半導体24【電験3種 理論】半導体の性質(真性半導体・不純物半導体・n形とp形)の誤りを判定する!平成21年度 A問題11 完全解説

電験3種 理論科目 電子理論(半導体等) 平成21年度 A問題11 真性半導体とn形p形!性質の誤りを見抜く

今回は平成21年度 理論科目 A問題11を解説します。真性半導体・不純物半導体・n形とp形・電気伝導度と温度に関する5つの記述のうち、誤っているものを選ぶ問題です。

不純物の族(Ⅲ族=3価/Ⅴ族=5価)と、できる半導体の型(p形/n形)の対応が最大のポイントです。Ⅴ族(5価)を加えるとn形になります。

目次

平成21年度 理論科目 A問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 半導体等 平成21年度 A問題11 問題文
平成21年度 理論科目 A問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題11

電験3種 理論科目 【電子理論(半導体等)】 平成21年度 A問題11

 半導体に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

(1)シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)の真性半導体においては、キャリヤの電子と正孔の数は同じである。
(2)真性半導体に微量のⅢ族又はⅤ族の元素を不純物として加えた半導体を不純物半導体といい、電気伝導度が真性半導体に比べて大きくなる。
(3)シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)の真性半導体にⅤ族の元素を不純物として微量だけ加えたものをp形半導体という。
(4)n形半導体の少数キャリヤは正孔である。
(5)半導体の電気伝導度は温度が下がると小さくなる。

出題のポイント:III族とV族、p形とn形の対応

誤っているものを1つ選ぶ形式です。急所は(3)——「V族を加えるとp形」という記述で、正しくはn形です。

「V族(5価)→n形」「III族(3価)→p形」——この対応さえ覚えていれば、10秒で解けます族の番号と形が入れ替えられているのが誤りの正体です。

族と半導体の形
$$\text{III族(3価)}\ \Rightarrow\ \text{p形(アクセプタ)}\qquad\text{V族(5価)}\ \Rightarrow\ \text{n形(ドナー)}$$

旧表記のIII族・V族は、現在の13族・15族です。問題文によってどちらの表記も使われます

「V」と「n」、「III」と「p」——直接の語呂はありませんが、「5価は電子が余る→negative→n形」と理屈で結べば忘れません。

平成21年度理論問11の半導体判定を、真性半導体、Ⅴ族ドナーによるn形、Ⅲ族アクセプタによるp形の順に示し、誤りが選択肢3であることを説明する図
5価のⅤ族元素は余分な電子を供給するドナーなのでn形、3価のⅢ族元素は正孔を生じさせるアクセプタなのでp形になります。

解説:5つの記述を1つずつ検証する

選択肢内容判定根拠
(1)真性半導体では電子と正孔が同数結合が切れると必ず対で生まれる
(2)不純物を加えると電気伝導度が大きくなるキャリヤが増えるため
(3)V族を加えるとp形×V族(5価)はn形(★誤り)
(4)n形の少数キャリヤは正孔多数が電子なら少数は正孔
(5)電気伝導度は温度が下がると小さくなる熱励起によるキャリヤが減るため

(1)の「対で生まれる」がポイントです。共有結合から電子が1個飛び出せば、そこに正孔が1個できる——必ずペアなので、数は必ず等しくなります。

(5)は(2)の裏返しです。温度が下がるとキャリヤが減り、電気伝導度が小さくなる——「温度↑で抵抗↓」の言い換えです。

シリコンの共有結合を基に、5価ドナーの余剰電子と正イオン、3価アクセプタの正孔と負イオンが生じる仕組みを示す解説図
ドナーの余剰電子は自由に動ける多数キャリヤとなり、アクセプタが電子を受け取った跡には動ける正孔が残ります。固定された不純物イオンそのものは電流を運びません。
半導体の伝導度の式から不純物添加で伝導度が増える理由、真性半導体の電子と正孔の関係、温度低下でキャリヤが減る性質を説明する図
伝導度は電子と正孔の濃度および移動度で決まり、不純物添加は多数キャリヤ濃度を増やします。基本的な半導体では温度低下により熱励起キャリヤが減るため伝導度も低下します。
答え誤っているのは「V族を加えたものをp形半導体という」 → 選択肢(3)

誤答の正体:族の表記に惑わされない

III族・V族という旧表記に慣れていないと、どちらが何価か分からなくなります新旧の対応を確認しておきましょう。

旧表記新表記価数元素半導体での役割
III族13族3価B、Al、Ga、Inアクセプタ→p形
IV族14族4価C、Si、Ge半導体の母材
V族15族5価N、P、As、Sbドナー→n形

ローマ数字のIII=3、V=5です。そのまま価数を表しています——旧表記のほうが価数と直結して分かりやすいとも言えます。

新表記の13族・15族は、周期表の左から数えた列番号です。最外殻電子数は「族番号−10」——13族なら3個、15族なら5個です。

⚠️ よくある間違い
「V族=5価=電子が余る=negative=n形」——この連鎖で覚えれば、族の表記が変わっても対応できます。丸暗記ではなく理屈でつなぐのが確実です。

