三相交流 平成18年度 B問題15 問題文
平成18年度 理論科目 B問題15 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(三相交流)】 平成18年度 B問題15

 抵抗R〔Ω〕と誘導性リアクタンスX〔Ω〕からなり、力率が80%(遅れ)の平衡三相負荷に、対称三相交流電源を接続する。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)Y結線し、線間電圧210V・線電流14/√3Aであった。負荷の誘導性リアクタンスX〔Ω〕の値として、正しいのは次のうちどれか。

(1)4 (2)5 (3)9 (4)12 (5)15〔Ω〕

(b)(a)と同じ負荷をΔ結線し、電源の相電圧を200Vとした。この平衡三相負荷の全消費電力〔kW〕の値として、正しいのは次のうちどれか。

(1)8 (2)11.1 (3)13.9 (4)19.2 (5)33.3〔kW〕

出題のポイント:測定値から負荷定数を割り出す

(a) はY結線の測定値から負荷の \(X\) を求め、(b) は同じ負荷をΔ結線したときの電力を問います。負荷そのものは変わらず、つなぎ方だけが変わるという構成です。

与えられているのは線間電圧210 V、線電流 \(14/\sqrt3\ \mathrm{A}\)、力率80 %です。Y結線なら線電流=相電流なので、相電圧を相電流で割ればインピーダンスが出ます。

インピーダンスと力率から成分を分ける
$$|\dot Z|=\frac{V_p}{I_p},\qquad R=|\dot Z|\cos\phi,\qquad X=|\dot Z|\sin\phi$$

力率0.8なら \(\sin\phi=0.6\)——3:4:5 の直角三角形です。

\(\sqrt3\) が分子と分母の両方に現れるのが本問の親切なところです。約分できるので、\(\sqrt3\) の数値計算は不要——\(210\div14=15\) だけで済みます。

Y結線で相電圧210割るルート3ボルトと相電流14割るルート3アンペアからインピーダンス15オーム、力率0.8から誘導性リアクタンス9オームを導く解説
Y結線ではIφ=IL、Vφ=VL/√3です。|Z|=15Ω、sinφ=0.6からX=9Ωとなり、(a)は選択肢3です。

(a) の解説:\(\sqrt3\) が消える計算

$$V_p=\frac{210}{\sqrt3},\qquad I_p=I_l=\frac{14}{\sqrt3}$$
❶ 相の量に直す
Yは線電流=相電流
$$|\dot Z|=\frac{210/\sqrt3}{14/\sqrt3}=\frac{210}{14}=15\ \Omega$$
❷ 割り算
\(\sqrt3\) が約分
$$R=15\times0.8=12\ \Omega$$
❸ 力率から抵抗
$$X=15\times0.6=9\ \Omega$$
❹ 無効率から
\(\sin\phi=0.6\)

❹は三平方でも出せます\(X=\sqrt{15^{2}-12^{2}}=\sqrt{225-144}=\sqrt{81}=9\)——\(12:9:15\) は \(4:3:5\) の3倍ですから、暗算で確認できます

力率0.8を見たら「4:3:5」と反射してください。抵抗が4、リアクタンスが3、インピーダンスが5の比——\(|\dot Z|=15\) ならそれぞれ12、9 です。

電源相電圧200ボルトから線間電圧200ルート3ボルトを求め、デルタ結線の各枝に線間電圧が加わることと枝電流約23.1アンペアを図解する解説
問題文の200Vは電源相電圧です。Δ枝電圧は線間電圧200√3Vで、枝電流は約23.1Aです。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題15

答え(a) \(X=9\ \Omega\) → 選択肢(3)

(b) の解説:\(\sqrt3\) を2回使う

電源の相電圧が200 V——この電源はY結線なので、線間電圧は \(\sqrt3\) 倍になります。そしてΔ負荷には、その線間電圧がまるごとかかります

$$V_l=200\sqrt3\fallingdotseq346.4\ \mathrm{V}$$
❶ 電源の線間電圧
1回目の \(\sqrt3\)
$$I_p=\frac{346.4}{15}\fallingdotseq23.09\ \mathrm{A}$$
❷ Δ負荷の枝電流
2回目の \(\sqrt3\) が効く
$$P=3I_p^{2}R=3\times533.3\times12=19200\ \mathrm{W}$$
❸ 全消費電力
\(=19.2\ \mathrm{kW}\)

\(23.09^{2}=533.3\)\(\left(\dfrac{200\sqrt3}{15}\right)^{2}=\dfrac{120000}{225}=533.3\) と分数で持つと正確です。\(3\times533.3\times12=19200\)——きれいに割り切れます

もし同じ負荷をY結線して相電圧200 Vをかけたら\(P=3\times\left(\dfrac{200}{15}\right)^{2}\times12=6400\ \mathrm{W}\)——Δのちょうど \(1/3\) です。

デルタ負荷1枝の有効電力6400ワットを3倍して全消費電力19.2キロワットを求め、抵抗成分を使う別式でも検算する解説
各枝の有効電力は6400W、3枝の合計は19.2kWです。抵抗成分による別計算でも一致し、(b)は選択肢4です。
答え(b) \(P=19.2\ \mathrm{kW}\) → 選択肢(4)

誤答の正体:\(\sqrt3\) を何回掛けるか

1相にかかる電圧枝電流〔A〕\(P\)〔kW〕何を間違えたか
346.4 V(正しい)23.119.2正解
200 V13.36.4電源の \(\sqrt3\) を忘れる
115.5 V7.702.1逆に \(\sqrt3\) で割る

