単相交流30【電験3種 理論】交流ブリッジの平衡条件と測定できるインピーダンスを求める!平成29年度 B問題15 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成29年度 B問題15 交流ブリッジが平衡する条件!何を測れる回路?

今回は平成29年度 理論科目 B問題15を解説します。未知インピーダンスŻを測定する交流ブリッジで、(a)検出電圧が零となる平衡条件の空白の式と、(b)測定できるRとXの条件を求めるB問題です。

交流ブリッジの平衡は「向かい合う辺のインピーダンスの積が等しい」。R1とC1の並列合成インピーダンスとŻの積が、R2とR3の積に等しくなります。この関係からŻを解いてR・Xの符号を調べます。

目次

平成29年度 理論科目 B問題15:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問15)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・選択肢・ブリッジ回路図は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成29年度 B問題15 問題文
平成29年度 理論科目 B問題15 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成29年度 B問題15

 図は未知のインピーダンスŻ〔Ω〕を測定するための交流ブリッジである。電源の電圧をĖ〔V〕、角周波数をω〔rad/s〕とする。ただし、ω、静電容量C1〔F〕、抵抗R1〔Ω〕、R2〔Ω〕、R3〔Ω〕は零でないとする。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)交流検出器Dによる検出電圧が零となる平衡条件を、Ż・R1・R2・R3・ω及びC1を用いて( )Ż=R2R3と表すとき、空白に入る式として適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)R1+1/(jωC1) (2)R1−1/(jωC1) (3)R1/(1+jωC1R1) (4)R1/(1−jωC1R1) (5)√(R1/(jωC1))

(b)Ż=R+jXとしたとき、この交流ブリッジで測定できるR〔Ω〕とX〔Ω〕の満たす条件として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)R≧0, X≦0 (2)R>0, X<0 (3)R=0, X>0 (4)R>0, X>0 (5)R=0, X≦0

図 未知インピーダンスŻを測定する交流ブリッジ(R<sub class=

出題のポイント:ブリッジ平衡は「向かい合う辺の積が等しい」

直流ブリッジと同じ形の条件が、交流でもそのまま成り立ちます。違うのは、抵抗ではなくインピーダンス(複素数)で計算することだけです。

本問の要点は \(R_1\) と \(C_1\) が【並列】だという点です。直列なら \(R_1+1/(j\omega C_1)\) ですが、並列は \(R_1/(1+j\omega C_1R_1)\)——選択肢(1)(2)は直列の式で、引っかけになっています。

交流ブリッジの平衡条件
$$\dot Z_1\dot Z=R_2R_3\qquad\dot Z_1=\frac{R_1}{1+j\omega C_1R_1}$$

並列合成はアドミタンスで考えるのが確実です。\(\dot Y_1=1/R_1+j\omega C_1\) の逆数を取ります。

平成29年度理論B問題15の出題ポイント。交流ブリッジの四つの腕、検出器D、平衡条件Z1と未知インピーダンスZの積がR2R3に等しいこと、正答a3とb4を示す図
交流ブリッジ平衡は向かい合う腕の積が等しいことを使います。未知インピーダンスの実部・虚部はいずれも正です。

(a) の解説:並列合成インピーダンスを作る

$$\dot Y_1=\frac{1}{R_1}+j\omega C_1=\frac{1+j\omega C_1R_1}{R_1}$$
❶ アドミタンスで足す
並列は足し算
$$\dot Z_1=\frac{1}{\dot Y_1}=\frac{R_1}{1+j\omega C_1R_1}$$
❷ 逆数を取る
$$\dot Z_1\dot Z=R_2R_3$$
❸ 平衡条件
向かい合う辺の積

並列合成を「和分の積」で計算しても同じです。\(R_1\times\frac{1}{j\omega C_1}\div(R_1+\frac{1}{j\omega C_1})\) を整理すると、分子分母に \(j\omega C_1\) を掛けて \(R_1/(1+j\omega C_1R_1)\) になります。

アドミタンスで考えるほうが速いのは、並列が単純な足し算になるからです。3つ以上の並列でも同じ手が使えます

並列RCのアドミタンスと合成インピーダンスを求め、交流ブリッジ平衡式から未知インピーダンスの実部Rと虚部Xを分離するポイント解説図
Z₁=R₁/(1+jωC₁R₁)を平衡式へ代入すると、R=R₂R₃/R₁、X=ωC₁R₂R₃です。
答え(a) \(\dfrac{R_1}{1+j\omega C_1R_1}\) → 選択肢(3)

(b) の解説:\(\dot Z\) を解いて実部・虚部を見る

$$\dot Z=\frac{R_2R_3}{\dot Z_1}=\frac{R_2R_3(1+j\omega C_1R_1)}{R_1}$$
❶ 平衡条件を解く
分数の分数を整理
$$\dot Z=\frac{R_2R_3}{R_1}+j\omega C_1R_2R_3$$
❷ 実部と虚部に分ける
$$R=\frac{R_2R_3}{R_1}>0,\qquad X=\omega C_1R_2R_3>0$$
❸ 符号を見る
すべて正の量の積・商

