今回は令和4年度下期 機械科目 A問題5を解説します。テーマは同期インピーダンスから短絡比を求める計算です。
短絡比の定義 \(K=I_s/I_n\) と、短絡電流 \(I_s=(V/\sqrt3)/Z_s\) の2式を組み合わせれば解けます。
問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題5
定格出力8 000 kV・A,定格電圧6 600 Vの三相同期発電機がある。この発電機の同期インピーダンスが4.73 Ωのとき,短絡比の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 0.384 (2) 0.665 (3) 1.15 (4) 1.50 (5) 2.61
出題のポイント:オーム値を単位法に直してから逆数
短絡比は、同期インピーダンスを単位法(p.u.)で表した値の逆数です。本問は同期インピーダンスがオーム値で与えられているので、まず単位法に直す必要があります。
| 書き方 | 式 | この形が使えるとき |
| 電流の比 | \( K_s=I_s/I_n \) | 持続短絡電流が与えられたとき |
| 界磁電流の比 | \( K_s=I_{f1}/I_{f2} \) | 特性曲線から読み取るとき(If1=無負荷で定格電圧を出す界磁、If2=定格電流に等しい短絡電流を流す界磁) |
| 単位法の逆数 | \( K_s=1/Z_s[\mathrm{p.u.}] \) | 同期インピーダンスがオーム値で与えられたとき |
3つの書き方はすべて同じ値です。問題が何を与えてくれているかで、使う顔を選びます——本問はオーム値なので3番目です。

基準量をそろえる
2つの形が同じになるのは、\( I_n=S/(\sqrt{3}V_n) \) と \( E_n=V_n/\sqrt{3} \) を代入すれば分かります。\( \dfrac{Z_s I_n}{E_n}=Z_s\cdot\dfrac{S}{\sqrt{3}V_n}\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{V_n}=\dfrac{Z_s S}{V_n^{2}} \)——√3 が約分で消えるのです。
この形を覚えておくと、√3 の入れ忘れ・入れすぎという最大の失点源を丸ごと回避できます。本問でもこちらを使いましょう。
Zs=4.73 Ω、S=8 000 kV・A、Vn=6 600 V
分子4.73×8×106、分母66002=43.56×106
%Zs≒86.9 %
逆数を取る
単位法の逆数
選択肢の1.15に一致

選択肢の作られ方を読む
⚠️ よくある間違い
(2) 0.665は、定格電流を \( S/(\sqrt{3}V_n) \) ではなく \( S/V_n \) として計算したときの答えです(1 212 A で計算すると Zs[p.u.]≒1.50 → Ks≒0.665)。
(4) 1.50はその途中で出た単位法の値そのもの——逆数を取り忘れると、ここに落ちます。(1) 0.384 と (5) 2.61 も互いに逆数の関係にあり、この問題は「逆数を取ったか」を何重にも試しています。
☝️ ひっかけの作り方:逆数のペアを選択肢に並べるのが短絡比の問題の定番です。0.665 と 1.50、0.384 と 2.61 が対になっていることに気づけば、「どちらを答えるのか」を意識して問題文に戻れます。短絡比は1前後の値になるのが普通——0.384 や 2.61 は実機としてあり得ない値だと分かれば、その時点で排除できます。
別解:短絡電流から求める
単位法を経由せず、電流の比で押し切ることもできます。手数は増えますが、意味は分かりやすい方法です。
定格線間を √3 で割る
定格電圧を出す界磁のまま短絡した電流
三相の定格電流
同じ答えになる
こちらの解き方だと、短絡比が「定格電流の何倍の短絡電流を流せるか」を表していることが体感できます。時間があるなら一度この道筋で解いてみると、単位法の式の意味がすっきり入ってきます。
⏱️ 本番での進め方
① Zs[p.u.]=ZsS/Vn2 を使えば √3 が出てこない。
② 4.73×8×106÷66002≒0.869。
③ 短絡比はその逆数。1/0.869≒1.15。
④ 答えが0.5〜1.5の外に出たら、逆数か √3 のどちらかを疑う。
💡 覚え方
「オームで来たら ZS/V2、出たら逆数」。この2手で短絡比の計算問題は片づきます——ZS/V2 は %Z の計算でもそのまま使う形なので、電力科目とも共通の道具です。
出題履歴:同じ型が平成18年にも出ている
同期インピーダンスのオーム値から短絡比を求める型は、平成18年 A問題3でも出題されています(同期機11:同期インピーダンスから短絡比を求める)。数値が違うだけで、解法は完全に同じです。
また、持続短絡電流のほうが与えられる型もあります(同期機9:持続短絡電流から短絡比を求める)。与えられる量が違うだけで、答えるものは同じ短絡比——3つの顔のどれを使うかを見極める練習だと考えてください。

まとめ
| 短絡電流 | \(I_s=(V/\sqrt{3})/Z_s=805.6\,\mathrm{A}\) |
| 定格電流 | \(I_n=P/(\sqrt{3}V)=699.8\,\mathrm{A}\) |
| 短絡比 | \(K_S=I_s/I_n=1.15\) |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・持続短絡電流から短絡比:【機械】令和4年度上期A問題5
・短絡比→同期インピーダンス:【機械】平成25年度A問題6

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