今回は令和7年度下期 機械科目 A問題13を解説します。ブロック線図から合成周波数伝達関数 C(jω)/R(jω) を求める問題です。
必要な知識は「並列は足し引き」と「閉ループは(前向き)÷(1+一巡)」の2つだけ。G1とG2は同じ点から分岐して同じ加合点に戻る=並列なので、まとめると G1−G2(第2加合点でG2側が−)。あとはG3による負帰還を公式に当てはめるだけです。
出題のポイント

令和7年度下期 機械科目 A問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題13
電験3種 機械科目 【自動制御】 令和7年度下期 A問題13
図のブロック線図で示す制御系において,R(jω)とC(jω)間の合成周波数伝達関数 C(jω)/R(jω) を示す式として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ.
図のブロック線図で示す制御系において、R(jω)とC(jω)間の合成周波数伝達関数 C(jω)/R(jω) を示す式として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) G1G3 / (1+G1G2G3)
(2) G1G2 / (1+G1G2G3)
(3) (G1−G2) / (1+G1G3−G2G3)
(4) (G1+G2+G1G2) / (1+G2+G1G2G3)
(5) G1 / (1+G1G2+G1G3)

ポイント解説:まず並列をまとめ、次に負帰還の公式へ
ブロック線図の問題は「線をたどって式を1本立てる」だけで必ず解けます。コツは加合点の出力に文字を置くこと。ここでは第1加合点の出力を E と置きます。
図をよく見ると、E は分岐点で2本に分かれ、片方は G1、もう片方は G2 を通り、どちらも第2加合点に入っています。同じ信号から出て同じ加合点に戻る=並列結合です。
並列結合はブロックを足し引きする——直列(縦続)なら掛け算ですが、並列は足し算です。第2加合点で G1 側が+、G2 側が− なので、2つ合わせて G1 − G2 という1つのブロックになります。
これで図は「前向き経路 (G1−G2)、帰還経路 G3 の単純な負帰還ループ」に化けました。あとは公式 C/R = (前向き)/(1+一巡) に入れるだけです。一巡伝達関数 = (G1−G2)G3。
C/R = (G1−G2) / {1+(G1−G2)G3} = (G1−G2)/(1+G1G3−G2G3)——答えは(3)です。分母を展開した形で選択肢に並んでいるので、自分の答えも展開して見比べてください。
問題の解説
STEP1 加合点の出力に文字を置く
第1加合点の出力を E とすると、E = R − G3C(G3 は C を負帰還)。
STEP2 G1とG2が並列であることを見抜く
E は分岐点で2本に分かれ、G1 と G2 を別々に通って同じ加合点に戻る。
第2加合点は G1側が+、G2側が− ⇒ C = G1E − G2E = (G1−G2)E。
並列は足し引き、直列(縦続)は掛け算——ここを混同しないこと。
STEP3 式を1本にまとめる
C = (G1−G2)(R − G3C)。
展開して C + (G1−G2)G3C = (G1−G2)R。
STEP4 C/R を求める
C{1+(G1−G2)G3} = (G1−G2)R。
C/R = (G1−G2)/(1+G1G3−G2G3) ⇒ (3)。
STEP5 検算する
G2=0 と置くと G1/(1+G1G3) ⇒ ごく普通の負帰還の形になり妥当。
G3=0(帰還なし)と置くと G1−G2 ⇒ 並列だけが残り妥当。
特別な値を代入して既知の形に戻るかを見るのが、ブロック線図の最良の検算です。
答え:(3)
💡 覚え方
ブロック線図は3つの型だけ覚える。①直列(縦続)=掛け算 G1G2/②並列=足し引き G1±G2/③帰還=(前向き)÷(1±一巡)(負帰還なら+、正帰還なら−)。手順は「加合点の出力に文字を置く → 内側の並列をまとめる → 帰還の公式」。検算はG2=0 や G3=0 を代入して簡単な形に戻るかを確認するのが速くて確実です。
⚠️ よくある間違い
