単相交流42【電験3種 理論】RLC直列回路で抵抗の端子電圧が零になる周波数を求める!平成25年度 A問題10 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成25年度 A問題10 抵抗の電圧が零になる瞬間!その周波数は何Hz?

今回は平成25年度 理論科目 A問題10を解説します。L・C・Rの直列回路に周波数f・実効値V(≠0)の電源を加えたとき、抵抗の端子電圧の実効値VRが零となる周波数fの条件をすべて列挙する問題です。

VR=I·Rなので、VR=0は電流I=0を意味します。I=V/|Z|でV≠0だから、I=0にはインピーダンス|Z|が無限大になる必要があります。どんな周波数で|Z|が∞になるかを考えます。

目次

平成25年度 理論科目 A問題10:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問10)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・回路図・選択肢は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成25年度 A問題10 問題文
平成25年度 理論科目 A問題10 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成25年度 A問題10

 図は、インダクタンスL〔H〕のコイルと静電容量C〔F〕のコンデンサ、並びにR〔Ω〕の抵抗の直列回路に、周波数がf〔Hz〕で実効値がV(≠0)〔V〕である電源電圧を与えた回路を示している。この回路において、抵抗の端子間電圧の実効値VR〔V〕が零となる周波数f〔Hz〕の条件を全て列挙したものとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)題意を満たす周波数はない (2)f=0 (3)f=1/(2π√(LC)) (4)f=0, f→∞ (5)f=1/(2π√(LC)), f→∞

図 L・C・Rの直列回路(問題図)
図 L・C・Rの直列回路(問題図)

出題のポイント:\(V_R=0\) は「電流ゼロ」——共振とは真逆

\(V_R=IR\) なので、\(V_R=0\) は \(I=0\) を意味します電源電圧はゼロでないので、電流をゼロにするにはインピーダンスが無限大になるしかありません

ここで共振周波数を答えてしまうのが最大の罠です。直列共振ではインピーダンスが最小になり、電流は最大——\(V_R\) も最大になります聞かれているのと真逆です。

直列RLC回路のインピーダンス
$$\dot Z=R+j\left(2\pi fL-\frac{1}{2\pi fC}\right)$$

\(|\dot Z|\to\infty\) になるのは、リアクタンスのどちらかが無限大になるときです。\(f=0\) では \(1/(2\pi fC)\)、\(f\to\infty\) では \(2\pi fL\) が発散します。

平成25年度理論問10の出題ポイント。抵抗端子電圧が零になる条件を電流零とインピーダンス無限大から考え、周波数零と無限大で正答4を示す図
VR=0にはI=0、すなわち|Z|が無限大になるf=0とf→∞が必要です。

3つの特徴的な周波数を調べる

周波数何が起きるか\(|\dot Z|\)\(V_R\)
\(f=0\)(直流)\(1/(2\pi fC)\to\infty\)=コンデンサが開放0 ◎
\(f=f_r\)(共振)リアクタンスが打ち消し合う\(R\)(最小)最大 ×
\(f\to\infty\)\(2\pi fL\to\infty\)=コイルが開放0 ◎

直流ではコンデンサが電流を通しませんコンデンサは「充電が終われば電流ゼロ」——これが \(f=0\) で \(V_R=0\) になる理由です。

周波数が無限に高くなると、今度はコイルが電流を通さなくなります\(\omega L\) が無限大になるからです。コイルは高周波を通しにくいという性質そのものです。

両端で \(V_R=0\)、中間の共振点で \(V_R\) が最大——山型の特性になります。これが帯域フィルタ(バンドパスフィルタ)の原理です。

RLC直列回路のインピーダンスと抵抗端子電圧を式で示し、周波数零、共振、周波数無限大の三条件を表で比較するポイント解説図
周波数の両端では|Z|が無限大となりVRは零ですが、共振時はVRが最大です。
答え\(f=0\) と \(f\to\infty\) → 選択肢(4)
平成25年度理論問10の問題解説。抵抗端子電圧零から電流零、インピーダンス無限大を導き、周波数零と無限大、答え4を示す図
f=0とf→∞でVRが零となり、共振周波数では最大になるため正答は(4)です。

誤答の正体:共振周波数を答えてしまう

選択肢判定理由
(1)題意を満たす周波数はない×\(f=0\) と \(f\to\infty\) で満たす
(2)\(f=0\)×\(f\to\infty\) が抜けている
(3)\(f=1/(2\pi\sqrt{LC})\)×共振周波数。\(V_R\) は最大になる(真逆)
(4)\(f=0,\;f\to\infty\)正解
(5)\(f=1/(2\pi\sqrt{LC}),\;f\to\infty\)×共振周波数を含めてしまっている

