三相交流23【電験3種 理論】三相負荷の有効・無効電力から負荷電流とコンデンサ容量を求める!平成19年度 B問題15 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(三相交流) 平成19年度 B問題15 電力から電流を逆算!力率改善のC容量まで一気に

今回は平成19年度 理論科目 B問題15を解説します。線間電圧200V・周波数50Hzの対称三相電源に抵抗RとコイルLからなる平衡三相負荷を接続し、有効電力P=2.4kW・無効電力Q=3.2kvarのとき、(a)負荷電流と、(b)各線間にコンデンサC(Δ接続)を入れて力率を1にするCの容量を求めるB問題です。

(a)は皮相電力S=√(P²+Q²)から線電流I=S/(√3×V)。(b)は力率1にするため、Δ接続コンデンサの進み無効電力Q_Cを負荷の遅れ無効電力Q=3.2kvarに等しくします。Δコンデンサには線間電圧200Vがかかるので Q_C=3V²ωC。

目次

平成19年度 理論科目 B問題15:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 三相交流 平成19年度 B問題15 問題文
平成19年度 理論科目 B問題15 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題15

電験3種 理論科目 【電気回路(三相交流)】 平成19年度 B問題15

 線間電圧200V、周波数50Hzの対称三相交流電源に、抵抗RとコイルLからなる平衡三相負荷を接続したところ、有効電力はP=2.4kW、無効電力はQ=3.2kvarであった。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)負荷電流の大きさ〔A〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)2.3 (2)4.0 (3)6.9 (4)9.2 (5)11.5〔A〕

(b)各線間に同じ静電容量のコンデンサCをΔ接続して、電源からみた力率を1にした。静電容量Cの値〔μF〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)48.8 (2)63.4 (3)84.6 (4)105.7 (5)146.5〔μF〕

出題のポイント:電力の三角形から電流を出す

与えられているのは有効電力 \(P=2.4\ \mathrm{kW}\) と無効電力 \(Q=3.2\ \mathrm{kvar}\)——回路の素子値は一切与えられていません

それでも電流は求まります\(P\) と \(Q\) から皮相電力 \(S\) が出て、\(S=\sqrt3V_lI_l\) から電流が逆算できる——電力の三角形が使えるからです

電力の三角形
$$S=\sqrt{P^{2}+Q^{2}},\qquad S=\sqrt3\,V_lI_l$$

\(P\)、\(Q\)、\(S\) は直角三角形をなします力率は \(\cos\phi=P/S\)

\(2400\) と \(3200\) は \(3:4\) です。だから \(S=4000\ \mathrm{V\!\cdot\!A}\)(\(5\) にあたる)——またしても3:4:5で、電卓なしで求まります

有効電力2.4キロワットと無効電力3.2キロバールから皮相電力4.0キロボルトアンペア、三相負荷電流11.55アンペア、力率0.6を導く解説
PとQの電力三角形からS=4.0kVA、I=S/(√3V)=11.55Aを求めます。(a)は選択肢5です。

(a) の解説:3:4:5 で皮相電力を出す

$$S=\sqrt{2400^{2}+3200^{2}}=\sqrt{5760000+10240000}=4000\ \mathrm{V\!\cdot\!A}$$
❶ 皮相電力
3:4:5
$$S=\sqrt3\,V_lI_l\ \Rightarrow\ I_l=\frac{S}{\sqrt3V_l}=\frac{4000}{\sqrt3\times200}$$
❷ 電流を逆算
$$I_l=\frac{4000}{346.4}\fallingdotseq11.55\ \mathrm{A}$$
❸ 計算

❶で \(2400:3200=3:4\) に気づけば、\(S=4000\) は暗算です。\(800\times(3,4,5)=(2400,3200,4000)\)——800倍の3:4:5になっています。

