今回は平成20年度 理論科目 A問題9を解説します。抵抗RとコイルL、スイッチSからなる回路で、スイッチを開いたときの消費電力が閉じたときの1/2になるときの、インダクタンスLを求める問題です。
スイッチを閉じるとコイルが短絡されてRだけ、開くとR+Lの直列になります。消費電力は電流の2乗に比例。開のとき電力が半分=電流が1/√2になる条件からLを求めます。
平成20年度 理論科目 A問題9:問題文と選択肢
平成20年度の公式問題を収録した下の問題画像で、スイッチ接続・条件・選択肢を確認しながら進めます。画像は元のまま保持しています。電気技術者試験センターの現在の第三種過去問題一覧と照合方針も確認しています。

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成20年度 A問題9
周波数f〔Hz〕の交流電圧E〔V〕の電源に、抵抗R〔Ω〕、インダクタンスL〔H〕のコイル、及びスイッチSを接続した回路がある。スイッチSを開いたときの回路の消費電力が、スイッチSを閉じたときの消費電力の1/2になった。このときのインダクタンスL〔H〕の値を表す式として、正しいのは次のうちどれか。
(1)2πfR (2)R/(2πf) (3)2πf/R (4)(2πf)2/R (5)(2πf)2R

出題のポイント:電力が半分=インピーダンスが \(\sqrt2\) 倍
スイッチを閉じるとコイルが短絡され、抵抗だけの回路になります。開くと \(R\) と \(L\) の直列——インピーダンスが増えるぶん電流が減り、電力も減ります。
電力は電流の2乗に比例するので、電力が半分になるのは電流が \(1/\sqrt2\) 倍のときです。そのためにはインピーダンスが \(\sqrt2\) 倍——\(\sqrt{R^2+X^2}=\sqrt2R\) から \(X=R\) が出ます。

解説:条件式を立てて解く
\(E^2\) が約分される
リアクタンスが抵抗と等しい
\(X=R\) のとき、力率は \(\cos\phi=R/(\sqrt2R)=1/\sqrt2\approx0.707\)——位相差45°です。「電力が半分」と「位相差45°」が対応していると知っておくと、条件を見た瞬間に \(X=R\) が浮かびます。
別の見方:電流が \(1/\sqrt2\) 倍になれば \(P=I^2R\) は \(1/2\) 倍。電流を \(1/\sqrt2\) にするには \(|\dot Z|\) を \(\sqrt2\) 倍——\(\sqrt{R^2+X^2}=\sqrt2R\) から同じ結論に至ります。



次元で選択肢を振るう
この問題は計算しなくても、単位を確認するだけで正解が絞れます。\(L\) の単位はヘンリー \(\mathrm{H}=\Omega\cdot\mathrm{s}\) です。
| 式 | 次元 | 判定 | |
| (1) | \(2\pi fR\) | \(\Omega/\mathrm{s}\) | × |
| (2) | \(R/(2\pi f)\) | \(\Omega\cdot\mathrm{s}\) | ◎ \(\mathrm{H}\) と一致 |
| (3) | \(2\pi f/R\) | \(1/(\Omega\cdot\mathrm{s})\) | × |
| (4) | \((2\pi f)^2/R\) | \(1/(\Omega\cdot\mathrm{s^2})\) | × |
| (5) | \((2\pi f)^2R\) | \(\Omega/\mathrm{s^2}\) | × |
\(2\pi f\) の単位は \(1/\mathrm{s}\) なので、\(\Omega\cdot\mathrm{s}\) を作るには \(R\) を \(2\pi f\) で「割る」しかありません。次元だけで(2)に確定します。
\(X=\omega L\) の関係からも同じことが言えます。\(L=X/\omega=X/(2\pi f)\)——リアクタンスを角周波数で割ればインダクタンスです。この形を覚えておけば、次元を考えるまでもありません。
深掘り:コイルが電力を消費しないことの確認
スイッチを開くと、回路には \(R\) と \(L\) の両方があります。それでも消費電力は抵抗の分だけです。
\(X=R\) を代入
◎ 確かに半分
コイルにも電流は流れていますが、電力は消費していません。1周期のうち前半で磁気エネルギーを蓄え、後半で電源に返しているだけです。
| スイッチ閉 | スイッチ開 | |
| 回路構成 | \(R\) のみ | \(R\) と \(L\) の直列 |
| インピーダンス | \(R\) | \(\sqrt2R\) |
| 電流 | \(E/R\) | \(E/(\sqrt2R)\) |
| 力率 | 1 | \(1/\sqrt2\approx0.707\) |
| 消費電力 | \(E^2/R\) | \(E^2/(2R)\) |
力率が \(1/\sqrt2\) になり、電流も \(1/\sqrt2\) 倍——皮相電力は \(1/\sqrt2\) 倍ですが、有効電力は力率もかかるので \(1/2\) 倍です。2つの効果が掛かっていると理解しておいてください。
⚠️ よくある間違い
「電力が半分だから電流も半分」と考えると、\(|\dot Z|\) が2倍になる条件を立ててしまいます。\(P\propto I^2\) なので、電力が半分なら電流は \(1/\sqrt2\) 倍です。
⏱️ 本番での進め方
❶ 「電力半分=\(X=R\)=位相差45°」をセットで覚える。
❷ \(P\propto I^2\)。電力が半分なら電流は \(1/\sqrt2\) 倍。
❸ 次元で確認。\(L\) は \(\Omega\cdot\mathrm{s}\)。\(R\) を \(2\pi f\) で割る形しかない。
❹ \(L=X/(2\pi f)\) の形を覚えておけば即答できる。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
まとめ
| S閉 | Z=R |
| S開 | |Z|=√(R²+(ωL)²) |
| 条件 | |Z開|²=2R²→ωL=R |
| 答え | L=R/(2πf) …(2) |
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