電気及び電子計測29【電験3種 理論】ディジタル計器(交流電圧計・マルチメータ・周波数計)の正誤を判定する!平成25年度 A問題14 完全解説

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 平成25年度 A問題14 ディジタル計器の実力!交流電圧計と周波数計の正誤は?

今回は平成25年度 理論科目 A問題14を解説します。ディジタル計器に関する記述のうち、誤っているものを選ぶ問題です。

ディジタル計器は入力を増幅・A-D変換して数値表示します。増幅器を用いるため入力抵抗が高いのが特徴で、測定対象からほとんど電流を取らない点が誤り選択肢のポイントです。

目次

平成25年度 理論科目 A問題14:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 平成25年度 A問題14 問題文
平成25年度 理論科目 A問題14 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題14

電験3種 理論科目 【電気及び電子計測】 平成25年度 A問題14

 ディジタル計器に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)ディジタル交流電圧計には、測定入力端子に加えられた交流電圧が、入力変換回路で直流電圧に変換され、次のA-D変換回路でディジタル信号に変換される方式のものがある。
(2)ディジタル計器では、測定量をディジタル信号で取り出せる特徴を生かし、コンピュータに接続して測定結果を入力できるものがある。
(3)ディジタルマルチメータは、スイッチを切り換えることで電圧・電流・抵抗などを測ることができる多機能測定器である。
(4)ディジタル周波数計には、測定対象の波形をパルス列に変換し、一定時間のパルス数を計数して周波数を表示する方式のものがある。
(5)ディジタル直流電圧計は、アナログ指示計器より入力抵抗が低いので、測定したい回路から計器に流れ込む電流は指示計器に比べて大きくなる。

出題のポイント:ディジタル計器の入力抵抗は「高い」

誤りは(5)「ディジタル直流電圧計は、アナログ指示計器より入力抵抗が低い」です。実際は逆で、ディジタル計器の入力抵抗は 10 MΩ 以上——アナログよりはるかに高いのが普通です。

入力抵抗が高いほど、測定対象の回路から電流を奪いません回路を乱さずに測れる——これがディジタル電圧計の大きな長所です。

電圧計の入力抵抗と測定誤差
$$\text{測定値}=V\times\frac{R_v}{R_v+R_{\text{内部}}}$$

\(R_v\)(電圧計の入力抵抗)が大きいほど、測定値は真値に近づきますだから電圧計は入力抵抗が高いほど良いのです。

解説:5つの記述を順に確かめる

(1) 交流を直流に変換してからA-D変換する方式がある → 正しい

A-D変換器は直流電圧を数値に直す装置です。交流をそのまま入れても意味のある値になりません——整流・平均・実効値演算などで直流に直してから変換します。

(2) コンピュータに接続して測定結果を入力できる → 正しい

測定値が最初からディジタル信号なので、そのまま通信路に載せられますGPIB・USB・LAN などで自動計測システムが組めます——ディジタル計器の最大の実用的価値です。

(3) ディジタルマルチメータは多機能測定器 → 正しい

スイッチ1つで電圧・電流・抵抗・導通・場合によっては容量や周波数まで測れますDMM(Digital Multi Meter)と呼ばれ、電気の現場でもっとも使われる計器です。

(4) 周波数計はパルス数を一定時間計数する方式がある → 正しい

波形を「0 か 1 か」のパルス列に整形し、ゲート時間(たとえば 1 秒)の間に何個来たかを数えます1 秒で 1000 個なら 1000 Hz——原理がそのまま定義です。

(5) 入力抵抗が低いので電流が大きくなる → ★誤り

ディジタル電圧計の入力抵抗は 10 MΩ が標準です。アナログのテスタは「20 kΩ/V」程度で、10 V レンジなら 200 kΩ——50 倍の差があります。

だから測定回路から流れ込む電流はディジタルのほうが【小さい】記述は完全に逆です。

答え誤っているのは(5)

誤答の正体:唯一「性能が劣る」と書いてある肢

選択肢内容判定見分けの決め手
(1)交流を直流に変換してA-D変換A-D変換器は直流用
(2)コンピュータに接続できるディジタル信号だから当然
(3)DMMは多機能実物を見れば明らか
(4)周波数計はパルスを計数定義そのもの
(5)入力抵抗が低い×◎ 実際は10 MΩ以上と高い

