単相交流58【電験3種 理論】周波数を変えたときのRC直列回路の力率を求める!平成19年度 A問題8 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成19年度 A問題8 周波数が変われば力率も変わる!何倍になる?

今回は平成19年度 理論科目 A問題8を解説します。8Ωの抵抗とコンデンサの直列回路で、50Hzのとき力率80%。周波数を25Hzにしたときの力率を求める問題です。

力率cosθ=R/√(R²+Xc²)。50Hzの力率からXcを求め、周波数が半分になるとXc(∝1/f)が2倍になることを使って25Hzの力率を計算します。

目次

平成19年度 理論科目 A問題8:問題文と選択肢

平成19年度の公式問題を収録した下の問題画像で、回路条件と選択肢を確認しながら進めます。画像は原資料として保持しています。電気技術者試験センターの現在の第三種過去問題一覧と照合方針も確認しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成19年度 A問題8 問題文
平成19年度 理論科目 A問題8 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成19年度 A問題8

 8〔Ω〕の抵抗と静電容量C〔F〕のコンデンサを直列に接続した交流回路がある。この回路に周波数50〔Hz〕の交流電圧を加えたとき、回路の力率は80%であった。この回路に加える交流電圧の周波数を25〔Hz〕に変えたとき、回路の力率〔%〕の値として、最も近いのは次のうちどれか。

(1)40% (2)42% (3)56% (4)60% (5)83%

出題のポイント:力率は周波数に単純比例しない

周波数を半分にすると \(X_C\) は2倍になります。ところが力率は半分にはなりません——\(\cos\theta=R/\sqrt{R^2+X_C^2}\) という形なので、単純な比例関係にないからです。

まず50 Hz での \(X_C\) を逆算するのが手順です。力率80%なら \(R:|\dot Z|=8:10\)——3:4:5 の直角三角形で \(X_C=6\;\Omega\) と分かります。

RC直列回路の力率
$$\cos\theta=\frac{R}{\sqrt{R^2+X_C^2}}\qquad X_C=\frac{1}{2\pi fC}\;\propto\;\frac1f$$

\(C\) の値は求める必要がありません\(X_C\) が周波数に反比例することだけ使えば十分です。

平成19年度理論科目A問題8の出題ポイント。直列RC回路で周波数を50 Hzから25 Hzへ半分にすると容量リアクタンスXcが2倍になり、力率が低下することを回路図とインピーダンス三角形で示す図
容量リアクタンスは周波数に反比例します。周波数が半分になるとXcは2倍になり、直列RC回路の力率は低下します。

解説:3ステップで求まる

$$|\dot Z|_{50}=\frac{R}{\cos\theta}=\frac{8}{0.8}=10\;\Omega$$
❶ 50 Hz のインピーダンス
$$X_{C50}=\sqrt{10^2-8^2}=\sqrt{36}=6\;\Omega$$
❷ リアクタンスを逆算
3:4:5 の三角形
$$X_{C25}=6\times\frac{50}{25}=12\;\Omega$$
❸ 25 Hz では2倍
周波数が半分なら \(X_C\) は2倍
$$\cos\theta_{25}=\frac{8}{\sqrt{8^2+12^2}}=\frac{8}{14.42}=0.555$$
❹ 新しい力率
≒56%

\(\sqrt{64+144}=\sqrt{208}\) は整数比になりません。50 Hz のときは3:4:5 だったのに、25 Hz では崩れる——この場合は素直に計算します。\(\sqrt{208}=14.42\) です。

答えの見当もつけられます周波数を下げる → \(X_C\) が増える → \(|\dot Z|\) が増える → 力率は下がる80%より小さいはずなので、(5)83%は除外できます。

力率0.80と抵抗8オームから50 Hz時のインピーダンス10オーム、容量リアクタンス6オームを三平方の定理で導く図
力率cosθ=R/|Z|から|Z|=10 Ωを求め、インピーダンス三角形からXc=6 Ωを逆算します。
答え力率 ≒ 56% → 選択肢(3)
平成19年度理論科目A問題8の解説1枚目。直列RC回路の力率0.80と抵抗8オームから50 Hz時の容量リアクタンス6オームを導く図
問題の解説1/3。周波数変化の基準となる50 Hz時の容量リアクタンスを、力率とインピーダンス三角形から求めます。
平成19年度理論科目A問題8の解説2枚目。周波数を25 Hzへ半減すると容量リアクタンスが12オームになり、力率が約55.47パーセントになる導出図
問題の解説2/3。Xcは周波数に反比例するため12 Ωとなり、合成インピーダンスから力率約55.47 %を求めます。

