変圧器28【電験3種 機械】三相変圧器の結線と角変位(位相変位)とは?平成29年度 A問題7 完全解説

電験3種 機械科目 変圧器 平成29年度 A問題7 結線で位相がずれる!角変位は何度になる?

電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目において、「変圧器」は頻出かつ重要なテーマの一つです。本記事では、平成29年度(2017年)A問題7で出題された「三相変圧器の結線と角変位(位相変位)」について、はじめての方でも判断できるように、結線ごとの考え方を整理しながら丁寧に解説します。

この問題は計算ではなく、Δ結線・Y結線・V結線の組合せで一次側と二次側の線間電圧にどれだけ位相差(角変位)が生じるかを問う知識問題です。ポイントはたった一つ、「同じ種類の結線どうしは角変位0、Δ-YやY-Δのように種類が異なると \( \pi/6 \)(30°)ずれる」こと。これまでの【機械】平成27年度A問題8【機械】平成21年度A問題7【機械】平成22年度A問題8で学んだ三相結線の総仕上げになります。

目次

平成29年度 機械科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 平成29年度 A問題7 問題文(三相変圧器の結線と角変位)
平成29年度 機械科目 A問題7 問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題7

電験3種 機械科目 【変圧器】 平成29年度 A問題7

図1〜3は、同じ定格の単相変圧器3台を用いた三相の変圧器であり、図4は、同じ定格の単相変圧器2台を用いたV結線三相変圧器である。各図の一次側電圧に対する二次側電圧の位相変位(角変位)の値 [rad] の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし、各図において一次電圧の相順は U, V, W とする。

平成29年度 機械 A問題7 図1〜図4 三相変圧器の結線図
図1〜図4:各結線図(公式問題より)
図1図2図3図4
(1)進み \(\pi/6\)0遅れ \(\pi/6\)0
(2)遅れ \(\pi/6\)0進み \(\pi/6\)進み \(\pi/6\)
(3)遅れ \(\pi/6\)0進み \(\pi/6\)0
(4)進み \(\pi/6\)遅れ \(\pi/6\)遅れ \(\pi/6\)遅れ \(\pi/6\)
(5)遅れ \(\pi/6\)進み \(\pi/6\)進み \(\pi/6\)進み \(\pi/6\)

出題のポイント:ルールは1つだけ

4つの図の角変位を答える問題ですが、覚えるべきルールはたった1つです。「同種の結線は0、異種(Δ-Y/Y-Δ)は π/6 ずれる」——これだけ。

結線の組合せ種類二次側の角変位
Δ-Δ/Y-Y/V-V同種0
Δ-Y異種進み \( \pi/6 \)(30°)
Y-Δ異種遅れ \( \pi/6 \)(30°)

あとは各図がどの結線かを読み取り、表に当てはめるだけです。図を読む作業と、ルールを当てはめる作業を分ける——混ぜて考えると混乱します

図1デルタスターは二次が30度進み、図2デルタデルタは0、図3スターデルタは二次が30度遅れ、図4V結線は0となる比較
角変位の大きさだけでなく、進み・遅れの向きは問題図の極性と結線順で確認します。

なぜ異種結線だと30°ずれるのか

Y結線とΔ結線では、線間電圧と巻線電圧の関係が違いますこの違いが、片側にだけ現れると角変位として残るのです。

結線線間電圧と巻線電圧の関係
Δ結線線間電圧=巻線電圧(同相・同じ大きさ)
Y結線線間電圧=\( \sqrt{3} \)×相電圧で、相電圧より \( \pi/6 \) 進む

変圧器の一次巻線と二次巻線は同じ鉄心に巻かれているので、巻線電圧どうしは同相です(減極性なら)。ずれが生じるのは「巻線電圧から線間電圧に変換するとき」だけ——だからその変換が一次と二次で違えば、差が残ります

結線一次側の変換二次側の変換残る角変位
Δ-Y0(Δなのでずれない)\( +\pi/6 \)(Yなので進む)二次が \( \pi/6 \) 進む
Y-Δ\( +\pi/6 \)0二次が \( \pi/6 \) 遅れる
Δ-Δ/Y-Y同じ同じ0(相殺)

一次側だけが30°進む変換を受ければ、一次を基準に見た二次は30°遅れて見える——これが Y-Δ が「遅れ」になる理屈です。Δ-Y はその逆で「進み」になります。

