今回は平成27年度 機械科目 B問題17を解説します。T=0.2s、K=10としたフィードバック接続ブロック線図から、全体の周波数伝達関数W(jω)を求める(a)と、そのボード線図のゲイン特性を選ぶ(b)の2段構成です。
(a)は単位フィードバックの閉ループ公式でW(jω)=K/(1+jωT)の形に整理します。(b)は低域ゲイン20log10K〔dB〕と折れ点角周波数1/T=5〔rad/s〕の2点を読み取れば選択肢を絞り込めます。
平成27年度 機械科目 B問題17:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題17
電験3種 機械科目 【自動制御】 平成27年度 B問題17
図に示すように,フィードバック接続を含んだブロック線図がある。このブロック線図において,T=0.2s,K=10としたとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし,ωは角周波数[rad/s]を表す。
(a)入力をR(jω),出力をC(jω)とする全体の周波数伝達関数W(jω)として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)10/(1+j0.2ω) (2)1/(1+j0.2ω) (3)1/(1+j5ω) (4)50ω/(1+j5ω) (5)j2ω/(1+j0.2ω)
(b)(a)で求めた周波数伝達関数W(jω)のボード線図のゲイン特性として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。実線が正確な特性、破線が折線近似特性を表す。
(1)20dBから始まり折れ点角周波数ω=5で-20dB/decの下り
(2)20dBから始まり折れ点角周波数ω=0.2で-20dB/decの下り
(3)0dBから始まり折れ点角周波数ω=5で-20dB/decの下り
(4)0dBから始まり折れ点角周波数ω=0.2で-20dB/decの下り
(5)0dBから始まり折れ点角周波数ω=0.5で-20dB/decの下り

出題のポイント:閉ループにすると K はどうなるか
(a)は閉ループ伝達関数を求める問題です。本問では K が分子に残ります——前問の構成とは違うので、公式を機械的に当てはめるのではなく式で確かめましょう。
K=10、T=0.2
分子に K=10 が残る形になりました。これが分かれば(b)のボード線図はすぐ描けます。


(b) ボード線図を読み取る2つの数値
K/(1+jωT) の形なら、必要な数値は2つだけです。低域ゲインと折れ点角周波数——これで選択肢が一つに決まります。
★K が分子にあるので0 dB ではない
★T の逆数
| 要素 | 低域のゲイン | 折れ点角周波数 | 高域の傾き |
| 比例 K | 20log10K dB(一定) | なし | 0(水平のまま) |
| 一次遅れ 1/(1+jωT) | 0 dB | 1/T | −20 dB/dec |
| K/(1+jωT) | ★20log10K dB | 1/T | −20 dB/dec |
| 積分 1/(jωT) | —(右下がり一直線) | なし | −20 dB/dec |

⚠️ よくある間違い
折れ点を「0.2」としている選択肢はT をそのまま答えたもの——折れ点は時定数の逆数です。
低域を「0 dB」としている選択肢はK を見落としたもの——分子に K があれば 20log10K です。
K=10 なら20 dB、K=100 なら40 dB——「10倍で20 dB」という関係を覚えておけば暗算できます。
dB の感覚を身につける
ボード線図の問題では、20log10K の計算が頻出します。よく出る値を覚えておくと速いでしょう。
| K | 20log10K | 覚え方 |
| 1 | 0 dB | 基準 |
| √2 | 3 dB | 電力が2倍=折れ点 |
| 2 | 6 dB | 倍で6 dB |
| 10 | ★20 dB | 10倍で20 dB |
| 100 | 40 dB | 10倍ごとに20 dB |
「10倍で20 dB、2倍で6 dB」——この2つを覚えておけば、たいていの値は組み合わせで出せます。たとえば K=20 なら 20=10×2 なので 20+6=26 dBです。
−20 dB/dec という傾きも同じ考え方。「dec」は10倍(decade)——周波数が10倍になるとゲインが1/10(−20 dB)になるという意味です。
「oct」(オクターブ=2倍)で表せば −6 dB/oct——同じ傾きを別の単位で言っているだけです。電験では dec が使われるのが普通になっています。
⏱️ 本番での進め方
①(a) 閉ループ公式で整理。分子に K が残るか確認。
②(b) 低域ゲイン=20log10K=20 dB。
③ 折れ点=1/T=1/0.2=5 rad/s。★逆数。
④ 2つの数値だけで選択肢が決まる。
💡 覚え方
「K/(1+jωT) は 20log10K dB から始まり 1/T で折れる」——ボード線図の問題はこの形がほとんど。そして「10倍で20 dB」——これだけ覚えておけば計算に困りません。

開ループと閉ループでボード線図はどう変わるか
本問は閉ループのボード線図でした。開ループのものと比べておくと、両者の関係が見えてきます。
| 開ループ(一巡) | 閉ループ | |
| 低域ゲイン | 大きい(K に比例) | ★1 に近づく(0 dB)か、K/(1+K) |
| 帯域幅 | 狭い | ★広がる |
| 用途 | 安定判別 | 応答の評価 |
フィードバックをかけると、ゲインは下がるが帯域は広がる——「ゲイン帯域幅積は一定」という関係になります。ゲインを犠牲にして速さと安定さを買っているわけです。
本問では閉ループでも低域ゲインが20 dB 残りました——K が分子に残る構成だったからです。単位フィードバックで前向きが K だけなら K/(1+K) になる——ブロック線図の構成しだいで結果が変わる点に注意してください。
ゲイン交差周波数と位相余裕
開ループのボード線図で重要なのが、ゲインが0 dB を横切る周波数です。ゲイン交差周波数と呼ばれます。
その周波数での位相が −180°からどれだけ離れているか——これが位相余裕。一般に40〜60°あれば良好とされます。
位相余裕が小さいと、応答が振動的になります——0°なら発振。ボード線図から安定性の「余裕」まで読み取れるのが、この図が広く使われている理由です。
B問題は(a)を落とすと(b)も落ちる
本問のようなB問題では、(a)の結果を(b)で使います——(a)を間違えると(b)も連鎖して失点する構造です。
だから(a)は必ず検算してください。本問なら「ω=0 を代入して10 になるか」——直流ゲインが K=10 になるはずだと確かめられます。
| 検算の方法 | 本問での確認 |
| ω→0(直流) | W=10。低域ゲイン20 dB と整合 |
| ω→∞ | W→0。高域で減衰する形と整合 |
| 次数 | 分母が一次=折れ点は1つ |
(b)の選択肢から(a)を逆算するという手もあります。「20 dB から始まりω=5 で折れる」なら K=10、T=0.2——(a)の答えと一致するのが確かめられます。
2つの設問が同じ内容を別の形で聞いている——互いに検算に使えるのがB問題の構造です。時間があれば必ず突き合わせるようにしてください。
まとめ
| W(jω) | 10/(1+j0.2ω) |
| 低域ゲイン | 20dB |
| 折れ点角周波数 | 1/T=5 rad/s |
| 答え | (a)-(1),(b)-(1) |
▼あわせて解きたい関連問題
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