過渡現象20【電験3種 理論】RC回路の投入直後と定常の電流比が2になる抵抗を求める!平成22年度 A問題10 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(過渡現象) 平成22年度 A問題10 電流比がちょうど2になる!その抵抗は何Ω?

今回は平成22年度 理論科目 A問題10を解説します。スイッチSを閉じた瞬間の点A電流I₀と定常の電流Iについて、電流比I₀/I=2にするために必要な抵抗R₃を求める問題です(コンデンサ初期電荷0)。

コンデンサは投入直後は短絡、定常では開放。t=0でAはR₃∥R₂を見てI₀=E/(R₁+R₃∥R₂)、t=∞はR₂だけでI=E/(R₁+R₂)。I₀/I=2の条件からR₃を求めます。

目次

平成22年度 理論科目 A問題10:問題文と選択肢

これまでの「比を求める」問題とは逆で、比が2になるように抵抗を設計する問題です。文字式の選択肢は、具体的な数値を入れれば一発で見分けられます。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 過渡現象 平成22年度 A問題10 問題文
平成22年度 理論科目 A問題10 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題10

電験3種 理論科目 【電気回路(過渡現象)】 平成22年度 A問題10

 図に示す回路において、スイッチSを閉じた瞬間(時刻t=0)に点Aを流れる電流をI₀〔A〕とし、十分に時間が経ち、定常状態に達したのちに点Aを流れる電流をI〔A〕とする。電流比I₀/Iの値を2とするために必要な抵抗R₃〔Ω〕の値を表す式として、正しいのは次のうちどれか。ただし、コンデンサの初期電荷は零とする。

(1)R₁/(R₁+R₂)·(R₁/2+R₂) (2)R₁/(R₁+R₂)·(R₂/3−R₁) (3)R₁/(R₁+R₂)·(R₁−R₂) (4)R₂/(R₁+R₂)·(R₁+R₂) (5)R₂/(R₁+R₂)·(R₂−R₁)

図 E・S・R₁と(C+R₃)∥R₂の回路(問題図)
図 E・S・R₁と(C+R₃)∥R₂の回路(問題図)

出題のポイント:条件を式にしてから、未知の抵抗について解く

これまでの「電流比を求める」問題とは逆で、比が2になるように抵抗を設計する問題です。手順は同じですが、最後に方程式を解く一手間が加わります。

時刻コンデンサの扱い分岐部分点Aの電流
t=0(投入直後)短絡(初期電荷0)R₃∥R₂\(I_0=\dfrac{E}{R_1+R_3\parallel R_2}\)
t=∞(定常状態)開放R₂のみ\(I=\dfrac{E}{R_1+R_2}\)

点Aは分岐より前にあるので、どちらの時刻でも電源から流れ出る全電流です。分岐後の枝電流と混同しないでください。

そして比を取ると電源電圧Eが消えます。だからEが与えられていなくても、R₁・R₂だけでR₃が決まります。

公式回路のR1直列とC・R3直列枝およびR2枝の並列接続を示し、投入直後はC短絡、十分時間後はC開放として比較する解法の見取り図
投入直後は分岐部分がR₂∥R₃、十分時間後はR₂だけになることが解法の出発点です。

問題の解説:条件式を立ててR₃について解く

使う公式:時刻ごとの置き換えと合成抵抗
$$t=0:\;C\to\text{短絡},\qquad t=\infty:\;C\to\text{開放},\qquad R_3\parallel R_2=\frac{R_2R_3}{R_2+R_3}$$

初期電荷0だからt=0で短絡。充電されていたら電池のように振る舞い、話が変わります。

STEP1 2つの時刻の電流を書く

$$I_0=\frac{E}{R_1+\dfrac{R_2R_3}{R_2+R_3}}$$
❶ 投入直後
C短絡でR₃枝が生きる
$$I=\frac{E}{R_1+R_2}$$
❷ 定常状態
C開放でR₃枝が切れる

STEP2 比を取って条件式にする

$$\frac{I_0}{I}=\frac{R_1+R_2}{R_1+\dfrac{R_2R_3}{R_2+R_3}}=2$$
❸ Eが約分で消える
分母と分子が入れ替わることに注意
$$R_1+R_2=2R_1+\frac{2R_2R_3}{R_2+R_3}$$
❹ 両辺に分母を掛ける
$$R_2-R_1=\frac{2R_2R_3}{R_2+R_3}$$
❺ R₁を移項
左辺がすっきりした

❸で分母と分子が入れ替わるのが引っかかりどころです。\(I_0=E/R_0\)、\(I=E/R_\infty\) なので \(I_0/I=R_\infty/R_0\)。電流の比は抵抗の比の逆数——ここを間違えると答えが合いません。