各図を判定する

一次 − 二次種類二次の角変位
図1Δ − Y異種進み \( \pi/6 \)
図2Δ − Δ同種0
図3Y − Δ異種遅れ \( \pi/6 \)
図4V − VΔ相当(同種)0
図1から図4までの一次二次結線と線間電圧の関係、角変位を整理し、選択肢1を導く表
進みπ/6、0、遅れπ/6、0の組合せなので正解は選択肢(1)です。
答え「進み π/6 | 0 | 遅れ π/6 | 0」——正解は (1)です。

☝️ ひっかけの作り方:図4のV-V結線を「別の結線だから角変位がある」と考えてしまうのが罠です。V-V は Δ-Δ から1台の変圧器を取り除いた形——残った2台の巻線の位相関係は Δ-Δ のときと変わりませんだから角変位は0です。選択肢(2)(4)(5)は図4を0以外にしているので、この1点だけで3肢が落ちます

選択肢の絞り込み方

4つの図をすべて判定する必要はありません判定しやすい図から順に当てて、選択肢を落としていくのが速い進め方です。

絞り込みの順判定落ちる選択肢
① 図4(V-V)は0同種なので0(2)(4)(5) が落ちる
② 図2(Δ-Δ)は0同種なので0(4) はすでに落ちている
③ 図1(Δ-Y)は進みY側が二次なので進み(3) が落ちて (1) が残る

V-V が0だと分かるだけで3肢が消える——最も判定しやすいところから手をつけるのが鉄則です。残る(1)と(3)は図1と図3が逆になっているだけですから、どちらか一方の向きを決めれば決着します

角変位には国際的な記号表示がある

本問では角変位を「進み π/6」「遅れ π/6」と日本語で表しましたが、実務では時計の文字盤になぞらえた記号で表すのが一般的です。

一次側の線間電圧を時計の12時の位置に置き、二次側の対応する線間電圧がどの時刻を指すか——これで角変位を表します1時間=30°ですから、12個の目盛りで360°を表せるわけです。

記号結線角変位意味
Dd0Δ-Δ0時=ずれなし
Yy0Y-Y同上
Dy1Δ-Y30°遅れ1時=時計回りに30°
Dy11Δ-Y30°進み11時=反時計回りに30°
Yd11Y-Δ30°進み同上

大文字が高圧側、小文字が低圧側の結線を表します。D はΔ結線、Y はY結線、末尾の n は中性点引き出しあり——「Dyn11」なら「高圧側Δ、低圧側Y(中性点あり)、角変位30°進み」という意味です。

日本の配電用変圧器では Dyn11 や Yyn0 がよく使われます低圧側をY結線にして中性点を接地すれば、単相の低圧が取り出せる——記号を読めば、その変圧器がどう使われるかまで分かるのです。

本問の図1は Δ-Y で二次が進みですから、記号で書けば Dy11図3は Y-Δ で二次が遅れなので Yd1 にあたります。同じ内容を別の記法で表しているだけ——2つの表し方を行き来できると、実務資料も読めるようになります

電験3種で記号表示そのものが問われることはまれですが、「角変位は30°の倍数で表される」という感覚は共通です。時計の文字盤を思い浮かべれば、45°のような中途半端な角度があり得ないことも腑に落ちます——平成27年度の「45°」という誤りの選択肢も、この感覚で見抜けます

⏱️ 本番での進め方
① 同種は0、異種は π/6。ルールはこれだけ。
② V-V は Δ の仲間なので0。ここで3肢が落ちることが多い。
③ Δ-Y は二次が進み、Y-Δ は二次が遅れ。
④ 全部の図を判定しなくてよい。落としやすい図から当てる。

💡 覚え方
「Y側が二次なら進み、Y側が一次なら遅れ」——Y結線のほうが30°進むのだから、それが二次側にあれば二次が進み、一次側にあれば相対的に二次が遅れるY がどちら側にあるかで向きが決まると考えれば、丸暗記が要りません。

関連問題:角変位は繰り返し問われる

角変位は結線図から読み取らせる形、数値を答えさせる形、並行運転の条件として問う形と、さまざまな角度から出題されています変圧器44:三相変圧器の結線と角変位(Y-Δは30°遅れ)変圧器45:三相電源に接続する変圧器変圧器42:並行運転の条件(角変位))。

いずれも「同種0・異種30°」という1つのルールで対応できます——これほど費用対効果の高い知識は、機械科目でも数えるほどです。

相電圧VUを0度、VVをマイナス120度、VWをプラス120度とし、線間電圧VUVがプラス30度となる正相順のベクトル図
正相順ではVUV=VU−VVとなり、Y結線の線間電圧は相電圧より30°進みます。
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