半導体27【電験3種 理論】不純物半導体(3価のホウ素・インジウムでp形・アクセプタ)を判別する!平成18年度 A問題11 完全解説

電験3種 理論科目 電子理論(半導体等) 平成18年度 A問題11 3価の元素でp形になる!アクセプタの正体とは?

今回は平成18年度 理論科目 A問題11を解説します。シリコン(Si)の真性半導体にホウ素(B)やインジウム(In)を加えたときの元素の価数・半導体の形・加えた不純物の呼び名を問う穴埋め問題です。

Siは4価。これに価電子が1個少ない3価のB・Inを加えると、正孔が生じてp形半導体になります。正孔を作るこの不純物をアクセプタと呼ぶことを押さえれば解けます。

目次

平成18年度 理論科目 A問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 半導体等 平成18年度 A問題11 問題文
平成18年度 理論科目 A問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題11

電験3種 理論科目 【電子理論(半導体等)】 平成18年度 A問題11

 次の文章は、不純物半導体に関する記述である。

 極めて高い純度に精製されたシリコン(Si)の真性半導体に、ホウ素(B)やインジウム(In)などの(ア)価の元素を不純物として微量だけ加えたものを(イ)形半導体といい、このとき加えた不純物を(ウ)という。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)
(1)5nドナー
(2)3pアクセプタ
(3)3nドナー
(4)5nアクセプタ
(5)3pドナー

出題のポイント:3価を加えると電子が足りなくなる

ホウ素(B)とインジウム(In)は3価です。4価のシリコンに加えると、共有結合に必要な電子が1個足りません——その「電子の穴」が正孔です。

正孔は正電荷を持つキャリヤのように振る舞いますだから positive の頭文字を取って「p形半導体」と呼ばれます。

価数と半導体の形
$$\text{3価を加える}\ \Rightarrow\ \text{電子が不足(正孔ができる)}\ \Rightarrow\ \text{p形(アクセプタ)}$$

\(\mathrm{p}\) は positive(正)の頭文字——正孔が多数キャリヤだからです。

「アクセプタ」は英語のaccept(受け取る)からです。隣の原子から電子を受け取る——その結果、隣に正孔が移るという形で正孔が動きます。

シリコン4価に対してホウ素とインジウムは3価であり、共有結合の電子不足から正孔が生まれ、p形半導体とアクセプタへつながることを示す解説
B・InはSiより価電子が1個少ないため正孔を生じ、正孔が多数キャリアのp形半導体になります。不純物名はアクセプタです。

解説:3つの空欄は連動している

空欄答え根拠
(ア)3価BもInも13族=最外殻電子が3個
(イ)p形正孔(positive)が多数キャリヤ
(ウ)アクセプタ電子を受け取る(accept)不純物

Siは隣の4個の原子と共有結合しています。3価のBが入ると、4本目の結合に電子が1個足りません——そこが「空席」=正孔になります。

正孔は実体のある粒子ではありません電子が抜けた穴ですが、隣の電子が移ってくると穴も移動する——結果として正電荷が動いているように見えます

真性シリコン結晶へ3価不純物を置換し、周囲の電子移動、正孔の移動、固定負イオンと電気的中性までを段階的に示す解説
原子が移動するのではなく、結合電子が次々に移ることで正孔が移動したように見えます。電子は電界と反対、正孔は電界と同じ向きに動きます。
3価不純物によるp形半導体と5価不純物によるn形半導体を、価電子数、多数キャリア、固定イオン、アクセプタとドナーで比較した解説
3価・p形・正孔・アクセプタと、5価・n形・電子・ドナーを電子の過不足から対比します。
答え(ア) 3価、(イ) p形、(ウ) アクセプタ → 選択肢(2)

誤答の正体:価数か、組合せの矛盾か

選択肢(ア)(イ)(ウ)判定
(1)5nドナー×(BとInは3価)
(2)3pアクセプタ
(3)3nドナー×(3価ならp形)
(4)5nアクセプタ×(矛盾)
(5)3pドナー×(p形ならアクセプタ)

(5)が最も惜しい誤答です。(ア)(イ)は正しいのに、(ウ)がドナー——「p形なのに電子を提供する」という矛盾です。

(3)は価数だけ正しいパターンです。3価なのにn形——3価は電子が足りないのだからp形です。

⚠️ よくある間違い
選択肢の中で「形」と「不純物名」が食い違っているものは、内容を知らなくても消せますn形とドナー、p形とアクセプタ——この2組以外はあり得ません

