単相交流35【電験3種 理論】コンデンサ直並列回路の出力電圧比V_out/V_inを求める!平成27年度 A問題9 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成27年度 A問題9 コンデンサで電圧を分ける!出力は入力の何倍?

今回は平成27年度 理論科目 A問題9を解説します。C1=10μF・C2=900μF・C3=100μF・C4=900μFのコンデンサ直並列回路にVinを加えたとき、C4両端の電圧VoutとVinの比Vout/Vinを求める問題です。

コンデンサの直列分圧は「電圧が静電容量に反比例」。まず中間節点の電圧をC1と(C2+C3C4直列)の分圧で求め、次にC3・C4直列でVoutを求めます。周波数は結果に影響しません。

目次

平成27年度 理論科目 A問題9:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問9)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・回路図・選択肢は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成27年度 A問題9 問題文
平成27年度 理論科目 A問題9 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成27年度 A問題9

 図のように、静電容量C1=10μF、C2=900μF、C3=100μF、C4=900μFのコンデンサからなる直並列回路がある。この回路に周波数f=50Hzの交流電圧Vin〔V〕を加えたところ、C4の両端の交流電圧はVout〔V〕であった。このとき、Vout/Vinの値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)1/1000 (2)9/1000 (3)1/100 (4)99/1000 (5)891/1000

図 C<sub class=

出題のポイント:コンデンサの直列分圧は「容量に反比例」

コンデンサを直列にすると、電荷が共通になります。\(V=Q/C\) なので、容量が小さいコンデンサほど大きな電圧がかかります——抵抗とは逆です。

本問は2段階の分圧です。まず \(C_1\) と残り全体で分圧し、次に \(C_3\)・\(C_4\) の直列で分圧——2回掛け算すれば答えが出ます。

コンデンサの直列分圧
$$V_1=V\times\frac{C_2}{C_1+C_2}\qquad(C_1\text{ にかかる電圧})$$

分子が「相手の容量」になります。抵抗の分圧では分子が「自分の抵抗」——ここが逆です。

平成27年度理論問9の出題ポイント。C3とC4の直列合成90μF、C2との並列合成990μFから2段分圧し、Vout/Vin=1/1000で正答1を示す図
合成容量を整理し、容量に反比例する分圧を2段たどると1/1000です。

解説:内側から順にまとめる

$$C_{34}=\frac{C_3C_4}{C_3+C_4}=\frac{100\times900}{1000}=90\;\mathrm{\mu F}$$
❶ \(C_3\) と \(C_4\) の直列
和分の積
$$C_{234}=C_2+C_{34}=900+90=990\;\mathrm{\mu F}$$
❷ \(C_2\) と並列
足し算
$$\frac{V_{\text{mid}}}{V_{\text{in}}}=\frac{C_1}{C_1+C_{234}}=\frac{10}{1000}=\frac{1}{100}$$
❸ \(C_1\) との分圧
【誤り】分子は相手の容量

ここで注意——\(V_{\text{mid}}\) は「\(C_{234}\) にかかる電圧」です。コンデンサの分圧では、ある素子にかかる電圧は「相手の容量/合計」に比例します。\(C_{234}\) にかかる電圧は \(C_1/(C_1+C_{234})=10/1000=1/100\)——これで正しいです。

容量の大きい \(C_{234}\) には小さな電圧しかかかりません逆に容量の小さい \(C_1\) には \(990/1000=99/100\) の電圧がかかります。合計すると1

$$\frac{V_{\text{out}}}{V_{\text{mid}}}=\frac{C_3}{C_3+C_4}=\frac{100}{1000}=\frac{1}{10}$$
❹ \(C_3\)・\(C_4\) の直列分圧
\(C_4\) にかかる電圧
$$\frac{V_{\text{out}}}{V_{\text{in}}}=\frac{1}{100}\times\frac{1}{10}=\frac{1}{1000}$$
❺ 2段階を掛ける

周波数 \(f=50\;\mathrm{Hz}\) は答えに影響しませんすべての素子がコンデンサなので、\(\omega\) が分子分母で約分されるからです。与えられていても使わない数値です。

