電子回路27【電験3種 理論】演算増幅器の能動回路(+入力に基準電圧)の出力電圧Voutを求める!平成26年度 A問題13 完全解説

電験3種 理論科目 電子理論(電子回路) 平成26年度 A問題13 +入力に基準電圧を与える!出力Voutはどうなる?

今回は平成26年度 理論科目 A問題13を解説します。演算増幅器(オペアンプ)を用いた能動回路で、非反転入力(+)に5Vの基準電圧を与えた回路に直流入力電圧Vin=3Vを加えたときの出力電圧Voutを求める問題です。

理想オペアンプではバーチャルショートにより反転入力(−)の電位は非反転入力(+)と等しくなります。ここでは+入力が5Vなので−入力も5V。あとは各抵抗を流れる電流から出力電圧を求めます。

目次

平成26年度 理論科目 A問題13:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 電子回路 平成26年度 A問題13 問題文
平成26年度 理論科目 A問題13 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題13

電験3種 理論科目 【電子理論(電子回路)】 平成26年度 A問題13

 図のような、演算増幅器を用いた能動回路がある。直流入力電圧Vin[V]が3Vのとき、出力電圧Vout[V]として、最も近いVoutの値を次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、演算増幅器は理想的なものとする。

直流入力電圧Vin=3Vのとき、出力電圧Vout[V]として最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、演算増幅器は理想的なものとする。

(1)1.5 (2)5 (3)5.5 (4)6 (5)6.5 V

図 演算増幅器の能動回路(入力20kΩ・帰還10kΩ、+入力に5V)(問題図)
図 演算増幅器の能動回路(入力20kΩ・帰還10kΩ、+入力に5V)(問題図)

解説①:まず基準電圧を確認する

GPT Image 2で作成した基準電圧つき反転増幅回路の考え方
+入力が5 Vなので、負帰還時の反転入力も5 Vとして考えます。

理想オペアンプに負帰還がかかるため、入力電流は零で、イマジナリショートにより反転入力の電位は非反転入力と同じ5 Vです。反転入力ノードで電流則を立てると、(3-5)/20+(Vout-5)/10=0。よってVout-5=1 V、Vout=6 Vとなり、正解は選択肢(4)です。

解説②:5 Vのノードで電流則を使う

GPT Image 2で作成した5 Vノードの電流則と出力6 Vの導出図
20 kΩと10 kΩの電流則からVout=6 Vを導きます。
$$V_-=V_+=5\ \mathrm{V}$$
❶ イマジナリショート
負帰還がかかっているので成立
$$\frac{V_{in}-5}{20\times10^{3}}+\frac{V_{out}-5}{10\times10^{3}}=0$$
❷ 反転入力ノードの電流則
入力端子へは流れ込まない
$$\frac{3-5}{20}+\frac{V_{out}-5}{10}=0$$
❸ 数値を入れる
kΩ のまま計算してよい
$$V_{out}-5=-\frac{10}{20}\times(3-5)=+1$$
❹ 整理
マイナス×マイナスでプラス
$$V_{out}=6\ \mathrm{V}$$
❺ 答え
答え\(V_{out}=6\ \mathrm{V}\) → 選択肢(4)

意味を読み取ると——入力 3 V は基準 5 V より 2 V 低い反転増幅なので出力は基準より高くなり、増幅度 \(10/20=0.5\) 倍で 1 V だけ上5+1=6 V です。

解説③:計算結果を選択肢と照合する

GPT Image 2で作成した出力6 Vと選択肢4の照合図
基準5 Vから1 V上がるため、正解は選択肢(4)です。
基準電圧つき反転増幅
$$V_{out}=V_++\frac{R_f}{R_1}\left(V_+-V_{in}\right)$$

「基準 \(V_+\) からのズレを \(R_f/R_1\) 倍して、符号を反転して足す」という形です。

この式に入れれば \(V_{out}=5+\frac{10}{20}(5-3)=5+1=6\ \mathrm{V}\)——1行です。\(V_+=0\) なら普通の反転増幅の式に戻ります

