同期機56【電験3種 機械】短絡電流は界磁電流に比例!Zs=(相電圧)÷(同じ界磁電流の短絡電流)=2.04Ω 令和7年度下期 A問題6 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 令和7年度下期 A問題6 短絡電流は界磁電流に比例!Zsは割り算で出す

今回は令和7年度下期 機械科目 A問題6を解説します。無負荷試験と短絡試験の結果から同期インピーダンス Zs を求める計算問題です。

落とし穴は2つ。①短絡試験の界磁電流が100Aと、無負荷試験の500Aとは違う——短絡特性は直線なので比例させて500A相当に直す必要があります。②Zsは1相分なので、線間電圧を√3で割って相電圧にすること。

目次

令和7年度下期 機械科目 A問題6:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 同期機 令和7年度下期 A問題6 問題文
令和7年度下期 機械科目 A問題6 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題6

電験3種 機械科目 【同期機】 令和7年度下期 A問題6

 三相同期発電機があり,無負荷で端子電圧(線間)15.2kVを発生させるのに必要な界磁電流は500Aである.この界磁電流を100Aにして短絡試験を行ったとき,短絡電流860Aが流れた.界磁電流が500Aのとき,この発電機の同期インピーダンス[Ω]の値として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ.

三相同期発電機があり、無負荷で端子電圧(線間)15.2kVを発生させるのに必要な界磁電流は500Aである。この界磁電流を100Aにして短絡試験を行ったとき、短絡電流860Aが流れた。界磁電流が500Aのとき、この発電機の同期インピーダンス[Ω]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)10.2 (2)6.86 (3)3.53 (4)2.04 (5)0.55 Ω

出題のポイント:界磁電流をそろえてから割る

同期インピーダンスは「無負荷電圧÷短絡電流」で求まりますが、両者は同じ界磁電流での値でなければなりません本問は500 A と100 A でばらばらに与えられているので、そろえる一手間が必要です。

同期インピーダンス

\( Z_s=\dfrac{E_0}{I_s}=\dfrac{V_0/\sqrt{3}}{I_s}\ [\Omega] \)

分子は1相分(相電圧)——線間のまま割ると √3 倍ずれます

そろえる根拠は、短絡曲線が直線であることです。短絡電流は界磁電流に比例するので、100 A で860 A なら、500 A では5倍の4 300 A——この比例計算が本問の核心になります。

短絡電流を500 A の界磁にそろえる

\( I_s=860\times\dfrac{500}{100} \)
比例
界磁電流が5倍なら短絡電流も5倍
\( \phantom{I_s}=860\times5=4\,300\ [\mathrm{A}] \)
短絡電流
界磁500 A のときの値

500÷100=5 ときれいに割り切れるのは、この比例計算をさせるための出題側の設定です。与えられた2つの界磁電流が整数比になっていたら、比例計算を求められていると考えてよいでしょう。

相電圧に直して割る

\( E_0=\dfrac{15.2\times10^{3}}{\sqrt{3}} \)
相電圧
無負荷「線間」電圧を √3 で割る
\( \phantom{E_0}\fallingdotseq 8\,776\ [\mathrm{V}] \)
1相分
15200÷1.732
\( Z_s=\dfrac{8\,776}{4\,300} \)
定義
1相分の電圧÷短絡電流
\( \phantom{Z_s}\fallingdotseq 2.04\ [\Omega] \)
同期インピーダンス
選択肢の2.04に一致
答え正解は (4) 2.04 Ωです。「界磁電流をそろえる」「線間を相に直す」の2つの前処理さえ済ませれば、あとは割り算だけ——手順が決まっている分、確実に取りたい問題です。

選択肢の作られ方を読む

⚠️ よくある間違い
(1) 10.2 Ω短絡電流を界磁500 A にそろえずに、860 A のまま割った値(8 776÷860≒10.2)です。問題文が「界磁電流が500 A のとき」と明記しているのを読み落とすと、ここに落ちます。
(3) 3.53 Ω線間電圧のまま割った値(15 200÷4 300≒3.53)です。正解の √3 倍——相電圧への換算を忘れた典型です。