コンデンサ直並列回路についてC3とC4の直列合成、C2との並列合成、2段の電圧比を順に計算するポイント解説図
C34=90μF、CA=990μFを求め、VA/Vin=1/100とVout/VA=1/10を掛けます。
答え\(\dfrac{V_{\text{out}}}{V_{\text{in}}}=\dfrac{1}{1000}\) → 選択肢(1)
平成27年度理論問9の問題解説。合成容量と2段分圧からVout=Vin/1000、Vout/Vin=1/1000、答え1を示す図
直列コンデンサの分圧では相手側の容量を分子に置き、正答(1)を得ます。

誤答の正体:中間節点で止まる

誤り方選択肢との対応
中間節点の電圧比で止める1/100(3) と一致
分圧比を逆に取る(\(C_1\) の電圧)99/100(4)99/1000 とは違うが近い形
正しい計算1/1000(1) ◎

選択肢(3)の1/100 は「中間節点で止めた」答えです。2段階の分圧を最後まで進めないと、ここに着地します。「\(C_4\) の両端の電圧」と問題文にある——中間節点ではありません

選択肢が \(1/1000\)、\(9/1000\)、\(1/100\)、\(99/1000\)、\(891/1000\) と並んでいるのは、分圧の取り方を間違えたときの値を網羅しているからです。\(891/1000=0.99\times0.9\)——両方の分圧を逆に取った値です。

⚠️ よくある間違い
コンデンサの分圧を抵抗と同じに考えると、分子と分母を取り違えます抵抗なら「自分の抵抗/合計」、コンデンサなら「相手の容量/合計」——必ず確認してください

深掘り①:なぜ容量に反比例するのか

直列に接続されたコンデンサには、同じ電荷が蓄えられます電荷が同じなら、\(V=Q/C\) より電圧は容量に反比例します。

$$Q_1=Q_2=Q\;(\text{直列})$$
❶ 電荷が共通
途中の極板は電気的に孤立
$$V_1=\frac{Q}{C_1},\quad V_2=\frac{Q}{C_2}\;\Longrightarrow\;\frac{V_1}{V_2}=\frac{C_2}{C_1}$$
❷ 電圧の比
容量の逆比

抵抗の直列では電流が共通で、\(V=RI\) だから電圧は抵抗に比例します。コンデンサでは \(C\) が分母にある——この違いが逆転の理由です。

抵抗の直列コンデンサの直列
共通する量電流 \(I\)電荷 \(Q\)
電圧の式\(V=RI\)(\(R\) は分子)\(V=Q/C\)(\(C\) は分母)
分圧抵抗に比例容量に反比例
大きい素子に大きな電圧小さな電圧

深掘り②:この回路は「分圧器」

入力の1/1000 の電圧を取り出す——本問の回路は高電圧を測るための分圧器と同じ構造です。

高電圧を直接測ることはできないので、コンデンサ分圧器で小さな電圧に落としてから測定します。抵抗分圧器と違って電力を消費しないのが利点です。

抵抗分圧器コンデンサ分圧器
電力消費あり(発熱する)ほぼなし
直流使える使えない
高電圧大きな抵抗が必要適している
周波数特性周波数によらない比が周波数によらない(本問)

コンデンサ分圧器は交流専用です。直流では電流が流れないので分圧できません本問で「交流電圧 \(V_{\text{in}}\)」と指定されているのは、この理由です。

分圧比が周波数によらないのも利点です。すべてコンデンサなら \(\omega\) が約分されるので、どの周波数でも同じ比になります。これが「\(f=50\;\mathrm{Hz}\) を使わない」理由でもあります。

💡 覚え方
「コンデンサの分圧は相手の容量/合計」——抵抗と逆だと必ず確認してください。容量が小さいほうに大きな電圧——これが直感に反するポイントです。

⏱️ 本番での進め方
❶ 内側からまとめる。直列は和分の積、並列は足し算。
❷ 分圧は「相手の容量/合計」。抵抗と逆。
❸ 2段階を最後まで進める。中間節点で止まると(3)に着地。
❹ 周波数は使わない。すべてコンデンサなら約分される。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

C3・C4直列90μF
C2と並列900+90=990μF
VAVin×10/1000=Vin/100
答えVout=VA/10=Vin/1000 …(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・コンデンサ回路の関連問題:【理論】令和6年度上期B問題15

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