今回は平成19年度 理論科目 A問題1を解説します。無限長直線導体Aから距離aの点Pの磁界H1と、半径aの円形コイルBの中心Oの磁界H2が等しいとき、電流I1とI2の関係を求める問題です。
直線導体の磁界はアンペアの周回積分の法則、円形コイル中心の磁界はビオ・サバールの法則から求めます。どちらも距離・半径はaですが、直線導体では分母が2πa、一巻き円形コイルでは2aになります。式の違いを法則から理解すると、πの位置を取り違えにくくなります。
平成19年度 理論科目 A問題1:問題文と選択肢
問題文の「磁界の大きさ」に注目します。矢印で示されたaは、図1では導体から点Pまでの垂直距離、図2では円形コイルの半径です。なお、同じ内容は令和7年度上期の理論問4でも公式に再出題されていますが、選択肢の順序が異なります。本記事では平成19年度の選択肢番号を使用します。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題1
電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 平成19年度 A問題1
無限に長い直線状導体Aに直流電流I1〔A〕が流れているとき、この導体からa〔m〕離れた点Pでの磁界の大きさはH1〔A/m〕であった。一方、半径a〔m〕の一巻きの円形コイルBに直流電流I2〔A〕が流れているとき、この円の中心点Oでの磁界の大きさはH2〔A/m〕であった。H1=H2であるときのI1とI2の関係を表す式として、正しいのは次のうちどれか。
(1)I1=π2I2 (2)I1=πI2 (3)I1=I2/π
(4)I1=I2/π2 (5)I1=(2/π)I2
出題のポイント:分母が \(2\pi a\) か \(2a\) か
無限長直線導体は \(H=I/(2\pi a)\)、円形コイルの中心は \(H=I/(2a)\)——違いは分母に \(\pi\) があるかどうかだけです。2つを等号で結べば1行で答えが出ます。
分母が小さい円形コイルのほうが磁界は強いので、同じ磁界にするには直線導体側により多くの電流が必要です。この大小関係で検算すれば、逆比のミスを防げます。

解説:等号で結んで \(a\) を約分する
\(2a\) が約分されて消える
直線側のほうが \(\pi\) 倍多く必要
問題文が「距離 \(a\)」と「半径 \(a\)」をわざわざ同じ記号にしているのは、この約分を成立させて答えを純粋な数値関係にするためです。
大小関係で検算しましょう。同じ電流なら、円形コイルの中心の磁界は直線導体の \(\pi\) 倍(\(1/2a\) 対 \(1/2\pi a\))。だから直線側で同じ磁界を出すには \(\pi\) 倍の電流が要る——筋が通っています。


★重要:令和7年度上期に「選択肢を入れ替えて」再出題された
令和7年度上期A問題4は、本問とまったく同じ問題です。問題文も図も同一で、答えの式も \(I_1=\pi I_2\) で変わりません。違うのは選択肢の並びだけです。
| 本問(平成19年度 A問題1) | 令和7年度上期 A問題4 | |
| 問題文・図 | 同一 | 同一 |
| 答えの式 | \(I_1=\pi I_2\) | \(I_1=\pi I_2\)(同じ) |
| 選択肢(1) | \(\pi^2I_2\) | \(\pi^2I_2\) |
| 選択肢(2) | \(\pi I_2\) ←正答 | \((2/\pi)I_2\) |
| 選択肢(3) | \(I_2/\pi\) | \(I_2/\pi^2\) |
| 選択肢(4) | \(I_2/\pi^2\) | \(I_2/\pi\) |
| 選択肢(5) | \((2/\pi)I_2\) | \(\pi I_2\) ←正答 |
| 正答番号 | (2) | (5) |
答えの式はまったく同じなのに、番号は(2)から(5)へ移りました。18年の時を経て再出題され、しかも選択肢の順序が変えられている——これ以上ないほど明確な「番号暗記の危険性」の実例です。
⚠️ よくある間違い
「この問題の答えは(2)」と番号で覚えていた人は、令和7年度上期で確実に落とします。覚えるべきは「\(I_1=\pi I_2\)」という中身です。さらに言えば、「円形コイルのほうが \(\pi\) 倍強い」という物理的な理解があれば、その場で導けます。
あわせて解いておきたい記事:【理論】令和7年度上期A問題4
誤答の正体:逆比に注意
| 選択肢 | 判定 | 理由 | |
| (1) | \(I_1=\pi^2I_2\) | × | \(\pi\) を2回掛けている |
| (2) | \(I_1=\pi I_2\) | ◎ | 正解 |
| (3) | \(I_1=I_2/\pi\) | × | 逆比。最も引っかかりやすい |
| (4) | \(I_1=I_2/\pi^2\) | × | 逆比かつ \(\pi\) が2回 |
| (5) | \(I_1=(2/\pi)I_2\) | × | \(2\pi\) と \(2\) の扱いを混同 |
(3)との区別が本問の急所です。式変形の途中で \(\pi\) をどちら側に移すかを間違えると、(3)に着地します。「円形が強い→直線側は多く流す→\(I_1>I_2\)」という判断で防げます。
💡 覚え方
「分母が小さいほうが強い」——\(2a\)(円形)< \(2\pi a\)(直線)なので円形が強い。公式を覚えていなくても、分母の大小さえ思い出せれば大小関係は判断できます。
⏱️ 本番での進め方
❶ 2つの公式を並べて書く。分母の違いだけに注目する。
❷ \(a\) は必ず約分される。残るのは \(\pi\) だけ。
❸ 大小関係で検算。円形が強い → 直線側は多く流す → \(I_1>I_2\)。
❹ 番号で覚えない。同じ問題が選択肢を入れ替えて再出題されている。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
まとめ
| 直線導体 | H1=I1/(2πa) [A/m] |
| 一巻き円形コイル | H2=I2/(2a) [A/m] |
| 等置 | I1/(2πa)=I2/(2a) |
| 整理 | I1/π=I2 |
| 答え | I1=πI2 …(2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・円形コイルと直線電流の磁界の関連問題:【理論】令和7年度上期A問題4

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