2つの前処理それぞれの「やり忘れ」が、選択肢として用意されている——(1)が界磁そろえ忘れ、(3)が相電圧換算忘れです。どちらの値も「それらしい」ので、前処理を2つとも踏んだかを答える前に確認してください。

☝️ ひっかけの作り方:比例の向きにも注意が要ります。界磁電流を100 A から500 A へ増やすのですから、短絡電流も増える——860 A より大きい4 300 A になるのが正しい方向です。逆にすると172 A となり、同期インピーダンスが51 Ω という桁違いの値になります。「増やしたら増える」という当たり前の確認が、そのまま検算になります。

この値が意味するもの

求めた2.04 Ω は、この発電機の1相当たりの同期インピーダンスです。定格容量が与えられていれば %Z にも直せますが、本問では与えられていないのでオーム値のまま答えます

15.2 kV という電圧階級は、比較的大きな発電機のものです。界磁電流が500 A というのも大形機の値——火力・原子力のタービン発電機や、大規模水力の発電機が想定されています

短絡電流4 300 A に対して、この機械の定格電流がどれくらいか——もし %Z が80 %程度なら、定格電流は短絡電流の0.8倍で約3 400 Aとなり、容量は √3×15.2 kV×3.4 kA≒90 MV・A と見積もれます。与えられていない量も、他の量から桁を推定できる——この感覚があると、計算結果の妥当性をすぐ判断できます

⏱️ 本番での進め方
① 界磁電流をそろえる。500/100=5倍 → 短絡電流も5倍の4 300 A。
② 無負荷電圧は「線間」。√3 で割って8 776 V。
③ Zs=8 776/4 300≒2.04 Ω。
④ 選択肢に2.04 と3.53(√3倍)が並ぶ。相電圧への換算を確認する合図。

💡 覚え方
「同じ界磁電流での、相電圧÷短絡電流」——「同じ界磁電流で」と「相電圧で」の2語を口に出してから計算に入ると、前処理を飛ばしません

出題履歴:平成19年にも同じ型が出ている

まったく同じ型が、平成19年 A問題5でも出題されています同期機10:無負荷試験と短絡試験から同期インピーダンスを求める)。そちらは励磁480 A で12 600 V、96 A で820 A という数値で、やはり界磁電流の比が5倍になっています。

18年隔てて同じ設定で出題される——それだけ基本的で、かつ落としてはいけない問題だということです。2問を並べて解けば、手順が完全に定着します

界磁電流500 A は、どうやって作っているのか

本問の発電機は界磁電流が500 Aです。これだけの直流電流を回転する回転子に流し込むには、専用の仕組みが要ります——それが励磁方式です。

方式直流の作り方回転子への渡し方特徴
直流励磁機方式同軸の直流発電機スリップリングとブラシ古くからの方式。整流子とブラシの保守が要る
ブラシレス励磁方式同軸の交流発電機+回転整流器接触なし(回転体上で整流)ブラシがなく保守が軽い。応答はやや遅い
静止形励磁方式サイリスタ整流器(発電機出力から取る)スリップリングとブラシ応答が速く、系統安定度の向上に有利

大形機ほど界磁電流が大きくなるので、ブラシで数百アンペアを流し続けるのは負担になります——だからブラシレス方式が広く使われるようになりました

一方、系統事故のときに素早く界磁を強めて安定度を保つには、応答の速さが要ります静止形励磁方式(サイリスタ励磁)なら数十ミリ秒で界磁を変えられる——これを速応励磁と呼び、過渡安定度の向上策として挙げられます

本問で扱った「界磁電流を変えて特性を測る」という操作も、こうした励磁装置があってこそです。試験のときは界磁電流を0から徐々に上げていき、そのときの端子電圧や短絡電流を記録していく——2本の曲線は、そうやって1点ずつ測った結果なのです。

まとめ

同期インピーダンスの定義Z_s=(無負荷の相電圧)/(同じ界磁電流の短絡電流)
短絡特性直線(減磁作用が強く鉄心が飽和しない)⇒ 短絡電流は界磁電流に比例
無負荷飽和曲線飽和して曲がる(こちらは比例しない)
短絡電流の換算I_s=860×500/100=4300 A
相電圧E=15 200/√3=8 776 V
同期インピーダンスZ_s=8 776/4 300=2.04 Ω
答え(4)

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