力率は \(\cos\phi=\dfrac{2400}{4000}=0.6\) です。遅れ力率0.6の誘導性負荷——実務でもよく見る値です。

力率1では無効電力を相殺すること、デルタ結線の3個のコンデンサに各200ボルトが加わり合計進み無効電力が3オメガCV二乗になることを回路図付きで示す解説
Δ結線の各コンデンサには線間電圧200Vが加わります。合計の進み無効電力は3ωCV²です。
答え(a) \(I\fallingdotseq11.5\ \mathrm{A}\) → 選択肢(5)

(b) の解説:無効電力をコンデンサで打ち消す

力率を1にするには、負荷の遅れ無効電力3200 varを、コンデンサの進み無効電力で完全に打ち消しますコンデンサはΔ接続なので、各コンデンサには線間電圧200 Vがかかります

$$Q_C=3V_l^{2}\omega C=3\times200^{2}\times2\pi\times50\times C$$
❶ Δコンデンサの無効電力
線間電圧を使う
$$3200=3\times40000\times314.2\times C$$
❷ 等しいと置く
$$C=\frac{3200}{3.77\times10^{7}}\fallingdotseq8.5\times10^{-5}\ \mathrm{F}=85\ \mu\mathrm{F}$$
❸ 容量
最も近いのは84.6

計算値は約84.9 µFで、選択肢(3)の84.6 µFが最も近い値です。選択肢を代入して \(Q_C\) を計算し直すと約3190 var——3200 varにほぼ一致します。

もしY結線なら、各コンデンサにかかるのは \(200/\sqrt3=115.5\ \mathrm{V}\) なので、必要な容量は3倍の約255 µFになります。Δのほうが小さな容量で済む——だから進相コンデンサはΔ結線が主流です。

3.2キロバールを3200バールへ換算し1個あたりの静電容量84.9マイクロファラドを導き、選択肢3の84.6マイクロファラドを逆算検証する解説
C=3200/{3×2π×50×200²}=84.9μFです。最も近い84.6μFの選択肢3を式へ戻すと約3.2kvarとなります。
答え(b) \(C\fallingdotseq84.6\ \mu\mathrm{F}\) → 選択肢(3)

誤答の正体:選択肢から逆算して確かめる

各選択肢の容量で、どれだけの無効電力が出るかを計算すれば、正解が一目で分かります

選択肢\(C\)〔µF〕\(Q_C=3\omega CV_l^{2}\)〔var〕判定
(1)48.81840×(不足)
(2)63.42390×(不足)
(3)84.63190◎(3200に一致)
(4)105.73985×(過剰)
(5)146.55523×(過剰)

(4)105.7 µFは \(1.25\) 倍(2)63.4 µFは \(0.75\) 倍——いずれも中途半端な値です。3200 varぴったりを作れるのは(3)だけです。

⚠️ よくある間違い
Y結線で計算すると約255 µFとなり、選択肢のどれとも合いません「合う選択肢がない」と気づいたら、コンデンサの結線を疑ってください

☝️ ひっかけの作り方:「力率を1にする」=「無効電力をゼロにする」です。「力率を0.9にする」なら、必要な \(Q_C\) は \(Q-P\tan(\cos^{-1}0.9)\)——全部は打ち消しません問題文をよく読むことが大切です。

深掘り①:素子値が分からなくても解ける理由

本問には \(R\) も \(L\) も与えられていませんそれでも解けるのは、電力の情報だけで十分だからです。試しに素子値を逆算してみましょう

$$Z_Y=\frac{V_l/\sqrt3}{I_l}=\frac{115.5}{11.55}=10\ \Omega$$
❶ Y等価の1相インピーダンス
$$R=Z\cos\phi=10\times0.6=6\ \Omega,\quad X=10\times0.8=8\ \Omega$$
❷ 成分に分ける
6:8:10
$$P=3I^{2}R=3\times133.3\times6=2400\ \mathrm{W}$$
❸ 検算
一致 ✓

