同期機9【電験3種 機械】持続短絡電流から短絡比を求める!令和4年上期 A問題5 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 令和4年度上期 A問題5 短絡し続けたときの電流!短絡比はいくつ?

今回は令和4年度上期 機械科目 A問題5を解説します。【機械】令和4年度下期A問題5と同じ短絡比の計算ですが、今回は持続短絡電流が直接与えられているのでさらにシンプルです。

🔁 この問題は繰り返し出題されています
ほぼ同じ問題が 【機械】平成21年度A問題5 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題5

 定格出力1 500 kV・A,定格電圧3 300 Vの三相同期発電機がある。無負荷時に定格電圧となる界磁電流に対する三相短絡電流(持続短絡電流)は,310 Aであった。この同期発電機の短絡比の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 0.488 (2) 0.847 (3) 1.18 (4) 1.47 (5) 2.05

出題のポイント:短絡比は「短絡電流÷定格電流」

短絡比にはいくつもの定義の書き方がありますが、本問で使うのは最も素朴な形です。「無負荷で定格電圧を出す界磁電流のまま短絡したときの電流」を「定格電流」で割る——それだけです。

短絡比

\( K_s=\dfrac{I_{fs}}{I_{fn}}=\dfrac{I_s}{I_n}=\dfrac{1}{Z_s[\mathrm{p.u.}]} \)

界磁電流の比でも、電流の比でも、単位法の同期インピーダンスの逆数でも同じ値——問題の与えられ方に合わせて使い分けます

問題文の「無負荷時に定格電圧となる界磁電流に対する三相短絡電流(持続短絡電流)」という長い言い回しが、そのまま分子です。あとは定格出力と定格電圧から定格電流を計算すれば、割り算で終わります

持続短絡電流310Aを直接使い定格電流から短絡比を求める流れを示す図
持続短絡電流はIsとして直接使い、短絡比Ks=Is/Inを計算します。

定格電流を求める

三相機の定格電流

\( I_n=\dfrac{S}{\sqrt{3}\,V_n} \)

Vn は定格線間電圧——√3 を落とさないこと

\( I_n=\dfrac{1\,500\times10^{3}}{\sqrt{3}\times3\,300} \)
代入
1 500 kV・A を V・A に直す
\( \phantom{I_n}=\dfrac{1\,500\times10^{3}}{5\,716} \)
分母
√3×3300=1.732×3300≒5 716
\( \phantom{I_n}\fallingdotseq 262\ [\mathrm{A}] \)
定格電流
この値で短絡電流を割る

短絡比を計算する

\( K_s=\dfrac{I_s}{I_n}=\dfrac{310}{262} \)
代入
持続短絡電流÷定格電流
\( \phantom{K_s}\fallingdotseq 1.18 \)
短絡比
1より少し大きい
令和4年上期機械A問題5で定格電流262.4Aと短絡比1.18を求める計算図
310÷262.4=1.18となるため、正解は(3)です。
答え正解は (3) 1.18です。短絡比が1を超えているので、この発電機は鉄機械寄り——水車発電機の系統に属する性格だと読めます。

選択肢の作られ方を読む

⚠️ よくある間違い
(2) 0.847分母と分子を逆にした値(262/310)です。「短絡比=短絡電流÷定格電流」の順序を取り違えると、ここに落ちます
(5) 2.05定格電流の計算で √3 ではなく 3 で割ったときの答え(1 500×103÷(3×3300)=152 A → 310/152=2.05)です。そして (1) 0.488 は、その (5) をさらに逆数にした値——2つの誤りを組み合わせた肢まで用意されています

正解1.18に対して、0.847は逆数、2.05は√3絡み、0.488はその両方——この構造が見えると、自分がどの罠にかかりかけたかを自己診断できます答えが1より小さくなったら「逆数にしていないか」を疑うのが有効です。

短絡比の値から機械の性格を読む

短絡比おおよその値代表例性格
大きい0.9〜1.2水車発電機鉄機械。安定度が高く電圧変動率が小さい
小さい0.5〜0.7タービン発電機銅機械。小型軽量だが電圧変動率が大きい

