今回は平成24年度 理論科目 A問題8を解説します。E=200Vの電源にL・R直列回路を接続し、電流I=10A、無効電力Q=1200varのときの抵抗R〔Ω〕を求める問題です。
皮相電力S=EI、有効電力P=√(S²−Q²)。直列回路なのでP=I²Rから抵抗Rを逆算します。または無効電力Q=I²XでXを求め、|Z|=√(R²+X²)からRを出しても同じです。
平成24年度 理論科目 A問題8:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問8)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・回路図・選択肢は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成24年度 A問題8
図のように、正弦波交流電圧E=200〔V〕の電源がインダクタンスL〔H〕のコイルとR〔Ω〕の抵抗との直列回路に電力を供給している。回路を流れる電流がI=10〔A〕、回路の無効電力がQ=1200〔var〕のとき、抵抗R〔Ω〕の値として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)4 (2)8 (3)12 (4)16 (5)20〔Ω〕

出題のポイント:電力の直角三角形を描けば一発
皮相電力 \(S\)、有効電力 \(P\)、無効電力 \(Q\) は直角三角形をなします。\(S^2=P^2+Q^2\)——2つ分かれば3つ目が求まります。
本問では \(S=EI=2000\;\mathrm{VA}\)、\(Q=1200\;\mathrm{var}\) が分かっているので、\(P\) は三平方の定理で出ます。そのあと \(P=I^2R\) で抵抗が求まります。

解説:3ステップで求まる
電圧×電流
三平方の定理
\(P=I^2R\) を解く
\(2000:1200:1600=5:3:4\)——おなじみの3:4:5の直角三角形です。電験の問題は、この比になるように数値が選ばれていることが多いので、\(\sqrt{}\) の計算を始める前に比を疑ってみてください。
力率も同時に分かります。\(\cos\theta=P/S=1600/2000=0.8\)——3:4:5 の三角形なら力率は必ず0.8です。


別解:無効電力からリアクタンスを出す
\(Q=I^2X\) から先に \(X\) を求める道もあります。どちらでも同じ答えにたどり着きます。
◎同じ答え
こちらは「インピーダンスの直角三角形」を使う道です。\(R:X:|\dot Z|=16:12:20=4:3:5\)——電力の三角形と相似になっています。
電力の三角形とインピーダンスの三角形は、すべて \(I^2\) 倍の関係で相似です。\(P=I^2R\)、\(Q=I^2X\)、\(S=I^2|\dot Z|\)——どちらで解いても同じ比が出てきます。
誤答の正体:途中の値が選択肢に置かれている
| 誤り方 | 値〔Ω〕 | 選択肢 | 何を答えてしまったか |
| \(X\) を答える | 12 | (3) | リアクタンス(別解の途中の値) |
| \(|\dot Z|\) を答える | 20 | (5) | インピーダンスの大きさ |
| \(Q\) を \(P\) と取り違える | 12 | (3) | \(1200/100=12\) |
| 正しい計算 | 16 | (4) ◎ | — |
(3)の12と(5)の20は、どちらも計算の途中で出てくる値です。「求められているのは \(R\) か \(X\) か \(|\dot Z|\) か」を、計算前に丸で囲んでおく——これが確実な対策になります。
⚠️ よくある間違い
無効電力 \(Q\) を有効電力 \(P\) と勘違いすると、\(R=1200/100=12\;\Omega\) となって(3)に着地します。単位が「var」なら無効電力、「W」なら有効電力——単位で見分けられます。
💡 覚え方
3:4:5 と 5:12:13 は電験の頻出比です。力率で言えば0.8と \(5/13\approx0.385\)。\(\sqrt{}\) を計算する前に、この比に当てはまらないか確認すると時間を節約できます。
⏱️ 本番での進め方
❶ 電力の直角三角形を描く。\(S^2=P^2+Q^2\)。
❷ 3:4:5 を疑う。2000と1200なら1600。\(\sqrt{}\) 不要。
❸ 求められている量に丸をつける。\(R\) か \(X\) か \(|\dot Z|\) か。
❹ 単位で見分ける。W は有効電力、var は無効電力、VA は皮相電力。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
深掘り:電力三角形とインピーダンス三角形は相似
交流回路には2つの直角三角形が登場します。電力の三角形とインピーダンスの三角形です。この2つは常に相似で、相似比は \(I^2\) になります。
| インピーダンス三角形 | 電力三角形 | 本問の値 | |
| 横(実部) | \(R\) | \(P=I^2R\) | 16 Ω / 1600 W |
| 縦(虚部) | \(X\) | \(Q=I^2X\) | 12 Ω / 1200 var |
| 斜辺 | \(|\dot Z|\) | \(S=I^2|\dot Z|\) | 20 Ω / 2000 VA |
| 力率 | \(R/|\dot Z|\) | \(P/S\) | 0.8(どちらも同じ) |
本問では \(I=10\;\mathrm{A}\) なので \(I^2=100\)。インピーダンス三角形の各辺を100倍すると、電力三角形になります(16→1600、12→1200、20→2000)。
どちらの三角形で解いてもよい——これが本問に別解がある理由です。与えられた量がどちらの三角形に属するかを見て、近いほうから攻めるのが効率的です。
力率が0.8になる回路の意味
力率0.8 は、実際の工場負荷でよく見られる値です。誘導電動機が多い施設では、この程度まで下がります。
力率が悪いほど大きな皮相電力が要る
力率1なら8 A で済む
力率が1なら \(I=1600/200=8\;\mathrm{A}\) で済みます。0.8 だと10 A——2 A ぶん余分に流れていることになります。
線路の損失は \(I^2R\) なので、電流が1.25倍になれば損失は約1.56倍です。力率改善が経済的に意味を持つのは、この損失を減らせるからにほかなりません。
⚠️ よくある間違い
「力率が悪い=電力を無駄にしている」と考えるのは正確ではありません。無効電力そのものは消費されず、往復しているだけです。問題なのは、その往復する電流が線路の抵抗で損失を生むこと——ここが本質です。
まとめ
| S | 200×10=2000VA |
| P | √(2000²−1200²)=1600W |
| R | 1600/100=16Ω |
| 答え | (4) |
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