①並列を掛け算にしてしまうのが最大の誤りで、(2) G1G2/(1+G1G2G3) がこれに当たります。G1 と G2 が縦続につながっていると読むとこの形になりますが、図では両方とも同じ分岐点から出発しています。「分岐点から出て同じ加合点に入る=並列=足し引き」です。
②G2を帰還経路と読み違える:(5) G1/(1+G1G2+G1G3) は、G2もG3と同じくCから第1加合点へ戻る帰還だと読んだときの答えです。矢印の向きを必ず確認してください。G2は左から右へ(前向き)、G3だけが右から左へ(帰還)です。
③G2とG3を取り違える:(1) G1G3/(1+G1G2G3) は、前向きをG1G3、帰還をG2 と入れ替えた形です。図の上下の位置と矢印で役割を確定させましょう。
④符号を+にしてしまう:第2加合点はG2側が「−」です。ここを+にすると分子が G1+G2 になり、答えが選択肢に無くなります。(4) は符号と構成をまとめて誤ったときに出る形で、分子に G1G2 という並列では出てこない積の項が入っている時点で不自然だと気づけます。
⑤帰還の分母の符号:負帰還なら分母は 1+(一巡)、正帰還なら 1−(一巡)です。第1加合点が「−」なので負帰還=プラス。ここを逆にすると系が発散する式になってしまいます。
ブロック線図の3つの結合を整理する
ブロック線図は、3つの結合の組合せでできています。この3つさえ押さえれば、どんな図も解けます。
| 結合 | 見分け方 | 合成 |
| 直列(縦続) | 信号が順に通る | 掛け算 G1G2 |
| 並列 | ★同じ点から分かれ、同じ加合点に戻る | 足し引き G1±G2 |
| 帰還 | 出力側から入力側へ戻る | G/(1+GH) |
並列と帰還を見分けるコツは、「信号が戻ってくるか、前へ進むか」です。並列は両方とも前へ進んで合流する——帰還は後ろへ戻る。
本問では G1 と G2 がどちらも前へ進んで第2加合点で合流——だから並列。G3 だけが後ろへ戻っているので帰還です。
符号を落とさない
加合点の符号は必ず図で確認してください。本問では G2 側が「−」——だから並列の合成は G1−G2 になります。
もし「+」だと思い込むと G1+G2——選択肢のどれにも当てはまらなくなります。答えが選択肢にないときは、まず符号を疑うとよいでしょう。
帰還の符号も同じです。負帰還なら分母が 1+GH、正帰還なら 1−GH——矢印と符号を一つずつ確かめるのが確実な進め方になります。
答えが選択肢にないときの見直し方
ブロック線図の問題で「自分の答えが選択肢にない」——よくあることです。見直す順序を決めておくと早く原因にたどり着けます。
| 確認する順 | 何を見るか | よくある原因 |
| ① | 加合点の符号 | ★+と−の取り違え |
| ② | 分岐点の位置 | 帰還をどこから取るか |
| ③ | 式の展開の仕方 | 選択肢が展開済みの形かもしれない |
③も意外に多い——自分の答えが (G1−G2)/(1+(G1−G2)G3) でも、選択肢では分母が展開されていることがあります。
本問の(3)がまさにそれ——分母が 1+G1G3−G2G3 と展開されています。自分の式も展開して見比べるのを忘れないでください。
逆に、選択肢のほうを因数分解してみるのも手です。1+G1G3−G2G3=1+(G1−G2)G3——くくり出せば自分の式と同じ形になると確認できます。
まとめ
| 直列(縦続)結合 | 掛け算:G_1G_2 |
| 並列結合 | 足し引き:G_1±G_2(分岐点から出て同じ加合点に戻る) |
| 帰還結合 | (前向き)/(1+一巡) ※負帰還なら分母は+ |
| 本問の並列部 | 第2加合点でG_2側が− ⇒ G_1−G_2 |
| 本問の一巡伝達関数 | (G_1−G_2)G_3 |
| 合成伝達関数 | C/R=(G_1−G_2)/(1+G_1G_3−G_2G_3) |
| 検算 | G_2=0 → G_1/(1+G_1G_3)、G_3=0 → G_1−G_2 |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・三相整流装置の損失と出力電圧(パワエレ54):【機械】令和7年度下期 B問題16
・パワー半導体デバイスの定常動作(パワエレ53):【機械】令和7年度下期 A問題10

コメント