\(R_1\)、\(R_2\)、\(R_3\)、\(C_1\)、\(\omega\) はすべて正と問題文が指定しています。したがって \(R\) も \(X\) も必ず正——このブリッジで測れるのは誘導性のインピーダンスだけです。

容量性(\(X<0\))は測れません\(C_1\) が \(R_1\) と並列に入っているためです。もし \(C_1\) が直列なら、測れる範囲が変わります——回路構成が測定範囲を決めているわけです。

平成29年度理論B問題15の問題解説。並列RC合成、未知インピーダンスの展開、実部と虚部の符号判定を3ステップで示し、答えa3とb4を示す図
並列RCの合成は(a)-(3)。Żの実部と虚部はいずれも正なので(b)-(4)です。
答え(b) \(R>0\)、\(X>0\) → 選択肢(4)

誤答の正体:直列と並列の取り違え

(a) の選択肢何の式か判定
(1)\(R_1+\dfrac{1}{j\omega C_1}\)\(R_1\) と \(C_1\) の【直列】×
(2)\(R_1-\dfrac{1}{j\omega C_1}\)符号も誤り×
(3)\(\dfrac{R_1}{1+j\omega C_1R_1}\)【並列】合成
(4)\(\dfrac{R_1}{1-j\omega C_1R_1}\)符号が誤り×
(5)\(\sqrt{R_1/(j\omega C_1)}\)意味のない式×

(1)(2)は直列の式です。回路図で \(R_1\) と \(C_1\) がどうつながっているかを確認してください。並列なら分数の形、直列なら和の形になります。

(4)の符号違いも要注意です。\(\dot Y_1=1/R_1+j\omega C_1\) なので、分母は \(1+j\omega C_1R_1\)——プラスです。コンデンサのアドミタンスは \(+j\omega C\)(インピーダンスが \(-j/\omega C\) なので逆数で符号が変わる)と覚えてください。

⚠️ よくある間違い
コンデンサのインピーダンスとアドミタンスで符号が逆になります。\(\dot Z_C=\dfrac{1}{j\omega C}=-\dfrac{j}{\omega C}\)(虚部が負)\(\dot Y_C=j\omega C\)(虚部が正)——どちらを使っているかを意識してください。

深掘り①:交流ブリッジの種類

交流ブリッジは、回路構成によって測れる対象が変わります代表的なものを整理しておきましょう。

名称測定対象特徴
マクスウェルブリッジインダクタンス(誘導性)\(R\)∥\(C\) を使う(本問の形)
ヘイブリッジ\(Q\) の高いコイル\(R\) と \(C\) を直列に使う
シェーリングブリッジ静電容量・誘電正接絶縁物の測定に使う
ホイートストンブリッジ抵抗(直流)最も基本的な形

本問はマクスウェルブリッジです。\(R_1\) と \(C_1\) の並列を使って、未知のコイルのインダクタンスと抵抗を同時に測ります

\(X=\omega C_1R_2R_3\) なので、\(L=X/\omega=C_1R_2R_3\)——\(\omega\) が消えます周波数によらずインダクタンスが求まるのがこのブリッジの利点です。

深掘り②:ブリッジ測定の考え方

ブリッジは「検出器の指示がゼロ」を利用する測定法です。ゼロを検出するだけなので、検出器の精度は問われません

偏位法(直読)零位法(ブリッジ)
読み取るもの指針の振れゼロになったときの目盛
精度を決めるもの計器の精度標準器(\(R\) や \(C\))の精度
精度中程度高い
測定の速さ速い遅い(調整が必要)

ブリッジは零位法です。精度の高い標準抵抗や標準コンデンサさえあれば、非常に正確な測定ができます——検出器は「ゼロかどうか」だけ分かればよいのです。

この考え方は計測分野でも問われます「偏位法と零位法の違い」——零位法のほうが精度が高い理由を説明できるようにしておいてください

💡 覚え方
「向かい合う辺の積が等しい」——直流でも交流でも同じです。交流ではそれが複素数の等式になるので、実部と虚部の2つの条件が同時に満たされる必要があります。

⏱️ 本番での進め方
❶ 並列はアドミタンスで足す。逆数を取れば合成インピーダンス。
❷ 回路図で直列か並列かを確認する。(1)(2)は直列の式。
❸ 実部と虚部に分ける。符号を見れば測定範囲が分かる。
❹ \(\dot Y_C=+j\omega C\)。インピーダンスとは符号が逆。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

平衡条件(R1∥C1)Ż=R2R3
Ż1=R1∥C1R1/(1+jωC1R1) …(a)(3)
ŻR2R3/R1+jωC1R2R3
答えR>0,X>0 …(b)(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・インピーダンス測定・LC回路の関連問題:【理論】令和6年度上期A問題13

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