☝️ ひっかけの作り方:(4)の「少数キャリヤ」は忘れられがちです。n形にも正孔は存在します——熱で生成される分があるからです。「n形には正孔がない」は誤りです。

深掘り①:多数キャリヤと少数キャリヤ

不純物半導体には、多いほうと少ないほうの2種類のキャリヤがあります。どちらも重要な役割を持ちます。

n形半導体p形半導体
多数キャリヤ電子(ドナー由来+熱励起)正孔(アクセプタ由来+熱励起)
少数キャリヤ正孔(熱励起のみ)電子(熱励起のみ)
濃度の差\(10^{5}\sim10^{10}\) 倍の開き同様

少数キャリヤは圧倒的に少ないのですが、バイポーラトランジスタの動作では主役になります。ベースに注入された少数キャリヤがコレクタへ流れる——これがトランジスタの増幅作用です。

少数キャリヤは温度に敏感です。熱励起だけで生まれるため——温度が上がると急激に増え、トランジスタの特性が変わります熱暴走の原因にもなります。

深掘り②:真性半導体で電子と正孔が同数になる理由

(1)の記述の根拠を確認しておきましょう。キャリヤの生成メカニズムから自然に導けます。

$$\text{共有結合}\ \xrightarrow{\ \text{熱・光}\ }\ \text{自由電子}\ +\ \text{正孔}$$
❶ 必ず対で生成
$$n=p=n_i\ (\text{真性キャリヤ濃度})$$
❷ 数は等しい
真性半導体の定義
$$np=n_i^{2}\ (\text{不純物半導体でも成立})$$
❸ 質量作用の法則
積は一定

❸の \(np=n_i^{2}\) は重要な関係です。不純物を加えて電子が増えると、正孔はその分だけ減る——積は常に一定に保たれます。

n形で電子が \(10^{22}\) に増えれば、正孔は \(n_i^{2}/10^{22}\) まで減る——だから少数キャリヤは極端に少なくなるのです。

深掘り③:温度と電気伝導度の関係

(5)の「温度が下がると電気伝導度が小さくなる」——これは半導体特有の性質です。金属との違いを再確認しておきましょう。

金属(導体)半導体
温度が上がると抵抗が増える抵抗が減る
理由格子振動が激しくなり電子が散乱される熱エネルギーでキャリヤが増える
温度係数
応用測温抵抗体(Pt100)サーミスタ(NTC)

絶対零度に近づけると、半導体はほぼ完全な絶縁体になります。熱エネルギーがないので共有結合が切れず、キャリヤが生まれないからです。

逆に高温では、真性半導体の性質が支配的になります。熱励起によるキャリヤが不純物由来を上回る——n形もp形も区別がつかなくなり、素子として働かなくなります

これがシリコン素子の動作温度に上限がある理由です。約150 ℃を超えると特性が崩れる——SiCやGaNはバンドギャップが広いので、より高温まで使えます

深掘り④:不純物半導体の作り分け

同じシリコンから、n形とp形の両方を作れる——これが半導体デバイスの基礎です。作り分けの要点を整理しましょう。

n形にするp形にする
加える元素V族(P、As)III族(B、In)
不純物の名ドナーアクセプタ
できるもの自由電子正孔
残るイオン正のドナーイオン負のアクセプタイオン

「残るイオン」も押さえておきましょうドナーは電子を放出して正イオンになる——この固定電荷が、pn接合の空乏層で電界を作ります

半導体全体は電気的に中性です。自由電子(負)とドナーイオン(正)が同数——だから「n形だから負に帯電している」わけではありませんよくある誤解です。

⏱️ 本番での進め方
❶ III族(3価)→p形、V族(5価)→n形——最頻の出題ポイント。
❷ n形の少数キャリヤは正孔——「存在しない」は誤り。
❸ 温度↓ → キャリヤ↓ → 電気伝導度↓——半導体の性質。
❹ 真性半導体では電子と正孔が同数——必ず対で生成されるから。

💡 覚え方
「V族の5価は電子が余る→negative→n形」——数字と英語をつなげば忘れませんIII族の3価は電子が足りない→正孔→positive→p形です。

出題履歴:半導体の基礎知識は繰り返し問われる

族と形の対応、キャリヤ、温度特性——この3点は半導体の正誤問題で必ず問われます1度整理しておけば、どの年度の問題でも通用します。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

あわせて解いておきたい記事:【理論】平成28年度A問題11(半導体の正誤問題)【理論】平成25年度A問題11(n形半導体とドナー)

まとめ

(3)誤りⅤ族→n形(p形ではない)
(1)真性半導体は電子=正孔(正)
(2)(4)不純物で伝導度↑・n形少数は正孔(正)
(5)半導体は温度↓で伝導度↓(正)
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・不純物半導体(半導体19):【理論】平成25年度 A問題11

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