今回は令和6年度上期 理論科目 A問題6を解説します。9 V電源と6 Ω抵抗の先で、3 V・Rの上枝と4 V・1 Ωの下枝に分かれる回路です。上枝の抵抗Rに0.3 Aが流れる条件から、Rの値〔Ω〕を求めます。
6 Ωを流れる電流I1と、1 Ω側を流れる電流I2を定めます。分岐点でI1=I2+0.3を立て、まず9 V・4 Vを含む下側ループからI1とI2を決定し、次に9 V・3 Vを含む上側ループからRを求めます。
令和6年度上期 理論科目 A問題6:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の問題図で、9 V電源は上側が正、3 V・4 V電源は右側が正であることを確認します。また、0.3 Aは6 Ωではなく、上枝の抵抗Rを左から右へ流れる電流です。

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和6年度上期 A問題6
図の回路において、抵抗R〔Ω〕には電流0.3Aが流れている。抵抗Rの値〔Ω〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)2.0 (2)2.8 (3)3.7 (4)4.9 (5)25〔Ω〕
出題のポイント:電源の極性と、3本の電流の区別
複数電源の回路で最初にやることは電流に名前と向きを付けることです。本問では6 Ωを流れる電流をI₁、下枝の1 Ωを流れる電流をI₂とし、上枝のRには問題文が与えた0.3 Aが流れます。分岐点で「入る量=出る量」なので \(I_1=I_2+0.3\)。向きは仮に決めてよく、もし逆向きなら答えが負になるだけです。
次に極性です。電池記号は長い極板が正。9 V電源は上側が正、3 V・4 V電源はいずれも右側が正です。ここで注意したいのは、3 V源と4 V源は別々の並列枝にあるということ。直列につながっていないので3+4=7 Vのようには足せません。それぞれ別のループの中で扱います。

問題の解説:電流則 → 下側ループ → 上側ループの順に解く
STEP1 分岐点で電流則を立てる
6 Ωを通って分岐点に入ってきたI₁が、上枝の0.3 Aと下枝のI₂に分かれます。
未知数を1つ減らす
STEP2 下側ループでI₂とI₁を確定させる
Rを含まないループを先に選ぶのがコツです。9 V・6 Ω・4 V・1 Ωを含む下側ループなら未知数はI₁とI₂だけなので、STEP1と連立して数値が確定します。
9 Vと4 Vがどちらも電位上昇
I₁を消去して1文字にする
これで電流が全部そろった

STEP3 上側ループでRを求める
電流が分かってしまえば、Rを含む上側ループに代入するだけです。
9 Vと3 Vが電位上昇
未知数はRだけ
0.3 Aで割る

選択肢を回路に戻して検算する
Rを決めれば回路の電流はすべて決まります。逆に言えば、各選択肢のRを回路に入れてR枝の電流が0.3 Aになるかを見れば正誤が判定できます。連立を解くと \(I_1=\dfrac{13R+12}{7R+6}\)、R枝の電流は \(I_R=\dfrac{12-6I_1}{R}\) です。
| 選択肢 | R [Ω] | I₁ [A] | R枝の電流 IR [A] | 判定 |
| (1) | 2.0 | 1.900 | 0.300 | ○ |
| (2) | 2.8 | 1.891 | 0.234 | × |
| (3) | 3.7 | 1.884 | 0.188 | × |
| (4) | 4.9 | 1.878 | 0.149 | × |
| (5) | 25 | 1.862 | 0.033 | × |
Rを大きくするほど上枝は電流が流れにくくなり、IRは単調に減ります。0.3 Aという比較的大きな値が必要なのだから、Rは小さいはず——この見当だけで(5)の25 Ωは真っ先に捨てられます。
別解:節点電圧法で1本の式にまとめる
分岐点の電位を \(V\)(下側の導線を基準0 V)と置くと、3本の枝の電流をすべて \(V\) で書けます。9 V枝は \((9-V)/6\)、下枝は \((V+4)/1\) が流れ出す向き…というように立てて、流入=流出とすれば未知数は \(V\) の1つだけ。ループを2本選ぶ必要がなくなり、枝の数が多い回路ほど有利になります。本問のように電源が3個ある回路では節点電圧法のほうが速いこともあるので、両方書けるようにしておくと安心です。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 図に電流の名前と向きを書き込む(向きは適当でよい/負なら逆向きというだけ)
② 電池は長い極板が正。周回方向に対して上昇か下降かを矢印でメモする
③ 未知数の少ないループから解く——本問なら「Rを含まない下側ループ」が先
④ 別々の枝にある電源は足さない(3 V+4 V=7 Vとしない)
複数電源回路の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 令和6年度上期 A問題6 | 本問(直流回路11) | 3電源回路で抵抗Rを求める |
| 令和6年度下期 A問題6 | 直流回路8 | 2電源回路の各抵抗の電流I₁・I₂・I₃ |
| 平成20年度 A問題7 | 直流回路63 | 2電源回路の各抵抗の電流 |
| 令和5年度下期 A問題6 | 直流回路15 | 2電源回路をミルマンの定理で解く |
| 令和6年度上期 A問題5 | 直流回路10 | 2電源はしご回路の消費電力 |
💡 覚え方
複数電源は「電流に名前を付ける → 電流則で1文字減らす → 未知数の少ないループから電圧則」。電池は長い極板が正、別枝の電源は足さない。
⚠️ よくある間違い
3 V源と4 V源を直列とみなして7 Vにしないこと(別々の並列枝にあります)。0.3 Aは6 Ωの電流ではなくR枝の電流です。電圧則の符号は、周回方向に対する電位の上下で決めます。
まとめ
| 電源極性 | 9 Vは上側正、3 V・4 Vは右側正 |
| 電流則 | I1=I2+0.3 |
| 下側ループ | 6I1+I2=13 |
| 枝電流 | I2=1.6 A、I1=1.9 A |
| 上側ループ | 12=6I1+0.3R |
| 抵抗値 | R=2.0 Ω |
| 正答 | (1) |
▼あわせて解きたい関連問題
・キルヒホッフ・多電源回路の関連問題:【理論】令和6年度下期A問題6

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