単相交流36【電験3種 理論】電源電流が最小となるときの回路の力率を求める!平成26年度 A問題8 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成26年度 A問題8 電源電流が最小になる瞬間!そのときの力率は?

今回は平成26年度 理論科目 A問題8を解説します。Cと(1Hのコイル・100Ωの抵抗の直列)の並列回路で、電源電流Iが最小となるようにCを調整したときの回路の力率を求める問題です。

電源電流が最小になるのは並列共振の状態です。このとき回路のアドミタンスの虚部が0になり、電源から見て純抵抗的になります。純抵抗なら力率は1です。

目次

平成26年度 理論科目 A問題8:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問8)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・回路図・選択肢は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成26年度 A問題8 問題文
平成26年度 理論科目 A問題8 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成26年度 A問題8

 図の交流回路において、電源を流れる電流I〔A〕の大きさが最小となるように静電容量C〔F〕の値を調整した。このときの回路の力率の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.11 (2)0.50 (3)0.71 (4)0.87 (5)1

図 Cと(1Hのコイル・100Ωの抵抗の直列)の並列交流回路(問題図)
図 Cと(1Hのコイル・100Ωの抵抗の直列)の並列交流回路(問題図)

出題のポイント:「電源電流が最小」=並列共振=力率1

計算はほとんど不要な問題です。「電源を流れる電流が最小になるように調整した」という一文が、そのまま並列共振を意味しています

並列共振では、回路全体のアドミタンスの虚部がゼロになります。電源から見ると純抵抗(純コンダクタンス)に見えるので、電圧と電流が同相=力率は1です。

並列共振の条件
$$\dot{Y}=\frac{1}{R+j\omega L}+j\omega C\qquad\text{虚部}=0\;\Longrightarrow\;\text{純抵抗}$$

アドミタンスの大きさ \(|\dot Y|\) が最小になるのは、虚部がゼロのときです。\(I=E|\dot Y|\) なので、電流も最小になります。

平成26年度理論問8の出題ポイント。Cを調整してアドミタンスの虚部Bを0にすると電源電流が最小となり、電圧電流が同相で力率1、正答5を示す図
電源電流最小時はアドミタンスの虚部が0となり、回路は純抵抗的で力率1です。

なぜ電流最小と力率1が同じことなのか

アドミタンスを実部と虚部に分けて考えます\(\dot Y=G+jB\) とすると、大きさは \(|\dot Y|=\sqrt{G^2+B^2}\) です。

$$|\dot Y|=\sqrt{G^2+B^2}$$
❶ アドミタンスの大きさ
\(G\) は \(C\) を変えても変わらない
$$B=0\;\Longrightarrow\;|\dot Y|=G\;(\text{最小})$$
❷ 虚部をゼロに
\(B^2\ge0\) なので、\(B=0\) のとき最小
$$\cos\theta=\frac{G}{|\dot Y|}=\frac{G}{G}=1$$
❸ そのときの力率
完全に同相

\(C\) を変えても、RL直列部分のコンダクタンス \(G\) は変わりません変わるのは虚部 \(B\) だけ——だから \(B\) をゼロにしたときが最小になります。

この論法は「\(\sqrt{G^2+B^2}\) を最小にするには \(B=0\)」という中学レベルの話です。難しい計算は一切要りません

アドミタンスYの実部Gと虚部Bを式で分け、B=0のとき電源電流が最小でcosφ=1となることを示すポイント解説図
Gが一定なら、CでB=0に調整したとき|Y|が最小となり、力率は1です。
答え力率 \(=1\) → 選択肢(5)
平成26年度理論問8の問題解説。I=V|Y|、Y=G+jB、B=0の最小条件から電圧と電流が同相で答え5、力率1を示す図
電源電流最小、並列共振、力率1という関係から正答(5)と判断できます。

直列共振との違いを整理する

直列共振並列共振
条件\(\omega L=\dfrac{1}{\omega C}\)(リアクタンスが等しい)アドミタンスの虚部がゼロ
インピーダンス最小(=\(R\))最大
電流最大最小
力率11
別名電圧共振電流共振

