単相交流44【電験3種 理論】無効電力と電流からRL直列回路の抵抗を求める!平成24年度 A問題8 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成24年度 A問題8 無効電力と電流が分かれば!抵抗Rを割り出す

今回は平成24年度 理論科目 A問題8を解説します。E=200Vの電源にL・R直列回路を接続し、電流I=10A、無効電力Q=1200varのときの抵抗R〔Ω〕を求める問題です。

皮相電力S=EI、有効電力P=√(S²−Q²)。直列回路なのでP=I²Rから抵抗Rを逆算します。または無効電力Q=I²XでXを求め、|Z|=√(R²+X²)からRを出しても同じです。

目次

平成24年度 理論科目 A問題8:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問8)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・回路図・選択肢は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成24年度 A問題8 問題文
平成24年度 理論科目 A問題8 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成24年度 A問題8

 図のように、正弦波交流電圧E=200〔V〕の電源がインダクタンスL〔H〕のコイルとR〔Ω〕の抵抗との直列回路に電力を供給している。回路を流れる電流がI=10〔A〕、回路の無効電力がQ=1200〔var〕のとき、抵抗R〔Ω〕の値として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)4 (2)8 (3)12 (4)16 (5)20〔Ω〕

図 E電源とL・Rの直列回路(問題図)
図 E電源とL・Rの直列回路(問題図)

出題のポイント:電力の直角三角形を描けば一発

皮相電力 \(S\)、有効電力 \(P\)、無効電力 \(Q\) は直角三角形をなします\(S^2=P^2+Q^2\)——2つ分かれば3つ目が求まります

本問では \(S=EI=2000\;\mathrm{VA}\)、\(Q=1200\;\mathrm{var}\) が分かっているので、\(P\) は三平方の定理で出ますそのあと \(P=I^2R\) で抵抗が求まります

電力の3兄弟
$$S=EI\qquad S^2=P^2+Q^2\qquad P=I^2R,\quad Q=I^2X$$

直列回路なら、\(P\) も \(Q\) も同じ電流 \(I\) で表せます\(P=I^2R\)、\(Q=I^2X\)——ここが計算の入口になります。

平成24年度理論問8の出題ポイント。電圧200ボルト、電流10アンペア、無効電力1200バールから皮相電力、有効電力、抵抗の順に求め、正解4を示す図
S=EI、P=√(S²-Q²)、R=P/I²の順に計算するとR=16 Ωです。

解説:3ステップで求まる

$$S=EI=200\times10=2000\;\mathrm{VA}$$
❶ 皮相電力
電圧×電流
$$P=\sqrt{S^2-Q^2}=\sqrt{2000^2-1200^2}=\sqrt{2.56\times10^6}=1600\;\mathrm{W}$$
❷ 有効電力
三平方の定理
$$R=\frac{P}{I^2}=\frac{1600}{100}=16\;\Omega$$
❸ 抵抗
\(P=I^2R\) を解く

\(2000:1200:1600=5:3:4\)——おなじみの3:4:5の直角三角形です。電験の問題は、この比になるように数値が選ばれていることが多いので、\(\sqrt{}\) の計算を始める前に比を疑ってみてください

力率も同時に分かります\(\cos\theta=P/S=1600/2000=0.8\)——3:4:5 の三角形なら力率は必ず0.8です。

有効電力1600ワット、無効電力1200バール、皮相電力2000ボルトアンペアの電力三角形と、直列回路の抵抗を求める式を示すポイント解説図
電力の三角形から有効電力を求め、P=I²Rに代入します。
答え\(R=16\;\Omega\) → 選択肢(4)
平成24年度理論問8の問題解説。皮相電力2000ボルトアンペア、有効電力1600ワット、抵抗16オームを順に計算し、別解と正解4を示す図
R=1600/10²=16 Ωとなるため、正答は(4)です。

別解:無効電力からリアクタンスを出す

\(Q=I^2X\) から先に \(X\) を求める道もあります。どちらでも同じ答えにたどり着きます

$$X=\frac{Q}{I^2}=\frac{1200}{100}=12\;\Omega$$
❶ リアクタンス
$$|\dot Z|=\frac{E}{I}=\frac{200}{10}=20\;\Omega$$
❷ インピーダンスの大きさ
$$R=\sqrt{|\dot Z|^2-X^2}=\sqrt{400-144}=\sqrt{256}=16\;\Omega$$
❸ 三平方の定理
◎同じ答え