\(6+j8\)、大きさ10 Ω——やはり3:4:5です。電験の三相問題は、ほぼ例外なくこの三角形で作られています。

素子値が分かれば \(Q=3I^{2}X=3\times133.3\times8=3200\ \mathrm{var}\)——問題文の条件を再現できます。電力から入っても素子から入っても、同じ回路にたどり着くわけです。

深掘り②:力率改善の効果を数字で確認する

コンデンサを入れると何がどう変わるかを、本問の数値で整理しておきましょう。

改善前改善後(力率1)
有効電力 \(P\)2400 W2400 W(不変)
無効電力 \(Q\)3200 var0 var
皮相電力 \(S\)4000 V·A2400 V·A
力率0.61.0
線電流11.55 A6.93 A

電流が11.55 Aから6.93 Aへ、4割も減ります送電線の損失は電流の二乗に比例するので、損失は \(0.6^{2}=0.36\)、つまり64 %も削減できます。

負荷の枝には相変わらず11.55 Aが流れています減るのは電源から見た電流だけ——無効電流はコンデンサと負荷の間を循環しているのです。

電気料金の力率割引は、この効果に対する対価です。力率が良い需要家は電力会社の設備を効率よく使うので、基本料金が割引されます

深掘り③:必要なコンデンサ容量の一般式

「力率を \(\cos\phi_1\) から \(\cos\phi_2\) に改善したい」という実務的な問題では、必要な無効電力を先に求めます

必要なコンデンサ容量
$$Q_C=P(\tan\phi_1-\tan\phi_2),\qquad C=\frac{Q_C}{3\omega V_l^{2}}\ (\Delta\text{結線})$$

力率1にするなら \(\tan\phi_2=0\) なので \(Q_C=P\tan\phi_1=Q\)——本問の場合です。

$$\tan\phi_1=\frac{0.8}{0.6}=1.333$$
❶ 改善前の tan
力率0.6
$$Q_C=2400\times1.333=3200\ \mathrm{var}$$
❷ 必要な無効電力
問題の値と一致 ✓

力率を0.9までにしたい場合なら、\(\tan\phi_2=\dfrac{\sqrt{1-0.81}}{0.9}=0.484\)\(Q_C=2400\times(1.333-0.484)=2038\ \mathrm{var}\)——必要な容量は約54 µFと小さくて済みます。

実務では力率1を狙いません負荷が軽いときに進み過ぎて電圧が上がるおそれがあるためで、0.95〜0.99程度に収めるのが一般的です。

⏱️ 本番での進め方
❶ \(P\) と \(Q\) から \(S=\sqrt{P^{2}+Q^{2}}\)——3:4:5 なら暗算。
❷ \(I=S/(\sqrt3V_l)\)——皮相電力から電流を逆算。
❸ Δコンデンサは \(Q_C=3\omega CV_l^{2}\)——線間電圧を使う。
❹ 選択肢を代入して \(Q_C\) を再現——最も確実な検算。

💡 覚え方
\(2400\) と \(3200\) を見たら \(3:4\)——\(S=4000\) が即座に出ます電験の交流問題は3:4:5 で作られていると思って数字を眺めると、計算がぐっと速くなります

出題履歴:力率改善は毎年のように問われる

進相コンデンサの容量計算は、理論・電力の両科目で頻出です。無効電力を求める→打ち消す容量を出すという2段階さえ押さえれば、数値が変わっても確実に解けます

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

あわせて解いておきたい記事:【理論】平成25年度B問題15(コイルの無効電力をコンデンサで打ち消す)【理論】令和6年度下期B問題15(力率1にするコンデンサ)

まとめ

S√(2400²+3200²)=4000VA
(a)I4000/(√3×200)≒11.5A …(5)
Q_C=Q=3200=120000ωC
(b)C≒84.6μF …(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・三相の力率改善(Δコンデンサ):【理論】平成25年度B問題15

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