公式を覚えるより「基準からのズレを増幅する」というイメージのほうが応用が利きますセンサ回路では、この形で「0点をずらした増幅」をよく使います

誤答の正体:基準の5 Vをどう扱うかで分かれる

選択肢どう考えると出るか
(1)\(1.5\ \mathrm{V}\)普通の反転増幅 \(-0.5\times3\) の絶対値
(2)\(5\ \mathrm{V}\)\(V_+\) をそのまま出力と考えた(帰還を忘れた)
(3)\(5.5\ \mathrm{V}\)ズレ \(2\ \mathrm{V}\) を \(0.25\) 倍してしまった
(4)\(6\ \mathrm{V}\)◎ 正解
(5)\(6.5\ \mathrm{V}\)抵抗比を \(0.75\) などと取り違えた

(1)は基準5 Vを完全に無視した場合です。「反転増幅だから \(-R_f/R_1\times V_{in}\)」と反射的に書くとここに落ちます——回路図の \(+\) 端子を必ず確認してください。

⚠️ よくある間違い
符号を落として \(V_{out}=5-1=4\ \mathrm{V}\) としてしまう誤りもあります。入力が基準より「低い」なら出力は基準より「高い」——反転だから逆向き数式を追う前に、増減の向きを頭で決めておくと検算になります。

深掘り①:イマジナリショートはなぜ成り立つのか

理想オペアンプの開ループ利得は無限大です。出力が有限の値に落ち着いているなら、\(V_{out}=A(V_+-V_-)\) の \(A\) が無限大なので \(V_+-V_-\) はゼロでなければならない——これがイマジナリショートです。

「仮想的に短絡している」という意味で、実際に電流が流れる短絡ではありません電位だけが等しい——だから「バーチャル(仮想)ショート」と呼びます。

成り立つ条件は「負帰還がかかっていること」です。出力が反転入力に戻っている回路でだけ使えます正帰還のシュミットトリガ回路では成立しません——ここは要注意です。

💡 覚え方
負帰還=出力が \(-\) 端子へ戻る=イマジナリショート成立正帰還=出力が \(+\) 端子へ戻る=コンパレータ(比較器)として働き、成立しない回路図で「出力がどちらの端子に戻っているか」を最初に見るのがコツです。

深掘り②:オペアンプ基本回路の一覧

回路出力の式特徴
反転増幅\(-\dfrac{R_f}{R_1}V_{in}\)入力Zは \(R_1\)
非反転増幅\(\left(1+\dfrac{R_f}{R_1}\right)V_{in}\)入力Zが非常に大きい
ボルテージホロワ\(V_{in}\)インピーダンス変換専用
加算回路\(-R_f\left(\dfrac{V_1}{R_1}+\dfrac{V_2}{R_2}\right)\)複数入力を足す
差動増幅\(\dfrac{R_f}{R_1}(V_2-V_1)\)差だけを増幅
積分回路\(-\dfrac{1}{CR}\displaystyle\int V_{in}dt\)\(R_f\) をコンデンサに置換

本問の回路は「差動増幅の片側に固定電圧5 Vを入れた形」とも読めます。どの基本回路の変形かを見抜けば、式を暗記していなくても対応できます。

深掘り③:なぜ基準電圧をずらすのか

単電源(0〜5 Vなど)でオペアンプを使うとき、出力は負の電圧を出せませんそこで「真ん中」を基準にして、そこから上下に振らせます

本問の5 Vはまさにその基準です。入力が基準より低ければ出力は基準より高く、高ければ低くなる——0 Vをまたがずに反転増幅ができます

センサの微小信号を扱う回路では、この「レベルシフト」がほぼ必ず入ります試験問題としても、単なる公式暗記では解けない良問です。

⏱️ 本番での進め方
❶ まず \(+\) 端子の電位を確認——ここが0 Vでなければ公式は使えない。
❷ \(V_-=V_+\) と書く——イマジナリショート。
❸ \(V_-\) ノードで電流の和=0——これだけで必ず解ける。
★検算:入力が基準より低い→反転だから出力は基準より高い。6 V は 5 V より高い ✓

出題履歴:演算増幅器は毎年のように出る

演算増幅器は理論科目でほぼ毎年出題されます。反転・非反転の公式暗記だけでは対応できない変形が増えているので、イマジナリショート+電流則という原理で解く練習をしておいてください。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

V−バーチャルショートで5V
20kΩの電流(3−5)/20k=−0.1mA
10kΩの電圧降下0.1mA×10k=1V
Vout5+1=6V→(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・演算増幅器の特徴と2段反転増幅回路(電子回路26):【理論】平成27年度 B問題18

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