電気及び電子計測30【電験3種 理論】オシロスコープの波形から周波数・実効値・力率を読み取る!平成25年度 B問題16 完全解説

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 平成25年度 B問題16 オシロの波形を読む!周波数・実効値・力率は?

今回は平成25年度 理論科目 B問題16を解説します。交流電源電圧v=Vmsinωtをオシロスコープで観測した波形から、(a)周期・周波数・実効値、(b)負荷の力率を求める問題です。

オシロスコープは縦軸が電圧(V/div)、横軸が時間(ms/div)。波形の目盛数に感度を掛けて振幅と周期を読み取ります。振幅から実効値(÷√2)、電圧と電流の式の位相差から力率を求めます。

目次

平成25年度 理論科目 B問題16:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 平成25年度 B問題16 問題文
平成25年度 理論科目 B問題16 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題16

電験3種 理論科目 【電気及び電子計測】 平成25年度 B問題16

 振幅Vm[V]の交流電源の電圧v=Vmsinωt[V]をオシロスコープで計測したところ、画面上に図のような正弦波形が観測された。次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、オシロスコープの垂直感度は5V/div、掃引時間は2ms/divとし、測定に用いたプローブの減衰比は1対1とする。

(a) この交流電源の電圧の周期[ms]、周波数[Hz]、実効値[V]の値の組合せとして、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

周期[ms]周波数[Hz]実効値[V]
(1)205015.9
(2)1010025.0
(3)205017.7
(4)1010017.7
(5)205025.0

(b) この交流電源をある負荷に接続したとき、i=25cos(ωt−π/3)[A]の電流が流れた。この負荷の力率[%]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)50 (2)60 (3)70.7 (4)86.6 (5)100 %

図 オシロスコープに観測された正弦波形(垂直5V/div、掃引2ms/div、プローブ1対1)(問題図)
図 オシロスコープに観測された正弦波形(垂直5V/div、掃引2ms/div、プローブ1対1)(問題図)

出題のポイント:div を数えて感度を掛けるだけ

オシロスコープの読み取りは「何 div か」を数えて、感度を掛けるだけです。横は掃引時間 [ms/div]、縦は垂直感度 [V/div]

図では1周期が横10 div、振幅が縦5 div周期 \(=10\times2=20\ \mathrm{ms}\)、振幅 \(=5\times5=25\ \mathrm{V}\)——あとは実効値に直すだけです。

オシロスコープの読み取り
$$T=(\text{横の div})\times(\text{掃引時間}),\qquad V_m=(\text{縦の div})\times(\text{垂直感度})$$$$f=\frac{1}{T},\qquad V=\frac{V_m}{\sqrt2}$$

オシロは瞬時値の波形をそのまま描くので、読めるのは最大値(振幅)です。実効値にするには \(\sqrt2\) で割ります

解説(a):周期・周波数・実効値

$$T=10\ \mathrm{div}\times2\ \mathrm{ms/div}=20\ \mathrm{ms}$$
❶ 周期
1周期が画面の横幅ぴったり
$$f=\frac{1}{T}=\frac{1}{20\times10^{-3}}=50\ \mathrm{Hz}$$
❷ 周波数
商用周波数
$$V_m=5\ \mathrm{div}\times5\ \mathrm{V/div}=25\ \mathrm{V}$$
❸ 振幅(最大値)
0軸からピークまで
$$V=\frac{25}{\sqrt2}\fallingdotseq17.7\ \mathrm{V}$$
❹ 実効値
答え(a) 周期 \(20\ \mathrm{ms}\)、周波数 \(50\ \mathrm{Hz}\)、実効値 \(17.7\ \mathrm{V}\) → 選択肢(3)

「プローブの減衰比は1対1」と書かれているので、画面の値をそのまま使えます10対1のプローブなら、読んだ値を10倍する必要があります。

解説(b):cos を sin に直してから位相差を取る

電圧は \(v=V_m\sin\omega t\)、電流は \(i=25\cos(\omega t-\pi/3)\)三角関数の種類が違うので、そのまま引き算してはいけません

$$\cos\theta=\sin\left(\theta+\frac{\pi}{2}\right)$$
❶ cos を sin に直す
\(90^\circ\) 進んでいる
$$i=25\sin\left(\omega t-\frac{\pi}{3}+\frac{\pi}{2}\right)=25\sin\left(\omega t+\frac{\pi}{6}\right)$$
❷ 整理
$$\theta=\frac{\pi}{6}-0=\frac{\pi}{6}=30^\circ$$
❸ 位相差
電流が \(30^\circ\) 進み
$$\cos\theta=\cos30^\circ=\frac{\sqrt3}{2}\fallingdotseq0.866=86.6\ \%$$
❹ 力率
答え(b) 力率 \(=86.6\ \%\) → 選択肢(4)

