磁気・電磁力24【電験3種 理論】磁力線の性質で誤りはどれ?密度は磁界の強さを表す!令和2年 A問題4 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(磁気・電磁力) 令和2年度 A問題4 磁力線の密度が磁界の強さ!誤りの記述はどれ?

今回は令和2年度 理論科目 A問題4を解説します。磁極の働きを表す磁力線に関する記述(1)〜(5)のうち、誤っているものを1つ選ぶ問題です。

ポイントは、磁力線の密度はその点の磁界の強さHを表し、磁束線の密度は磁束密度Bを表すという区別です。B=μHの関係はありますが、線の定義は同じではありません。したがって、選択肢(4)「磁力線の密度=磁束密度」は誤りです。

目次

令和2年度 理論科目 A問題4:問題文と選択肢

まずは、令和2年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 磁気・電磁力 令和2年度 A問題4 問題文
令和2年度 理論科目 A問題4 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和2年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題4

電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 令和2年度 A問題4

 磁力線は、磁極の働きを理解するのに考えた仮想的な線である。この磁力線に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 磁力線は、磁石のN極から出てS極に入る。
(2) 磁極周囲の物質の透磁率をμ〔H/m〕とすると、m〔Wb〕の磁極からm/μ本の磁力線が出入りする。
(3) 磁力線の接線の向きは、その点の磁界の向きを表す。
(4) 磁力線の密度は、その点の磁束密度を表す。
(5) 磁力線同士は、互いに反発し合い、交わらない。

出題のポイント:「磁力線」と「磁束線」は別物

この問題はたった一つの区別で決まります。磁力線の密度は磁界の強さ \(H\)磁束線の密度は磁束密度 \(B\)——ここを混同させるのが出題の狙いです。

磁力線と磁束線の対比
$$\text{磁力線:密度}=H\;\mathrm{[A/m]}\qquad m\;\mathrm{[Wb]}\;\text{の磁極から}\;\frac{m}{\mu}\;\text{本}$$$$\text{磁束線:密度}=B\;\mathrm{[T]}\qquad\quad m\;\mathrm{[Wb]}\;\text{の磁極から}\;m\;\text{本}$$

\(B=\mu H\) という関係はありますが、線そのものの定義が違います。本数も密度も別々に覚えてください。

磁力線の密度は磁界の強さH、磁束線の密度は磁束密度Bを表す比較図
磁力線はH、磁束線はBを表します。両者を混同した選択肢(4)が誤りです。

各記述の判定

(1) 磁力線はN極から出てS極に入る → 正しい

磁石の外部での向きです。磁石の内部ではS極からN極へ向かうので、磁束線は閉じたループになります。

☝️ ひっかけの作り方:「磁石の内部ではN極からS極へ向かう」と書かれたら誤りです。外部と内部で向きが逆——ここを入れ替えるのは定番のひっかけです。

(2) \(m\)〔Wb〕の磁極から \(m/\mu\) 本の磁力線が出入りする → 正しい

これは磁界に関するガウスの法則そのものです。磁極 \(m\) を囲む閉曲面について \(\displaystyle\oint \boldsymbol{H}\cdot d\boldsymbol{S}=\frac{m}{\mu}\) が成り立ちます。

透磁率 \(\mu\) が大きい物質ほど、磁力線の本数は減ります。一方磁束線は \(m\) 本のままで \(\mu\) に無関係——これが両者の決定的な違いです。

💡 覚え方
電界とまったく同じ構造です。電気力線は \(Q/\varepsilon\) 本で密度が \(E\)、電束線は \(Q\) 本で密度が \(D\)。「割ってあるほうが力線、割っていないほうが束線」と覚えると、電磁気の両分野で使えます。

(3) 磁力線の接線の向きは、その点の磁界の向きを表す → 正しい

線の「向き」が磁界の向き、線の「密度」が磁界の強さ。これが力線という図示法の定義です。

(4) 磁力線の密度は、その点の磁束密度を表す → ★これが誤り

磁力線の密度は磁界の強さ \(H\)〔A/m〕です。磁束密度 \(B\)〔T〕は磁束線の密度であって、磁力線ではありません。

$$\text{磁力線の密度}=H\;\mathrm{[A/m]}$$
本問の正しい記述
本数は \(m/\mu\) 本
$$\text{磁束線の密度}=B\;\mathrm{[T]}$$
混同されている量
本数は \(m\) 本
$$B=\mu H$$
両者をつなぐ式
\(\mu\) 倍の違いがある=同じではない

真空中であっても \(B=\mu_0H\) で、\(\mu_0=4\pi\times10^{-7}\) 倍の差があります単位からして A/m と T で違うのですから、同じものであるはずがありません。

(5) 磁力線同士は互いに反発し合い、交わらない → 正しい

もし2本の磁力線が交わったら、その交点で磁界の向きが2つあることになってしまいます。磁界はベクトル場なので、1点での向きは必ず1つ。だから交わりません。

「反発し合う」というのはファラデーが提唱した力線の性質で、横方向には押し合い、長さ方向には縮もうとすると表現されます。これが磁石が引き合う/反発するイメージのもとになっています。

令和2年度理論問4の磁力線に関する5つの記述を正誤判定する一覧図
(1)(2)(3)(5)は正しく、磁力線の密度を磁束密度Bとした(4)が誤りです。
答え誤っているのは 選択肢(4) (磁力線の密度は磁界の強さ \(H\)
磁力線Hと磁束線Bの違いから公式正答4を導く解答図
磁力線の密度はH、磁束線の密度はBであり、公式正答は(4)です。

電界と磁界の対応表:セットで覚えると忘れない

電界磁界
力線電気力線磁力線
力線の密度\(E\)〔V/m〕\(H\)〔A/m〕
力線の本数\(Q/\varepsilon\) 本\(m/\mu\) 本
束線電束線磁束線
束線の密度\(D\)〔C/m²〕\(B\)〔T〕
束線の本数\(Q\) 本\(m\) 本
両者の関係\(D=\varepsilon E\)\(B=\mu H\)

この表を1回書ければ、電界の問題も磁界の問題も同じ論理で解けます。電験3種では両分野からこの区別が繰り返し問われます

⚠️ よくある間違い
磁界には「磁力線が閉じている」という電界にない性質があります。単独の磁極(モノポール)は存在しないので、磁束線は必ず閉ループになります。電気力線は正電荷から出て負電荷で終わる(=閉じない)ので、ここだけは対応しません。

⏱️ 本番での進め方
❶ 「密度は何を表すか」を真っ先に確認する。磁力線→H、磁束線→B。これだけで(4)が浮く。
❷ 単位で確かめる。A/m と T は別の単位。同じものを表せるはずがない。
❸ 電界の知識を流用する。\(Q/\varepsilon\) 本と \(m/\mu\) 本、\(D=\varepsilon E\) と \(B=\mu H\) は完全に対応する。
❹ 「誤っているもの」を選ぶ問題なので、正しい記述に印をつけて消していく。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

(1)(2)(3)(5)N→S・m/μ本・接線=向き・非交差→正
(4)磁力線の密度磁界の強さH(磁束密度は誤り)
磁束密度B磁束線の密度
答え(4)

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・磁力線・磁界の関連問題:【理論】令和4年度下期A問題3

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