(1)〜(4)はすべてディジタル計器の【長所】を述べています(5)だけが「アナログより劣る」という内容——並びの違和感で当たりを付けられます

☝️ ひっかけの作り方:1つだけ毛色の違う肢は疑ってかかるのが正誤問題のコツです。本問なら「他は長所、(5)だけ短所」——知識があいまいでも当たりを付けられます

⚠️ よくある間違い
「入力抵抗が高い=良い電圧計」という関係を押さえてください。電圧計は並列につなぐので、電流を取らないほど回路を乱しません逆に電流計は直列なので、内部抵抗が【低い】ほど良い——向きが逆です。

深掘り①:入力抵抗が測定に与える影響

$$V_{\text{測定}}=V_{\text{真}}\times\frac{R_v}{R_v+R_0}$$
❶ 分圧
\(R_0\) は測定点から見た回路の抵抗
$$R_0=100\ \mathrm{k\Omega},\ R_v=200\ \mathrm{k\Omega}\ \Rightarrow\ 0.67V_{\text{真}}$$
❷ アナログテスタ
33 %も低く出る
$$R_0=100\ \mathrm{k\Omega},\ R_v=10\ \mathrm{M\Omega}\ \Rightarrow\ 0.99V_{\text{真}}$$
❸ ディジタル
誤差1 %

高抵抗の回路を測るときほど、入力抵抗の差が効いてきます電子回路の測定でディジタルが必須なのはこのためです。

低抵抗の回路(電源回路など)なら、アナログテスタでもほとんど差は出ません「どこを測るか」で使い分けるのが実務です。

深掘り②:ディジタル計器の構成

ディジタル計器は「入力変換 → A-D変換 → 表示」の3段構成です。測りたい量を直流電圧に直してから数値化します。

測定量入力変換回路がすること変換後
直流電圧分圧・増幅のみ直流電圧
交流電圧整流・実効値演算直流電圧
電流シャント抵抗で電圧に変換直流電圧
抵抗定電流を流して電圧を測る直流電圧

すべてが「直流電圧」に集約されるのが分かります。A-D変換器は1種類でよく、前段の入力変換回路を切り替えるだけ——これがマルチメータが多機能な理由です。

抵抗測定は「定電流を流して電圧を測る」方式です。1 mA 流して 1 V なら 1 kΩ——オームの法則そのものです。

深掘り③:A-D変換の3ステップ

ステップ何をするか決めるもの生じる誤差
標本化一定間隔で値を取り出すサンプリング周波数折返し(エイリアシング)
量子化値を段階に丸めるビット数(分解能)量子化誤差
符号化2進数に変換する符号の形式

標本化定理元の信号に含まれる最高周波数の2倍を超える周波数で標本化すれば、元の波形を完全に復元できます下回ると折返し(エイリアシング)が起きます

量子化誤差は分解能の半分以下です。12ビットでフルスケール 10 V なら分解能 2.4 mV、誤差は最大 1.2 mV——ビット数を増やせば小さくできます

深掘り④:ディジタルとアナログの使い分け

ディジタル計器アナログ計器
入力抵抗非常に高い(10 MΩ以上)低い(数十 kΩ〜)
読み取り数字なので個人差なし視差・目測の誤差あり
変化の追従数字がちらついて読みにくい針の動きで傾向が分かる
記録データとして保存できるできない
電源必要不要な方式もある

「ピークを探す」「調整して最大にする」という作業はアナログが有利です。針の動く向きで判断できる——数字がちらつくディジタルより速いことがあります。

💡 覚え方
電圧計は入力抵抗が【高い】ほど良い、電流計は内部抵抗が【低い】ほど良い並列につなぐか直列につなぐかで、求められる性質が逆になる——この対比で覚えてください。

⏱️ 本番での進め方
❶ 「他は長所、1つだけ短所」という並びを探す——そこが誤りの肢。
❷ ディジタル電圧計の入力抵抗は10 MΩ以上と数字で覚える。
❸ 電圧計は高抵抗、電流計は低抵抗——向きを混同しない。
❹ 残りの肢が常識的に正しければ、そのまま○でよい

出題履歴:ディジタル計器の正誤問題は頻出

平成28年度A問題14でも同じ形式でディジタル計器の正誤が問われています。そちらの誤りは「周期性のない波形は測定できない」——どちらも「ディジタルの長所を短所として書く」という作り方です。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

(5)誤りディジタル直流電圧計は入力抵抗が高い→流れ込む電流は小さい
(1)交流→直流→A-D変換(正)
(2)PC接続で測定値入力(正)
(3)マルチメータは多機能(正)
(4)周波数計はパルス計数(正)

▼あわせて解きたい関連問題
・すべり抵抗器で起電力・内部抵抗(電気及び電子計測28):【理論】平成27年度 B問題15

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次