本問の1.18は水車発電機の範囲です。1 500 kV・A・3 300 V という規模からも、中小水力の発電機を想定した数値と考えられます。計算して出た値が、その機械の素性と矛盾していないか——この確認ができると、桁を1つ間違えたときにすぐ気づけます

⏱️ 本番での進め方
① 定格電流 In=S/(√3Vn)。1500kVA・3300V なら約262 A。
② 短絡比=短絡電流÷定格電流=310/262≒1.18。
③ 1を挟んで上下に選択肢が並んでいたら、逆数の罠を疑う。
④ 得た値が0.5〜1.2の範囲なら妥当。外れたら計算を見直す。

💡 覚え方
「短絡比は、定格電流の何倍の短絡電流が流せるか」だから分子が短絡電流、分母が定格電流——「何倍か」を問うているのだから、比べる相手(定格)が下、と考えれば逆にしません。

関連問題:界磁電流の側から問われる年もある

短絡比は「電流の比」でも「界磁電流の比」でも同じ値になります。令和6年下期 A問題6では、界磁電流の側から問われました同期機7:短絡曲線から界磁電流を求める)。

そちらは短絡比の定義の「分母にあたる界磁電流」だけを求める問題でした。本問と合わせて解いておくと、短絡比の定義が電流の比としても界磁電流の比としても書けることが実感できます

無負荷試験と三相短絡試験の同じ界磁電流、短絡比の正しい比と逆比を示す図
短絡比は持続短絡電流を定格電流で割るIs/Inで、逆比ではありません。

短絡比と同期インピーダンスが逆数になる理由

短絡比は「単位法の同期インピーダンスの逆数」とも書けます丸暗記しがちなこの関係も、定義を2行たどれば当たり前だと分かります

単位法の同期インピーダンス

\( Z_s[\mathrm{p.u.}]=\dfrac{Z_s I_n}{E_n}\quad\left(E_n=\dfrac{V_n}{\sqrt{3}}\right) \)

定格相電圧を基準にした、無次元のインピーダンスです。

\( Z_s=\dfrac{E_n}{I_s} \)
定義
定格電圧を出す界磁のまま短絡した状態
\( Z_s[\mathrm{p.u.}]=\dfrac{E_n}{I_s}\cdot\dfrac{I_n}{E_n} \)
代入
上の式に入れる
\( \phantom{Z_s[\mathrm{p.u.}]}=\dfrac{I_n}{I_s}=\dfrac{1}{K_s} \)
整理
定格電圧が約分されて、電流の比だけが残る

定格電圧 En が約分で消える——ここが要点です。だから短絡比を求めるのに電圧の値は要らず、電流の比だけで決まります本問で定格電圧3 300 V を使ったのは、定格電流を出すためだけでした。

本問の答え1.18を逆数にすると 1/1.18≒0.847——これは単位法の同期インピーダンス、つまり %Zs≒84.7 % という意味を持ちます。

誤答の選択肢(2) 0.847 は、実は「間違った値」ではなく「別の量の正しい値」だったわけです。短絡比を聞かれているのに単位法のインピーダンスを答えてしまった——そう考えると、この肢が用意されている意味がよく分かります問われているのがどちらなのかを、問題文の語で確認する習慣をつけてください

まとめ

定格電流\(I_n=P/(\sqrt{3}V)=262.4\,\mathrm{A}\)
持続短絡電流\(I_s=310\,\mathrm{A}\)(与えられている)
短絡比\(K_S=I_s/I_n=1.18\)
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・同期インピーダンス経由の短絡比:【機械】令和4年度下期A問題5
・短絡比の基本(%Z無し):【機械】平成21年度A問題5

📚 次に解くべき関連問題
【機械】令和4年度下期A問題5(同期機8)
【機械】平成19年度A問題5(同期機10)
【機械】平成27年度A問題4(同期機12)
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