☝️ ひっかけの作り方:ホウ素(B)とインジウム(In)は同じ13族です。周期表で縦に並んでいる元素は価数が同じ——Al(アルミニウム)やGa(ガリウム)も3価で、同じくアクセプタになります。

深掘り①:n形とp形を完全に対比する

本問はp形ですが、n形とセットで覚えるのが効率的です。すべての性質が対になっています。

n形半導体p形半導体
加える不純物の価数5価3価
元素の例リン(P)・ヒ素(As)・アンチモン(Sb)ホウ素(B)・インジウム(In)・ガリウム(Ga)
不純物の呼び名ドナー(提供する)アクセプタ(受け取る)
多数キャリヤ電子(negative)正孔(positive)
少数キャリヤ正孔電子
名前の由来negative の npositive の p

「n形は電子が多い」「p形は正孔が多い」——名前の頭文字がそのまま多数キャリヤの符号です。negative と positive、それだけです。

ただし半導体全体は電気的に中性です。n形でも正味の電荷はゼロ——余った電子と、電子を失ったドナーイオン(正)が釣り合っているからです。

深掘り②:正孔とは何か

正孔は「電子が抜けた穴」です。実体のある粒子ではないのに、正電荷を持つ粒子のように扱える——この考え方が半導体理論の要です。

電子正孔
実体粒子として存在電子の空席(概念)
電荷\(-e\)\(+e\)
電界中の動き電界と逆向き電界と同じ向き
動きやすさ(移動度)大きい小さい(電子の約1/3)

正孔の移動度が電子より小さいのは、正孔の移動が「隣の電子が順に移ってくる」という間接的な過程だからです。だからp形よりn形のほうが電流を流しやすい傾向があります。

この違いはトランジスタの性能にも表れますnチャネルMOSFETのほうがpチャネルより高速——電子のほうが速く動けるからです。

深掘り③:ドーピングという技術

半導体に不純物を加えることを「ドーピング」と言います。この技術があってこそ、トランジスタもICも作れます

工程内容
熱拡散高温で不純物を表面から染み込ませる(古典的手法)
イオン注入不純物イオンを加速してぶつける(現在の主流)
エピタキシャル成長不純物を混ぜながら結晶を成長させる

イオン注入は、注入量と深さを精密に制御できます。加速電圧で深さ、ビーム電流と時間で濃度が決まる——まさに電子の運動の応用です。

n形とp形を隣り合わせに作れば、pn接合ができますこれがダイオードの正体——さらに3層重ねればトランジスタになります。すべてはドーピングから始まります

⏱️ 本番での進め方
❶ 3価→p形→アクセプタ、5価→n形→ドナー——3点セット。
❷ 形と不純物名が食い違う選択肢は即消し——(4)(5)がそのパターン。
❸ 13族は3価、15族は5価——族で覚えれば元素名を暗記しなくてよい。
❹ p=positive=正孔——名前が答え。

💡 覚え方
「アクセプタは電子を受け取って、正孔を残す」——受け取ったぶん、どこかに穴が空くのです。ドナーは電子を提供して、自由電子を増やす——英単語の意味そのままです。

★参考:5価を問う問題とセットで覚える

本問は3価(p形)を問うものですが、5価(n形)を問う問題も繰り返し出題されています。平成25年度A問題11がその代表です。

本問(平成18年度 A11)平成25年度 A問題11
加える元素ホウ素(B)・インジウム(In)リン(P)・ヒ素(As)
価数3価5価
できる半導体p形n形
不純物の呼び名アクセプタドナー
正答番号(2)(5)

問題文の構造は同じで、元素だけが差し替えられています。7年の間隔で「裏返した問題」が出た——どちらが出ても解けるようにしておきましょう

⚠️ よくある間違い
「元素名を丸暗記」ではなく「族から価数を判断」してください。Al(アルミニウム)やGa(ガリウム)が出ても、13族と分かれば3価——知らない元素にも対応できます。

出題履歴:p形・n形は交互に問われる

不純物半導体の問題は、p形とn形が交互に出題される傾向があります。対比表を一度作っておけば、どちらでも即答できます。半導体分野の得点源にしましょう。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

あわせて解いておきたい記事:【理論】平成25年度A問題11(5価・n形・ドナー)

まとめ

(ア)3価(B・In)
(イ)p形半導体
(ウ)アクセプタ
対比5価→n形・ドナー
答え(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・不純物半導体(5価→n形)(半導体19):【理論】平成25年度 A問題11

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次