電流が進んでいるので容量性の負荷です。力率は進み 0.866——コンデンサ成分を含む負荷だと分かります。

誤答の正体:\(\pi/3\) をそのまま位相差にする

選択肢力率どう考えると出るか
(1)50 %★\(\cos(\pi/3)=\cos60^\circ\)——\(\pi/3\) をそのまま位相差にした
(2)60 %
(3)70.7 %\(\cos45^\circ\)——\(\pi/4\) と勘違い
(4)86.6 %◎ \(\cos30^\circ\)
(5)100 %位相差ゼロと考えた

(1)の 50 %が最頻誤答です。\(i=25\cos(\omega t-\pi/3)\) の \(\pi/3\) をそのまま位相差だと思ってしまう——cos と sin をそろえないと比べられません

cos は sin より \(90^\circ\) 進んでいるので、\(-60^\circ\) の cos は \(+30^\circ\) の sin\(-60+90=+30\) と足し算するだけです。

⚠️ よくある間違い
三角関数の種類をそろえてから位相を比べる——これが鉄則です。\(\cos\theta=\sin(\theta+90^\circ)\)\(-\sin\theta=\sin(\theta+180^\circ)\)——この2つの変換を確実にできるようにしておいてください。

深掘り①:オシロスコープの2つのつまみ

つまみ単位何を決めるか読み取るもの
垂直感度(VOLTS/DIV)\(\mathrm{V/div}\)縦方向の拡大率振幅・最大値
掃引時間(TIME/DIV)\(\mathrm{s/div}\)横方向の時間スケール周期・パルス幅

画面は普通10 div × 8 divです。波形が画面いっぱいに映るように2つのつまみを調整してから読みます——小さく映っていると読み取り誤差が大きくなるからです。

プローブの減衰比にも注意です。10対1プローブなら信号は1/10に減衰して入るので、読んだ値を10倍します。本問は1対1なのでそのまま

深掘り②:オシロで読めるもの・読めないもの

オシロで読めるか方法
最大値(振幅)読める縦の div × 垂直感度
周期・周波数読める横の div × 掃引時間
位相差読める2波形のずれの div から換算
波形の形読めるそのまま見える
実効値直接は読めない正弦波なら \(V_m/\sqrt2\) で換算

オシロは瞬時値を描く装置です。実効値は計算で出す——しかも \(V_m/\sqrt2\) が使えるのは正弦波のときだけです。

ひずんだ波形の実効値が知りたいなら、可動鉄片形の電圧計か True RMS のディジタル計器を使います。オシロと計器は役割が違います

深掘り③:位相差を波形から読む方法

$$\theta=\frac{\Delta t}{T}\times360^\circ$$
❶ 時間のずれから角度へ
1周期が \(360^\circ\)
$$T=20\ \mathrm{ms},\ \theta=30^\circ\ \Rightarrow\ \Delta t=\frac{30}{360}\times20\fallingdotseq1.7\ \mathrm{ms}$$
❷ 本問なら
約0.83 div のずれ

2現象オシロなら、電圧と電流の波形を同時に映して、ゼロクロス点のずれを div で読めますそれを1周期の div で割って360°を掛ければ位相差です。

本問は式で与えられているので波形を読む必要はありませんが、実際の測定ではこの方法で力率が求められます

💡 覚え方
オシロは「div を数えて感度を掛ける」だけ読めるのは最大値なので、実効値には \(\sqrt2\) で割る位相を比べるときは cos と sin をそろえる——\(\cos\theta=\sin(\theta+90^\circ)\)

深掘り④:力率と負荷の性質

電流の位相負荷の性質力率の呼び方
電圧より遅れ誘導性(コイル)遅れ力率電動機・変圧器
電圧と同相純抵抗力率1電熱器・白熱電球
電圧より進み容量性(コンデンサ)進み力率進相コンデンサ

本問は電流が \(30^\circ\) 進んでいるので容量性です。力率 86.6 %の進み——「進み」「遅れ」まで答えられるようにしておくと、電力科目の力率改善にもつながります。

⏱️ 本番での進め方
❶ 横の div を数えて掃引時間を掛ける→周期。逆数が周波数。
❷ 縦の div を数えて垂直感度を掛ける→最大値。\(\sqrt2\) で割って実効値。
❸ プローブの減衰比を確認——10対1なら10倍する。
❹ 位相は cos と sin をそろえてから引く——\(\cos\theta=\sin(\theta+90^\circ)\)。

出題履歴:オシロスコープの読み取りは計測の定番

垂直感度と掃引時間から周期・振幅・実効値を求める問題は、繰り返し出題されています。「div を数えて掛ける」という単純作業なので、落ち着けば確実に取れる1問です。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

Vm5目盛×5V=25V
周期・周波数10目盛×2ms=20ms→50Hz
実効値25/√2≒17.7V→(a)(3)
位相差i=25sin(ωt+π/6)→π/6進み
(b)力率cos30°=0.866=86.6%→(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・ディジタル計器の正誤(電気及び電子計測29):【理論】平成25年度 A問題14

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