直列共振では電流が最大、並列共振では電流が最小——正反対です。力率がどちらも1になる点は共通ですが、電流の挙動を取り違えると別の問題で失点します。

本問は「並列」の回路なので、電流最小=共振です。回路図を見て、直列か並列かを最初に確認してください。

⚠️ よくある間違い
力率を0.71(=\(1/\sqrt2\))と考えてしまう誤りがあります。これは位相差45°のときの値で、共振とは無関係です。共振なら位相差ゼロ=力率1——選択肢(3)は、この混同を狙った肢です。

💡 覚え方
「共振=同相=力率1」——直列でも並列でも、共振していれば力率は必ず1です。共振という言葉を見たら、力率を聞かれている問題は即答できます

実務での意味:進相コンデンサによる力率改善

この回路は「力率改善」の原理そのものです。工場やビルの負荷は、電動機など誘導性のものが多く、力率が0.8前後まで下がります

そこで負荷と並列にコンデンサを入れると、誘導性の無効電力を容量性の無効電力が打ち消し、力率が1に近づきます本問の \(C\) がまさにこの役割です。

力率改善前力率改善後
力率0.8 程度0.95〜1.0
同じ電力を送るのに必要な電流多い少ない
線路の損失 \(I^2R\)大きい小さい
電気料金力率割増力率割引

電流が減れば、線路の損失 \(I^2R\) も減ります電力会社が力率に応じて料金を割り引くのは、設備を効率よく使えるからです。理論科目のこの1問が、法規や電力科目の力率改善の計算につながっています

⏱️ 本番での進め方
❶ 「電流最小」を見たら共振を疑う。並列回路なら並列共振。
❷ 共振なら力率1。計算せずに答えが決まる。
❸ 直列と並列で電流の挙動が逆。直列共振は電流最大。
❹ 0.71 は位相差45°の値。共振とは無関係なので選ばない。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

深掘り:共振周波数を実際に計算してみる

本問は力率だけを聞いていますが、実際に共振する静電容量を求めることもできます電源の角周波数を \(\omega\) として、アドミタンスの虚部をゼロにする条件を書いてみましょう。

$$\dot Y=\frac{1}{R+j\omega L}+j\omega C=\frac{R-j\omega L}{R^2+(\omega L)^2}+j\omega C$$
❶ 分母を実数化
共役複素数を掛ける
$$\text{虚部}=-\frac{\omega L}{R^2+(\omega L)^2}+\omega C=0$$
❷ 虚部をゼロに
$$C=\frac{L}{R^2+(\omega L)^2}$$
❸ \(C\) について解く
これが共振条件

抵抗 \(R\) が入っているぶん、単純な \(C=1/(\omega^2L)\) にはなりません抵抗のないLC並列回路なら \(\omega=1/\sqrt{LC}\) ですが、コイルに抵抗が直列に入ると条件がずれます

ただし \(\omega L\gg R\) のとき(=コイルの品質がよいとき)は、\(C\approx1/(\omega^2L)\) に近づきます実際のコイルは抵抗が小さいので、多くの場合この近似で足ります

共振時の電流はどこを流れているのか

電源から流れる電流は最小になりますが、コイルとコンデンサの間には大きな電流が循環しています外から見えないだけです。

共振時の状態
電源から流れる電流最小(コンダクタンス分のみ)
コイルを流れる電流大きい(\(E/|R+j\omega L|\))
コンデンサを流れる電流大きい(\(\omega CE\))
両者の関係虚部が打ち消し合い、外から見ると消える

この「内部で循環する電流」が、力率改善用コンデンサの働きそのものです。コンデンサが供給する進み無効電流が、負荷が必要とする遅れ無効電流を肩代わりする——その結果、電源側の線路には無効分が流れなくなります

💡 覚え方
「無効電力は電源まで運ばず、近くで供給する」——これが力率改善の考え方です。本問の \(C\) は、まさにその役割を果たしています

まとめ

電流I=V|Y|
最小条件虚部=0(並列共振)
回路純抵抗的(電圧電流同相)
答え力率=1 …(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・並列共振の関連問題:【理論】平成30年度A問題9

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