今回は令和6年度下期 機械科目 B問題15を解説します。前半(a)で同期インピーダンス、後半(b)で負荷角30°のときの出力を求める、同期発電機の総合問題です。
(a)は短絡試験の関係、(b)は電圧・電流ベクトル図と出力式 \(P=\dfrac{EV}{X_s}\sin\delta\) を使います。1問で同期機計算の主要公式を総ざらいできる良問です。
問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題15
定格電圧6 600 V,定格出力8 MV・Aの三相同期発電機がある。界磁電流が200 Aにおける無負荷端子電圧は6 600 Vであり,この界磁電流での三相短絡電流は800 Aであった。突極性は無視し,電機子巻線抵抗及び鉄損と機械損は無視できるものとする。
(a) 一相分の同期インピーダンス[Ω]。
(1) 2.75 (2) 4.76 (3) 8.25 (4) 19.1 (5) 33.0
(b) 端子電圧6 600 V,力率1.0で運転したとき負荷角30°。このときの出力[MW]。
(1) 1.76 (2) 3.05 (3) 5.28 (4) 6.08 (5) 15.9
出題のポイント:(a)で出したZsを(b)の出力式に使う
(a)は無負荷電圧と短絡電流から同期インピーダンスを求める定番、(b)はそれを使って負荷角30°での出力を求める——B問題らしい素直な二段構成です。
本問は界磁電流が200 A で統一されているので、界磁電流をそろえる手間がありません——「この界磁電流での」という一文が、そろえ済みであることを示しています。

(a) 同期インピーダンスを求める
無負荷端子電圧を √3 で割る
相電圧÷短絡電流
選択肢の4.76に一致
⚠️ よくある間違い
(3) 8.25 Ωは線間電圧のまま割った値(6 600÷800)です。(4) 19.1 Ωは相電圧を界磁電流200 A で割った値、(5) 33.0 Ωは線間電圧を界磁電流で割った値——界磁電流は分母に来る電流ではありません。短絡電流800 A と界磁電流200 A を取り違えないよう注意してください。
(b) 負荷角から出力を求める
力率1.0 で負荷角が30°——この2つの条件から、まず電流かEのどちらかを決めます。力率1なら直角三角形なので、\( \tan\delta=x_s I/V_p \) の関係が使えます。
tan30°=0.5774
リアクタンス降下
降下÷同期インピーダンス
力率1
選択肢の5.28に一致

別解:出力の式を直接使う
円筒形同期機の出力の式 \( P=\dfrac{V_{\ell}E_{\ell}}{x_s}\sin\delta \) を使う道もあります。ただし誘導起電力 E を先に求める必要があります。
力率1なので Vp が隣辺、E が斜辺
1相分
sin30°=0.5
どちらの道でも一致
2通りで同じ5.28 MW が出たことで、答えの確からしさが裏づけられます。力率1の問題では「直角三角形の辺の比」がそのまま使えるので、前者(電流を経由する道)のほうが手数は少ないでしょう。
選択肢の作られ方を読む
| 選択肢 | 正解との関係 | どんな誤りか |
| (1) 1.76 | 5.28÷3 | 1相分のまま答えた |
| (2) 3.05 | 5.28÷√3 | √3 を1回余分に割った |
| (3) 5.28 ← 正解 | — | — |
| (4) 6.08 | 5.28÷cos30° | 三角比の取り違え |
| (5) 15.9 | 5.28×3 | 3倍を2回掛けた |
☝️ ひっかけの作り方:負荷角30°のとき、sin30°=0.5、cos30°=0.866、tan30°=0.577——3つの値をどこで使うかを取り違えると、(4)のような肢に落ちます。「電流を出すのは tan、出力の式に入るのは sin、E を出すのは cos」——使う場所と三角比の対応を、図を描いて確認してください。
⏱️ 本番での進め方
①(a) 6 600/√3÷800≒4.76 Ω。界磁電流200 A は割り算に使わない。
②(b) 力率1なので tan30°=xsI/Vp → xsI=2 200 V。
③ I=2 200/4.76≒462 A → P=3×3 811×462≒5.28 MW。
④ 選択肢が 1/3・1/√3・1・3 で並ぶ。三相の係数を確認する合図。
💡 覚え方
「力率1なら V・xsI・E の直角三角形。負荷角はその頂角」——tan で電流、cos で E、sin で出力。1つの三角形から3通りの使い方ができると分かっていれば、どの条件が与えられても解けます。
関連問題:(a)と同じ型は繰り返し出ている
無負荷電圧と短絡電流から同期インピーダンスを求める型は頻出です(同期機10:無負荷試験と短絡試験から同期インピーダンスを求める/同期機56:短絡電流は界磁電流に比例)。それらは界磁電流をそろえる一手間があるのに対し、本問はそろえ済み——その分、B問題として(b)に力を割いている構成です。

まとめ
| (a) 同期インピーダンス | \(Z_s=(V_n/\sqrt{3})/I_s=4.76\,\Omega\) |
| (b) 誘導起電力 | \(E=V/\cos\delta=4\,400\) V |
| (b) 出力 | \(P=3EV\sin\delta/X_s=5.28\) MW |
| 答え | (a)-(2)、(b)-(3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・短絡比→同期インピーダンス:【機械】平成25年度A問題6
・無負荷時の端子電圧(ベクトル図):【機械】平成27年度A問題4

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