磁気・電磁力7【電験3種 理論】同じ向きに電流を流した平行導体に働く力の向きは?令和6年下期 A問題4 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(磁気・電磁力) 令和6年度下期 A問題4 平行導体に同じ向きの電流!引き合うか反発するか?

今回は令和6年度下期 理論科目 A問題4を解説します。y方向に平行に配置した2本の直線導体A・Bに、同じ大きさの電流Iをともに+y方向に流したとき、各導体に働く力の向きを答える論述問題です。

同じ向きに電流が流れる2本の平行導体は互いに引き合います。導体A(左)は導体B(右)の方向(+x)へ、導体B(右)は導体A(左)の方向(−x)へ力を受けます。

🔁 この問題は繰り返し出題されています
ほぼ同じ問題が 【理論】平成22年度A問題4 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
目次

令和6年度下期 理論科目 A問題4:問題文と選択肢

まずは、令和6年度下期に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 磁気・電磁力 令和6年度下期 A問題4 問題文
令和6年度下期 理論科目 A問題4 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題4

電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 令和6年度下期 A問題4

 図に示すように、直線導体A及びBがy方向に平行に配置され、両導体に同じ大きさの電流Iが共に+y方向に流れているとする。このとき、各導体に加わる力の方向について、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。なお、xyz座標の定義は、破線の枠内の図で示したとおりとする。

(1) 導体A:+x方向、導体B:+x方向
(2) 導体A:+x方向、導体B:−x方向
(3) 導体A:−x方向、導体B:+x方向
(4) 導体A:−x方向、導体B:−x方向
(5) どちらの導体にも力は働かない。

図 +y方向に電流Iを流した平行直線導体A・Bとxyz座標(問題図)
図 +y方向に電流Iを流した平行直線導体A・Bとxyz座標(問題図)

出題のポイント:計算不要。「同じ向きなら引き合う」だけで解ける

力の大きさは聞かれていません。向きだけです。「同じ向きの平行電流は引き合う、逆向きなら反発する」——この一言で答えが決まります。

平行電流に働く力
$$F=\frac{\mu_0 I_1 I_2}{2\pi d}\;\mathrm{[N/m]}$$$$\text{同じ向き}\;\Rightarrow\;\textbf{引力}\qquad\text{逆向き}\;\Rightarrow\;\textbf{斥力}$$

※本問で使うのは下段の向きの規則だけです。上の式は大きさを問う問題用に覚えておきます。

同じプラスy方向に電流が流れる平行導体AとBが互いに引き合う力の図
同方向の平行電流は引き合い、Aは+x、Bは−x方向へ力を受けます。

なぜ引き合うのか:フレミングの左手で確かめる

暗記に頼らず、右ねじ → フレミング左手の2段階で導けます。

$$\text{❶ 導体Aの電流(+y)がBの位置につくる磁界}$$
右ねじの法則
電流を右ねじで進める向きに回すと、Bの位置での磁界の向きが決まる
$$\text{❷ その磁界の中でBの電流(+y)が受ける力}$$
フレミング左手の法則
中指=電流、人差し指=磁界、親指=力
$$\Rightarrow\;\text{力は}\;\textbf{Aに近づく向き}$$
結果
導体Bには −x 方向の力

導体Aについても同じ手順で、Bに近づく向き(+x方向)と分かります。2本は互いに引き寄せ合う——これが結論です。

導体AとBの位置における磁束密度と外積から力の方向を求める図
Aでは+y×+z=+x、Bでは+y×−z=−xとなります。
答え導体A:+x方向 導体B:−x方向(互いに引き合う) → 選択肢(2)
平行導体Aの力がプラスx方向でBの力がマイナスx方向となり正答2を導く図
Aは+x、Bは−x方向へ互いに引き合うため、正解は(2)です。

選択肢の消し方:作用反作用だけで2つ消える

選択肢意味判定
(1)A:+x、B:+x2本が同じ向きに動く× 作用反作用に反する
(2)A:+x、B:−x互いに近づく=引力◎ 正解
(3)A:−x、B:+x互いに遠ざかる=斥力× 電流が逆向きのときの答え
(4)A:−x、B:−x2本が同じ向きに動く× 作用反作用に反する
(5)力は働かない× 平行電流間には必ず力が働く

(1)と(4)は物理を知らなくても消せます2本の導体が互いに及ぼし合う力は、大きさが等しく向きが逆(作用反作用の法則)。2本が同じ向きに動くことはあり得ません

残る(2)と(3)は「引くか反発するか」の二択。同じ向きなので引力——実質1ステップの問題です。

💡 覚え方
「仲良し電流は引き合う」と覚えてください。同じ向き(=仲間)なら引き合い、逆向き(=反発)なら遠ざかる。電荷とは逆で紛らわしいので、電荷は「同符号が反発」、電流は「同じ向きが引き合う」と対にして覚えるのが安全です。

⚠️ よくある間違い
電荷の感覚を持ち込むのが最大の落とし穴です。同じ符号の電荷は反発しますが、同じ向きの電流は引き合います。まったく逆なので、「電流は電荷と逆」と一言メモしておくと本番で迷いません。

この力は何に使われているか

アンペア〔A〕の定義は、かつてこの力で決められていました。「1 m 離した2本の無限長平行導線に等しい電流を流し、1 m あたり \(2\times10^{-7}\) N の力が働くときの電流が1 A」——という定義です。

$$F=\frac{\mu_0 I^2}{2\pi d}=\frac{4\pi\times10^{-7}\times1^2}{2\pi\times1}=2\times10^{-7}\;\mathrm{N/m}$$
定義の確認
\(\mu_0=4\pi\times10^{-7}\) はこの定義から決まった値

\(\mu_0\) に \(4\pi\) が入っている理由がここにあります。現在の定義は変わりましたが、この力が電磁気の基本量を支えていたことは知っておく価値があります。

実務では短絡事故時の電磁力として重要です。大電流が流れると母線どうしに大きな力が働くため、支持がいしの強度計算が必要になります。

★この問題は過去問とまったく同じ内容で再出題されています

本問は【理論】平成22年度A問題4完全に同一の問題です。問題文・図・選択肢の並びまですべて同じで、答えもどちらも(2)です。

電験3種では十数年前の問題がそのまま再出題されることがあります。特に本問のような「原理を問う短い問題」は、変えようがないので繰り返し出ます古い年度の過去問も侮れません

ただし選択肢の番号で覚えるのは危険です。同じ問題でも並び順が変わることがあります(当サイトでも実例を複数確認しています)。「同じ向きなら引力」という中身で覚えてください

あわせて解いておきたい記事:【理論】平成22年度A問題4

⏱️ 本番での進め方
❶ (1)(4)を先に消す。作用反作用の法則だけで判断でき、5択が3択になる。
❷ 「同じ向き=引力」を思い出す。ここで(2)に確定。
❸ 座標軸を図で確認する。「Aが左、Bが右」を取り違えると(2)と(3)が入れ替わる。
❹ 自信がなければ右ねじ+左手で導く。30秒あれば確認できる。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

電流A・Bとも+y方向
AでのBによる磁束密度+z方向(紙面手前)
Aの力+y×+z=+x
BでのAによる磁束密度−z方向(紙面奥)
Bの力+y×−z=−x
答え(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・平行電流間の力の関連問題:【理論】平成22年度A問題4

📚 次に解くべき関連問題
【理論】令和6年度上期A問題4(磁気・電磁力10)
【理論】令和5年度下期A問題4(磁気・電磁力12)
【理論】令和6年度下期A問題14(磁気・電磁力8)
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