(3)と(5)は共振周波数を含んでいます「LC回路と言えば共振周波数」という反射で選んでしまうのですが、本問が聞いているのは \(V_R\) が「零」になる条件です。

(2)は \(f=0\) だけ——「すべて列挙せよ」という問題文を読み落とすと、ここで止まってしまいます。両端を確認する習慣をつけてください。

⚠️ よくある間違い
「\(V_R\) が零」と「\(V_L\) や \(V_C\) が零」を混同しないでください。共振時に零になるのは \(V_L+V_C\)(合計)であって、\(V_R\) はむしろ電源電圧と等しくなります

深掘り:この回路は帯域フィルタそのもの

抵抗の端子電圧を出力と考えると、この回路は「特定の周波数だけを通す」フィルタになります。

周波数\(V_R\)(出力)フィルタとしての働き
低い小さい低周波を遮断
共振周波数付近最大(電源電圧に等しい)通過帯域
高い小さい高周波を遮断

共振周波数の周りだけを通し、その外は減衰させる——これが帯域フィルタ(バンドパスフィルタ)です。ラジオの同調回路は、この原理で特定の放送局だけを選び出しています

通過する帯域の広さは \(R\) で決まります\(R\) が小さいほど尖鋭度 \(Q=\omega_rL/R\) が高く、鋭く選択できます\(R\) が大きいと山がなだらかになり、広い範囲の周波数を通します

💡 覚え方
「直流はコンデンサが止め、高周波はコイルが止める」——この2つの性質を押さえておけば、両端で電流が流れないことが直感的に分かります間の周波数だけが通り抜けるのです。

⏱️ 本番での進め方
❶ \(V_R=0\) を \(I=0\) に読み替える。そこから \(|\dot Z|\to\infty\) を探す。
❷ 共振は \(V_R\) が最大。零ではない。ここが最大の罠。
❸ 両端を確認する。\(f=0\) と \(f\to\infty\) の両方。
❹ 「すべて列挙」を読み落とさない。片方だけで止まらない。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

\(V_L\) や \(V_C\) が零になる周波数も考えてみる

本問は \(V_R\) について聞いていますが、\(V_L\) や \(V_C\) についても同じように考えられます比較しておくと理解が深まります

求める電圧零になる条件そのときの周波数
\(V_R=IR\)\(I=0\)\(f=0\)、\(f\to\infty\)
\(V_L=I\omega L\)\(I=0\) または \(\omega=0\)\(f=0\) のみ
\(V_C=I/(\omega C)\)\(I=0\) かつ \(\omega\ne0\)\(f\to\infty\) のみ

\(V_L\) は \(f=0\) で零になります。電流も零、\(\omega L\) も零だからです。ところが \(f\to\infty\) では、電流が零に近づく一方で \(\omega L\) が無限大に発散——積は有限値に収束します。

逆に \(V_C\) は \(f=0\) で電源電圧に等しくなります直流ではコンデンサが電圧をすべて受け持つからです。\(f\to\infty\) では \(V_C\to0\) になります。

3つの電圧が周波数によってどう分配されるか——この視点を持つと、フィルタ回路の理解につながります\(V_C\) を出力にすれば低域通過、\(V_L\) なら高域通過、\(V_R\) なら帯域通過フィルタになります。

同じ回路が3種類のフィルタになる

出力を取る場所低周波共振周波数付近高周波フィルタの種類
\(V_C\)(コンデンサ)低域通過(ローパス)
\(V_R\)(抵抗)帯域通過(バンドパス)
\(V_L\)(コイル)高域通過(ハイパス)

まったく同じ回路でも、どこから出力を取るかで働きが変わります本問が \(V_R\) を扱っているのは、帯域通過フィルタの特性を問うていると読むこともできます。

💡 覚え方
「コンデンサは低周波を通さないので、低周波では電圧が大きい」——通しにくい素子ほど電圧を多く負担すると考えると、3つの分配が直感的に分かります。

まとめ

VR=0I=0=V/|Z|→|Z|=∞
f=01/(ωC)→∞(C開放)
f→∞ωL→∞(L開放)
答えf=0, f→∞ …(4)

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・RLC直列回路の関連問題:【理論】令和5年度下期A問題8

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