今回は令和4年度下期 機械科目 B問題15を解説します。抵抗R、インダクタンスL、キャパシタンスCで構成されたRLC回路の伝達関数を求める(a)と、具体的な数値を代入したボード線図を選ぶ(b)の問題です。
(a)は分圧の関係からG(jω)=1/(1-ω²LC+jωCR)を導きます。(b)はω=0、ω=1000、ω=10000での|G(jω)|の値(dB)を計算し、3点すべてに合致する選択肢を選ぶという絞り込み方が効率的です。
令和4年度下期 機械科目 B問題15:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題15
電験3種 機械科目 【自動制御】 令和4年度下期 B問題15
図は,抵抗,インダクタンス,キャパシタンスで構成されたRLC回路である。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a)入力電圧V̇iに対する出力電圧V̇oの伝達関数G(jω)(=V̇o/V̇i)を求め,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)1/(1+ω²LC+jωCR) (2)1/(1-ω²LC+jωCR) (3)√(LC)/(1+ω²LC+jωCR) (4)√(LC)/(1-ω²LC+jωCR) (5)ω²LC/(ω²LC-1-jωCR)
(b)R=1Ω,L=0.01H,C=100μFとした場合,(a)で求めた伝達関数を表すボード線図(ゲイン特性図)として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。横軸ω[rad/s](対数、100〜10000)、縦軸|G(jω)|[dB](-60〜40dB)。
(1)-20dB付近から始まり,ω=1000付近で鋭いピーク(約20dB弱)を経て,10000付近で下降
(2)-20dB付近から始まり,ω=1000付近でより高いピーク(約30dB)を経て下降
(3)-20dB付近から始まり,ω=500付近でピーク(約20dB弱),その後緩やかに下降
(4)0dB付近から始まり,ω=1000付近で小さめのピーク(約20dB弱)を経て,その後-20dB/dec的に下降
(5)0dB付近が続き,ω=1000付近から-20dB/dec的に単調下降(ピークなし)

出題のポイント:RLC直列回路は二次遅れ要素
R・L・C の3つがそろうと、二次遅れ要素になります。一次遅れとは違い、共振によるピークが現れるのが最大の特徴です。
出力はキャパシタの両端
—
★符号がマイナスになる
(jω)2=−ω2 なので、実部は 1−ω2LC——「+」ではなく「−」です。選択肢(1)(3)は「1+ω2LC」としており、この符号を誤っています。
分子は1——直流ではキャパシタが開放、リアクトルが短絡なので、入力がそのまま出力に現れるからです。選択肢(3)(4)の √(LC) は根拠がありません。


(b) 3つの数値でボード線図を決める
共振角周波数・低域ゲイン・共振の鋭さ——この3つを計算すれば選択肢が決まります。
★ピークの位置
非常に小さい=鋭い共振
Q が10 なので約20 dB
| 確認する点 | 計算値 | 選択肢の判別 |
| ω→0 のゲイン | 1(=0 dB) | ★−20 dB から始まる選択肢は落ちる |
| ピークの位置 | 1000 rad/s | ω=500 の選択肢は落ちる |
| ピークの高さ | 約20 dB | 30 dB の選択肢は落ちる |
| ピークの有無 | ある(ζ=0.05) | ピークなしの選択肢は落ちる |

⚠️ よくある間違い
「−20 dB から始まる」選択肢が3つあります——低域ゲインの計算が最初の関門です。ω→0 で分母は1 になるのだからゲインは1=0 dB——この確認だけで3肢が落ちます。
(5)はピークがない——ζ=0.05 と非常に小さいのだから、鋭いピークが必ず出ます。R が小さいほど共振が鋭い——本問の R=1 Ω はかなり小さい値です。
二次遅れ要素の性質
減衰比ζ が二次遅れ要素の性格を決めます。ζ の値でまったく違うふるまいをする——制御工学で最も重要なパラメータのひとつです。
| ζ | ボード線図 | ステップ応答 | 呼び方 |
| ζ < 0.707 | ★ピークが出る | 行き過ぎて振動する | 不足制動 |
| ζ = 0.707 | ピークなし・最も平坦 | わずかに行き過ぎ | バタワース特性 |
| ζ = 1 | なだらか | ★行き過ぎない最速 | 臨界制動 |
| ζ > 1 | 一次遅れ2つに近い | 遅い | 過制動 |
本問の ζ=0.05 は極端な不足制動——共振周波数付近では入力の10倍もの電圧がキャパシタに現れることになります。フィルタとしては使いにくいが、共振回路としては有用な特性です。
制御系としては ζ=0.7 前後が好ましいとされます。行き過ぎが小さく、しかも速い——速さと落ち着きのバランスが最もよい値だからです。
高域では −40 dB/dec で下がります——二次遅れは一次遅れの2倍の傾き。位相も最終的に180°遅れるので、フィードバックに入れると不安定になりうる要素です。
⏱️ 本番での進め方
①(a) 分圧して整理。(jω)2=−ω2 で符号がマイナス。
② 分子は1。直流でそのまま通るから。
③(b) ω0=1/√(LC)=1000 rad/s。
④ ω→0 で0 dB。ζ=0.05 なので約20 dB のピークが出る。
💡 覚え方
「RLC直列でCから取れば 1/(1−ω2LC+jωCR)」——実部のマイナスが目印。そして「ω0=1/√(LC)、ピークの高さは1/(2ζ)」——2つの数値で図が決まります。

共振の鋭さ Q という指標
本問で計算した Q=1/(2ζ)=10——共振の鋭さを表す量です。理論科目でも登場する重要な指標になります。
| Q の意味 | 内容 |
| 電圧の倍率 | ★共振時、L と C には入力の Q 倍の電圧が現れる |
| 帯域幅との関係 | 帯域幅=ω0/Q(Q が大きいほど狭い) |
| エネルギー | 蓄積エネルギー÷1周期の損失×2π |
本問なら Q=10——入力1 V に対してキャパシタには10 V が現れることになります。これが「20 dB のピーク」の正体です。
共振時にはリアクトルとキャパシタのリアクタンスが打ち消し合い、回路のインピーダンスは R だけ——だから大きな電流が流れる。その電流がキャパシタのリアクタンスに流れるので、大きな電圧が現れるのです。
フィルタとして使うなら Q が大きすぎるのは困ります——特定の周波数だけ増幅してしまうから。R を大きくして ζ を0.7 程度にするのが、平坦な特性を得るコツになります。
逆に同調回路やフィルタの選択度を上げたいなら Q は大きいほどよい——用途によって求めるものが正反対だという点が面白いところです。
まとめ
| G(jω) | 1/(1-ω²LC+jωCR) |
| ω=0 | 0dB |
| ω=1000付近 | 共振ピーク(約20dB) |
| ω=10000 | 約-40dB |
| 答え | (a)-(2),(b)-(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・ボード線図の折れ線近似から伝達関数とブロック線図を特定:【機械】令和2年度B問題17
・RC一次遅れ要素の折れ点角周波数とゲイン・位相特性:【機械】令和3年度A問題13

コメント