今回は令和7年度下期 機械科目 B問題17を解説します。問18との選択問題で、完全拡散性の無限長直線光源について光束発散度(a)と直下の水平面照度(b)を求めます。
(a)は「光束発散度=光束÷発散する面積」という定義どおり。円筒の側面積は πD(直径そのものではない)に注意します。(b)は無限長直線光源の直下照度 E=F′/(2πh) という形になり、管径Dが消えて高さだけで決まるのが面白いところです。
出題のポイント

令和7年度下期 機械科目 B問題17:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題17
電験3種 機械科目 【照明】 令和7年度下期 B問題17
管径36mmの完全拡散性無限長直線光源を床面上3mの高さに床面と平行に配置した.光源からは単位長当たり3000lm/mの光束を一様に発散しているものとして,次の(a)及び(b)に答えよ.
(a)直線光源の光束発散度M[lm/m2]の値として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ.
(b)光源直下の床面の水平面照度Eh[lx]の値として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ.
管径36mmの完全拡散性無限長直線光源を床面上3mの高さに床面と平行に配置した。光源からは単位長当たり3000lm/mの光束を一様に発散しているものとして、次の(a)及び(b)に答えよ。
(a)直線光源の光束発散度M[lm/m2]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)83.3×103 (2)4.2×103 (3)8.4×103 (4)26.5×103 (5)74.7×103 lm/m2
(b)光源直下の床面の水平面照度Eh[lx]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)333 (2)318 (3)239 (4)159 (5)80 lx
ポイント解説:光束発散度は「÷面積」、直下照度は「÷2πh」
光束発散度 M は「面から出ていく光束を、その面の面積で割った量」です。単位が lm/m2 であることが定義そのものを表しています(照度も同じ lm/m2 ですが、照度は入ってくる光、光束発散度は出ていく光という違いがあります)。
本問の光源は管(円筒)です。単位長さ1mあたりの側面積は πD = π×0.036 = 0.1131 m2。ここから 3000 lm が出ているので、M = 3000/0.1131 = 26 526 ≒ 26.5×103 lm/m2——(a)の答えは(4)です。円周は πD であって D ではないことだけ気をつければ、割り算1回で終わります。
(b)は少し考えどころです。点光源の逆2乗の法則 E=I/h2 は、直線光源には使えません。無限に長い光源は遠くの部分からも光が届くため、距離が伸びても点光源ほど暗くならないのです。
実際に積分すると、無限長直線光源の直下照度は E = F′/(2πh) という形になります(F′ は単位長さ当たりの光束、h は高さ)。距離の1乗に反比例——点光源の2乗とは違うのがポイントです。しかも管径Dは完全に消えます。太い管でも細い管でも、単位長さ当たりの光束が同じなら直下の照度は同じ、という直感に合う結果です。
数値を入れると Eh = 3000/(2π×3) = 3000/18.85 = 159.2 lx。(b)の答えは(4)です。2πh = 2π×3 ≒ 18.8 と押さえておけば、3000 を割るだけの暗算で片づきます。
問題の解説
STEP1 (a)単位長さ当たりの発光面積を求める
光源は管(円筒)⇒ 1 m 当たりの側面積 = πD。
π × 0.036 = 0.1131 m2(36 mm = 0.036 m の単位換算を忘れずに)。
STEP2 (a)光束を面積で割る
M = 光束 / 面積 = 3000/0.1131 = 26 526 lm/m2。
≒ 26.5×103 ⇒ (4)。
STEP3 (b)直線光源の直下照度の式を思い出す
点光源なら E=I/h2 だが、無限長直線光源では E = F′/(2πh)。
距離の1乗に反比例し、管径 D にはよらない。
理由:無限に長いので遠方の部分からも光が届き、点光源ほど急には暗くならない。
STEP4 (b)数値を代入する
Eh = 3000/(2π×3) = 3000/18.85。
= 159.2 lx ⇒ (4)。
STEP5 式の形を確かめる(導出の骨子)
輝度 L = M/π = F′/(π2D)(完全拡散面)。
微小長さ dx の投影面積は D dx·(h/r)、そこからの照度は dE = L D h2dx/r4。
∫dx/(x2+h2)2 = π/(2h3) より E = πLD/(2h) = F′/(2πh) ⇒ D が約分で消える。
答え:(a)-(4),(b)-(4)
💡 覚え方