誤答の正体:力率も半分と考える

誤り方考え方選択肢
力率も半分になると考える\(80\div2\)40%(1)
\(X_C\) が半分になると誤る\(X_C=3\;\Omega\)94%選択肢になし
正しい計算\(X_C=12\;\Omega\)56%(3) ◎

(1)の40% が最も引っかかりやすい誤りです。「周波数が半分だから力率も半分」——もっともらしく見えますが、力率は \(R\) と \(X_C\) の比から決まる量で、周波数に比例はしません。

実際にどう変わるかを確かめてみましょう。周波数を半分にすると \(X_C\) は2倍\(|\dot Z|\) は10→14.42(1.44倍)力率は0.8→0.555(0.69倍)——どれも単純な比例ではありません

⚠️ よくある間違い
「\(X_C\) は周波数に反比例」を「比例」と取り違えると、\(X_C=3\;\Omega\) となって力率94%——選択肢にありません選択肢に無い値が出たら、比例・反比例を疑ってください

深掘り①:周波数と力率の関係をグラフで見る

RC直列回路では、周波数が高いほど力率がよくなります\(X_C\) が小さくなって、回路が抵抗に近づくからです。

周波数\(X_C\)〔Ω〕\(|\dot Z|\)〔Ω〕力率
12.5 Hz2425.332%
25 Hz(本問)1214.456%
50 Hz61080%
100 Hz38.594%
\(f\to\infty\)08100%

周波数を上げていくと、力率は1に近づきますコンデンサが短絡と同じになり、抵抗だけの回路になるからです。逆に周波数を下げると力率は0に近づきます

RL直列回路なら正反対です。周波数を上げると \(X_L\) が増えて力率が悪くなりますどちらの回路かで方向が逆になるので、問題文でRCかRLかを確認してください。

深掘り②:力率の変化を「比」で追う

この種の問題は、\(R\) を基準にした比で考えると見通しがよくなります。\(R=8\) を1とすると、\(X_C\) の比だけが変化します。

$$\frac{X_C}{R}=\frac{6}{8}=0.75\;(50\;\mathrm{Hz})\;\to\;\frac{12}{8}=1.5\;(25\;\mathrm{Hz})$$
比の変化
2倍になる
$$\cos\theta=\frac{1}{\sqrt{1+(X_C/R)^2}}$$
力率の式
比だけで決まる

\(X_C/R=0.75\) なら \(\cos\theta=1/\sqrt{1.5625}=0.8\)\(X_C/R=1.5\) なら \(1/\sqrt{3.25}=0.555\)——\(R\) や \(X_C\) の絶対値は関係ありません

この見方をすると、「\(R\) が何オームでも同じ答え」だと分かります。本問で \(R=8\;\Omega\) と具体的な値が与えられているのは、\(X_C\) を求めやすくするためにすぎません。

💡 覚え方
「力率は \(X/R\) の比だけで決まる」——絶対値ではなく比です。比が2倍になったときの力率変化を追うのが、この種の問題の型になります。

⏱️ 本番での進め方
❶ \(|\dot Z|=R/\cos\theta\) から \(X_C\) を逆算する。\(C\) は求めなくてよい。
❷ \(X_C\propto1/f\)。周波数が半分なら \(X_C\) は2倍。
❸ 力率の増減の向きを予想する。周波数を下げる→力率も下がる。
❹ 3:4:5 に気づく。\(R=8\)、\(|\dot Z|=10\) なら \(X_C=6\)。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

Xc(50)8×0.75=6Ω
Xc(25)2×6=12Ω
cosθ’8/√(64+144)
答え≒56% …(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・RC回路の周波数特性の関連問題:【理論】令和6年度下期A問題9

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