選択肢(1)8や(2)11.1、(5)33.3は、こうした誤りの受け皿です。特に(5)33.3 kWは、さらに \(\sqrt3\) を掛けてしまった場合に近い値になります。

⚠️ よくある間違い
「電源の相電圧」と書かれていたら、電源の結線を確認してください。Y電源なら線間は \(\sqrt3\) 倍Δ電源なら線間=相電圧——この一手を飛ばすと全部ずれます

☝️ ひっかけの作り方:(a) と (b) で電圧の値が違います(210 Vと200 V)。「同じ負荷」と書かれているのは \(R\) と \(X\) のことで、電源は別です。問題文を読み飛ばさないでください

深掘り①:電力を3通りで検算する

(b) の19.2 kWを、別の式でも確かめておきましょう一致すれば計算ミスがないと確信できます

$$P=3I_p^{2}R=3\times533.3\times12=19200\ \mathrm{W}$$
❶ 相電流と抵抗
$$P=3\frac{V_l^{2}}{|\dot Z|^{2}}R=3\times\frac{120000}{225}\times12=19200\ \mathrm{W}$$
❷ 電圧とインピーダンス
$$P=\sqrt3V_lI_l\cos\phi=\sqrt3\times346.4\times40\times0.8=19200\ \mathrm{W}$$
❸ 線間の量で
\(I_l=\sqrt3\times23.09=40\)

❸では線電流が \(\sqrt3\times23.09=40\ \mathrm{A}\) になります。Δ結線では線電流が枝電流の \(\sqrt3\) 倍——ここでも \(\sqrt3\) が登場します。

3通りとも19200 W——どの式を使っても同じです。本番では1通りで十分ですが、時間が余ったら別式で検算すると安心できます。

深掘り②:スターデルタ始動の原理そのもの

「Δにすると電力3倍」という本問の結論は、実務のスターデルタ始動に直結します。三相誘導電動機の始動法として最も普及している方式です。

始動時(Y結線)運転時(Δ結線)
1相にかかる電圧\(V_l/\sqrt3\)\(V_l\)
相電流\(1/\sqrt3\) 倍基準
線電流\(1/3\) 倍基準
トルク\(1/3\) 倍基準

始動時はYにして電流を \(1/3\) に抑え、回転が上がったらΔに切り替える——電源設備への負担を減らすのが目的です。ただしトルクも \(1/3\) になるので、重い負荷では使えません

本問の数字で言えば、Δで19.2 kW消費する負荷が、Yなら6.4 kW——ちょうど \(1/3\) です。機械科目でも同じ計算が問われます。

深掘り③:どちらの結線を選ぶかは何で決まるか

同じ負荷でも、YとΔのどちらでつなぐかで動作が変わります選択の基準を整理しておきましょう。

観点Y結線が有利Δ結線が有利
1相の電圧低くて済む(絶縁が楽)高い電圧が必要
1相の電流線電流と同じ線電流より小さい
中性点取り出せる(接地できる)ない
第3高調波中性線に集中内部を循環して外に出ない

変圧器ではΔ-Y結線がよく使われますΔ側で第3高調波を循環させて外に出さず、Y側で中性点を接地——両方の長所を取る組合せです。

負荷側では、同じ電源で大きな電力が欲しければΔ電圧を抑えたければY——本問はまさにその比較を計算させています。

⏱️ 本番での進め方
❶ 相電圧÷相電流でインピーダンス——\(\sqrt3\) が約分されることが多い。
❷ 力率0.8なら 12:9:15——3:4:5 の暗記で計算不要。
❸ 「電源の相電圧」はY電源なら線間の \(1/\sqrt3\)——結線を確認。
❹ Δ負荷の電力はY負荷の3倍——スターデルタ始動の原理。

💡 覚え方
\(\sqrt3\) は「電源側で1回、負荷側で1回」——本問はY電源+Δ負荷なので両方で働きます回路図の左から右へ順にたどれば、掛け忘れも掛けすぎも起きません

★重要:令和5年度下期にそのまま再出題された

令和5年度下期B問題15は、本問と完全に同一の問題です。数値も選択肢の並びも、正答番号(a)(3)(b)(4)まですべて同じ——17年の時を経ての再出題でした。

本問(平成18年度 B問題15)令和5年度下期 B問題15
(a) の条件Y結線・線間210 V・線電流 \(14/\sqrt3\) A・力率80 %完全に同一
(b) の条件Δ結線・電源の相電圧200 V完全に同一
選択肢 (a)4/5/9/12/15並びも同じ
選択肢 (b)8/11.1/13.9/19.2/33.3並びも同じ
正答番号(a)(3) (b)(4)(a)(3) (b)(4)

当サイトで確認している「完全同一ペア」はこれで4組目です。B問題は作問コストが高いため、良問がそのまま再利用される——古い年度の過去問こそ次に出る可能性があると考えてください。

⚠️ よくある間違い
「平成18年度は20年近く前だから飛ばそう」という判断は危険です。原理を問う良問は色あせません特にY・Δの比較のような基本テーマは、繰り返し出題されます。

出題履歴:Y・Δのつなぎ替えは定番

同じ負荷を結線し直して比較させる出題は、三相交流の核心を突く良問です。「Δにすると電力3倍」という結論を、計算で導けるようにしておくことが大切です。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

あわせて解いておきたい記事:【理論】令和5年度下期B問題15(完全に同一の問題)

まとめ

(a)|Z|(210/√3)/(14/√3)=15Ω
(a)X15×0.6=9Ω …(3)
(b)Δ枝線間346V,枝電流23.1A
(b)P3×23.1²×12≒19.2kW …(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・Δ結線と三相電力:【理論】平成21年度B問題16

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