光束発散度 M = 光束 ÷ 発散面積。管なら1 m 当たりの面積は πD(Dそのものではない)。完全拡散面ではM = πL(輝度の π 倍)。無限長直線光源の直下照度は E = F′/(2πh)——距離の1乗に反比例し管径によらない。点光源の E=I/h2(2乗に反比例)との違いを必ずセットで覚えること。2π×3 ≒ 18.8 と数値を持っておくと速いです。
⚠️ よくある間違い
【(a)の誤答】
・(1) 83.3×103=3000/0.036。円周 πD ではなく直径 D で割った値です。「管の表面積」は円周×長さ——円周は πD です。
・(3) 8.4×103=26.5×103/π。π で余分に1回割った値で、M = πL の関係を逆向きに使ってしまった形です。求めるのは光束発散度 M であって輝度 L ではありません。
・(2) 4.2×103=26.5×103/(2π)。立体角 2π と混同して余分に割った値です。(5) 74.7×103も面積の作り方を誤ったときに出る値で、明快な単独の誤算には対応しません。面積は πD = 0.113 m2、3000 をこれで割れば 2万台後半——桁の見当だけで(2)(3)は外せます。
【(b)の誤答】
・(1) 333=3000/32。点光源の逆2乗の法則をそのまま使った値で、これが最大の落とし穴です。無限長直線光源は距離の1乗に反比例します。
・(2) 318=3000/(π×3)。分母の 2 を落とした値。2πh の 2 を忘れるとちょうど2倍になります。
・(3) 239=3000/(4π)。高さ h を入れ忘れ、球の立体角 4π で割った値です。
・(5) 80=3000/(4π×3)。2πh のところを 4πh としたもので、点光源の全立体角 4π を引きずった形です。
なお(a)で使った管径36 mm は(b)では一切使いません。「与えられた数値は全部使うはず」と思い込んで D を式に入れようとすると迷子になります。本問は問18との選択問題で、両方解答すると採点されません。
光源の形と距離の効き方
本問で「点光源の逆二乗則は使えない」とありました——その理由を、光が広がる面の形から整理しておきましょう。
| 光源の形 | 光が広がる面 | 照度の減り方 |
| 点光源 | 球面(4πr2) | ★1/r2 |
| ★無限長の線光源 | ★円筒面(2πr) | ★1/r |
| 無限に広い面光源 | 広がらない | 距離によらず一定 |
光が薄まる面の面積が、そのまま照度の減り方を決めます——球なら r の2乗、円筒なら r の1乗、平面なら r によらない。次元が1つずつ下がっていくと考えれば覚えやすいでしょう。
だから E=F′/(2πh) という式は、「単位長さ当たりの光束が、半径h の円筒側面に一様に広がる」——それだけの意味です。積分しなくても、この見方で式が書けます。
横へずれた点は cos の2乗
★点光源はcos3θ
点光源では cos3θ でしたが、線光源は cos2θ——距離の効き方が1乗ぶん小さいからです。
3 m 横へずれた点なら cos2θ=0.5——159.2×0.5=80 lx。点光源なら0.354倍まで落ちるところ、線光源は半分で済みます。
細長い光源が廊下や通路に向いているのは、この性質があるから——横方向まで明るさが届くのです。
同じ問題が19年前にも出ている
本問とまったく同じ数値の問題が平成18年度 B問題17にあります——管径36 mm、高さ3 m、3,000 lm/m。すべて一致します。
| 平成18年度 | ★令和7年度下期(本問) | |
| (a) 26.5×103 | 選択肢(3) | ★選択肢(4) |
| (b) 159 lx | 選択肢(2) | ★選択肢(4) |
値は同じでも選択肢の番号が違う——過去問の答えを番号で覚えていると外します。覚えるべきは「26.5×103 と159 lx」という値のほうです。
平成18年度の記事はこちら(照明:無限長直線光源の光束発散度と直下の水平面照度)。19年ぶりの再出題でした。
まとめ
| 光束発散度の定義 | M=面から出る光束÷その面積 [lm/m²] |
| 完全拡散面の関係 | M=πL(Lは輝度) |
| 管の単位長さ当たり面積 | πD=π×0.036=0.1131 m² |
| (a)光束発散度 | M=3000/0.1131=26.5×10³ lm/m² …… (4) |
| 無限長直線光源の直下照度 | E=F′/(2πh)(距離の1乗に反比例・Dによらない) |
| 点光源との違い | 点光源は E=I/h²(2乗に反比例) |
| (b)直下照度 | E=3000/(2π×3)=159 lx …… (4) |
| 答え | (a)-(4),(b)-(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・積分要素の負帰還とボード線図(自動制御27):【機械】令和7年度下期 B問題18
・ブロック線図の合成周波数伝達関数(自動制御26):【機械】令和7年度下期 A問題13

コメント