電気及び電子計測22【電験3種 理論】内部抵抗の異なる2端子の電圧計で未知抵抗を求める!平成30年度 B問題18 完全解説

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 平成30年度 B問題18 端子を変えると指示も変わる!未知抵抗を逆算せよ

今回は平成30年度 理論科目 B問題18(選択問題)を解説します。内部抵抗の異なる2つの測定端子(150V端子=15kΩ、100V端子=10kΩ)をもつ直流電圧計で、定電流源につないだ抵抗Rの電圧を2回測定し、RとIを求める問題です。(令和5年度上期 B問題16と同一の問題です。)

電圧計は内部抵抗をもつため、Rと並列につなぐと電圧計にも電流が分かれて流れます。定電流源の電流Iは一定なので、2回の測定でIを消去してRを、続いてIを求めるのがポイントです。

目次

平成30年度 理論科目 B問題18:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 平成30年度 B問題18 問題文
平成30年度 理論科目 B問題18 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題18

電験3種 理論科目 【電気及び電子計測】 平成30年度 B問題18

 内部抵抗が15kΩの150V測定端子と内部抵抗が10kΩの100V測定端子をもつ永久磁石可動コイル形直流電圧計がある。この直流電圧計を使用して、図のように、電流I[A]の定電流源で電流を流して抵抗Rの両端の電圧を測定した。

測定I:150Vの測定端子で測定したところ、直流電圧計の指示値は101.0Vであった。

測定II:100Vの測定端子で測定したところ、直流電圧計の指示値は99.00Vであった。

次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、測定に用いた機器の指示値に誤差はないものとする。

(a) 抵抗Rの抵抗値[Ω]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)241 (2)303 (3)362 (4)486 (5)632 Ω

(b) 電流Iの値[A]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.08 (2)0.17 (3)0.25 (4)0.36 (5)0.49 A

図 定電流源I、抵抗R、直流電圧計Vを並列に接続した回路(問題図)
図 定電流源I、抵抗R、直流電圧計Vを並列に接続した回路(問題図)

出題のポイント:2つの指示値の「比」を取ると電流が消える

定電流源なので \(I\) は両方の測定で同じです。2つの式の比を取れば \(I\) が約分され、未知数が \(R\) だけになります——これが本問の解法です。

電圧計をつなぐと、その内部抵抗が \(R\) と並列になって電流を分け合いますだから指示値は真値より低く、しかも内部抵抗が小さいレンジほど低く出ます——101.0 V と 99.00 V の差はここから生まれます

電圧計の内部抵抗と指示値
$$V_1=I\cdot\frac{RR_{v1}}{R+R_{v1}},\qquad V_2=I\cdot\frac{RR_{v2}}{R+R_{v2}}$$$$\frac{V_1}{V_2}=\frac{R_{v1}(R+R_{v2})}{R_{v2}(R+R_{v1})}\quad(I\ \text{が約分される})$$

定電流源だから \(I\) が一定——これが「比を取る」作戦を成立させています

解説(a):比を取って \(R\) を求める

$$\frac{101.0}{99.00}=\frac{15\,000(R+10\,000)}{10\,000(R+15\,000)}=1.5\cdot\frac{R+10\,000}{R+15\,000}$$
❶ 比を取る
\(I\) が消える
$$1.0202(R+15\,000)=1.5(R+10\,000)$$
❷ たすき掛け
$$1.0202R+15\,303=1.5R+15\,000$$
❸ 展開
$$0.4798R=303\ \Rightarrow\ R\fallingdotseq632\ \Omega$$
❹ 解く
答え(a) \(R\fallingdotseq632\ \Omega\) → 選択肢(5)

係数 1.0202 は \(101.0/99.00\)「101÷99=1.0202」と押さえておけば、あとは一次方程式です。

解説(b):どちらかの測定から \(I\) を出す

$$R\parallel R_{v1}=\frac{632\times15\,000}{632+15\,000}\fallingdotseq606\ \Omega$$
❶ 測定Iの合成抵抗
$$I=\frac{V_1}{R\parallel R_{v1}}=\frac{101.0}{606}\fallingdotseq0.167\ \mathrm{A}$$
❷ オームの法則
答え(b) \(I\fallingdotseq0.17\ \mathrm{A}\) → 選択肢(2)

検算測定IIでも \(I\times(R\parallel10\,\mathrm{k})=0.167\times594\fallingdotseq99.0\ \mathrm{V}\)——ちゃんと 99.00 V になります両方で合うことを確かめれば安心です。

真値は \(I\times R=0.167\times632\fallingdotseq105\ \mathrm{V}\)電圧計をつないだせいで 101.0 V や 99.00 V に下がっている——測定が対象を乱しているのです。

誤答の正体:どの抵抗で割るか

選択肢\(R\)その正体
(1)\(241\ \Omega\)比の取り方を誤った値
(2)\(303\ \Omega\)★方程式の右辺 303 をそのまま答えた
(3)\(362\ \Omega\)
(4)\(486\ \Omega\)
(5)\(632\ \Omega\)◎ 正解

(2)の 303 は、方程式 \(0.4798R=303\) の右辺そのものです。最後の割り算をせずに答えると落ちます——計算を最後まで

⚠️ よくある間違い
「150 V 端子だから内部抵抗 15 kΩ、100 V 端子だから 10 kΩ」という対応を取り違えないでください。レンジが大きいほど内部抵抗も大きい——倍率器が直列に増えるからです。15 kΩ/150 V = 10 kΩ/100 V = 100 Ω/V と、感度は同じになっています。

