変圧器28【電験3種 機械】三相変圧器の結線と角変位(位相変位)とは?平成29年度 A問題7 完全解説

電験3種 機械科目 平成29年度 A問題7 三相変圧器の結線と角変位

電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目において、「変圧器」は頻出かつ重要なテーマの一つです。本記事では、平成29年度(2017年)A問題7で出題された「三相変圧器の結線と角変位(位相変位)」について、はじめての方でも判断できるように、結線ごとの考え方を整理しながら丁寧に解説します。

この問題は計算ではなく、Δ結線・Y結線・V結線の組合せで一次側と二次側の線間電圧にどれだけ位相差(角変位)が生じるかを問う知識問題です。ポイントはたった一つ、「同じ種類の結線どうしは角変位0、Δ-YやY-Δのように種類が異なると \( \pi/6 \)(30°)ずれる」こと。これまでの変圧器25変圧器26変圧器27で学んだ三相結線の総仕上げになります。

出題のポイント:角変位は「線間電圧どうし」の位相差

角変位(位相変位)とは、一次側の線間電圧に対する二次側の線間電圧の位相差のことです。判断のカギは、Δ結線とY結線で「線間電圧」と「巻線(相)電圧」の関係が違う点にあります。Δは線間電圧=相電圧で位相がずれませんが、Yは線間電圧が相電圧より \( \pi/6 \) 進みます。この差が、一次と二次で結線の種類が異なるときの角変位を生み出します。

目次

平成29年度 機械科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 平成29年度 A問題7 問題文(三相変圧器の結線と角変位)
平成29年度 機械科目 A問題7 問題文と選択肢

電験3種 機械科目 【変圧器】 平成29年度 A問題7

図1〜3は、同じ定格の単相変圧器3台を用いた三相の変圧器であり、図4は、同じ定格の単相変圧器2台を用いたV結線三相変圧器である。各図の一次側電圧に対する二次側電圧の位相変位(角変位)の値 [rad] の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし、各図において一次電圧の相順は U, V, W とする。
(図1:Δ-Y結線、図2:Δ-Δ結線、図3:Y-Δ結線、図4:V-V結線)

選択肢(図1 | 図2 | 図3 | 図4 の順):
(1) 進み \(\pi/6\) | 0 | 遅れ \(\pi/6\) | 0
(2) 遅れ \(\pi/6\) | 0 | 進み \(\pi/6\) | 進み \(\pi/6\)
(3) 遅れ \(\pi/6\) | 0 | 進み \(\pi/6\) | 0
(4) 進み \(\pi/6\) | 遅れ \(\pi/6\) | 遅れ \(\pi/6\) | 遅れ \(\pi/6\)
(5) 遅れ \(\pi/6\) | 進み \(\pi/6\) | 進み \(\pi/6\) | 進み \(\pi/6\)

問題の解説:結線の種類から角変位を判断する

方針は「①角変位の基本ルールを押さえる → ②各図の結線方式(Δ-Y / Δ-Δ / Y-Δ / V-V)を見分ける → ③ルールを当てはめる」です。

平成29年度 A問題7 解説1/2 角変位の基本ルールと各図の結線方式
解説(1/2):角変位の基本ルールと各図の結線方式
平成29年度 A問題7 解説2/2 角変位がπ/6生じる理由と各図の結論
解説(2/2):角変位が \( \pi/6 \) 生じる理由と各図の結論

ステップ1:角変位の基本ルール

Δ結線とY結線では、線間電圧と相電圧の関係が次のように異なります。

Δ結線:線間電圧 = 相電圧(位相のずれなし)
Y結線:線間電圧 = \( \sqrt{3} \times \) 相電圧 で、相電圧より \( \pi/6 \)(30°)進む

このことから、一次と二次が同じ種類の結線(Δ-Δ、Y-Y、V-V)なら角変位は0、種類が異なる組合せ(Δ-Y、Y-Δ)なら \( \pi/6 \) だけずれる、と判断できます。

ステップ2:各図の結線方式を見分ける

問題の図を読み取ると、各図の一次−二次の結線は次のとおりです。

一次 − 二次種類
図1Δ − Y異種(ずれあり)
図2Δ − Δ同種(ずれなし)
図3Y − Δ異種(ずれあり)
図4V − VΔ相当(ずれなし)

ステップ3:なぜ π/6 ずれるのか

Y結線側の線間電圧は、2つの相電圧のベクトルの差として作られるため、相電圧よりも \( \pi/6 \)(30°)回転します。一方Δ側は線間電圧=相電圧で回転しません。したがって、Δ-Y結線では二次側の線間電圧が一次側より \( \pi/6 \) 進み、逆にY-Δ結線では \( \pi/6 \) 遅れます。Δ-ΔやV-Vは一次・二次とも同じ関係なので、角変位は0です。

ステップ4:各図の角変位と答え

ルールを各図に当てはめると、次のようになります。

結線二次の角変位
図1Δ − Y進み \( \pi/6 \)
図2Δ − Δ0
図3Y − Δ遅れ \( \pi/6 \)
図4V − V0

この組合せ「進み \( \pi/6 \) | 0 | 遅れ \( \pi/6 \) | 0」に一致するのは選択肢(1)です。したがって、正解は (1) です。

ポイント解説:角変位を確実に判断する

角変位は暗記要素が強い分野ですが、理由を押さえておくと迷いません。

1. 「同種は0、異種は π/6」が大原則

一次・二次が同じ結線(Δ-Δ、Y-Y)なら、線間電圧と相電圧の関係が同じなので位相はそろい、角変位は0です。Δ-YやY-Δのように種類をまたぐと、Y側で生じる \( \pi/6 \) のずれがそのまま角変位として現れます。まずこの大原則を覚えましょう。

2. V-V結線が0になる理由

V結線(V-V結線)は、Δ-Δ結線から変圧器を1台外した形で、線間電圧の作り方はΔ結線と同じです。そのため一次・二次ともΔと同じ振る舞いになり、角変位は0となります。「V-VはΔ-Δの仲間」と捉えると判断が早くなります。

3. 「進み」「遅れ」の向きの覚え方

異種結線で \( \pi/6 \) ずれることは分かっても、進みか遅れかで迷いがちです。本問の図ではΔ-Yが進み、Y-Δが遅れでした。「Y側が線間で30°進む」性質から、二次がY(Δ-Y)なら二次が進み、二次がΔで一次がY(Y-Δ)なら相対的に二次が遅れる、と図に沿って考えると整理できます。実際の向きは結線図の極性で決まるため、本番では図を丁寧に追うことが大切です。

まとめ:三相変圧器の角変位

今回の結論を表にまとめます。

結線の組合せ角変位
同種(Δ-Δ、Y-Y、V-V)0図2、図4
異種・Δ→Y進み \( \pi/6 \)図1
異種・Y→Δ遅れ \( \pi/6 \)図3

三相変圧器の角変位は、「同種は0、異種(Δ-Y・Y-Δ)は \( \pi/6 \)、V-VはΔ相当で0」という原則を押さえれば確実に判断できます。三相結線シリーズの変圧器25変圧器26変圧器27とあわせて、結線まわりを得点源にしましょう!

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