こちらは「インピーダンスの直角三角形」を使う道です。\(R:X:|\dot Z|=16:12:20=4:3:5\)——電力の三角形と相似になっています。

電力の三角形とインピーダンスの三角形は、すべて \(I^2\) 倍の関係で相似です。\(P=I^2R\)、\(Q=I^2X\)、\(S=I^2|\dot Z|\)——どちらで解いても同じ比が出てきます

誤答の正体:途中の値が選択肢に置かれている

誤り方値〔Ω〕選択肢何を答えてしまったか
\(X\) を答える12(3)リアクタンス(別解の途中の値)
\(|\dot Z|\) を答える20(5)インピーダンスの大きさ
\(Q\) を \(P\) と取り違える12(3)\(1200/100=12\)
正しい計算16(4) ◎

(3)の12と(5)の20は、どちらも計算の途中で出てくる値です。「求められているのは \(R\) か \(X\) か \(|\dot Z|\) か」を、計算前に丸で囲んでおく——これが確実な対策になります。

⚠️ よくある間違い
無効電力 \(Q\) を有効電力 \(P\) と勘違いすると、\(R=1200/100=12\;\Omega\) となって(3)に着地します。単位が「var」なら無効電力、「W」なら有効電力——単位で見分けられます

💡 覚え方
3:4:5 と 5:12:13 は電験の頻出比です。力率で言えば0.8と \(5/13\approx0.385\)\(\sqrt{}\) を計算する前に、この比に当てはまらないか確認すると時間を節約できます。

⏱️ 本番での進め方
❶ 電力の直角三角形を描く。\(S^2=P^2+Q^2\)。
❷ 3:4:5 を疑う。2000と1200なら1600。\(\sqrt{}\) 不要。
❸ 求められている量に丸をつける。\(R\) か \(X\) か \(|\dot Z|\) か。
❹ 単位で見分ける。W は有効電力、var は無効電力、VA は皮相電力。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

深掘り:電力三角形とインピーダンス三角形は相似

交流回路には2つの直角三角形が登場します電力の三角形とインピーダンスの三角形です。この2つは常に相似で、相似比は \(I^2\) になります。

インピーダンス三角形電力三角形本問の値
横(実部)\(R\)\(P=I^2R\)16 Ω / 1600 W
縦(虚部)\(X\)\(Q=I^2X\)12 Ω / 1200 var
斜辺\(|\dot Z|\)\(S=I^2|\dot Z|\)20 Ω / 2000 VA
力率\(R/|\dot Z|\)\(P/S\)0.8(どちらも同じ)

本問では \(I=10\;\mathrm{A}\) なので \(I^2=100\)インピーダンス三角形の各辺を100倍すると、電力三角形になります(16→1600、12→1200、20→2000)。

どちらの三角形で解いてもよい——これが本問に別解がある理由です。与えられた量がどちらの三角形に属するかを見て、近いほうから攻めるのが効率的です。

力率が0.8になる回路の意味

力率0.8 は、実際の工場負荷でよく見られる値です。誘導電動機が多い施設では、この程度まで下がります

$$S=\frac{P}{\cos\theta}=\frac{1600}{0.8}=2000\;\mathrm{VA}$$
同じ有効電力を送るのに
力率が悪いほど大きな皮相電力が要る
$$I=\frac{S}{E}=\frac{2000}{200}=10\;\mathrm{A}$$
必要な電流
力率1なら8 A で済む

力率が1なら \(I=1600/200=8\;\mathrm{A}\) で済みます0.8 だと10 A——2 A ぶん余分に流れていることになります。

線路の損失は \(I^2R\) なので、電流が1.25倍になれば損失は約1.56倍です。力率改善が経済的に意味を持つのは、この損失を減らせるからにほかなりません。

⚠️ よくある間違い
「力率が悪い=電力を無駄にしている」と考えるのは正確ではありません無効電力そのものは消費されず、往復しているだけです。問題なのは、その往復する電流が線路の抵抗で損失を生むこと——ここが本質です。

まとめ

S200×10=2000VA
P√(2000²−1200²)=1600W
R1600/100=16Ω
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・交流電力(B問題)の関連問題:【理論】平成26年度B問題15

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