STEP3 R₃について整理する

$$(R_2-R_1)(R_2+R_3)=2R_2R_3$$
❻ 分母を払う
$$R_2^2+R_2R_3-R_1R_2-R_1R_3=2R_2R_3$$
❼ 展開
$$R_2^2-R_1R_2=R_2R_3+R_1R_3=R_3(R_1+R_2)$$
❽ R₃でくくる
R₃の項を右辺に集めた
$$R_3=\frac{R_2(R_2-R_1)}{R_1+R_2}$$
❾ 解
左辺を \(R_2(R_2-R_1)\) と因数分解
初期電荷ゼロとコンデンサ電圧連続性からCを短絡相当とし、並列合成抵抗とオームの法則で投入直後の全電流I0を導出
投入直後の全抵抗はR₁+R₂R₃/(R₂+R₃)で、点A電流I₀は電源電圧をこの抵抗で割った値です。
答え\(R_3=\dfrac{R_2}{R_1+R_2}(R_2-R_1)\) → 選択肢(5)
直流定常でコンデンサを開放相当とし、R3枝の電流がゼロになってR1とR2だけが残る理由と定常電流Iを説明
十分時間後はC−R₃枝が開放され、全抵抗はR₁+R₂、点A電流はI=E/(R₁+R₂)です。
投入直後と定常時の電流式の比を2と置き、分母を払いR3の項をまとめてR2かけるR2引くR1割るR1足すR2を導出
同じ電源電圧Eは比で消え、式をR₃について整理するとR₃=R₂(R₂−R₁)/(R₁+R₂)となります。

誤答の正体:具体的な数値を入れると一発で分かる

文字式の選択肢は見比べにくいので、具体的な数値を代入して比が2になるか確かめるのが最も確実です。3組の値で全選択肢を検証しました。

選択肢R₁=10, R₂=30R₁=20, R₂=50R₁=5, R₂=45判定
(1)R₃=8.75 → 比2.38R₃=17.14 → 比2.14R₃=4.75 → 比5.38×
(2)R₃=0 → 比4.00R₃=−0.95(負)R₃=1.00 → 比8.36×
(3)R₃=−5(負)R₃=−8.57(負)R₃=−4(負)常に負 ×
(4)R₃=30 → 比1.60R₃=50 → 比1.56R₃=45 → 比1.82×
(5)R₃=15 → 比2.0000R₃=21.43 → 比2.0000R₃=36 → 比2.0000

(5)だけが3組すべてでぴったり2.0000になります。他はどれも2からずれるか、負の抵抗になります。

さらに計算せずに消せる選択肢が2つあります。

選択肢即座に消せる理由
(3)\(\dfrac{R_1}{R_1+R_2}(R_1-R_2)\)\(R_2>R_1\) なら必ず負。負の抵抗は存在しない
(4)\(\dfrac{R_2}{R_1+R_2}(R_1+R_2)\)約分すると \(R_3=R_2\) になる。R₁に依存しないのは不自然

(4)の「約分できる」形は特に見抜きやすいです。\((R_1+R_2)\) が分母と分子で打ち消し合い、単に \(R_3=R_2\) を意味します。R₁がまったく効かないのに比が2になる——そんな都合のよい話はありません。

解が存在する条件:R₂ > R₁ でなければならない

導いた式 \(R_3=\dfrac{R_2(R_2-R_1)}{R_1+R_2}\) をよく見ると、\(R_2>R_1\) でなければ \(R_3\) が正になりません

物理的にも納得できます。R₃を並列に足せる範囲には限界があるからです。

$$R_3\to\infty\;\Rightarrow\;R_3\parallel R_2\to R_2\;\Rightarrow\;\frac{I_0}{I}\to1$$
❿ R₃を極端に大きく
枝がないのと同じ=比は1
$$R_3\to0\;\Rightarrow\;R_3\parallel R_2\to0\;\Rightarrow\;\frac{I_0}{I}\to\frac{R_1+R_2}{R_1}$$
⓫ R₃を極端に小さく
これが比の上限

比の最大値は \((R_1+R_2)/R_1\) です。これが2以上、つまり \(R_2\ge R_1\) でなければ「比2」は実現できません。もしR₂がR₁より小さい回路で「比を2にせよ」と言われたら、どんなR₃を選んでも不可能なのです。

この「極端な値を入れて範囲を調べる」手法は、文字式の妥当性チェックとして強力です。答えの式に \(R_2-R_1\) が現れたら、「R₂のほうが大きい前提だな」と読み取れます。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
\(I_0/I=R_\infty/R_0\)——電流の比は抵抗の比の逆数
② 文字式の選択肢は具体的な数値を代入して検算するのが最速
約分できる選択肢((4)は \(R_3=R_2\))は不自然なので疑う
負になる選択肢((3))は抵抗としてありえないので即消去
⑤ 答えの式に \(R_2-R_1\) があれば「R₂>R₁が前提」と読める

💡 覚え方
「Cが短絡ならR₃が生きる、Cが開放ならR₃も道連れ」。t=0では \(R_3\parallel R_2\)、t=∞では \(R_2\) だけ。抵抗が増えた(\(R_0<R_\infty\))ぶん電流は減るので、比は必ず1より大きくなります。

⚠️ よくある間違い
比の分母と分子を逆にするのが最頻出です。\(I_0/I\) は電流の比なので、抵抗では \(R_\infty/R_0\) と逆さまになります。またt=0でR₃を無視する誤りも多く、初期電荷0のCは短絡=R₃が有効です。

まとめ

I₀E/(R₁+R₃∥R₂)
IE/(R₁+R₂)
条件比=2
答えR₂(R₂−R₁)/(R₁+R₂) …(5)

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