深掘り①:\(\Omega/\mathrm{V}\) という指標

$$\frac{15\,000}{150}=100\ \Omega/\mathrm{V},\qquad \frac{10\,000}{100}=100\ \Omega/\mathrm{V}$$
❶ どちらも同じ
同じ計器のレンジ違い

\(\Omega/\mathrm{V}\)(オーム毎ボルト)は電圧計の感度を表す指標です。フルスケール電流の逆数——\(100\ \Omega/\mathrm{V}\) なら \(1/100=10\ \mathrm{mA}\) でフルスケールになります。

値が大きいほど良い電圧計です。アナログテスタは \(20\ \mathrm{k\Omega/V}\) 程度——本問の計器(\(100\ \Omega/\mathrm{V}\))はかなり感度が低い設定です。

だからこそ本問では負荷効果が大きく現れます真値 105 V に対して 101 V や 99 V——4〜6 %もずれています

深掘り②:電圧計の負荷効果

$$V_{\text{指示}}=I\cdot\frac{RR_v}{R+R_v}=I R\cdot\frac{R_v}{R+R_v}$$
❶ 指示値
$$\frac{V_{\text{指示}}}{V_{\text{真}}}=\frac{R_v}{R+R_v}$$
❷ 真値との比
\(R_v\) が大きいほど1に近づく
\(R_v\)\(R_v/(R+R_v)\)指示値/真値
10 kΩ0.9406.0 %低い
15 kΩ0.9604.0 %低い
10 MΩ0.999940.006 %低い

ディジタル電圧計なら入力抵抗 10 MΩ 以上なので、この誤差はほぼゼロになります。本問のような測定はアナログ計器ならではの問題です。

逆に言えば、この誤差を利用して \(R\) と \(I\) が求められた——「誤差を情報として使う」という発想の問題です。

深掘り③:定電流源という条件が効いている

もし定電圧源だったら、電圧計をつないでも \(R\) の両端電圧は変わりません2つの測定で同じ値が出て、何も分からないことになります。

定電流源だからこそ、並列抵抗が変わると電圧が変わります\(V=I\times(R\parallel R_v)\)——\(R_v\) の違いが電圧の違いとして現れるのです。

電源の種類電圧計をつなぐと本問への影響
定電流源合成抵抗が下がり電圧も下がるレンジで指示が変わる → 解ける
定電圧源電圧は変わらないレンジを変えても同じ値 → 解けない

💡 覚え方
定電流源+並列 → 「比を取ると \(I\) が消える」未知数が2つ(\(R\) と \(I\))でも、式が2本あれば解ける——まず比で1つ消し、あとから代入して残りを求めるのが定石です。

深掘り④:測定が対象を乱すということ

測るという行為そのものが、測る対象を変えてしまう——これは計測の根本的な問題です。

計器つなぎ方対象への影響理想
電圧計並列電流を奪う内部抵抗 \(\infty\)
電流計直列電圧を落とす内部抵抗 0

零位法(ブリッジ・電位差計)が高精度なのは、平衡時に電流が流れず、対象を乱さないからです。令和4年度上期A問題14で問われた考え方——本問はその裏返しです。

⏱️ 本番での進め方
❶ 定電流源なので \(I\) は共通——2式の比を取れば消える。
❷ 比の式は \(1.5(R+10\mathrm{k})/(R+15\mathrm{k})\)——たすき掛けして一次方程式。
❸ (b)はどちらかの測定に \(R\) を戻して \(I\) を出す
❹ もう一方の測定でも合うか検算——両方合えば確実。
★レンジが大きいほど内部抵抗も大きい——\(\Omega/\mathrm{V}\) は一定。

出題履歴:★令和5年度上期にそのまま再出題された

本問は令和5年度上期B問題16として、図・数値・選択肢まですべて同一のまま再出題されています。答えも(a)(5)・(b)(2)で変わりません——過去問がそのまま出た1問です。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

★同型問題:【理論】令和5年度上期 B問題16とまったく同じ問題

この問題は 【理論】令和5年度上期 B問題16 と、図・数値・選択肢まですべて同一です。答えも変わりません——片方を確実に解けるようにしておけば、そのまま得点になります

項目平成30年度 B問題18令和5年度上期 B問題16
テーマ直流電圧計の内部抵抗と負荷効果同じ
測定端子150 V/15 kΩ、100 V/10 kΩ同じ
指示値101.0 V、99.00 V同じ
(a)の答え(5) R≒632 Ω同じ
(b)の答え(2) I≒0.17 A同じ

計測分野は同じ題材の再出題が特に多い単元です。「電圧計の負荷効果」「変調度と検波回路」「電圧降下法の誤差」「整流形の指示値」などは、数年おきに数値まで同じまま出ています——過去問の価値がとりわけ高い分野です。

▼あわせて解きたい同型問題:【理論】令和5年度上期 B問題16

まとめ

測定II=101/R+101/15000(15kΩ)
測定III=99/R+99/10000(10kΩ)
R2/R=99/10000−101/15000→R≒632Ω→(5)
I101/632+101/15000≒0.17A→(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・同型問題(電気及び電子計測8・令和5上期):【理論】令和5年度上期 B問題16

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