今回は令和6年度上期 理論科目 A問題3を解説します。磁気に関する量とその単位記号(SI基本単位及び組立単位による表し方)の組合せのうち、誤っているものを1つ選ぶ問題です。
ポイントは磁束=Wb=V·sで、V/sではないという点です。選択肢(2)が磁束をV/sとしているため誤りです。インダクタンスWb/A、磁気抵抗H-1、透磁率H/mは正しい対応です。
令和6年度上期 理論科目 A問題3:問題文と選択肢
まずは、令和6年度上期に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題3
電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 令和6年度上期 A問題3
磁気に関する量とその単位記号(SI基本単位及び組立単位による表し方)の組合せとして、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
量 単位記号 (1) インダクタンス Wb/A (2) 磁束 V/s (3) 磁界の強さ A/m (4) 磁気抵抗 H-1 (5) 透磁率 H/m
出題のポイント:Wb は「V·s」。割るのではなく掛ける
5つのうち4つは定義式から素直に導けます。ひねってあるのは磁束の単位だけ——\(\mathrm{V/s}\) ではなく \(\mathrm{V\cdot s}\) です。この1文字の違いで正誤が決まります。
単位の問題は暗記科目に見えますが、実際に暗記が必要なのはごくわずかです。その量を定義している式を思い出し、記号を単位に置き換える——この作業を5回くり返すだけで答えが出ます。公式を覚えていれば単位は作れる、という関係になっています。

5つの組合せを1つずつ確かめる
| 量 | 単位記号 | もとになる式 | 判定 | |
| (1) | インダクタンス | Wb/A | \(\varPhi=LI\;\Rightarrow\;L=\varPhi/I\) | ◎ 正しい |
| (2) | 磁束 | V/s | 正しくは \(\mathrm{Wb}=\mathrm{V}\cdot\mathrm{s}\) | × 誤り |
| (3) | 磁界の強さ | A/m | \(H=NI/l\)(起磁力÷磁路長) | ◎ 正しい |
| (4) | 磁気抵抗 | H⁻¹ | \(R_m=NI/\varPhi=\mathrm{A/Wb}\) | ◎ 正しい |
| (5) | 透磁率 | H/m | \(B=\mu H\;\Rightarrow\;\mu=B/H\) | ◎ 正しい |
(1)(3)(4)は素直に導けます。インダクタンスは \(\varPhi=LI\) を \(L\) について解いた形、磁界の強さは \(H=NI/l\) そのもの、磁気抵抗は \(\mathrm{H}=\mathrm{Wb/A}\) の逆数です。
意外に手が止まるのが(5)の透磁率です。\(\mu=B/H\) から出発して、\(\mathrm{T}\div(\mathrm{A/m})=(\mathrm{Wb/m^2})\times(\mathrm{m/A})=(\mathrm{Wb/A})/\mathrm{m}=\mathrm{H/m}\)——順を追えば確実にたどり着きます。真空の透磁率が \(4\pi\times10^{-7}\;\mathrm{H/m}\) と書かれることを思い出すのが最も速い確認法です。


なぜ \(\mathrm{V/s}\) に引っかかるのか
\(\mathrm{V}=\mathrm{Wb/s}\) という関係が頭に浮かぶところまでは、多くの人が到達します。問題はそこから \(\mathrm{Wb}\) について解く一手です。あわてて「Wb は V と s の組み合わせだ」とだけ覚えていると、割り算と掛け算のどちらだったかが曖昧になります。
意味で覚えるのが確実です。磁束は「時間をかけて電圧を生み出す元手」——1 V を1秒間発生させるだけの磁束が 1 Wb です。時間を掛けた量だと理解していれば、\(\mathrm{V\cdot s}\) が自然に出てきます。
⚠️ よくある間違い
\(\mathrm{V/s}\) と \(\mathrm{V\cdot s}\) は見た目がよく似ています。試験本番ではスラッシュ(÷)とドット(×)を指でなぞって確認してください。この問題は記号1文字で正誤が決まります。
深掘り:同じ知識が毎年のように問われている
「Wb = V·s」は、電験3種で最も繰り返し問われる単位のひとつです。聞き方だけを変えて、ほぼ毎年どこかの年度に登場しています。
| 出題形式 | 問われ方 | 誤りの記述 |
| SI組立単位の表し方 | 「同じ内容を表す他の表し方」の組合せ | Wb=V/s |
| 電気及び磁気の量と単位 | 「量と単位記号」の組合せ | 磁束=T |
| 磁気に関する量と単位(本問) | 「量と単位記号」の組合せ | 磁束=V/s |
誤りの作り方は2通りしかありません。「V·s を V/s にする」か、「Wb を T にすり替える」かです。この2パターンを知っていれば、磁束の行を真っ先に見るだけで答えが出ます。
裏を返せば、磁束の単位を確実に押さえておけば、毎年1問を安全に確保できるということです。\(\varPhi\) は Wb(=V·s)、\(B\) は T(=Wb/m²)——この2行を書けるようにしておいてください。
💡 覚え方
「密度がつく量は面積で割る」——磁束密度が \(\mathrm{Wb/m^2}\) になるのも、電束密度が \(\mathrm{C/m^2}\) になるのも同じ理屈です。単位に \(/\mathrm{m^2}\) があるかどうかで、密度かどうかが判別できます。
⏱️ 本番での進め方
❶ 磁束の行を真っ先に見る。この形式では磁束が狙われる確率が最も高い。
❷ 5つとも自分で導く。定義式→単位の置き換えで30秒。
❸ 「÷」と「×」を指でなぞる。この問題は記号1文字で正誤が決まる。
❹ 透磁率は \(4\pi\times10^{-7}\;\mathrm{H/m}\) を思い出すのが最速。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
まとめ
| (1) インダクタンス | L=λ/IよりWb/A=H:正しい |
| (2) 磁束 | Wb=V·sでありV/sではない:誤り |
| (3) 磁界の強さ | NI=HℓよりA/m:正しい |
| (4) 磁気抵抗 | A/Wb=H−1:正しい |
| (5) 透磁率 | Wb/(A·m)=H/m:正しい |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・SI単位・電磁気量の関連問題:【理論】令和7年度上期A問題14

コメント